< 1. モーセの十戒 >
人類は進歩しているのでしょうか?
例えば「より複雑で高度な能力を持つようになること」と定義すれば、人類は進歩しているように見える。
しかし、「より幸福」になったと言い切れないので、違和感を覚える方もおられるでしょう。
ところで皆さんは科学や文化、政治、戦争を人類に特有なものだと思われますか。
実は、自然に暮らすチンパンジーはこれらを原初の形で持っています。
連載「心の起源」「戦争の誤謬」「病と医術の歴史」で事例を紹介しています。
< 2. ハムラビ法典:右の太陽神が王に法典を与えている >
人類が生みだしたものとは何か?
チンパンジーにその端緒が無くて、人類だけが有するものに宗教や美術、法などがあります。
おおまかに以下のことが言えます。
キリスト教や仏教、イスラム教などの世界宗教には創唱者がいました。
有名な美術品のほとんどには制作者が知られています。
しかし現在の法や憲法の作成者を、皆さんは知っているでしょうか。
実は、チンパンジー社会にも制裁や秩序維持の行動は存在します。
しかし合意に基づいて、その内容を変更し強化することは出来ません。
一方、人類は集団内外の争いを治める方法を先史時代から掟や戒律として残していました。
無文字社会や民族に伝承された掟や戒律は神話によって権威づけられるか、作成者不詳が多かった(自然法)。
< 3. アテネの陶片追放: ふさわしくない最高権力者を投票で追放 >
誰が法を創るのか?
やがて文字が誕生すると、法文として記録するようになり、その初期のものがハムラビ法典でした。
ハムラビ法典は王が神から授けられたものとしています。
都市が誕生し王朝が興ると、王が法を制定するようになりました。
しかし最初の転機が、古代ギリシャのアテネに訪れました。
アテネも初期は貴族が支配していたのですが、やがて改革によって市民が法を定め、市民の権利を確保するようになりました。
おおよそ2500年前のことです。
しかし、この後、ローマ帝国以降のヨーロッパでは、長らく一部の権力者達(王や貴族)が新しく法を定め運用するようになりました。
< 4. ローマの元老院: 元老院が法を専門的に扱う >
しかし、やがて人類史上、新たなうねりが訪れることになります。
それは現代まで続く、人類社会、最大の転換の始まりだったのです。
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