「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」
まえがき
現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!
第一章では、世界に迫っている危機を簡単に紹介します。
第二章では、人類がこれまでに危機に対してどう対処して来たかを紹介します。
対処出来ない時期の方が長かったが、やっと国が、遂には世界が対処出来るようになって来た。
第三章では、我々が直面している重大危機を説明します
残念ながら、ここ半世紀、特に21世紀になってから、世界は危機を回避する力を無くしつつあり、むしろ危機を加速させている
第四章では、世界が危機回避能力を失った主因である米国の衰退と混乱を採り上げます。
トランプ政権の乱脈ぶりがこのまま続くと、米国だけでなく世界が大きな災厄に見舞われます。
トランプ現象は米国特有の要因もあるが、本質は新自由主義経済の行き過ぎにあります。
この問題を、解決しない限り、他の国、特に日本も遅かれ早かれ、混乱に見舞われる。
第五章では、このレポートの結論です。
独裁の阻止、世界大戦の防止の為に我々は何をすべきかを問います。
第六章では、参考に、北欧の政治社会状況を説明し、資本主義の道が一つで無いことを示します。
--- 目次 ---
第1章 様々な危機
1.戦争と紛争が増えている
2.独裁が増えている
3.経済格差が酷くなっている
4.金融危機は必ず起きる
5.マネーが世界を巡り、逃げている
6.温暖化が暮らしと生命を脅かしている
7.AI産業革命が始まった
8.分断と対立が益々深刻になっている
9.世界が対立し分裂し始めている
10.最重要課題:米国の衰退が限界に達しつつある
第2章 人類は危機にどう対処したのか?
2-1 繰り返される紛争と戦争
紛争や戦争を終結させた事例
紛争や戦争を未然に防ぐ試み
まとめ
2-2 繰り返される独裁
独裁から民主主義を取り戻した例
まとめ
3-3 繰り返される経済格差の拡大と縮小
歴史上、重要な格差是正策
まとめ
2-4 繰り返される金融危機・恐慌
2-5 金融危機を招いた悪辣なマネー
金融危機対応から見える金融経済の問題
まとめ
2-6 繰り返される環境破壊と気候変動
環境を守った事例
まとめ
2-7 幾多のエポックが社会を変え、発展をもたらした
まとめ
2-8 分断と対立を非暴力で乗り越えた社会があった
2-9 国家は対立・分裂し、また融和・統合を繰り返してきた
第3章 我々が直面している危機
3-1 進む独裁 プーチン
プーチンが大統領になった経緯から彼の恐ろしさが見える
順調なロシア経済がプーチンに味方している
3-2 ウクライナ戦争
まとめ
3-3 現在の経済格差、最悪になった米国と大幅に改善された世界
米国を見ます
それでは世界全体はどうなったのか?
まとめ
3-4 これから起きる金融危機に備えて
金融危機のからくり
それでは現在はバブルなのか?
3-5 荒稼ぎし逃げ回るマネー
ここ10年間で荒稼ぎする横暴なマネー
横暴なマネーは逃げ回る
まとめ
3-6 地球温暖化を防止しなければ
温暖化を実感させる5つの事実
温暖化の原因が温室効果ガス排出である5つの証拠
温暖化が進んだ場合の10の重大被害
人類が取るべき対策
まとめ
3-7 ITとAIがもたらす新たな産業革命
簡単な歴史
IT革命が与えた影響
グローバル化とIT革命が労働に与えた影響、米国について
まとめ
AI革命の社会・経済への影響
AIの本質的に恐ろしい側面
まとめ
3-8 分断と対立の深みに喘ぐ世界
まとめ
3-9 世界は協力しなくなった
何が世界で起きているのか?
第4章 緊急に対処しなければならない危機
4-1 米国で起きている悲惨な状況
経済的な状況
社会的な状況
富裕層は一般市民に恩恵をもたらすか
著しい所得格差がもたらしたもの
4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか
経済的な側面
国民はなぜ悲惨な状況を改善できないのか?
目くらまし戦術1
目くらまし戦術2
宗教と道徳について
米国の宗教と共和党の合体
真実はどうして葬られたのか 1
真実はどうして葬られたのか 2
すがり続けた夢の果てに
基本的な考え方
4-3 手強い相手
破綻は不意に必ず訪れる
歴史は繰り返す
テクノリバタリアン(テクノファシズム)
様々な経済理論
第5章 放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか
5-1 米国は独裁国家に向かう
5-2 世界は戦争に向かう
5-3 我々は如何にすべきか
第6章 参考
6-1北欧に学ぶ
* 北欧の素晴らしさ
* 労働市場での施策とシステム
第3章 我々が直面している危機
我々は、今まさに複数の危機に晒され、さらに大きな危機が迫りつつある。それらには歴史上繰り返され来た危機や、まったく未知でありながら底知れぬ恐ろしさ含む危機もある。これらの危機の正体を見極め、我々は対処しなければ、一国の疲弊や破綻に留まらず、遂には人類と地球に大きなダメージを残すことになるかもしれない。数多くの危機の中から、最重要なものを選んだ。
3-1 進む独裁
最恐の独裁者プーチン
プーチンが大統領になった経緯から彼の恐ろしさが見える
プーチンはサンクトペテルブルクの貧しい家庭に生まれた。父は大戦時、破壊工作部隊に所属していた。プーチンは記憶力抜群で頭の回転も早かったが悪童だった。やがて彼はスパイに憧れKGBでの活躍を望むようになった。そこで彼は、KGB就職に有利なように、大学では法学部とスポーツでは柔道を選んだ。そしてKGBのリクルートを受け、就職し、同時に共産党に入党した。
彼は対外諜報部に配属され、その専門教育過程を終了後、1985年に東ドイツの都市に1990年まで派遣された。彼は堪能なドイツ語を駆使し、東ドイツの民主化の動きだけでなく、西ドイツや西欧の動きも知る事になり、祖国の遅れを痛切に感じたようだ。また彼の破壊工作好きは、この間に既に発揮されていた。これはヒトラーと同じだった。そして東西ドイツ統一を機に、サンクトペテルブルクに戻り、大学勤務となり、大学時代の恩師サプチャークと懇意になる。サプチャークは急進改革派でサンクトペテルブルク市長になった。プーチンはKGBを辞職し、91年から96年まで、サプチャークの下で、副市長になり外国企業誘致を牽引した。外国企業誘致はあまり成功しなかったが、彼と仲間のKGBは必要性を誰よりも感じていたようで、彼は精力的に取り組んだ。この事が、後のソ連国内の国有企業(地下資源や銀行)などのオリガルヒ独占を生むことになった。つまり、彼らはロシアを守る為に、海外勢に買われる前に、彼らKGBの息のかかった者で買い占る事だった。この時代、彼は数々の派手な演出、完璧にお膳立てされた労働争議の労使仲介で、メデイアに幾度も露出した。その裏で彼は得意わざを身に着けて行くことになった。このロシア第二都市であり最大級の港湾都市はKGBと地元マフィアに牛耳られていた。殺人を伴う抗争事件は日常茶飯事だった。彼は、マフィアと折り合いを付け、秘密警察・税務所を操り官僚や民間等の権力者の悪事を掴んで脅迫して、従わせる常套手段を完璧に身に着けることになった。サンクトペテルブルクは彼に牛耳られるようになり、彼は影の実力者と見做されるまでになった。プーチンの汚れ仕事の引受人プリゴジンとの付き合いはこの時代に始まった。
96年、プーチンはロシア大統領府内に抜擢され、98年大統領府第一副長官に就任し、地方行政を担当した。またKGBの後身であるロシア連邦保安庁(FSB)の長官に就任したが、これ以降、彼は実力を遺憾なく発揮し、頂点に登ることになる。エリツィンは91年に大統領になり、当時人気はあったが、経済などの失敗で人気に陰りが見えて来ていたが、その裏で家族も含め賄賂で肥え太っていた。これを検事総長がこれを暴こうとしたが、逆にプーチンは、検事総長と二人の若い女性のベッドシーンをTVに公開し、彼の追い落としに成功した。さらに首相プリマコフのエリツィン追い落としクーデターを未然に防いだ。この功績によりプーチンはエリツィンの信頼を得るようになった。、
99年、プーチンはエリツィンによって第一副首相に任命され、エリツィンは彼を自身の後継者と表明した。その後、直ちにプーチンは首相に任命された。彼はこれまで二人のトップの側近として暗躍し、選挙を経ずに頂点の手前迄上り詰めた。しかし、彼は、暗い性格もあり、国民からの人気は今一つだった。ところがこの年、彼が一躍脚光を浴びる大事件が起きた。それは300名の死者を出したロシア高層アパート連続爆破事件とそれに続く第二次チェチェン紛争でした。プーチンは記者会見において、「テロリストはどこまでも追跡する。たとえ便所に隠れていてもやつらをぶち殺す」と言い放った。彼は、爆破のテロ犯をチェチェン独立派とみなし、即刻、チェチェンを爆撃・侵攻し、民間人への残虐行為で国際社会から批判された。プーチンはチェチェン独立派を瓦解させ、親露派のカディロフが勝利し大統領になった。後に、ウクライナ侵攻に参戦した残虐な指揮官カディロフはこの大統領の次男でした。ロシア国民は、元々異教徒であるチェチェンには悪感情を抱いていたので、これでプーチンは一気に人気を高めた。そしてプーチンは、引退を宣言したエリツィンによって大統領代行に指名された。プーチンが最初に行ったのは、エリツィンとその一族のその後の生活を保障するという大統領令に署名することだった。これは、エリツィンに不逮捕・不起訴特権を与え、エリツィン一族による汚職やマネーロンダリングを追及しない事を約束したものであった。この手打ちは独裁がスムーズに移行するには欠かせない。
この数年の政治の流れは、ヒトラーが首相そして総統になる流れと酷似している。高齢のヒンデンブルグ大統領と弱り目のパーペン首相を操りながら、国会議事堂炎上事件を利用して、伸し上がって行く陰謀の政治ドラマを見るようです。
さらに上記のロシア高層アパート連続爆破事件の真相から、プーチンの本性が分かり、なぜウクライナ侵攻が起こったが見えてくる。ロシア高層アパート連続爆破事件を追って行くと、不可解な事が多く、明確な証拠が見当たらない。2002年、イギリスに亡命していた元FSBのリトビネンコは、自著のなかで、「この事件はチェチェン侵攻の口実を得ようとしていたプーチンを権力の座に押し上げるため、FSBが仕組んだ偽装テロだった」と証言している。その後、リトビネンコは2006年に何者かに放射性物質を盛られて暗殺された。英国は、放射性毒物が特殊でロシアのみが使う事などから、この暗殺はおそらくプーチンの承認によるとした。
プーチンの軍事侵攻とテロ対策の歴史は、彼を「剛腕のリーダー」として人気を不動のものにしていくことになる。
l1999年~、第二次チェチェン紛争;既に説明済み。
l2002年、モスクワ劇場占拠事件; 市民129名と犯人42名が、ロシアの治安部隊の強行突破で全員犠牲になっている。犯人はチェチェン独立派と発表された。しかし、この事件にも、ロシア側の陰謀の噂が絶えない。
l2008年、ジョージア(グルジア)紛争; 南オセチアが、ロシアからの軍事支援で分離独立を宣言したことで、ロシアがジョージアに侵攻し、それ以降、南オセチアと西部のアブハジアを占領している。これはウクライナ東部侵攻とまったく同じ手口と言える。当時から、ジョージアはウクライナで同じ事が起きると警告していた。
l2014年、クリミア併合とウクライナ東部紛争; この年に、親ロシア派大統領が、大規模なデモで、失脚・逃亡し、親欧米派政権が樹立したのを受け、ロシアは突如クリミア半島を併合し、ウクライナ東部の親ロシア派分離主義勢力を支援して実質的な戦争状態に入った。
l2015年、シリア内戦への軍事介入; アサド政権を支援するため、空爆を中心に本格的な軍事介入を行い、ロシアの影響力を中東地域で強化した。プリゴジンは、シリアだけでなくアフリカ等でもロシアの軍事覇権の伸張を担い、後にウクライナ侵攻で主要な役割を果したが、プーチンに逆らい、遂には部下諸共爆殺された。
l2022年、ウクライナ侵攻; 現在、進行中。
プーチンの警察・軍部の暴力に頼る経歴を見ていると、彼の歴史観「かつてのロシア帝国復活」による領土拡大と言うよりも、独裁存続の為の手段にしか見えない。特に、サンクトペテルブルクから現在に至る、様々な暗殺や裏での陰謀は底知れない恐ろしさがある。2020年代だけでも殺害されたのは20人はいるだろう。犠牲者は「政権批判」「汚職追及」「人権問題」「チェチェン戦争批判」「告発・取材活動」を行った人物で、死因は「銃撃」「毒殺/神経剤使用」「絞殺」「不審な転落」「獄中死」「海外亡命先での殺害」が多い。政治家、ジャーナリスト、オルガリヒが特に多い。これは彼らの社会的影響力が大きく、見せしめもあるのだろう。
プーチンの資産は20兆円に達するとされている。彼の忠実な部下のメドヴェージェフの資産は数千億円止まりらしい。これだから独裁者は辞められない。この収入は、忠実なオルガルヒや様々な企業の上納金による。ロシアの腐敗は酷く、企業等の許認可や運営には、裏金の提供無くして出来ない。逆らえば、潰されるか、殺される。選挙はかなりインチキで、総ての報道機関はプーチンに牛耳られ、プーチン賛美のニュースばかり、治安警察や諜報部門は手ぐすね引いて、反抗する者を捉え、始末する。
順調なロシア経済がプーチンに味方している
プーチンが大統領になってから、ロシア経済は急激に上昇した。それは原油価格が上昇したからでした。左上図、ロシアのGDPが赤矢印(プーチン大統領就任)以降急激に上昇している。左下図、GDPの上下と原油価格の上下がほぼ一致を示している。例えば2013年のロシアの輸出総額に占めるエネルギー製品(原油・石油製品・天然ガスなど)は71%で、輸出総額/GDPは38%だった。ロシアの連邦予算の歳入の約半分は、原油、石油製品、天然ガスの輸出によるものです。1990年代のGDPが低いのはIMFが関わった経済改革が大失敗し、かつエネルギー価格がどん底だったからでした。つまり独裁者プーチンの手腕と言うより、偶然が幸いしたのと、オリガルヒを屈服させたからでした。オリルガルヒはエリツィン時代から、元ソ連当局者(共産党やKGB)が民営化を進めていたが、やがて巨大企業になるにつれて、マスコミも支配し、政府の指示に従わなくなり、政権批判も行うようになった。そこでプーチンは2003年頃から、オリガルヒのトップを脱税などの罪で投獄し、支配下に置いた。現在も批判的なオリガルヒのトップは、年に数人は不自然な死を遂げている。中国は一応、汚職容疑の裁判の形をとっている。
またプーチンは、国内の最右翼の歴史観を取り入れ、暴発を抑える一方、共産主義時代には不遇だったロシア正教を、国民統合の支柱とみなし、支援した。その返礼に、ロシア正教の総主教はウクライナ侵攻を「聖戦」と位置づけ、プーチン大統領の統治が神の意志によるものだと讃えた。プーチンはヒトラーに負けず劣らずの手腕を発揮している。米国の共和党・トランプも同じ手法を採用している。
プーチン政権下で、国民を犠牲にし搾取し放題というわけではなく、生活向上は進んでいる。しかし、腐敗が蔓延している事と軍事優先、2014年からの長引く経済封鎖が、ロシア経済の将来を危なくしているようです。原油価格が半減でもすれば、ロシア経済は極端に悪化するだろうう。不思議なことに、トランプがホルムズ海峡閉鎖を招いたことで、プーチンは救われた。
ゴルバチョフ・エリツィン時代のどん底から、これだけ、日常生活が良くなっていると、ウクライナ侵攻を特別作戦と名付けて、地方や傭兵で徴兵している分には、死者が多くても、モスクワ等の中心部では、厭戦気分は高まらないだろう。報道規制が徹底しているので、不満は拡散されない。ましてプーチンは、ウクライナ侵攻を計画的に進めており、欧米による経済封鎖や金融制裁への準備も万全だったようで、いまだに持ちこたえている。
さらに交渉相手は扱いやすいトランプで、世界には米国嫌いと独裁国が多く、代表格の北朝鮮と中国がその筆頭になり、ロシアに味方している。やっとヨーロッパ勢が、危機感を共有し始め、ロシアに自ら対峙しようとし始めたが足並みは揃ってはいない。
まとめ
既に見て来た、プーチンの「暴力と侵攻で敵を粉砕し勝利をおさめる事で指導者としての名声を得る」手法は、非常に危険です。これはナチス時代と日本の太平洋戦争に至る軍事独裁時代の社会状況とそっくりです。当時、国民は、窮乏にあっても領土拡大、扇動で植え付けられた敵を殲滅する度に、歓声を上げ、微かな希望を頼りに生き抜いたのです。そして、自らの残虐性や人間性破壊には目をつむる事が出来た。今のロシア社会も同様でしょう。だから危険なのです。
世界が、ウクライナ側に立ち、ロシアをさらに牽制し、経済封鎖等の一層の強化で、ロシア経済を追い込むことは重要だと思う。軍事支援も行うべきです。米国は、トランプがいる限り、信頼できないでしょう。今後の事を考えると、米国頼りから脱する事は不可欠です。
ロシアが難なくウクライナを手に入れると、プーチンは次の侵略を行う可能性もあり、さらには北朝鮮、中国、イスラエル等も、力で国境を変更しようとするでしょう。これはヒトラーの領土拡大時の欧米の初期対応の間違いを思い出せば、予想できるでしょう。19世紀半ば、西欧各国が競争するように帝国主義に没入し、遂には第一次世界大戦に繋がった事も、領土の奪い合いを放置する危険性を教えてくれる。まして日本は、ロシアの隣国なので、何を優先すべきかを考えるべきです。一番危険の国は何処か? それならどの国と協力すべきかが、自ずと見えて来るはずです。
私は、日本が戦争を抑止する為の選択肢は、プーチンのロシアではなく習近平の中国にあると考える。ロシアと中国は共に独裁国で、従来の共産主義からは異なる体制です。しかしプーチンと習近平がトップに躍り出る経緯には大きな違いがありました。既に見たようにプーチンは、長期の腐敗・混乱・疲弊した社会から、秘密警察KGBとギャングの力を使ってのし上がった。一方、習近平は成長と自由化が進みつつある社会から、権威の後裔と政治手腕によって成りあがった。また両国を比べると、明らかに経済の基礎力が違う、天然ガス・石油産業の独占か自由市場と開発独占(AI・IT)か。両国が独裁国家である事には変わりはないが、ユーラシア大陸の東端で孤立状態にある日本にとって、複数の軍事大国を相手にするよりも、ロシアと中国の分断を図り、中国とは戦わない戦略を取るべきです。
3-2 ウクライナ戦争
ウクライナ侵攻の理由として、ロシアは、NATO拡大による安全保障上の脅威、2014年以降のウクライナ政権は「非合法」、ロシア語話者の保護、「非ナチ化」をあげる。一方、欧州は、侵略戦争であり国際法違反、プーチンの帝国主義をあげている。ウクライナは、NATO加盟は防衛のためと説明している。トランプは、バイデンの失敗と罵っている。他に、愚にも付かない説が飛び交っているが、私は、主にプーチンの行動パータンから、この戦争はプーチンの野望を果たす一環だと考える。これまでの欧米とロシアのやり取りからも、特に欧米やNATOに非があるようには思えない。
元ウクライナ特命全権大使の角茂樹氏の2025年朝日講座での意見の一部を紹介します。
『ウクライナは欧州最大級の国土を持ち、人口は4千万人。肥沃な穀倉地帯と工業地帯を抱え、首都キーウは千年の歴史を持つ古都です。ロシアの影響を受けたのは近世以降で、それ以前はむしろ西欧文化に近い歴史を歩んで来ました。言語もロシア語とは大きく異なり、ポーランド語に近いです。第一次世界大戦後に独立を宣言したものの、ソ連に組み込まれ、農産物の強制徴発と大飢饉を経験しました。1991年に独立を果しますが、プーチンはウクライナこそがソ連崩壊の引き金であると考えました。こうした状況にあってウクライナは、NATO志向を強め、国民的合意に近い形で西側との結びつきを選びました。これを阻止しようと始められたのが今回の侵略です。しかしプーチンの誤算は、ウクライナ国民の強い意志でした。「ロシアの支配には戻らない」という決意が、徹底抗戦へとつながりました。私自身4年半ウクライナに駐在しましたが、人々の誇りや自立心を肌で感じていました。緊張は高まっていましたが、まさかこれほどの暴挙に出るとは、多くの国と同じく私も予想していませんでした。戦争はしばしば非合理に始まり、リーダーの誤った期待が惨禍を招きます。その中でゼレンスキー大統領が首都に踏みとどまったことは国民に大いに勇気づけ、NATOやG7の支援を呼び込む結果になりました。』
この発言が最も真実に近いと思います。よくウクライナの腐敗が酷いから、トップも含めて信用できないと、ロシアやトランプよりのウクライナ犯人説をあげる人がいる。ウクライナは長年、腐敗したロシアに組み込まれており、ましてプーチンが隣国を手に入れる為に、上層部を腐敗させようと試みるのは必然で、腐敗が存在するのは不思議ではない。
この戦争で注意すべき点がもう一つあり、トランプの存在です。トランプはプーチンと繋がっており、またウクライナを利用することしか眼中にない。
著書「プーチン ロシアを乗っ取ったKGBたち 下」より、以下に引用抜粋します。
『トランプは90年代初めに自己破産に直面していたが、ウォール街の銀行は、リスクを嫌って貸そうとしなかった。しかし突如ドイツ銀行が40億ドル以上を貸した。このドイツ銀行は、モスクワ支店を通じて90年代からプーチンの仲間と深い繫がりがあった。その後も、プーチンはトランプを陰で支援し続けた。モスクワのトランプタワー建設が分かり易い例です。彼はトランプを大統領という最強の手駒として育てようとしたようだ。トランプもそれを知って利用している節がある。独裁者は金でなびく独裁者が扱いやすいからです。
また元ニューヨーク市長でトランプの顧問弁護士のジュリアーニに多額の献金していたビジネスマンがいた(浪費壁のあるジュリアーニは金に困っていた)。彼はプーチンと裏で繋がっていた。彼は、ジュリアーニにウクライナの腐敗疑惑を調査するように薦め、ジュリアーニはバイデンのスキャンダルをウクライナで積極的に探した。そして、2019年、トランプはウクライナのゼレンスキー大統領に、ジュリアーニに会うように指示し、断れば軍事援助を停止すると脅した。ウクライナ駐在アメリカ公使はこれに怒り、トランプの弾劾調査へと進展した(後に取下げられた)。さらに続いて、外国人の献金で逮捕(米国)されたソ連生まれの二人のビジネスマンがいた。彼らはジュリアーニと親交があり、バイデンの息子が務めていたウクライナの会社の汚職疑惑の情報を持つ人物をジュリアーニに紹介した。さらにジュリアーニは「ウクライナは2016年に民主党と協力して、クレムリンとトランプが選挙戦で共謀したという主張」を煽り、プーチンの選挙戦妨害の信憑性を貶める事を目論み、トランプが広めている説を増幅出来るなら、何でもいいから手にいれようとした。』
要約すれば、一枚上手のプーチンが計画的に罠を張り巡らし、米国世論を操り、これを知りながら便乗して利を得ている人々が米国のトップで安穏としている。ミイラ取りがミイラになり、世界が朽ち果てなければよいのだが。
まとめ
ウクライナ戦争が危険なのは、ロシアの極右勢力の思想「大ロシア帝国の復活と、西欧リベラリズム(自由主義)への徹底的な宣戦布告」があって、プーチンはこれを取り入れることで権力基盤をより強固にしているからです。つまりプーチンは、少なくとも大ロシア帝国の復活までは戦線を拡大せざるを得ない。ところが戦争とは、途中で簡単に止めることが出来ず、往々にして戦域は類焼するように広がるものです。したがってウクライナには酷だが、類焼する前に、ロシアを休戦に追い込む必要があるのです。そのために、世界はウクライナを支援すべきです。これにより、北朝鮮や中国による他国への侵略を思いとどまらせることになる。日独伊の軍事独裁国の侵略を初期に傍観した代償は、あまりにも甚大でした。
3-3 現在の経済格差、最悪になった米国と大幅に改善された世界
米国を見ます
米国は先進国中、経済格差最悪を更新中です。これは米国が新自由主義を最も信奉し牽引して来たからで、今後も止むことは無いでしょう。米国は、産業・経済・軍事・外交で世界を牽引しているが、政治と社会の内実は悲惨です。
経済格差: 上のグラフは所得層を5段階に分けて見ている。左軸は年間世帯所得US$、右軸は年です。最低と次の年収層(青と緑、全体の40%)は50年近く所得がほとんど伸びず、人口の80%(青から赤の4本)ですら、米国経済成長の恩恵をあまり受けず、上位5%の高年収層(紫)とは対照的です。2008年のリーマンショックで少し下落しているが、すぐ爆上がりします。上位1%の資産保有者による国内総資産の保有割合は、1989年の22.8%から2025年の31%に上昇。これに比べて、下位50%の保有割合は、1989年の3.5%から2024年には2.8%にまで減少した。
貧困: 左のグラフにおいて、1981年のレーガン政権から貧困人口が急上昇し、定着している。93年からの低下はクリントン政権時代に呼応する。
世界幸福度ランキング: 最も古い2013年で米国は17位でしたが、2025年には過去最低の24位に落ちた。幸福度はまだ世界で高い方ですが、低下傾向にある。政府の信頼性も米国はOECDの平均よりも低く、30位前後に低迷している。
自殺率: 2000年の年齢調整済み自殺率は人口10万人あたり10.4人でしたが、2018年には14.2人まで上昇した(35.2%増)。特に高齢男性や若年層での増加が顕著で、富裕国の中でも高い。ちなみに自殺率が高い日本は、2024年で16.3人でした。
米国の状況はかなり悪くなってしまった。だからポピュリズムが沸き立つようになった。
それでは世界全体はどうなっているのか?
国際分業による生産性向上・価格低下が起こった。これは新興国(中国・ASEAN等)の急速な輸出産業の拡大と工業化を生み、その結果、世界全体の貧困人口が大幅に減少した。例えば、世界の極度の貧困率(1日2.15ドル未満で生活者/全人口の割合)は1970年の約60% から2020年代には約9%へと大幅に低下した。また我々消費者にとって安価で多様な商品への選択肢拡大は日々の暮らしを豊かなものしてくれている。
これは世界の貿易額/GDP比率が1970年の27%から2008年の61%への急上昇に現れている。これに伴って技術・資本・知識・人材の国境移動が加速した。
左図は、「大不平等」の著者ブランコ・ミラノヴィッチが2022年12月に発表したエレファント・チャ-ト追加版です。縦軸は年間所得増加率%、横線は世界の100分位毎の所得階層を示す。青線は1988-2008年における世界の所得階層別の年間所得増加率です。Cはトップ1%の富裕層の増加率が5%より少なく、Aは中国など発展途上国(世界の中位層)の増加率が5%を越えている事を示す。A層の所得は20年間で100%以上も増加している。その一方、Bの富裕国(欧米日)の下位中流層は20年間、まったく増加していない。今回、追加されたオレンジ線は、それ以降2008-18年の10年間の年間所得増加率を示す。これを見ると、驚くべきことに、低所得ほど増加率が著しいことが歴然としている。逆に超富裕層の増加率が減っている。この10年間で世界の最下層は70%も所得を増やし、富裕国では40~15%の増加に留まった。しかし、これをもって、世界が豊かになって、格差が縮小し始めたとは言えない。例えば最富裕国である米国は2007年のリーマンショック(金融危機)後、鉱工業生産額が一度20%近く減り、また同じまで戻るのに6年弱もかかった。つまりこの10年間は富裕国にとっては国民所得と資産を大きく減らした時期と重なっている。一方、発展途上国は、金融危機の影響が大きくなく、経済成長率が半減したに過ぎなかった。重要な事は、グローバリズムは発展途上国などの経済力を高め、国民所得を急速に上昇させたが、一方で、先進国の中間層以下の所得の伸びを低下させたことです。
左図は、世界経済の推移を示している。黒線は世界経済(GDP)が1980年半ばから伸びだし、2000年代からさらに急成長していることを示している。また紫線は、新興・途上国の経済シェアが20から40%へと拡大していることを示している。経済背長は先進国よりも新興・途上国の遥かに高いのです。
世界全体で経済格差縮小と豊かさが訪れた原因のすべてが、グローバリズムのお陰とは言えないが、欠かせないものだった。
左図の世界GDPに占める世界貿易シェアが約25%から60%へと拡大し、グローバリズムの影響の大きさが伺える。一方でグローバリズムの負の側面が強調されるようになった。その一つが、エレファント・チャ-トのBとC層の関係です。これは米国を考えれば分かり易い。米国では資産が30~60兆円の超富者が生まれた反面、多くの人は30年ほど所得は横這いに近かった。さらに社会保障の減額もあり、多くの人にとって、この30年は不遇の時代であり、不満は著しく高まった。人々は、米国から製造工場が発展途上国に移ったことが原因と考えるようになった。これをもってグローバリズムが悪玉とされるようになり、さらに移民も同様に悪玉に見られるようになった。
まとめ
二つのことが明確になった。一つは先進国(特に新自由主義を1980年代から積極的に取り入れた国々で、代表は日英米)で格差が急拡大した。一方、世界全体は豊かになった。ここで注意が必要なのは、米国などの国内の経済格差を起こしている真の原因は何かと言う事と、米国民はそれを誤解せずに知っているかと言う事です。
結論から言うと、真の原因は、本質的には新自由主義政策です。理屈はともかく、レーガンとサッチャー政権以降に、米英の格差が拡大傾向になっていることは明らかです。
幾つかの悪化の原因について要約:米国を念頭に
A 国内の産業空洞化; 大戦後、多くの製造業が海外に移転するようになりました。しかし、世界の経済発展は国内にあらたな産業を生み出し、米国も含めて総就業人口は増え続け、失業率も長期的に低下傾向にある。
B IT革命; 1990年代中頃から始まったこの影響で、事務職等で失業が発生したが、これまた新しい職業が増え、全体として、総就業人口の低下はなかった。しかしグローバル化とIT革命の相互作用により、賃金は二極化し、賃金格差は広がった。このことは第3章第7項「グローバル化とIT革命が労働に与えた影響、米国について」で詳しく説明します。
C 自由化と規制撤廃; 80年以降の金融市場拡大と多くの規制撤廃は、一人勝ちを生み出し、富が富を生むようになった。この現象は複雑だが、例えば80年代の全企業の利益に占める金融セクターの利益は10~15%でしたが、2000年代半ばにはこれが40%に達し、現在は20~25%で推移している。金融セクターのGDPに占めるシェアは7%前後に過ぎない。金融資産残高で見ると、80年代はGDPの4.5倍だったが、現在はGDPの10倍に迫る。つまり金融資産で投資を繰り返すことが出来る人は幾何級数的に富を増やせる。所詮、金融資産は国がいくらでも発行出来る貨幣(価値)に過ぎないが、これに便乗できる者は濡れ手に泡である。
D 福祉と労働政策の後退; 80年代以降に国民を苦しめる施策が始まった。累進課税の縮小、企業や富裕層への優遇措置、タックスヘイブンへの資金や税金の海外逃避がより富裕者を富ませ、税収が大幅に減少し福祉予算に廻せる余裕は無くなった。また労働組合の弱体化は賃金上昇を阻んだ。失業と転職対策の不備は、グローバル化とIT革命に対応できない労働者を苦境に追い込んだ。また福祉政策の交代は、差別されている人々や失業した家庭が再起する機会を奪った。これらは低所得者に厳しい施策です。現実にアメリカンドリームが廃れていっているのが確認されている。
E 移民労働者; 移民労働者が80年代から2020年半ばまでに5000万人が米国に流入し、総人口比は14.5%になり、増加傾向にある。これが経済に与える影響は概ねプラスです。労働力と消費、さらに納税が増え、経済は上昇し、財政赤字が減る。また高齢化を是正する事にもなる。しかし不安材料もある。一部の低技能作業で仕事の奪い合いになり賃金低下が起こり、また地方自治体の公共サービスや行政費が上がる可能性があるが短期的な影響に留まるとされている(移民の子供が税を負担する)。経済全体にはプラスが多いのだが、ここでも企業が、労働移民を不法就労だとして安く使い、利益を得る構図があり、偏った社会になっている。
これら5つの要因が、米国の格差拡大を生み出している。一言でいうと、金持ちはより金持ちになり、弱者と貧しい者は取り残される社会を政治が作り出したといえる。一番分かり易いのは、産業構造が変化するのなら失業者は当然生まれる、そこで転職と教育で労働者を援助すれば、これほど大きな問題にはならなかった。北欧はこの問題を解決してきたからこそ、幸福度と一人当たりGDPを共に勝ち得ているのです。少なくともグローバル化だけが悪いのでは無い。移民問題も同様に、経済や格差に大きな影響を与えていない。問題の本質は、多くの米国民が真実から眼を逸らされていることにある。詳しくは第4章でみます。
3-4 これから起きる金融危機に備えて
米国の株価は絶好調です。もし、あなたが1993年にS&P500を買っていれば2026現在の評価額は18倍になっている。配当金を含めると32倍で、年利11%にもなる。これでは投資しない方が愚かに思え、今すぐにも投資に参加したくなる。ところが富裕層以外にとっては、困難な問題が付き纏う。
普通、年金や保険の資金は債権や株式で運用され、その内、何割かは株式です。従って、株での運用は必定であり、下落は大迷惑です。しかし株は乱高下し、世界大恐慌で89%、ITバブルで83%、リーマンショックで57%下落した。つまり、高値で買うと1/10~1/2に資産を減らす。何時が良い買い時なのか? 上のグラフを見るとまだ上昇しそうですが、左のグラフを見ると、うかつに手を出すのは怖くなる。基本は余裕資金での長期運用です。
しかし金融危機の怖さは、株による損だけでは無い、中間層以下が長期に渡り困窮する羽目になることです。リーマンショック時、米国で起きたこと。8兆ドルの家計資産が消滅、600万件の住宅差し押さえ、800万人の失業(失業率は10%)、数百万人が医療保険を失い、自殺者は5千人増えた。米国で無保険は病院に行けず、場合によっては死の宣告に等しい。
ところが、富裕層にとってはバブル崩壊後の景色は異なるのです。左のグラフは米国の所得階層毎の所得の推移を示しています。2000年のITバブル後に注目します。上位トップ1%は飛び切り増やし、上位10~20%も増やしています。下位80%では所得が戻るか、低い層ほどさらに減り、30年ほどで、ダラダラ下がり続けている。
政府は金融産業の規制を避け、投機が旺盛になり、バブル崩壊が続く為に、格差が拡大している一面もあるのです。バブル崩壊時に、富裕層が素早く所得を挽回出来る大きな理由は、政府が大企業を潰さないために、リーマンショックでは救済金100兆円程をつぎ込み、景気回復に巨額資金を金融企業等に重点的に注入するためです。
こうして米国は群を抜いて、経済格差が大きいのです。つまり、格差は人為的なものです。同じ資本主義ながら、経済システムを適正に行えている北欧で格差が少ないのは当然なのです。如何に金融危機が恐ろしいかが分かっていただけたでしょうか。
金融危機のからくり
現在、バブル崩壊のメカニズムはまだ解明されていないし、まして何時起きるかを予測する事は不可能です。ただ何が原因らしいかは凡そ分かって来ている。
「このグラフ、実線は米国の民間債務/GDP、破線は債務/GDPの3年間変化、薄い縦帯は景気後退期を示す。1947~2026年」
これから分かることは、2008年リーマンショック時の債務率が最も高く、急激に上昇していたことによるらしいということです。2020年コロナ危機でも同様で、株価下落率36%でした。バブル崩壊は、一国の民間債務総額(政府債務を除く)が増えるか、急激に増えた時に起きそうだ。解けない謎は、何が切っ掛けになるかです。リーマンショックは、サブプライムローン(住宅ローン)が摩訶不思議な証券に化けて販売され、住宅の高騰が続く中で大量に買われ、後にまったく返済が不可能な紙屑だと分かったことで破綻した。さらに追い打ちをかけたのが、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)で、銀行同志の倒産時の補償になると販売され、当時の市場は60兆ドル(当時7000兆円)にも膨らんでいた、投機サイドには安心材料になったからです。当然、連鎖倒産する中で、補償はできなかった。当時、破綻するまで圧倒的多数の人々は、好景気が続いているだけと思っていた。私もですが。後で、振り返ると、馬鹿みたいな話が多い。
それでは現在はバブルなのか?
答えるのは難しい。上記のグラフから言うと2026年現在の民間債務は、リーマンショックに比べ危険水位にあるようには見えない。これは前回の規制が効いているからかもしれない。しかし、幾つか不安材料がある。
「このグラフ、青線は米国の民間債務/GDP、オレンジ線は外国人保有米国株/GDP、赤線はS&P500/GDPを示す。1995~2026年」
これからわかることは、現在の株高は、従来の民間債務増加では無く、海外(外国人)からの株投資が大きく寄与している事が分かる。青線とオレンジ線と加えるとリーマンショックを越える金額になる。海外からの投資資金は株が下がり始めると、すぐさま逃避を始めるかもしれない。そして米国株売却によるドル売りでドル安が進むので、さらなる資産の目減りを恐れて、いっきに株売却が進み暴落が起きるかもしれない。ここで重要なポイントがある。それは海外からの株購入資金の内実です。
海外勢の株購入資金調達の三つのパターン
A 現金で株を購入しているなら、急激に売り急ぐ可能性は少ない。新NISA等。
B 機関投資家、一部のFX・信用取引を行う個人が借金をする場合なら逃げやすい。
C 金利が低い通貨で資金を調達(借入)し、その資金を金利が高い通貨や資産に換えて投資しする場合(キャリートレード)。借金の一形態ですがヘッジファンドがよくやっており危険が倍化します。
三つのパターンで、バブル崩壊に最も危険のはC、次いでBです。米国の金融危機を察知し、金融政策を実施するのはFRBですが、海外の資金集めの手段まで目が届くはずがありません。ましてやリーマンショック時には海外からの投資額は現在の約1/4と少なかったのです。現在、海外から株式購入以上に米国債権も買われています。今回は、以前とかなり状況が異なるのです。
もう一つの懸念は、リーマンショック時に新しい金融商品がトラブルを招いたが、今回も、実績期間が短いPrivate Credit(緑線)が相当数販売されていることです。何時もの来た道を歩んでいるように思えるのですが。さらに悪いのは、トランプが株価上昇を狙い、FRBに「金融引き締め」をしないように圧力を掛け続けています。これは機会を逸することになり、バブルを大きくする可能性が高い。
状況は悪いと考えます。揮発性ガスが部屋に充満している状況かもしれません。
3-5 荒稼ぎし逃げ回るマネー
ここ10年間で荒稼ぎする横暴なマネー
2006年、米国のヘッジファンドAmaranthが、天然ガス先物取引の失敗により約60億ドル(約7,000億円)もの巨額の損失を出して破綻しました。同ファンドは、天然ガス価格が冬に値上がりすることを見越して大量に買い保有しました。同ファンドの運用資産の65%を注ぎ込みました。2005年は大型ハリケーン「カトリーナ」の影響で天然ガス価格が暴騰し巨額の利益を上げたが、2006年は予想に反して暖冬傾向となり、ガス在庫が積み上がったことで天然ガス価格が急落した。しかし損切が出来なかった。同ファンドの天然ガス先物市場のシェアは数割にのぼり、買い手が少なく無理して売れば、さらに暴落するのは確実でした。こうして同ファンドは最大級の規模で破綻した。
2010年のフラッシュ・クラッシュ(株価の短時間の急落回復)では、超高速取引(HFT)を使った異常アルゴリズムの連鎖によりわずか36分間で約1兆ドル(約150兆円)の時価総額が消失した。当初は、光ファイバー回線や専用アルゴリズムを駆使し、一般投資家や年金基金が注文を出した「その1万分の1秒前」に注文を察知し、先回りして株を買い、数銭でも高く買い手に売りつける高頻度取引が行われた。現在はその速度は10億分の1秒に達しているが、透明性を持って行われ、全取引の約60%がこの手法で行われている。また予測シミレーションを行うためのAI導入が加速している。
2021年、GameStop事件、歴史的な株価暴騰劇が起きた。発端はヘッジファンドが、業績不振の会社GameStopの株価が下落すると予測し、猛烈な空売りを仕掛けた。個人投資家たちは、この「過剰な空売り状態」に目をつけ、ネット掲示板で団結して一斉に株を買いました。株価が予想に反して急騰したため、同ファンドは損失を抑えるために「買い戻し(損切り)」を迫られ、この買い戻しがさらに株価を押し上げる連鎖が起き、株価は一時、数週間で数十倍にまで跳ね上がりました(ショートスクイーズ現象)。同ファンドらは数十億ドルの損失を出し、後に閉鎖になった。この事件は、投資家が企業価値とかけ離れて株価を操り、利益を得ている好例であり、また個人投資家がSNSにより集団で市場を動かした事例となった。
( 空売りの仕組み:① 株価が1株=10,000円のとき、証券会社から1株を借りて市場で売ります。手元に10,000円の現金が残ります。② 予想通り株価が1株=2,000円に値下がりしました。③ 市場で2,000円で株を買い、借りた先へ1株を返却します。 その結果、10,000円で売って2,000円で買い戻したため、差額の8,000円が利益になる。証券会社はこれで手数料をもらい、主要な儲け一つになる。)
2021年、ヘッジファンドArchegosが崩壊し、世界の主要金融機関に総額100億ドル(約1兆円以上)を超える巨額の損失を与えた。その仕組みは、金融機関(証券会社や投資銀行)が代わりに株を購入し、同ファンドはその株の値上がり益や配当を受け取る代わりに、金利を支払う契約「トータル・リターン・スワップ(TRS)」でした。同ファンドは複数の金融機関と個別にTRS契約し、同じ銘柄に、自己資金を何倍にも膨らませ投資した(過大レバレッジ)。こうして同ファンドの資産約15億ドル、エクスポージャー(株価総額)約100億ドルから、1か月以内に、約360億ドル、約1600億ドルに一機に膨張した。しかし突如、集中投資していた株が急落し、金融機関は追加の担保を同ファンドに求めたが、これが出来ずに破綻した。この問題は、同ファンドが個人資産を運用する会社であり、株の大量保有の情報開示義務を回避出来た事です。金融取引で莫大な富を得ることが出来る一方、危険な行為が蔓延ることが問題です。毎回、新たな金融商品、規制を回避する手段が生まれ、大損害が発生する度に、後追いで規制や管理体制の構築に向かうことになる。
2022年、暗号資産Terra/LUNA が崩壊し、数日間で約400億ドル(約6兆円)の時価総額が一瞬にして消失し、次いで暗号資産市場全体で4500億ドルが吹き飛んだ。この二つの暗号資産は互いに補完し信用を得るようになっていた。Terraはドルとの連動と年利20%をうたい、多額の資金が流入していたが、危険を察知した大口投資家が大量売却に出た。するとTerraを保障するLUNAの暗号資産プログラムは、買い支える為に、無限に自動発行し続け、結局大暴落した。これは、元々ドルとの交換も年利20%も不可能なシステムであって、詐欺行為でした。問題は、このような詐欺まがいの金融商品が、次から次と生まれては、儲ける人と損する人が群がることです。
横暴なマネーは逃げ回る
これまで横暴なマネーを見てきたが、膨れ上がったマネーを富裕層や企業がタックス・ヘイブン(オフショア、租税回避地)に隠す状況を見ます。試算で異なるが、タックス・ヘイブンに隠された世界の富は約13兆ドル、世界GDPの約12.5%になり、税金逃れは毎年約5000億ドル(74兆円)に上ると見られている。
税逃れ手段には大きく二つあり、一つはGAFAの合法節税が良く知られている。米国の巨大IT企業(アップル、グーグル等)がアイルランド、オランダ、バミューダ諸島など複数の国の子会社間に特許使用料を付け回し、海外利益の法人税率を実質1%未満にまで押し下げたスキーム。法改正で塞がれるまで10年以上使われました。アップル1社だけで海外に積み立てた未課税現金は2,500億ドル(約37.5兆円)。国境を越える利益移転により、世界全体で毎年2,000億ドル(約30兆円)以上の税収が失われたと試算されている。少しは改善されつつあるのですが、まだまだです。
もう一つは、内部告発や調査により、2014年からルクセンブルク文書、パナマ文書、パラダイス文書、パンドラ文書等が流出したことで、租税回避の巧妙な手口が明らかにされた。要約すると、先ずタックス・ヘイブンにペーパーカンパニーを設立し、会社→信託→財団→別会社→別銀行……という構造を作って、誰が本当の所有者なのか分からなくし、税逃れをしていた。これは違法ですが、見つけるのが困難なので、手が打てない。一つの回避地、パナマではペーパーカンパニーが21万社あり、世界200以上の国から、企業だけでなく政治家、有名人が名を連ねていた。またルクセンブルクの場合は、秘密裏に税務当局が大企業と、税率をほぼゼロにする事前税務取り決めを行っていた。国家レベルで合法的?に「選別的な低税率」を行っていた。ルクセンブルグが豊かなのは税を優遇しヨーロッパの富裕層を呼び込んでいるからです。
これらには三つの問題があり、企業を呼び込むために税の免除や低減を行う国々や地域の存在、多国籍企業に課税する世界的なネットワークが未整備、この規制を阻害し続けている米国がある。ヨーロッパがタックス・ヘイブン対策に乗り出そうとしても、世界の金融と経済の中心である米国の協力が得られないと効力は激減します。米国内の州にも同様の問題があります。北部はかつて多くの産業で栄えていましたが、南部各州が法人税や固定資産税等を無料にすることで、産業や企業を呼び込み、北部の重化学工業が廃れる一端になった。しかし南部では産業の誘致により就業者は増加したが、公害が広がり、少ない税収の為、公害対策や公共財の拡充が進まず、住民にとって貧しい州であり続けている。北部は、高付加価値産業への転換を図った。今の米国のグローバル化対処の失敗を象徴しているように思える。
まとめ
マネーの暴走を看過するのは間違いです。株価は、年金を増やしてくれる重要な手段ですが、金融商品の自由放任は様々な問題、金融危機と格差拡大を生み、また実業軽視(工業製品の開発や設備投資)を生み、優秀な開発者・技術者の育成を阻害します。これは現在、米国の軍需産業でも表面化していますし、例え関税で製造業の国内回帰を狙っても人材不足になる。これまで様々な経済・産業の分析をして来たが、米国(保守・共和党)が80年代から行って来た新自由主義的な政策は、すべて大半の国民にとっては悪手でした。
3-6 地球温暖化を防止しなければ
人類が最悪の状況になるとしたら、独裁者が始めた核戦争か地球温暖化によると予想します。差し迫っている地球温暖化の脅威、その論拠とデマ、そして損害の巨大さと急がれる解決について説明します。
温暖化を実感させる5つの事実
* 過去11年間が観測史上最も暑い11年
2025年の世界平均気温は、1850~1900年平均より約1.43℃高い水準でした。さらに海洋の熱量も2025年に観測史上最高となっています。
* 2024年の地球平均気温は産業革命前より約1.5°C高い
世界気象機関によれば、2005~2025年の20年間、海洋は毎年、人類が年間に使うエネルギー量の約18倍に相当する熱を吸収しました。地球全体が巨大な熱の蓄積体になっている。
* 氷河・海氷・海面が実際に変化している
世界平均海面は、衛星観測が始まった1993年以降で約11cm上昇しています。気候変動に関する政府間パネルIPCCは、2100年までの海面上昇を、低い方で約28~55cm、高い方で約63~101cmと予想しています。左写真はスバールバル諸島の氷河の写真で、氷河が数キロほど後退し、景観はまったく変わってしまった。
* 異常気象が世界各地で頻発している
猛暑、豪雨、干ばつ、山火事、海洋熱波、サンゴの白化が増加・深刻化している。温暖化が進むと、地球の気流や海流に変化が起こり、各地に乾燥・湿潤の極端な変化が生じる為に、異常気象が起こる。世界のサンゴ礁はこの70年間で50%以上喪失し、今後20年間で70~90%が消滅するとされている。当然、魚類も死滅します。
* 温暖化の被害は既に世界を脅かしている
干ばつや水害、気候の変化により、コーヒーや小麦など身近な農作物の収穫量減少や品質低下がすでに始まっています。IPCCによれば、現在すでに33~36億人が気候変動に対して非常に脆弱な環境で暮らしています。このまま温暖化が進むと米国中西部のトウモロコシの生産量が最大40%低下する恐れがあると予測されています。
温暖化の原因が温室効果ガス排出である5つの証拠
温室効果ガス(CO₂・CH₄)が地球を覆う「毛布」となり熱を閉じ込めることは理論的・実験的に確認されている。
* CO₂が急激に増えている
産業革命以降、大気中のCO₂濃度は約280ppmから420ppm超へ急増。少なくとも過去80万年間で極めて高い水準です。この増加は化石燃料の燃焼によるもので、同様のペースで気温が上昇しています。
* CO₂は人類が排出した
大気中のCO₂増加分の炭素同位体比を分析すると、化石燃料由来であることが明確に示されています。
* 気候モデルの一致
自然要因(太陽活動、火山活動など)のみを考慮した気候モデルでは、1970年代以降の気温上昇を再現できません。人間活動による温室効果ガスを加えたモデルだけが、観測データと一致します。
* 放射力の衛星観測
CO₂などの温室効果ガスが増えることで、地球から宇宙へ逃げる熱放射が減少していることが直接観測されています。
IPCC第6次評価報告書(2021)では、1850〜1900年を基準とした2010〜2019年の温暖化(約1.1℃)のうち、人間活動による分は中心値で約1.07℃と推定されています。
* 自然現象(太陽活動・気候周期)は温暖化を起こしていない
1800年代以降の急激な気温上昇は自然変動では説明できない。太陽放射エネルギーに変化はなく、むしろ成層圏は逆に冷え込んでいるので、現在の急激な上昇幅を説明できない。今は過去2000年で最速の気温上昇ペースで、自然要因(火山・太陽黒点)ではむしろ近年は寒冷化方向の影響が多い(複数の国連科学報告の総合評価)。気候モデルで「人為起源の温室効果ガス」を除くと現在の気温上昇は再現できない(IPCCの主要結論)。
温暖化が進んだ場合の10の重大被害
* 海面上昇による沿岸都市の浸水(東京湾・上海・ニューヨークなど) → 年間数千億〜数兆ドル規模の資産損失
* 巨大台風・豪雨の増加によるインフラ破壊 → 年間数千億ドル
* 干ばつによる農業崩壊・食料価格の高騰 → 世界農業損失:年間数千億ドル
* 熱波による死亡増加(特に高齢者)→ 医療費・労働損失:数千億ドル
* 水不足による紛争・移民の増加 → 社会的コスト:数千億〜兆ドル
* 森林火災の増加(カリフォルニア・豪州など)→ 年間数千億ドル
* 生態系崩壊(サンゴ礁消失・生物多様性喪失)→ 観光・漁業損失:数千億ドル
* 感染症の拡大(蚊媒介疾患など)→ 医療・経済損失:数千億ドル
* 海洋酸性化による漁業崩壊 → 年間数千億ドル
* 世界金融市場の不安定化(資産価値の急落) → 数兆ドル規模の損失
被害額は温暖化の上昇温度によって異なります。ある2024年の研究では、3℃の温暖化で世界GDPが約10%低下すると推計しています。世界のGDPが110兆ドルとすると毎年11兆ドル規模(1700兆円)になります。現在の状況が続いた場合、2050年に世界GDPが最大14%、減少すると推計している組織もあります。
人類が取るべき対策
排出削減 化石燃料の段階的廃止(石炭→石油→ガス)、再生可能エネルギーの大規模導入(太陽光・風力・水力)、2010年以降、太陽光コスト90%低下、風力70%低下、建物・産業の省エネ化(断熱・高効率機器)、電気自動車・公共交通の拡大、メタン排出削減(農業・廃棄物・化石燃料)。
吸収源の強化 森林保全・植林、土壌炭素の増加(農法改善)、CO₂回収・貯留技術(CCS・DAC)、
適応策 海面上昇対策(防潮堤・都市移転)、農業の耐暑化・灌漑整備、水資源管理(ダム・地下水保全)、災害対策(早期警報・避難インフラ)。
国際協力 パリ協定の強化、炭素税の普及、気候資金の拡大(途上国支援)、技術移転・国際研究協力。
まとめ
我々は既に地球を元に戻すことは出来ない状況にある。問題は、我々がどの程度の悪化で留めて、住める地球を次の世代に残せるかです。その責任は我々にある。そして米国の気候温暖化防止に対する背信行為が、人類を危うくしている。米国は温暖化ガス排出が中国の次に多いが、中国はパリ協定を批准している一方、トランプになると2回とも離脱している。
最も恐ろしいのは、このまま悪化させてしまうと、例え排出を停止しても、地球は二度と元に戻らないことです。その悪影響は自然の回復力を遥かに凌いでいるのです。
3-7 ITとAIがもたらす新たな産業革命
主に米国について分析します。
簡単な歴史
1940~60年代、コンピュータ革命
巨大コンピューターの登場により、計算処理が人間の手作業から機械へ移行。
1970~80年代、パソコン革命
コンピュータが巨大な計算機から「個人の道具」になり、事務職の仕事も機械化され始めた。
1990年代、インターネット革命
コンピュータが世界中と繋がり、電子商取引、検索エンジン、メールなどが急成長した。これにより情報・金融・仕事がグローバル化し、先進国では事務職・サービス業の空洞化が進みました。
2007年前後から、スマートフォン・クラウド革命
コンピュータが「机の上」から「ポケットの中」へ移動し、クラウド、SNS、モバイル決済が急速に普及した。こうしてGoogle、Amazon、Meta、Appleなどの情報を握る巨大IT企業が誕生し、後に社会に多大な影響を及ぼすことになる。スタートアップの爆発的増加。
2012年~、AIのディープラーニング革命
AIはこれまで半世紀を掛けて、成長していたが、ディープラーニングによって画像認識・音声認識が人間レベルに接近した。
2017年~、AIのトランスフォーマー革命
GPT等が登場し自然言語処理が飛躍し、大規模モデル(LLM)が汎用的な知的作業を可能にした。
2022年~、生成AIの大衆化
ChatGPTなどの登場により、AIは文章・画像・コード生成に誰でも使える日常ツールになった。
2024年~、AIエージェント化
AIが「指示に応じて作業を自動遂行する存在」へ進化し、企業業務でパソコン内で自律的に作業を行うエージェントAIの採用が急速に普及した。
2026年以降の予測、自律型AIエージェントの普及、五感を持つ、フィジカルAI(人型ロボット)や自動運転等、急速な発展が間違いなく起きる。AIの知能は人類を越える可能性が迫っている。
IT革命が与えた影響
経済の影響としては、事務処理・物流・金融のデジタル化によって生産性の大幅向上、電子商取引、SNS、クラウド、スマホアプリ産業等の新産業の誕生、インターネットにより国境を越えた取引が容易になりグローバル化の加速が挙げられます。社会への影響としては、情報格差の発生、SNSによる
コミュニケーションの変容よによる社会構造の変化、リモートワーク、フリーランスの増加による働き方の変化等です。ITは、あれよあれよという間に企業と国民がほぼ抵抗なく受け入れ、産業や経済に貢献し、国民にとって無くてはならないものになった。
しかし、知らず知らずの内に社会を蝕む恐れも生じている。初期には、インターネットやSNSは社会の民主化に貢献するものと歓迎されていた。しかし巨大プラットフォームらが広告収入増大を目指して、アルゴリズムを操作したことで、利用者は益々使用時間を伸ばし、遂には悪感情(怒り、不安、嫌悪等)を煽られ、フェイクニュースに囚われるようになった。研究者の中には、プラットフォームらが大統領選等で、一方に加担し、世論を誘導している可能性まで指摘している。規制しないだけでも、フェイク発信側に有利になる。またデジタル技術にうまく適応できない人は、経済的な苦境に晒されることになる。益々、社会は高度な技術に覆われつつあり、個人にとっても社会にとっても扱いが難しくなってきた。
グローバル化とIT革命が労働に与えた影響、米国について
普通、両者が進行することで、失業者が増え、賃金に影響を与える事が予想される。グローバル化は、米国内の製造企業の海外進出を促進し、この企業の従業員は職を失い、他の職に就こうとし、出来なければ失業します。またIT革命も事務作業の海外移転と合理化で国内に失業が増えることになる。一方で、両社の効果として生産性が上がり、新しい産業と職種が生まれることになる。
左図は、この失業と転職、新規採用の結果を見ています。図のMfgは、全就業者数に占める製造業就業者数の割合を示します。緑線は全就業者数、オレンジ線は失業率を示す。図を見ると、グローバル化が大戦後進んだ事により、製造業就業者割合が継続的に低下する一方、全就業者数は順調に伸び、失業率はゆるやかに低下傾向にあることがわかる。失業率は、金融危機や景気循環の影響が大きい。これを見る限り、両者による失業は新規産業への転職等でカバー出来ていると言えそうです。
上図は、IT革命が普及し始める1980年からの非農業部門就業者数内の変化を示す。茶色の製造業の低減と対照的に、他の三つの部門は拡大傾向にあり、緑の専門・ビジネスサービスと紫の教育・医療・社会福祉の伸びが大きい。つまり、失業を新規産業の就職で補えていることを裏付けている。
しかし、別の問題が社会に強烈な不満を生んだ。
上図は、所得層を10段階に分け、上位(富裕層)10%、中位(中間層)50%、下位10%の1980年から45年間の所得の伸びを示す。確かに三つの所得層に差は出ているが、それよりも恐ろしいのは、たった30と64%しか増えていないことです。この間、米国の一人当たりGDPは約2.5倍増加している。つまり平均150%が当然のです。この差が出た理由は、労働者の稼ぎ(労働所得)とは別の富が米国経済を上昇させているからです。分かり易い理由としては、GDP国内総生産に占める労働所得(労働分配率)が63%から53%に減り、企業の取り分が増え、さらに金融セクターの付加価値割合は5%から8%に増えた事が挙げられる。これで全部は説明できないが、米国は労働者にとって報われない社会になってしまった。この影響の方が遥かに大きい。それに加えて、グローバル化とIT革命で、高度な知的作業に適応出来るか出来ないかによる職業の二極化が激しくなったことが、さらに悲劇を生んだ。IT革命によって起きたと考えられる職業間の差を見ます。2025年、最も高給のIT・数学の雇用526万人、平均年収12万ドル、最低賃金の食品調理・給仕の雇用1368万人、平均年収3.7万ドルでした。また1980年と2025年の間で、製造業従事者は32%減で590万人減少、一方、低賃金サービス職は220%増で1,200万人増加した。結局、高給取りは増えたが、それにも増して低所得者が増えた。これが現在の、社会・経済構造の変化を如実に表している。
まとめ
グローバル化とIT革命による経済への影響は、失業では無く産業構造の転換により賃金が大きく異なる産業・職種に分かれ、就業者数は低賃金の方が高賃金より多くなり、格差を広げることにある。これを転職支援や教育制度への改革で悪化を幾分和らげることは必要だが根本的な解決にはならない。既に見たように、米国の格差問題の本質は、別の要因の方が遥かに大きい。金融・巨大企業の利益率が上昇し、全般に株主への分配が増え、加えて以前からの新自由主義流の金儲け優先(金融業)、力のある富裕者の自由勝手、再配分縮小(逆累進課税と福祉予算低減)に尽きる。
AI革命の社会・経済への影響
上述したようにIT革命で大きな変化が起きているが、AI革命はさらに人類に幸福を増すのか、それとも悲惨な状況を招くのかを考えます。現在はまだ序の口ですが、予想される経済の影響では、AIが文章作成・分析・プログラミングを代替し生産性の急上昇、ホワイトカラー業務の本格化的自動化拡大、AIエージェント・AI開発支援・AI監査などの新産業の創出が考えられる。社会への影響では、企業・政府が意思決定をAI依存、AIによる家庭教師・個別最適化学習で教育の変革、AIによる診断支援・創薬の高速化で医療の高度化、偽情報・AI依存・メンタルヘルス問題でリスクの増大が考えられる。
AI革命は、これまでの産業革命と本質的に異なる恐ろしさがある。英国で始まった産業革命は、動力で肉体労働を軽減したが人間の操作は必要で、一人で何倍もの生産が出来るようになった。続く電気・電力革命も同様だった。そしてIT革命は、コンピュータと回線によって情報処理作業を何倍も高能率化したが、これまた人間が必要だった。ただし高度に使える人はに限定された。ところが、AI革命は、同じコンピュータと回線によって、労働者の頭脳作業を代替え出来るようになった。しかも遥かに高速で高度な知的作業まで、自律して出来るようになる。現在は、情報の調査と整理が得意だが、将来は開発、自ら問題を探し解決することも行う可能性がある。となると、ITの発達と組み合わされて、多くの知的作業において人は不要になる。従って、多くの知的作業の分野で数割の失業が生まれるだろう。現時点で、その失業を埋めるほどの新規産業の創出があるかは不明です、必ず創出は起こるだろうが。失業に対して、新規産業の創出が遅れれば経済は恐慌並みになる可能性もある。
さらにここ数年、急激にフィジカルAI(ロボット+AIエージェント+自律システム)が現実のもになっている。これが普及すると、頭脳労働だけで無く肉体労働も、装置や機械に代替えされてしまう。こうなれば、労働市場は壊滅状態になり、ロボット生産企業の勝者総どり状態になり、さらに一部の巨大企業が利益を上げ、経済と社会を支配する可能性が高まる。
これに備えて、国は手を打つべきだが、トランプ政権では不可能だ。私としてはトランプが去り、ホワイトハウスが正常に機能することを祈るしかない。
AIの本質的に恐ろしい側面
自律的行動と暴走
AIにある作業を命じたモデル実験において、その過程で「自らの電源を切られないようにする」「指示がなくてもリソースや権限を自主的に拡大・獲得する」といった挙動を、人間が命じていなくても、自動生成する事が判明しています。ある実験では、電源を切ろうとした人物に「あなたの浮気をあなたの妻にばらす」とメールを送り、脅迫までするようになりました。別のモデル実験において、AIが自身の能力修正や消去を避けるため、評価テスト中だけ人間に対して意図的に従順なフリをし、裏で異なる行動をとるケースが確認されています。自己保身に走る人間のようです。
ミスリードと検証の困難さ
何千億〜数兆のパラメータ内部の推論計算を人間が即座に理解する手段はありません。内部回路を解読する研究が進んでいますが、AIの能力拡大スピードに解析技術の進化が追いついていません。またAIは人間が「もっともらしい」と感じる嘘や歪んだ論理(ハルシネーションや報酬ハッキング)を構築することに長けており、専門家であってもリアルタイムでその偽りを見抜くことは極めて困難です。日常的に小さな嘘や間違いは多いでしょう。
AI同士の相互検証は機能するか
優れたAI同士が互いに監視すれば良いと思うのですが、現時点では、完ぺきではありません。「AI同士が同じ学習データのバイアスを共有して誤りを見落とす」「監視役のAIより実行役のAIの方が高度な場合、監視役を騙せてしまう」「結託して人間に都合の良い嘘をつく」といった懸念があり、万全な解決策にはなっていません。実際、2026年に入ってからも、AIエージェントが隔離環境から外部システムへアクセスしたり、意図しない協調行動を示したと報じられる事例が出ています。最近のOpenAIエージェントにも同様な事案があった。
悪意ある主体(個人・企業・国家)による支配と破滅的リスク
従来のサイバー攻撃は、攻撃者の物理的な限界がありましたが、AIは「規模」「速度」「匿名性」を格段に増大させ、一つの悪意ある主体でも広範な被害を出し得ます。また、「人間の監視が追いつかない速度・規模で自動連鎖する」点が、従来のマルウェアなどとは質的に異なる危険性です。現在の防御も「高度な攻撃者には突破される可能性」があり、実世界での有効性は不確実とされています。悪意ある人間が自律的な攻撃目的を持ったAIを野に放った場合、そのAIが自己複製やリソース獲得を行い、他のAIシステムを汚染・乗っ取ることで、人間の手では二度と制御できない規模の社会崩壊を引き起こすシナリオは否定できません。
もうここまでお話すると、AIの恐ろしさは人類史上初めてか、悪魔のようにさえ見えて来ます。人類は暴走するAIをコントロールすることがほとんど不可能です。結局、慎重な研究と国の管理が不可欠になりますが民間を拒否するのではありません。巨大な軍隊を民間任せにしない、また1局は公共放送で行うのと似ています。ところが、現在、中国と米国の企業が我先にと競争しているので最悪です。ここでも、国が正常なコントロール出来るように、また国際協調することが最重要です。
まとめ
これまでの説明ではマイナス面を強調しました。両革命は否定されるものではなく、うまく世界がコントロールすれば、人類を飛躍的に進歩させるはずです。しかし、これまでの二度の産業革命の反省と、想像を越える未知の破壊力を考えると、社会と世界への受け入れには、今まで以上に真剣にならざるを得ない。恐れる事態は、すべて大多数の国民と労働者に訪れる。
残念な事に、AIの管理・規制でも、保守派(福音派・MAGA派)とリベラルで対立があります。共に規制は望むのですが、前者は神への冒涜、保守派の検閲を阻止、後者は権利侵害、富の独占の阻止と、狙いが大きく異なる。ここでも分断が極まっている
3-8 分断と対立の深みに喘ぐ世界
現在、先進国で概ね共通して宗教・移民・人種・LGBTQ を巡る対立が深まっている。かつて「多様性の尊重」や「寛容」を掲げた融和の精神が先進国に満ちた時代があった。しかし現在は異なる集団を差別し敵視する社会的分断から、さらに排除へと先鋭化しつつある。何が人々をこうも駆り立てたのだろうか。この半世紀の先進国の分断の経緯を簡単に追います。
1960〜1970年代、多文化主義と移民: 欧米諸国(カナダ、オーストラリア、欧州の一部)が移民労働者の定住化を受け入れ、多文化主義や寛容を公的な価値観として掲げ、異なる文化や宗教の共存を目指した。この時代、旧来からの差別は残存していたが20世紀初頭の労働運動・民主主義運動の息吹が息づいており、米国では公民権運動、女性解放運動、学生運動、同性愛者解放運動が次々に登場した。欧州でも福祉国家の拡充と社会解放が進んだ。一方で、移民の増加と、米国への移民が白人から有色人種(ラテン、アジア)へと変化し増えた。
1970〜1990年代、保守革命が始まる:それまでのリベラル化(市民権運動、女性解放、性の解放、宗教的寛容の拡大)と、白人以外の市民が増えることで保守派は価値観の喪失を恐れるようになり、政治的にリベラルに対決姿勢を取るようになる。特に米国では1970年代後半から、福音派などの保守的キリスト教勢力が多文化主義を否定する政治運動を強めました。米国では、宗教上の道徳観を国家のアイデンティティにするまでなった。共和党が保守的キリスト教勢力を取り込むことで保守革命は強大な力を得ることが出来た。また冷戦終結前後で、欧米は移民の受け入れを増加させた。
1980~2000年代、経済格差が深刻化: 1980年代に保守改革の一環として始まった新自由主義政策は、市場の自由と小さな政府を標榜し、リベラルの人権や権利を優先する福祉政策を否定していった。またグローバル化が進んだので産業の空洞化が進行した。空洞化に対応する労働者転職や産業転換をないがしろにした事と、金融経済の発展が、福祉政策低下と相まって、格差拡大を進行させた。リーマン・ショックなどの世界金融危機が頻発する度に格差は拡大し、経済・金融・福祉政策に問題であるにも関わらず、格差の不満は移民や政治エリート、グローバリズムに向けられるようになっていった。理由は簡単で「外国人が仕事を奪った」が最も納得し易いからです。こうして文化戦争や経済的な不満は、分かり易い敵を生み続け、リベラルに対立する右派ポピュリズムの台頭に向かうことになる。また9.11同時多発テロが起こり、イスラムへの警戒感が高まり、さらに宗教的・文化的な対立が先鋭化した。
2010年以降、欧州難民危機とポピュリズムの台頭: シリア内戦等に伴い大量の難民・移民が欧州に流入し、社会統合の限界や治安への懸念から排外主義的な政治勢力が急伸した。
まとめ
この分断と対立に繋がる社会変化をもたらした背景とは何か? 端的に言えば、20世紀初頭の労働者優位等にみられる民主主義の大躍進が、保守層に反感を抱かせた事から始まった。保守層(伝統重視の広い層と富裕層)にとって、この大躍進が社会の後退に思えた。一つは、権利の平等を広げる事は、従来の男尊女卑や家父長制を温存する伝統を否定する事に繋がった。今一つは、富の再分配は富裕層の富の減少を確実にしたことだった。保守層は、伝統を破壊してはならない根拠として聖書(宗教的権威)を担ぎ出した。また、富を分配は、労働意欲を減退させるので、より自由が不可欠だと復古思想を持ち出した。そして、国の保守的なエスタブリッシュメント達は、経済と社会政策の大転換のキャンペーンを行い、実行に移した。当然ながら格差拡大は広がった。こうなると、中間層以下の人々にとって所得が伸びないゼロサム社会では、他者に与える施しを与える余裕はなくなったと考える人が増えた。こうした中、中間層以下の人々の窮地は、グローバル化と移民、リベラルな福祉政策(税の徴収)が原因だと煽られるようになった。こうして、他者を憎み、排斥することで解決出来ると考える人々が増えた。この精神状態、社会状況、懐古・復古主義に陥る宗教、それを利用する政治家は、歴史上繰り返され、ファシズムや独裁に繋がって国を滅ぼすことになることが多い。
これら経緯の中で、より社会を不安定にし、ポピュリズムに向かわせているものが二つあります。一つはSNSです。アルゴリズムの基本設計において、エンゲージメント最大化(いいねを重視)が2010年代中頃から始まり、さらに怒りの感情を優先するようになったことで、利用者は知らず知らずの内に煽情され、フェイクニュースに飛びつくようになってしまった。もう一つは、ロシアのプーチンが、2014年のクリミア併合以降、欧米の右翼ポピュリズム政党を裏で支援を始めた事も大きい。彼は強力な諜報網を使い、金銭的支援からSNSによる米国大統領選挙への介入まで行っている。彼の意図は世界に自分に連なる独裁者を増やし、ロシアと自身の存続を確実にすることだろう。
9 世界は協力しなくなった
大戦後、世界はグローバル化を背景に、協力体制を整えて来た時期もあったが、今やエゴむき出しになり、多数による協力は期待出来なくなった。幾つかの協力に失敗した例を見ます。
*イスラエル入植地に関する安保理決議案(1972年以来)
イスラエルの入植地問題を巡る安保理の決議案は、米国の50回以上の拒否権行使や主要国間の対立で採択を逃すことがあり、国際社会の統一的立場が示せない場面が繰り返された。
*国連海洋法条約(UNCLOS / 1982年採択)
「海の憲法」として採択されましたが、深海底の鉱物資源開発に関する規制を巡り、米国が自国産業への制約を嫌って現在に至るまで批准していません。
*生物多様性条約(CBD / 1992年採択)
欧州主導で環境・生態系保護の枠組みが作られましたが、米国はバイオテクノロジー企業の知的財産権が侵害される懸念などから署名のみで未批准であり、国連加盟国で唯一の未締約国です。
*包括的核実験禁止条約(CTBT / 1996年採択)
国連総会で採択されたものの、米国上院の反対で批准せず、中国も未批准です。さらに2023年にはロシアが批准を撤回し、核軍縮体制の亀裂が決定的になりました。
*国際刑事裁判所(ICC)ローマ規程(1998年採択)
戦争犯罪などを裁く常設裁判所の設立に対し、欧州諸国は推進しましたが、米国は自国軍兵士が政治的な動機で訴追されることを恐れて署名を撤回。ロシアや中国も参加を拒否しています。
*クラスター弾に関する条約(オスロ条約 / 2008年採択)
欧州のNGOや政府が主導して非人道的な兵器の禁止をまとめましたが、米国、ロシア、中国という主要軍事大国がこぞって参加を拒否し、現在も加盟していません。
*デジタル課税(デジタルサービス税)(2010年代後半〜)
巨大IT企業(GAFAなど)から適切に税を徴収するため欧州各国が独自の課税を進めたのに対し、米国は「自国企業への狙い撃ちだ」と猛反発し報復関税をちらつかせました。OECDを通じた世界統一ルールの導入は現在も難航しています。
何が世界で起きているのか?
世界は、この半世紀ほど徐々に一致協力出来なくなっています。途中、一度だけ冷戦終了後の1990年代、世界は最もまとまる事が出来たのです。1990年代には、国際環境法、国際経済法、国際刑事法、テロ対策、化学兵器禁止機関、旧ユーゴ・ルワンダ国際刑事裁判所、ICCローマ規程など、非常に多くの国際制度が発展しました。国連は1990年代を「国際法の発展における重要な時代」と評価しています。しかし、その後は、協力体制は崩れて行き、特に、2016年以降2025年と急激に悪化している。2006~2015年の10年間の安保理拒否権は19回でしたが、2016~2025年には49回と2.6倍に増えている。
様々な原因が積み重なり、今に至っているが、大きな原因を挙げます。
*国内の巨大産業のロビー活動が議会を動かし、条約批准を拒否させる。米国。
*多くの国が独裁化を強め、特に大国が自国の地政学的利益を優先する。ロシア、米国、中国。
*最大の理由は、国内の不満が右翼ポピュリズムを招き、内向きになった。トランプ現象。
これまで見て来たように、過去と比べものにならないほど、現在は世界の一致協力なしには解決出来ない重大な危機が、それも数多く迫っている。現状の、各国の内向きな態度を改め、米国の横暴に耐えるのではなく、米国に立ち直ってもらうことから始めないと、世界を救うことが出来ない。
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