20170601

フランスを巡って 1: はじめに


 

*1


私はフランスを13日間旅行して来ました。
これから撮った写真でフランス各地の観光と私の体験を紹介します。
今回は旅行の概要を記します。

旅行の概要
トラピックスのツアーに参加しました。
ツアー名:「13日間のフランス夢の大周遊」
期間:2017年5月17日(水)~29日(月)

総勢39名の大所帯で、関空深夜発、ドバイ経由でニースに着き、旅行が始まりました。
フランスを9日間宿泊し、移動はすべて観光バスでした。
帰国は午後パリ発、ドバイ経由で関空に夕刻無事戻って来ました。

ニースの朝だけ小雨になった以外はすべて快晴に恵まれ、最高の観光日和になりました。
一方で、最高気温が予想外の30℃近くにもなった為、服装に困りました。

毎日の観光と散策で足腰に疲れが溜まった事を除けば、絶景鑑賞と素晴らしい体験をすることが出来き、大満足でした。




< 2. 旅行ルート >

数字は観光地を示し、観光はその順に行いました。
黒い数字は観光のみ、赤い数字は観光した宿泊地を示す。
赤字のTは宿泊だけのトゥールです。
茶色の線は観光バスでの移動を、赤線は航路を示す。


観光地の概要と写真
写真の番号は地図の番号を示す。


 

< 3.2日目、3日目の観光 >

No1. エズ: 車窓からエズ村を遠望。
尖った山頂の村を徒歩で登り、山頂から地中海の展望を満喫した。

No2. モナコ: 王宮広場から湾を見下ろす。
断崖絶壁の台地にある王宮周辺の徒歩観光と、湾岸に設営されたばかりのカーレース場を車窓見学。

No3. ニース: 小雨が降った後の海岸。
朝、高級別荘地の海岸と旧市街の花市場を徒歩観光。


 

< 4. 3日目、4日目の観光  >

No4. エクス・アン・プロヴァンス: 並木道から噴水を望む。
画家セザンヌの所縁の地を徒歩観光した後、洒落た通りを自由散策し、レストランで昼食を愉しんだ。

No5. アルル: ゴッホが描いた跳ね橋。
画家ゴッホが作品に描いた三カ所と古代ローマ時代の円形闘技場を観光した。

南仏の陽射しと緑が、二人の画家の想像力を与えてたように思えた。


No6. アヴィニヨン: 法王庁宮殿。
サンベネゼ橋を見て法王庁宮殿周辺を徒歩観光し、自由時間は旧市街にある市場で買い物をした。




 

< 5.4日目、5日目の観光 >

No.7 ポン・デエ・ガール: ローマ時代の水道橋。
水道橋を渡り、河岸のレストランで昼食。

No.8 リヨン: 旧市街から丘の上の大聖堂を見上げる。
大聖堂のあるフルビェールの丘と旧市街を徒歩観光。
夕方から市街を自由散策し、個人で予約したレストランで食事。

No.9 ボーヌ: オテル・デュ―の中庭。
中世の施療院オテル・デュ―の見学と旧市街の自由散策。

私にとっては初めて見るヨーロッパ中世医術のリアリテイでした。



 

< 6. 6日目の観光 >

No.10 ストラスブール: 大聖堂の正面。
旧市街の大聖堂とプチットフランスを徒歩観光。

この大聖堂とアルザス地方は私にとって、この旅行の最大の目玉でした。
ここは宗教改革の開戦の地であり、ここ数百年間に及ぶ独仏争奪の地でした。
ここで私は歴史や社会、平和の理解につながるヒントがあるような気がしていた。

No.11 コルマール: プチットベニス。
プチットベニスを徒歩観光し、旧市街のレストランで昼食。




 

< 7. 6日目、7日目の観光 >

No.12 リクヴィル: 村のメインストリート。
アルザスワインの産地の村を徒歩観光し、ワインナリーで試飲。

5日目と6日目はストラスブール旧市街近くのホテルに連泊。
夕方からの自由時間で、ホテル近くの大型スーパーで買い物をし、その後、プチットフランスまで徒歩で行き、散策を楽しんだ後に飛び入りのレストランで食事をした。
ここでハプニングがあった。

No.13 ランス: 大聖堂の正面。
ノートル大聖堂とサン・レミ聖堂を入場観光。

7日目はパリ市内で宿泊したが、夜遅く到着した為、隣接する大型スーパーで買い物のみをした。

この教会からフランス、いやヨーロッパが始まったと言えるかもしれない。


 

< 8.8日目、9日目の観光 >

No.14 モンサンミッシェル: モンサンミッシェルの全景。
モンサンミッシェルに昼頃から入場観光し、自由散策の後、対岸のホテルに宿泊した。
おかげで日の入り、日の出のモンサンミッシェルを撮影することが出来た。

この光景を見ることは長年の夢でした。
それも素晴らしい天候の下で叶えられて、幸いでした。

No.15 シュノンソー城: シュノンソー城の全景。
シュノンソー城の庭園内レストランで昼食後、城に入場観光し、少し庭園を散策した。

No.16 シャンボール城(写真省く)
外観の写真撮影のみ。



 

< 9. 10日目観光 >

No.17 シャルトル大聖堂: 正面。
大聖堂を入場観光。

No.18 ベルサイユ宮殿: 正面。
宮殿の駐車場横のレストランで昼食後、宮殿内を入場観光した。

この後、パリのレストランで夕食をとり、セーヌ川をクルーズし、パリ市隣接地区のホテルに2連泊した。



 

< 10. 11日目、12日目観光 >

No.19 パリ: 凱旋門
11日目の午前中、観光バスで市内観光した後、ルーブル美術館に入場観光した。
昼からの自由時間で、私達夫婦は夜9時ごろまで地下鉄と徒歩で市内を縦横に散策し、昼食と夕食を愉しんだ。

下の写真: ホテル近くのラ・デファンスの新凱旋門下から凱旋門を遠望。
12日目は、直ぐ横にある大型スーパーで最後の買い物をした。

こうして昼前にはホテルを出て、パリから帰路に着いた。



旅の楽しみ


 

< 11. 旅の楽しみ 1 >

上の写真: セーヌ川クルーズ。
船が進むと川風が心地良く、建物は夕陽で黄金色に変わっていった。
川岸には大勢の人が夕暮れを楽しんでいて、私達を大いに歓迎してくれた。
至福の時が流れていきました。

中央の写真: パリの自由散策で訪れた市場で昼食。
ここは移民が多く暮らす街にあり、各国の料理店が賑わっていた。

下の写真: パリの自由散策で訪れた商店街。
ここでは観光客をほとんど見なかった。


 

< 12. 旅の楽しみ 2 >

上の写真: 先ほどの商店街の魚屋の軒先で新鮮な貝とワインを味わった。

中央の写真: 何回も乗り継いだパリの地下鉄。
30年ほど前に訪れた地下鉄と雰囲気は変わっていた。

下の写真: ルーブル美術館の絵。

旅で様々な人と出会い、共感し、親切を受けることは喜びです。
特にリヨンやストラスブール、パリでの自由散策では様々な笑顔に出会いました。

また少しのチャレンジを通じて、異文化に触れることが出来ました。
各地の町や教会を巡って、ガイドさんと話していると、よりフランスとパリの歴史、そして社会への理解が深まった。

ゴシック建築やセザンヌとゴッホの絵がより身近になりました。

この旅行記では、様々な感動と歴史や芸術についても語って行きます。


バスの車窓から
私は車窓から全行程の景色を撮影しています。
全行程約2800kmに及ぶ数々の自然や街並みの写真からは、フランスの自然や文化、各地の違いが見えて来ます。
そこには何がフランスを生み育てているかが見えてくるかもしれません。
以下の写真はニースからパリに至る景観の変化を順番に示しいます。


 

< 13. バスの車窓から 1 >


 

< 14. バスの車窓から 2 >



次回から、詳しく紹介していきます。



20170513

Bring peace to the Middle East! 80: At the end


中東に平和を! 80: 終わりに 



*1


A year has passed since I started this series.
I write a summary and impressions at the end.


この連載を始めて1年が過ぎました。
終えるにあたり、まとめと感想を記します。




*2


Contents

1. At the start
2. What do I aim at?
3. About the Middle East and Arab
4. Outline of conflicts in the Middle East
5. Outline of conflicts in the Middle East 2
6. A popular book 1
7. A popular book 2
8. Seeing the Middle East and Arab world in films 1: The beginning
9. Seeing the Middle East and Arab world in films 2: Lawrence of Arabia
10.Seeing the Middle East and Arab world in films 3: Schindler’s List
11.Seeing the Middle East and Arab world in films 4: The Four Feathers
12.Seeing the Middle East and Arab world in films 5: The Wind and the Lion
13.Seeing the Middle East and Arab world in films 6: The historical backdrop
14.Seeing the Middle East and Arab world in films 7: Terraferma
15.Seeing the Middle East and Arab world in films 8: Refugee issue 1
16.Seeing the Middle East and Arab world in films 9: Refugee issue 2
17.Seeing the Middle East and Arab world in films 10: the other son
18.Seeing the Middle East and Arab world in films 11: Israeli-Palestinian conflict 1
19.Israeli-Palestinian conflict 1: voices of the young 1
20.Israeli-Palestinian conflict 2: voices of the young 2
21.about terrorism 1 : at the beginning
22.about terrorism 2 : an assassination
23.about terrorism 3 : the background 1
24.about terrorism 4 : the background 2
25.about terrorism 5 : Various assassination
26.about terrorism 6 : maneuver secretly in Mossad
27.about terrorism 7 : Love and hate of Mossad
28.about terrorism 8 : terrorists and a conscientious objector
29.about terrorism 9 : Two combatants
30.about terrorism 10 : fight of believer
31.chain of retaliation 1 : in the end
32.chain of retaliation 2 : What is bad?
33.chain of retaliation 3 : in Syria and Lebanon
34.chain of retaliation 4 : Israel and Palestinian 1
35.chain of retaliation 5 : Israel and Palestinian 2
36.I beg a favor of you.
37.Thank for your answers.
38.chain of retaliation 6 : the intifada
39.chain of retaliation 7 : the Middle East war
40.chain of retaliation 8 : Why the Middle East war began? 1
41.chain of retaliation 9 : Why the Middle East war began? 2
42.What is the cause ?
43.What is the cause ? 2
44.What is the cause ? 3
45.Now, something I think. 1
46.Now, something I think. 2
47.religion and persecution 1: at the beginning
48.religion and persecution 2: Prejudice against Islam
49.religion and persecution 3: Persecution of Jewish people 1
50.religion and persecution 4: Persecution of Jewish people 2
51.religion and persecution 5: Persecution of Jewish people 3
52.religion and persecution 6: Persecution of Jewish people 4
53.when religions were born 1: preface
54.when religions were born 2: Judaism
55.when religions were born 3: Christianity
56.when religions were born 4: Buddhism
57.when religions were born 5: Confucianism
58.when religions were born 6: Islam 1
59.when religions were born 7: Islam 2
60.when religions were born 8: concluding section
61.Religion and Politics 1
62.Religion and Politics 2
63.Why was it exhausted ? 1: Introduction
64.Why was it exhausted ? 2: selfishness of major nations and multinationals
65.Why was it exhausted ? 3: Why is the selfishness permissible?
66.Why was it exhausted ? 4: When do major nations become selfishness?
67.Why was it exhausted ? 5: History repeats itself
68.Why was it exhausted ? 6: The period background of imperialism 1
69.Why was it exhausted ? 7: The period background of imperialism 2
70.Why was it exhausted ? 8: The mentality of the imperialism 1
71.Why was it exhausted ? 9: The mentality of the imperialism 2
72.Why was it exhausted ? 10: When did the world stand at a crossroad? 1
73.Why was it exhausted ? 11: When did the world stand at a crossroad? 2
74.Why was it exhausted ? 12: When did the world stand at a crossroad? 3
75.Why was it exhausted ? 13: What happened in Congo ? 1
76.Why was it exhausted ? 14: What happened in Congo ? 2
77.Why was it exhausted ? 15: What happened in Congo ? 3
78.Why was it exhausted ? 16: What happened in Congo ? 4
79.Why was it exhausted ? 17: What happened in Congo ? 5
80.At the end



目次

1.はじめに
2.私が目指すこと
3.中東とアラブについて
4.中東の紛争のあらまし 1
5.中東の紛争のあらまし 2
6.人気がある本 1
7.人気がある本 2
8.映画に見る中東とアラブ世界 1: はじめに
9.映画に見る中東とアラブ世界 2: アラビアのロレンス
10.映画に見る中東とアラブ世界 3: シンドラーのリスト
11.映画に見る中東とアラブ世界 4: サハラに舞う白い羽根
12.映画に見る中東とアラブ世界 5: 風とライオン
13.映画に見る中東とアラブ世界 6: その時代背景
14.映画に見る中東とアラブ世界 7: 海と大陸
15.映画に見る中東とアラブ世界 8: 難民問題 1
16.映画に見る中東とアラブ世界 8: 難民問題 2
17.映画に見る中東とアラブ世界 9: もうひとりの息子
18.映画に見る中東とアラブ世界 11: パレスチナ紛争 1
19.イスラエルとパレスチナの紛争 1: 若者の声 1
20.イスラエルとパレスチナの紛争 2: 若者の声 2
21.テロについて 1: はじめに 
22.テロについて 2: ある暗殺
23.テロについて  3: その背景 1
24.テロについて 4: その背景 2
25.テロについて 5: 様々な暗殺 
26.テロについて 6: モサドの暗躍
27.テロについて 7: モサドの恩讐
28.テロについて 8: テロ犯と兵役拒否者
29.テロについて 9: 二人の戦闘員
30.テロについて 10: 信者の戦い
31.報復の連鎖 1: その果てに
32.報復の連鎖 2: 何が悪いのか?
33.報復の連鎖 3: シリアとレバノンで
34.報復の連鎖 4: イスラエルとパレスチナ 1
35.報復の連鎖 5: イスラエルとパレスチナ 2
36.お願いがあります
37.ご意見に感謝します
38.報復の連鎖 6: インティファーダ
39.報復の連鎖 7: 中東戦争
40.報復の連鎖 8: なぜ中東戦争は始まったのか? 1
41.報復の連鎖 9: なぜ中東戦争は始まったのか? 2
42.何が原因か? 1
43.何が原因か? 2
44.何が原因か? 3
45.今、思うこと 1
46.今、思うこと 2
47.宗教と迫害 1: はじめに
48.宗教と迫害 2: イスラム教への偏見
49.宗教と迫害 3: ユダヤ人の迫害 1
50.宗教と迫害 4: ユダヤ人の迫害 2
51.宗教と迫害 5: ユダヤ人の迫害 3
52.宗教と迫害 6: ユダヤ人の迫害 4
53.宗教が誕生する時 1: はじめに
54.宗教が誕生する時 2: ユダヤ教
55.宗教が誕生する時 3: キリスト教
56.宗教が誕生する時 4:  仏教 
57.宗教が誕生する時 5: 儒教
58.宗教が誕生する時 6: イスラム教 1
59.宗教が誕生する時 7: イスラム教 2
60.宗教が誕生する時  8:  最後に
61.宗教と政治 1
62.宗教と政治 2
63.なぜ疲弊したのか 1:  はじめに
64.なぜ疲弊したのか 2: 大国と多国籍企業の身勝手
65.なぜ疲弊したのか  3: なぜ身勝手がまかり通るのか 
66.なぜ疲弊したのか  4: 大国が身勝手になる時
67.なぜ疲弊したのか 5: 歴史は繰り返す 
68.なぜ疲弊したのか 6: 帝国主義の時代背景 1
69.なぜ疲弊したのか 7: 帝国主義の時代背景 2
70.なぜ疲弊したのか 8: 帝国主義の心性 1
71.なぜ疲弊したのか 9: 帝国主義の心性 2
72.なぜ疲弊したのか 10: 何が岐路になったのか? 1
73.なぜ疲弊したのか 11: 何が岐路になったのか? 2
74.なぜ疲弊したのか 12: 何が岐路になったのか? 3
75.なぜ疲弊したのか 13: コンゴで何があったのか 1
76.なぜ疲弊したのか 14: コンゴで何があったのか 2
77.なぜ疲弊したのか 15: コンゴで何があったのか 3
78.なぜ疲弊したのか 16: コンゴで何があったのか 4
79.なぜ疲弊したのか 17: コンゴで何があったのか 5 
80.終わりに 




*3


What was I writing about in this series?
I have felt distress at violence of Islamic State (IS), and plight of refugees and Palestine.
Then I got a book criticizing Islamic civilization by Bernard Lewis (annotation 1).
This book was full of contempt but was a bestseller in the United States.
This had showed many people affirm the action of the United States that had plunged the Middle East into confusion, and so I had a sense of crisis.
In it, there is a prejudice of Western civilization (Judaism, Christianity) against Islamic civilization.
So I started this series.

Initially I tried to introduce the present situation in the Middle East and the outline of the colonial era.
Next, I looked for the motives and background of terrorism that prolonged the conflict.
And I looked at a chain of retaliation all over the place.
The chain of retaliation is the most universal mechanism to expand every war.
The hatred producing the retaliation was between tribes and sects, and even between different civilizations and religions.

Then, to search for origin of the hatred between civilizations and the religious persecution, I compared the birth of world religions.
The difference in religion is certainly an origin of the confrontation, but is only a part.

On the other hand, in having examined the history of the Middle East, the colonial domination was understood as the origin of hatred and exhaustion.
If you look at the world, many countries other than the Middle East also are being distressed by conflict, dictatorship and economic downturn.
And, the more harshly a country was treated by the Western colonial domination a century ago, the more likely a country was exhausted.
Even after independence, the conflicts are frequent and prolonged due to the proxy war of the Cold War.

So, I examined the colonial domination.
Why did Western Europe do harsh colonial domination?
Why was the colonial society being exhausted?
Why do the conflict and stagnation continue even after independence?

And today I finish this series.



この連載で何を語って来たのか
私は、イスラム国の暴虐、難民とパレスチナの苦境に心を痛めた。
そしてバーナード・ルイスのイスラム文明批判の一冊(注釈1)を手に取った。
この本は侮蔑で溢れていたが、米国でベストセラーでした。
このことは中東を混乱に陥れた米国の行為を肯定するものであり、私は危機感を持った。
そこにはイスラム文明に対する西欧文明(ユダヤ教、キリスト教)の偏見がある。
それで私はこの連載を始めた。

当初、中東の現状と植民地時代の概要を紹介することに努めた。
次いで、紛争を長引かせるテロの動機や背景を探った。
そしておぞましい報復の連鎖に行き着いた。
報復の連鎖は最も普遍的な戦争拡大のメカニズムです。
この報復を生む憎悪は部族と宗派、さらには異なる文明と宗教間にもありました。

そして文明間の憎悪と宗教上の迫害の起源を求めて、世界宗教の誕生を比較した。
宗教の違いは確かに対立の起源だが、一部でしかない。

一方、中東史を調べると憎悪と疲弊の根源に植民地支配があることがわかる。
世界に目をやれば、中東以外に紛争、独裁、経済低迷に喘ぐ国々は非常に多い。
そして、疲弊が酷い国ほど1世紀前、西欧の植民地下で過酷な支配を受けていた。
また独立後も、冷戦の代理戦争などにより紛争が頻発し長引いてる。

そこで、私は植民地支配を調べた。
なぜ西欧は苛烈な植民地支配を行ったのか?
植民地社会はなぜ疲弊し続ける事になったのか?
独立後も、なぜ紛争と低迷が続くのか?

そして今日、この連載を終えます。




*4


Something I think now
I hope that my article solves the misunderstandings about the Middle East and Islam in any way and is useful for the world peace.
Unfortunately, I could not find even a clue for bringing peace in the Middle East.

In the course of this investigation, I lost my energy every time knowing a state of utter confusion.
However, I have continued with the desire to have to avoid the world going this wrong way any more.

In an extreme instance, it can be said that the war and exhaustion of the Middle East began from the colonial domination of Western Europe.
However, we can not say to Western Europe having responsibility for it.

The world must be very peaceful if there aren't the imperialism and violence of great nation that is continuing even now.
Discrimination emotions and hatred have approved the violence, but this is not limited to Westerners.
My concern is that the pursuit of greed and strong power on the pretext of freedom is increasing momentum.
Forenamed Bernard Lewis justified the military invasion by despising the Islamic world as  backward civilization and frail society.
Still, a logic of imperialism continues to live.
Naturally, within a nation ruled by law, this logic is denied, but this trend is increasing momentum, mainly in Europe and the United States.
It is a truly dangerous sign.

At the very least, the Europe and the United States reflect on the past conduct, should stop the invasion and intervention.

On the other hand, there seem to be no way to recover the former colonial society once destroyed.
Have we no choice but to expect a fortuity, passing years, or correspondences changed of great nation?

However, there is a faint hope.

Certainly, humanity has repeated folly, but also produced unexpected solutions.

Buddha led to a freedom from the corrupt politics, Jesus did to it from the invaded and exhausted society, and Mohamed did to it from the society where conflict persisted.
Their behaviors changed the world.

After that, Gandhi in India, Robert Schuman in France (Annotation 2), Reverend King in the United States, Mandela in South Africa, and Shevardnadze in the Soviet Union asked for reconciliation rather than confrontation, and left a mark on the world.

The world is also cooperating with the United Nations (UN), the European Union (EU) and the Convention on Climate Change Framework Convention (COP).

In this greedy world, Medecins Sans Frontieres, Amnesty International and International Consortium of Investigative Journalists (ICIJ) (annotation 3) are working for the Peace and protection of human rights by people's goodwill and dedication.





今、思うこと
私の記事が、少しでも中東とイスラムへの誤解を解き、世界の平和に役立つ事を願います。
残念なことは、中東に平和をもたらす糸口すら見つけることが出来なかったことです。

今回の調査の途中で、私はその混迷の深さに幾度も気力が萎えてしまった。
しかし、これ以上、世界が誤った道を進むことを避けたいとの願いで続けて来ました。

極論すると、中東の戦乱と疲弊は西欧の植民地支配から始まったと言える。
しかし、このことで西欧に責任を取れとは言えない、ましてや今の国民に。

帝国主義と今も続く大国の暴力が無ければ、世界はどれだけ平和だったかと思う。
差別感情と憎悪がこの暴力を容認にしているが、これは西欧人に限ったことではない。
気がかりなのは、自由に名を借りた強欲と強権の追及が勢いを増していることです。
かのバーナード・ルイスはイスラムを遅れた文明、虚弱な社会と侮蔑し、軍事進攻を正当化した。
いまだに、帝国主義の論理が生き続けている。
法治国家内では、当然、この論理は否定されるが、欧米を筆頭にこの風潮が勢いを増している。
まことに危険な兆候です。

せめて欧米と大国は猛省し、侵略や介入を止めるべきだと願うばかりです。

一方、一度破壊されたかつての植民地社会が立ち直る術は見当たらない。
何らかの偶然か、年月か、先進国の対応の変化に期待するしかないのだろうか。


しかし、かすかな希望もある。

確かに、人類は愚行を繰り返して来たが、予想外の解決法も生み出して来た。

釈迦は腐敗した政治から、イエスは侵略され疲弊した社会から、マホメッドは抗争が絶えない社会からの脱却を導いた。
彼らの言動が世界を変えた。

その後も、インドのガンジー、フランスのロベール・シューマン(注釈2)、米国のキング牧師、南アフリカのマンデラ、ソ連のショワルナゼなどが対立ではなく和解の道を求め、偉大な足跡を残した。

また世界は国連(UN)、欧州連合(EU)、気候変動枠組条約締約(COP)で協同するようになった。

この強欲な世界にあって、人々の善意と献身によって国境なき医師団、アムネスティ・インターナショナル、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)(注釈3)が平和と人権擁護の為に活動している。




< 5. Please give a donation >
< 5. 募金をお願いします >


I hope the world is peaceful.
Until now, thank you from the bottom of my heart for reading my articles.


世界が平和であることを願って終わります。
今まで、拙い連載にお付き合い下さり、心より感謝します.



注釈1.
「イスラム世界はなぜ没落したか?」2003年刊。
著者はユダヤ系で中東史の泰斗であり、ネオコンの思想を支えた。

注釈2.
彼は独仏和解を願い、EUの前身となる欧州石炭鉄鋼共同体の設立に尽力した。

注釈3.
この団体が租税回避を記したパナマ文書を解明し発表した。




Bring peace to the Middle East! 79: Why was it exhausted ? 17: What happened in Congo ? 5

中東に平和を! 79 なぜ疲弊したのか 17: コンゴで何があったのか 5




< 1. A movie of Congo Crisis  >
< 1.コンゴ動乱の映画 >


We have seen how societies were destroyed by colonization.
Today, we see what happened to the independent Congo.
There was typical mechanism of civil war there.

これまで、植民地化によって社会が如何に破壊されるかを見て来ました。
今日は、独立したコンゴに何が起こったかを見ます。
そこには典型的な争乱のメカニズムが働いていました。




*2

Independence and civil war of Congo.
The Congo had been divided and dominated by Belgium and France.
And in 1960, each became an independent nation and now is Democratic Republic of the Congo and Republic of the Congo.
And, Cabinda that an Angolan enclave of Portuguese territory, that was sandwiched between the both Congo nations, also became independent nation along with the home country in 1975.

The beginning took place at the end of the harsh colonial occupation of Belgian Congo.
Christianity had been widespread in this area, and Kimbangu Sect that be fused with an indigenous faith and Christianity had started up in the 1920s.
It prognosticated the Messianic of the Black eventually would destroy the Caucasian, so the resistance movement broadened.
This was oppressed by the government and the Kimbangu died in prison.

From the 1950s, the momentum of independence gradually rose, and Lumumba and  Kasa-Vubu began struggle severally.
Meanwhile, the Belgian government and white settlers decided to retreat from the area immediately.

But this was the beginning of the civil war.
At the time of the independence, there was no person that could be responsible for the administration as members of the government, and degree recipients were only 16 people.
Until then, Belgium had done colonial management in their home country, and did not let Africans participate in the politics at all.
In addition, the national economy was held by private companies, and one multinational company accounted for 27% of the country's national income.


コンゴの独立と動乱
コンゴはベルギーとフランスに分割支配されていた。
そして1960年、それぞれが独立し、現在のコンゴ民主共和国とコンゴ共和国に至る。
またポルトガル領のアンゴラの飛び地、両コンゴに挟まれたカビンダも、1975年に本国と共に独立した。

その始まりは、過酷なベルギー領コンゴの末期に起きた。
この地ではキリスト教が根を下ろしており、これと土着信仰を融合させたキンバンギ宗が1920年代に興った。
これは黒人の救世主がやがて白人を打ち滅ぼすとされ、抵抗運動が広がた。
これは政府によって弾圧されキンバンギは獄死した。

50年代より、徐々に独立の機運が盛り上がり、ルムンバとカサブブが別々に独立闘争を開始した。
一方、ベルギー政府と白人入植者達は、この地から即刻手を引くことを決めた。

しかし、これが動乱の始まりでした。
独立時に行政を担える人材は皆無で、学位取得者は16名しかいなかった。
それまで、ベルギーは本国で植民地管理を行い、まったくアフリカ人を政治に参加させていなかった。
国の経済は民間企業に握られており、多国籍企業一社だけで国家収入の27%に達していた。





< 3.  Documentary on Katanga >
< 3.カタンガを描いたドキュメンタリー >

Although the Congo became an independence nation by president Kasa-Vubu and prime minister Lumumba, they soon were opposed each other to take priority of which of tribe or integration.
Meanwhile, Tshombe that was supported by Belgium and international capital aiming to secure the mines, declared independence of Katanga.

Belgium intervened militarily on pretense of the suppression, and so the Lumumba requested the United Nations force, but it meant his death.
The UN forces was standing on the Western side and protected the Katanga regime, and so he approached the Soviet Union quickly.
Colonel Mobutu, who been supported by the United Nations and the United States, raised a coup d'etat and the Lumumba was killed.


カサブブを大統領、ルムンバを首相とし独立したが、部族優先か統合かで対立した。
一方、鉱山確保を狙ったベルギーと国際資本に支援されたチョンベはカタンガの独立を宣言した。

ベルギーは鎮圧を口実に軍事介入したので、ルムンバは国連軍を要請するが、これが彼の命取りとなった。
国連軍は西欧側に立ちカタンガ政権を保護したので、彼はソ連に急接近した。
そして国連と米国の支援を受けたモブツ大佐がクーデターを起こし、ルムンバは殺された。





*4

Approximately 100,000 people were killed in this Congo Crisis from 1960 to 1965.
The Mobutu became president and reigned as a dictator until 1997.
His accumulated wealth is said to be 600 billion yen, which is equivalent to the country's external debt.
He defected in the midst of other intense civil war and died in Morocco.

After that, the Congo is caught up in many wars such as civil war or war with neighboring country, due to ethnic conflicts and resource acquisition.
And each time, hundreds of thousands of people were killed, starved to death, became refugees.


この1960年から1965年のコンゴ動乱で約10万人が殺された。
モブツは大統領になり1997年まで独裁者として君臨した。
彼の蓄財は国の対外債務に等しい6000億円と言われた。
彼は、後の内戦激化の折に亡命しモロッコで死んだ。

その後も、コンゴは民族対立と資源獲得を巡り、内戦と周辺諸国との戦争に巻き込まれていく。
そして何十万単位で殺され、餓死し、難民が発生している。




< 5.  A movies on Katanga civil war  >
< 5. カタンガ内戦の映画 >


There is certain common mechanisms in this endless wars.

A. Birth of new religion: dissatisfaction toward the colonial domination created religions that had to be competitive with white man's religion (Christianity).

Christianity was regarded the same as colonial domination, and so the indigenous people asked indigenous faith, Islam or new religion for help, next it led to a massive resistance movement.

B. The atrocity by former colonial master and foreign companies: the former colonial master and foreign companies (international capital, multinational corporations) forever dominate the colony in order to secure interests.

To that end, they don't hesitate to support the puppet government, dictators, and do coup aid or military intervention.

C. Proxy War of the Cold War: the United States and the Soviet Union carried the military support and military intervention in order to collapse each other's allies.

Supercountry refuses support unless a small country belongs to the supercountry, and conversely the supercountry counts the small country as enemy when the small country asks for assistance to the other supercountry.
In particular, the United States did this not only to Congo but also Vietnam, Egypt, and Iraq, and has plunged the region into crisis.

In the next time, I end this serialization, "Bring peace to the Middle East! "



この果てしない争乱には共通のメカニズムがある

A. 新興宗教の誕生: 植民地支配への不満は、白人の宗教(キリスト教)に対抗する宗教を生み出した。

キリスト教は白人支配と一体と見なされ、先住民は土着信仰やイスラム教、新興宗教に助けを求め、これは大規模な抵抗運動につながった。

B. 宗主国と海外企業の横暴: かつての宗主国と海外企業(国際資本、多国籍企業)は、権益確保の為に、いつまでも植民地を支配する。

その為には傀儡政権や独裁者の支援、クーデター幇助、軍事介入を辞さない。

C. 代理戦争(冷戦): 米ソは互いに相手の同盟国を潰す為に、軍事支援と軍事介入を行った。

超大国は、ある国が自国の傘下に入らなけらば支援を拒否し、逆に相手国に支援を求めたら敵と見なして来た。
特に米国は、コンゴだけでなくベトナム、エジプト、イラクでもこれを行い、地域を戦乱に陥れた。


次回で、「中東に平和を!」を終了します。







20170510

Bring peace to the Middle East! 78: Why was it exhausted ? 16: What happened in Congo ? 4

中東に平和を! 78 なぜ疲弊したのか 16: コンゴで何があったのか 4




*1

Last time we saw how colonial occupation destroyed the society.
We also examined the differences between domination with each other by Western European countries and colonial rule.
This time, we see what happened to the destroyed society.


前回、植民地支配がどのよう社会を破壊するかみました。
また西欧諸国同士の支配と植民地支配の違いを検討しました。
今回は、破壊された社会に何が起きるかを見ます。





*2

What brought in the harsh control?

The one is the difference between overwhelming military power and civilization (economic power, political power, etc).

Even if indigenous people of the colony had broken a troops of the colonial master at one time, they ended up suffering a disastrous defeat.
Most of the colonies, Congo, Algeria, Egypt, etc., also caused rebellion more than once.
However, in reverse, it was usual that the colonies were severely occupied than before with this pretext.


The other one is that if the race and religion of the ruling layer are different from indigenous people, and the rule became parasitic and harsh.
The parasitic rule is to exploit people to no extent of killing indigenous people.

For example, the rulers of Egypt changed from the Ottoman empire in the 16th century to France, Muhammad Ali and Britain, and finally became independent as a kingdom (puppet) in 1922.
All of these rulers were different ethnic groups, the Ottoman Empire and Muhammad Ali  were Muslim, but they were Turkish or Albanian, and different from Arabs.
Thus Egypt was thoroughly squeezed.

Thus the colonial rule became severe.



何が過酷な支配をもたらしたのか?

一つは、圧倒的な軍事力と文明(経済力、政治力など)の差です。

植民地で、一度は先住民が宗主国の軍を破ったとしても、最後には惨敗を喫す。
ほとんどの植民地、コンゴ、アルジェリア、エジプトなども一度ならずとも反乱を起こした。
しかし、逆にこれを口実に支配を強化されるのが常です。

今一つは、支配層の人種や宗教が先住民と異なると、その支配は寄生的になり過酷になります。
寄生的な支配とは先住民を殺さない程度に搾取することです。

例えばエジプトの支配者は16世紀のオスマン帝国から、フランス、ムハンマド・アリ朝、イギリスと変わり、やっと1922年に王国(傀儡)として独立しました。
これらの支配者はすべて異民族で、オスマン帝国とムハンマド・アリ朝はイスラム教でしたが、トルコ人かアルバニア系でアラブ人と異なりました。
こうしてエジプトは徹底的に搾り取られた。

こうして植民地支配は過酷になった。




< 3.  Mercenary >
< 3.傭兵 >

What happened to this society?

A. The army was appropriated by a person in authority: the army became means of oppressing people and other tribes.

Colonial master had oppressed the inhabitants by the military to completely rule, and the puppet government also followed it.

B.  Relationship between patrons and clients: a person in authority conferred a benefit
only on his tribe in exchange for supporting for him, and further oppressed other tribes.

This is because the Indigenous people was inexperienced in governing a united nation, and the antipathy among tribes and sectaries took root in the society due to the division policy of colonization.
For example, the Syrian civil war began with antipathy due to different religious schools between Assad regime and Muslim Brotherhood, but they are having a fear that they would be killed unless killing each other.
It is especially serious as minority Assad side.

As a result, in all colonies, civil war and dictatorship continued after independence.



この社会に何が起きたのか?

A.  権力者が軍隊を私物化: 軍は国民と他部族を弾圧する手段になった。

宗主国は支配を徹底するために軍で住民を弾圧し、傀儡政権もこれを踏襲した。


B. パトロンとクライアントの関係: 権力者が支援との交換に自分の部族に恩恵を与え、さらに他部族を弾圧した。

これは先住民が統一国家の運営経験がないうえに、植民地の分断政策の影響で部族や宗派間の対立が根付いてしまったことによる。
例えば、シリア内戦は宗派の異なるアサド政権とムスリム同胞団の敵対に始まったが、互いに相手を抹殺しないと逆に殺される恐怖がある。
少数派のアサド側にとっては特に深刻です。

この結果、植民地は独立後も独裁と内戦が続くことになった。


Then the serious stagnation had began
Dictator oppresses opposed tribes, political parties and sects.
The change of government is settled by violence (tribal conflict, coup d'etat, assassination).
Dictator tries to exploit wealth by collaborating with privileged layer holding the economy,
and survive longer.
This is repeated even if dictatorships changed.

Then, the dictator and privileged layer become be afraid of the change that may threaten to their interests, made people a tool of exploitation, and the people eventually lost motivation.
In this way, the violence and exploitation continue, and the society is getting exhausted.

This appeared as Congo Crisis after independence.



そして深刻な停滞が始まった
独裁者は対立する部族や政党、宗派を弾圧する。
政権交代は暴力(部族抗争、クーデター、暗殺)で決着する。
独裁者は経済を握る特権層と結託することで富の収奪と延命を図る。
これは独裁者が替わっても繰り返される。

こうなると独裁者と特権層は権益を脅かす変革を恐れ、ただただ国民は収奪の道具にされ、ついには意欲を失ってしまう。
こうして暴力と収奪が続き、社会は疲弊するばかりなのです。

これが独立後にコンゴ動乱となって現れた。




*4 by http://ganref.jp/m/viola_brillante/portfolios


Finally
Unfortunately we don't yet find the pathway for changing from the society of " exploitative political system" to " inclusive political system" such as Japan, the United States and Europe. Annotation 1.

Still doubts remain.

"Why are all dictators fixated on exploitation?"
It should be better to increase profit by developing the economy... "

Unfortunately the dictators can not adopt this method.
The reason is that if the people's awareness is elevated by doing the productivity improvement and reformation, the interests of dictators and privileged layer will be threatened, and it is the same as the colonial policy.

For this purpose, the dictators choose to strengthen the exploitation rather than the dangerous economic development.

This continues to the next time.



最後に
このような「収奪的政治制度」の社会から、日米欧のような自由主義圏の「包括的政治制度」への転換が可能な道筋は残念ながらまだ見えていない。注釈1.

まだ疑問が残る。

「 なぜ独裁者は収奪に拘るのか?
経済を発展させて収益増大を図る方が良いはずなのに・・・」

残念ながら独裁者はこの手法を採用できないのです。
その理由は、植民地政策と同じで、国民が生産性向上や改革を行うまでに意識が高まると、独裁者や特権層の立場が脅かされるからです。

この為に独裁者は危険な経済発展よりも、収奪を強化する方を選ぶのです。


次回に続きます。



注釈1.
この二つの制度は「国家はなぜ衰退するのか 上・下」で使われています。
「収奪的政治制度」と対立する「包括的政治制度」の特徴を記します。
これは集権的な政治権力機構を持つ自由民主制の事です。
分散的であれば混乱が生じるが、独裁者でもいけない。
従って国民が選んだ権力者が法に基づいて政治と経済、軍事を統括する社会こそが国民にインセンティブ(意欲を引き出す)を与え、この結果、社会は混乱することなく自律的発展していくことになる。



参考図書
*植民地支配が社会を如何に疲弊させるかについての理論と実情に詳しい本。

「国家はなぜ衰退するのか 上・下」ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン共著。
画期的で統合的な社会理論が述べられている。
植民地問題だけではなく、世界史と現代に通じる社会の発展と衰退を分ける要因を説明している。
しかし説明全体の構成が私には合わずに読みづらかった。

「貧困、紛争、ジェンダー」戸田真紀子著。
非常に意欲的な研究、アフリカの衰退の実情を的確に分析し、かつ要領よくまとめている。

*アフリカの歴史や文化がわかる本。
「アフリカ史」山川出版社。
定評のある歴史シリーズだが、コンゴの近現代は詳しくない。

「世界の歴史 24、 アフリカの民族と社会」中央公論社。
読みやすい。

「新書アフリカ史」講談社現代新書。
上記2冊よりもコンゴの植民地支配が詳しい。

「現代アフリカの悲劇」片山正人著。
コンゴの内戦について最も詳しいが、文章に少し難がある。

「ハンドブック 現代アフリカ」明石書店。
アフリカの全体像、文化、歴史あらゆる事柄についての記述があり、読みやすい。

20170509

France, Félicitations! France, Congratulations! フランス、おめでとう! 



*1

I am honestly happy about the birth of President Macron.
Above all, this exploit was the victory of the conscience of France.
Moreover, this is also a moment that France protected a light of world peace.

マクロン大統領の誕生を心からお祝い申し上げます。
この快挙は、何よりもフランスの良心の勝利です。
さらにはフランスが世界平和の灯を守ってくれた瞬間でもあります。



*2

Now, the world is being bombarded with disasters that has been scattered by human action, people are increasing hatred and the society is deepening antipathy.
It is eroding Japan, the United States, the UK, China, the Soviet Union, and the EU.
Also in France, people that are hostile to globalization enlarging terrorism, immigrants, and inequality is increasing.

However, the French people may have kept in mind that former conflicts and divisions caused major disasters (a panic and war).
And the people stopped the rightward tilt.

France added one more glory to the honor of the world's first citizen revolution.
Congratulations from Japan in a corner of Asia.
Thank you from the bottom of my heart.


今、世界は人類自ら招いた災厄に翻弄され、憎しみを増し、対立を深めつつあります。
それは日本、アメリカ、英国、中国、ソ連、そしてEUを蝕みつつあります。
そしてフランスにもテロと移民、格差拡大などのグローバル化を敵視する人々が増大していた。

しかし、ここに来てもフランス国民は、かつての対立や分裂が大きな災厄(恐慌や戦争)を起こしたことを肝に銘じたのでしょう。
そして国民は右傾化にノーを突き付けた。

フランスは世界初の市民革命の誉れにまた一つ、栄光を加えた。
アジアの片隅の日本から、お祝いし、心から感謝します。




*3


There is only one wish.
In both Japan and the United States, there was a time when we entrusted hope for political renewal ten years ago.
However, now the back action has begun to grow.
New president and citizens should beware of it.

I am going to visit France for the next couple of weeks and I want to share this joy with you.


一つだけ、お願いがあります。
日本もアメリカも、10年前は政治刷新に希望を託した時期がありました。
しかし、今はその反動が押し寄せている。
どうか、新しい大統領も国民もくれぐれも注意してください。


尚、私はフランスをこれから2週間巡って、共に喜びを味わいと思っています。

20170507

何か変ですよ! 57: 今ある恐怖 2




*1


前回、米国で何が起きているかを見ました。
今、歴史上初めての変動と繰り返す災厄が力を増しています。
さらに、これらが世界を巻き込み、やがて大きな危機を招く可能性があります。



 
*2

はじめに
前回、指摘した米国で起きている状況を要約します。

A: 一部の金融資産家に都合の良い社会が到来しつつある。

国の富が彼らに集中し、また政府が彼らを支援することにより、益々、この状況は加速している。
一方、99%の国民は取り残され、政府への不信を高めているが、政治を変える有効な手段を持たない。

B: 不満を募らせた国民は益々煽動され易くなっている。

政治が国民の不満や不信に対処出来なくなると、国民は勢い短絡的で強権的な解決策に飛びつき始める。
扇動者はスケープゴートを強烈に訴えることで、大半の国民の心を掴むようになった。

Aの状況は、ここ30年の間に進行し、加速している。
一方、Bの状況はAによって誘発され、ここ数年で急に表面化した。

しかし、この問題は米国内に留まらず、世界を巻き込む大きな危機へと発展している。



 
< 3.ダボス会議 >

世界で何が起きているのか
私は世界が二つの段階を経て、混乱から危機に突入するように思える。

だがその説明の前に、米国で起きている事が世界とどのように関わって来たかを確認します。

ここ半世紀、米国が金融の規制緩和を牽引した結果、格差が拡大し続けている。
しかし、自由経済を標榜する国々も同時に熾烈な競争に巻き込まれ、規制緩和に突き進み、同様に格差が拡大している。

あたかも1970年代、英米を筆頭に同じ自由経済圏がスタグフレーションに巻き込まれたのと酷似している。
この時は、国民だけでなく、むしろ経済界の方が不満の声を挙げ、各国政府は対策を行ったが、今回は大きく異なる。
今の経済界や政界のエリートは現状に不満を示さず肯定的である。

それはなぜなのか?
最も明確な当時との違いは経済が拡大している中で貧富の差が拡大していることです。
この状況は富が集中するエリート(主に金融資産家と一連托生の仲間)にとっては天国だからです。

これを示す好例があります。
世界から選ばれた数千名の賢人が毎年集まるダボス会議があります。
ここでは学者やジャーナリスト、経営者、政治家などのトップが一堂に会し、議論を行っています。
しかし、ここから発信されるメッセージは概ね現状に肯定的です。
これは世界に「改革が必要ない」ことを間接的にアピールしているようなものです。

かって学者が主導したローマクラブの功績とは似て非なるものです。注釈1.
それもそのはずで、「地球上の富の85%をダボス会議の参加者が握っている」のですから。注釈2.
私は、このサロンに過ぎないエリートの集まりは「不作為の罪」を背負うことになると思う。
このような交流は必要だが富裕層やエリートに役立つだけだろう。

つまり、今起きている富が偏在するメカニズムは完全に世界を巻き込み、富の集中を享受する人々によってこのシステムは強化されつつあるのです。


 
< 4. 右傾化の背景 >

何がポイントなのか
グローバル化する世界にあって、自由経済の国が競争に晒されるのは必然です。
従って無為無策で競争を放置(自由に)すれば、経済を通じて社会に歪(失業や格差)が生じるのは当然です。

この時、国内の労働者や企業が競争力低位の産業から優位の産業にスムーズに転換出来ればその歪は少なくなるのですが、これがなかなか困難な現状です。
今、フランスや米国で起きている右傾化に賛同する農民や労働者達はこの犠牲者達です。
現在の指導者は、保護主義と自由貿易の板挟みの中で、制度的(規制など)な解決を放棄し、自己責任として労働者を自由競争の中に晒すだけなのです。
これでは世界経済の落ち込みが激しくなると、彼らの怒りは頂点に達するでしょう。
この危ない綱渡り状態が日本も含めた先進国で続いています。

自由競争を否定しませんが、違法まがいの弱肉強食により正常な競争が出来なくなっていることが問題なのです。

結局、現代のグローバル化した経済では、ほんの一握りの富裕者は益々富み、貧者は益々貧しています。
これは隠しようのない現実ですし、そうならざるを得ない経済的メカニズムが確立し、増殖中なのですから。
この歪は、今は目立たない国でも高進するのは時間の問題です。

これは主に、1980年以降の自由経済圏の大国が先導して来た政策によるものです。
この政策とは、グロ―バル化に向けた経済・金融・労働・産業に対する規制緩和、企業・金融・富裕者の活性化と称する減税、貨幣供給量と累積赤字の増大の是認、中央銀行の役割改変などです。
それに比べ、不思議なことに労働者の活性化云々の政策や保護はあまり聞かない。
この関係は複雑ですが、大きな流れは前回説明しました。
幾つかの国(ドイツや北欧など)は、危険を認識してこれらの政策採用を抑制気味だが、巻き込まれつつある。

実は、今の富裕者の減税は19世紀まで無税が一般的でしたが、20世紀になると政府が強力に累進課税や規制緩和を国民や国家の為に導入したのです。
ところが国民が浮かれ、よそ見している間に中世の社会に戻ってしまったのです。


 
*5

これから起きる悲劇とは何か
悲劇の第一段階は、B項の「煽動と右傾化」です。

もう既に起きています。
各国で差別的な言動を好む人ほど政府を信任していることからも頷けます。
これは数年前から、日本や欧米などで顕著になっています。

国民の不満が高まり、何ら改善出来ない政府への不信感が高まると強権的な解決を望む声が高まります。
そこで不満を上手く操る煽動家の出現となります。
これは歴史的に繰り返されて来たことで、必然と言えます。

今は、まだほんの始まりに過ぎない。
例えば、今回、北朝鮮の核実験やミサイル発射は何時から騒がしくなったのか。
それは米国のトランプ大統領の誕生前後からでしょう。
始めは、数匹の狂犬の遠吠えから始まったが、いつの間にか周りを巻きんで大合唱となり、ついには何処かの国の地下鉄まで止まりました。
一方の狂犬は脅しが効いたのですから喜んでいることでしょう。

実は、歴史上、戦争の始まりの多くはこのような些細ないがみ合いが嵩じて始まっています。
第二次世界大戦前の独仏の状況がその一例です。
両国は、ライン川を挟んで国土の奪い合いを繰り返していました。
フランスは先の第一次世界大戦に懲りて、ドイツの再軍備防止の為にドイツ経済を困窮させる莫大な賠償金を請求し、また賠償として炭鉱地帯を占領しました。
この手の敗戦国への仕打ちは一般によく行われることでした。

しかしこの二つの行為が、間接的にドイツ経済をどん底に突き落とし、ドイツ国民はヒトラーに不満を煽られ、軍事力で反撃することを選択するようになった。
一方、フランスはこれに対抗して右傾化して行きました。
こうしてまたも大戦が短期間のうちに再発した。

しかし私が恐れる悲劇は、これだけではありません。
私はまだ世界の良識に希望を持っており、多くの国民が直ちに戦争開始に応じることは無いように思います。

それでは何をさらに恐れるのか?



 
*6


私が想定する第二段階の悲劇
それは、右傾化とナショナリズムにより各国が交流を断ち始めることです。
つまりグローバル化と反対の方向に進むことです。
この結果、たとえ今すぐの戦争開始を逃れたとしても、最終的に世界は益々、混迷と対立を深め、ついには戦争から逃れられない状況に陥ることになるでしょう。

これは既に始まっています。
西欧国内のEU離脱運動の盛り上がりや一部首脳による挑発的で利己的な行動に顕著です。

EU離脱は、最も象徴的な例です。
EUは独仏が戦争回避を願って、大戦への反省から奪い合っていた中間地帯の鉱物資源を共有する為に始められたのですから。
EU統合の手法に問題があるにしても、EUの分裂は平和と経済に悪影響を与えることは明らかです。

さらに間違いが明確なのは、自国優先の為に各国が保護貿易に走り、世界貿易が縮小し、廻りまわって自国に不況の波がさらに大きくなって返って来たことでした。
第二次世界大戦を世界に拡大させてしまったのは、各国の保護貿易が恐慌の傷をさらに深くしてしまい、日独伊の国民が不満を募らせ扇動者の尻尾に乗ったことにある。
この手の危機の兆しはそれぞれの国内で20年ほど前からあったのですが、独裁と暴発は数年の短期間で決定的なものとなったのです。
このような悲劇を幾度も繰り返す愚は避けたいのもです。

益々、世界は経済や軍事、外交などで孤立と対立を深めていくことでしょう。
しかし、これもまだほんの始まりにすぎません。


 
*7


何が恐ろしい結末へと導くのか?
私が恐れるのは、世界の平和と繁栄に最も必要なものが反グローバル化によって破壊されることです。

皆さんは、グローバル化こそが金融資本家と多国籍企業の横暴を招き、世界の人々を不幸にしている元凶ではないかと思っているかもしれません。
今まで、私がそのように説明をして来たではないかとお叱りを受けそうです。
半分は正しいのですが、半分は問題があります。

例えて言うなら、琵琶湖周辺の人々が川に好き勝手に(自由に)汚水を流し、汚染が酷くなったので琵琶湖に流入する河川を遮断すべしと言っているようなものです。
本来は、すべての人々が汚水の排水規制を守れば済むだけのことなのです。
現在の問題は、この規制が無きに等しい為に起こっているのであり、一部の特権層による規制外しの圧力が世界を席巻していることです。


少し目先を変えて、以下の困難な問題をどう解決すれば良いか考えてみましょう。

A: 枯渇する地球の資源(鉱物、石油、水産農作物、水)の持続的な使用。
B: 北朝鮮やイスラム国(IS)などのテロ国家や組織の抑制・制圧。
C: 地球温暖化の防止。
D: 大国の横暴(軍事行動や占領、経済・金融政策)の制止。
E: 多国籍企業や金融家の横暴(タックスヘイブンやヘッジファンド)の規制と取り締まり。
F: 格差の拡大と富の集中を抑制する世界的な規制と税制。注釈3
D: 移民・難民の発生低減と保護、移住先の摩擦低減。

これらは手をこまねいている内に拡大し深刻の度を増しています。

例えば、どこかの大統領や首相のように国益を重視し、他国を敵視し、特定の大国との従属を深めるならどうなるでしょうか。
結果は明らかです。
上記7つの問題を解決するどころか、戦争へと発展する危険の方が高いでしょう。注釈4.

解決するには何が必要なのでしょうか?
それは世界の国々が等しく協力し合うことです。
解決を遠ざけるものは分裂と対立、そして大国の身勝手です。

私の連載「中東に平和を!」で紹介していますが、現在世界中で起きているテロや内紛、難民の多くはここ百数十年間の大国の身勝手に起因しています。
この因果関係と責任問題に関してまだ定説はありませんが。
また嫌われるグローバル化の汚点も、大国の庇護を受けた多国籍企業や金融家の横暴が背景にあります。
この問題が見過ごされるのは、世界が共有出来る法意識が未発達なのと、その形成を妨害する情報秘匿やデマの力が大きい為と考えます。
例えば、タックスヘイブンやヘッジファンドの横暴によって、日常的に世界の庶民は多大な害を受けているにもかかわらず、規制が無いに等しく、増加の一途です。


平和的に問題を解決する手段は、人類が生み出した民主主義を世界に取り入れる以外に道はない。
益々、地球はあらゆる危機に直面しているのですから。

残念ながら、これは非常に難しい。
半世紀前の東京裁判の折、インドのパール判事は、いつか世界が一つになり国家の不正義を裁く時代が来ることを願っていた、しかし、当時はまだ機が熟していないと判断した。注釈5.
「あなた方はいつまで惰眠を貪るのか?」とパール判事は悲しんでいることでしょう。


しかし皆さん、思い出してください!
世界や国内で格差が拡大し、国民が政府に絶望するようになった理由はどこにあったのでしょうか?

答えは先進国で1980年代から加速した富裕層の優遇策でした。
極論すると、それは規制緩和と税制変更が元凶でした。
そしてこれが自由経済圏の先進国から地球全域に蔓延していったのです。
この人間(エリート)が行った制度改悪を、人間(国民)の手でより良い制度に戻せば良いのです。

これは、各国が個々に解決出来るものではありません。
幾分はドイツやかつての日本、北欧など幾つかの国は抵抗して来ましたが、グローバル化した現在において無傷で難を逃れることは出来ない。

一番、目立たない問題ではあるが放置すると、徐々に世界の傷は深くなり、ついには良識が通用しない社会、衰退する地球になると予想されます。
これも歴史が示すところです。

残念なことに、危機を予測出来て解決策が見えても、これを世界が実行出来るかは皆さんの手中にあるとしか言えないのです。


以上で終わります。
どうもお読みいただきありがとうございました。




注釈1.
ローマクラブは当時、科学的に証拠をもって世界の地下資源が数十年後から枯渇し始めると警鐘を鳴らしました。
世界はこれに対応すべく省資源に取り組み、現在、地球の寿命が伸びています。

注釈2.
「世界一の会議」、斎藤ウィリアム著、p30より。

注釈3.
世界の貧しい下位50%(36億人)の総資産が富豪上位62人の保有資産に匹敵している。注釈2.

注釈4.
B項のテロ対策には軍事力が必要ですが、超大国に頼ることのメリットよりも、超大国の身勝手な軍事行動の方がマイナスです。

注釈5.
パール判事は当時、事後法の「平和に対する罪」で日本の戦犯を裁く事に反対しましたが、他の戦争犯罪については同意しています。
彼の意見は法律家としては正しい。
彼の意見と思いから学ぶべきは、「平和に対する罪」が裁ける世界になるべきだと言うことだと思います。