< 1. 参政権 >
最初の変革
法は社会の安定・平和には欠かせないものとなりました。
人類が数千年の時を掛けて練り上げて来たものです。
しかし、それは一方で権力者による徴兵や徴税、罰則の根拠にもなっていました。
< 2. 英国議会 >
それを覆す事件が、長らく続いた改革の総仕上げとして17世紀末の英国で起きました。
貴族が団結し国王の横暴を抑える為に、権利の章典を王に呑ませることに成功した。
これは貴族中心ではあったが上下両院の決議による宣言でした。
これ以降、英国の議会は王の専横を抑え、上位に立つようになりました。
しかしこの時点ではまだ市民は置き去りでした。
それにはアメリカの独立宣言から合衆国憲法、フランスの人権宣言まで約百年の時が必要でした。
こうして国家は少数の権力者達から、貴族、市民、やがてほぼすべての国民のものになりました。
それは絶対王制から君主制、共和制、民主制への歩みであり、主権在民の確立でした。
一つの社会が、多数の構成員の合議によって運営される状況は、世界中の古代・中世においても一部の限られた地域では存在した。
しかしそれらは長く続くことはなく、また下層階級は完全に除外されていた。
< 3. 絶対王制 >
初めて、すべての人々の基本的人権が保障される基盤が出来た
ところで人間の権利は何によって保障されるのでしょうか。
日本の民法第1条「私権の基本原則」は以下の文から始まります。
「私権ハ公共ノ福祉ニ遵(したが)フ」
何か違和感がありますね。
通常、法律は秩序維持の為に、人々の行為を制限し罰則を規定しています。
そこで憲法は国民の平等、自由、財産、参政などの人権を先ず認め、国家権力がそれを侵してはならないとしたのです。
つまり逆に憲法は国家権力を制限したのです。
こうして国民は生きる権利を保障されるようになりました。
< 4. 正義の女神 >
人権とは何でしょうか?
ほんとうに人間は何か権利を持って生まれて来るのでしょうか?
身も蓋も無いのですが、何か実体があるわけでは無いですよね。
人権は英語のhuman rights の訳ですが、このrights は「正しい行い」を意味しています。
一方、法とは何でしょうか?
法は「正義に適合して秩序をたてるために、社会が構成員に強制する行為の規範」と言えます。
両者を総合すれば、「社会は正義に則って人々を守り、規範を守らせる」と言うことになります。
もっとも不思議で、もっとも重要なことは「正義」の概念を人類が生み育てて来たことです。
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