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前回は、今話題の忖度を巡る馬鹿々々しさを取り上げました。
今回は、トランプ大統領の評価を巡る奇妙さを取り上げます。
この二つから日本の常識が見えて来ます。
はじめに
この12月6日、トランプ氏は「エルサレムはイスラエルの首都」を承認した。
中東の荒廃と経緯を知る人々にとって、この宣言は平和を破壊する以外のなにものでもない。
彼は単に「私は選挙公約を実行した」と言っている。
ここでも大国の無自覚な横暴がまた繰り返された(ベトナム戦争、イラク戦争)。
主要国と近隣諸国の首脳、ローマ法王らはこの宣言に嫌悪感を示した。
そんな中で、日本の中枢はトランプ氏と親密な首相に忖度し(おもねり)だんまりを決め込んでいる。
日本では安倍首相は外交に長けており、米国のトランプ大統領との親密さに現れていると評価する向きがある。
その一方で、危なっかしいトランプ大統領に付き従うなどはもってのほかと、首相のスタンドプレーを危惧する向きもある。
この違いは概ね、右派と左派の違いと言えそうです。
本来、右派がポピュリズムのトランプ氏に好感を持つ理由は無いように思えるのですが(理由は後にわかります)。
ここでは、日本の右派が高評価するトランプ氏は海外からどのように評価されているかをみます。
このギャップを通じて、トランプ現象と彼との親密さを喜ぶ日本の危険性を考えます。
トランプ氏への世界の評価
< 2. 2017年、トランプ氏の低い信頼度、by PEW 注1. >
カーキー色の左側横棒はトランプ氏を信頼しないパーセント、緑色の右側横棒は信頼のパーセントを示す。
西欧諸国や南米、日本でさえ圧倒的に彼を信頼していないことが歴然としている。
逆にロシアやイスラエル、フィリピンでは彼への信頼度が高いが、これらは強権的な国家で共通している。
アフリカのナイジェリアは政治の腐敗が深刻で混乱しており、強い大統領が求められているのかもしれない。
こうして見ると世界の大勢は、トランプ氏に不信任を突きつけているように思える。
< 3. どの大統領が世界に正しいことをするでしょうか、by PEW >
韓国やカナダ、英国、オーストラリアはトランプ氏(茶色)よりもオバマ氏(赤色)を断然評価している。
ここでもイスラエルとロシアでは逆転している。
イスラエルは今回のトランプ氏の首都発言を期待していたのだろうか。
< 4. 西欧におけるトランプ氏の評価はジュニア・ブッシュ氏と同様、by PEW >
三人の米国大統領に対する西欧の評価の明暗が一目瞭然です。
結局、世界の良識(民度が高い国の国民)はトランプ氏をかなり低く評価している。
一方で高く評価する人々もいる
実は、違った見方がある。
安倍首相がトランプ氏と肝胆相照らす仲であるように、西欧各国のあるグループはトランプ氏を高評価している。
< 5. ヨーロッパで右翼を支持する人々はトランプ氏を支持する、by PEW >
ヨーロッパ各国の代表的な右翼ポピュリスト政党を支持する人々のトランプ氏への評価は緑色の丸で示されるている。
この右翼を支持しない人々のトランプ氏への評価はカーキー色の丸で表示されている。
結局、すべての国で右翼に好感を持つ人々はトランプ氏にも好感を持つ。
ここでも、トランプ氏への評価が高い国は社会が疲弊している傾向がある。
これらの理由の一端が下のグラフからわかる。
< 6. 世界37ヶ国によるトランプ氏の性格評価、by PEW >
世界の性格評価は、1位傲慢、2位不寛容、3位危険でかなり否定的に見られている。
続いて強いリーダーやカリスマ性で高評価を得ている。
如何にもトランプ氏はタカ派や右派が親しみを感じる性格を持ち合わせ、疲弊困憊している社会では彼に期待もするのだろう。
それでは米国民はどう見ているのだろうか
< 7. 米国のトランプ氏への支持と不支持 >
トランプ氏は2017年1月20日の就任直後から不支持が増大し続けている。
つまり、世界だけでなく米国でもトランプ氏への人気と信頼は非常に低い。
まとめ
これらのことから推測出来ることをまとめます。
*トランプ氏は民度の高い先進国の首脳からは忌避されている。
*トランプ氏は世界中から世界の危険要因と見なされている。
*トランプ氏は右翼的な人々からは好感を持たれている。(疲弊しているか強権的な社会の人々も同様)
これから以下のことが言える
*トランプ氏に追従する首相は外交や戦争などで国を危険に陥れるか、強権的な体制へと導くかもしれない。
首相にすれば、米国の軍事的な庇護を得るにはこの道しかないと信じているのでしょう。
しかし私にはこのことすら危険性を孕み、ましてオバマ氏と合わず、トランプ氏と合うとの理由で追従することは更に危険だと考える。
さらに言うと
*米国はなぜこのような不人気で危険な大統領を自ら選択したのか?
これこそポピュリズムのなせる業であり、一度この罠にはまると取返しのつかないことになる好例です。
どうか破綻が訪れる前に米国民が良識を取り戻す日が来ることを望みます。
当然、世界が協力して、トランプ氏の暴走を食い止める必要がありそうです。
少なくても日本は暴走の片棒を担ぐことだけは止めましょう。
そうでないと日本はテロの再重要な標的になることでしょう。
次回に続きます。
注釈1
PEW(Pew Research Center)はアメリカ合衆国のワシントンD.C.を拠点としてアメリカ合衆国や世界における人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンクです。
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