兵士は戦場でどのようにして狂気になり、また帰国後、平和な暮らしに戻っていくのだろうか?
精神医学者の著者は、元兵士の聴き取りを重ね、緻密かつ冷静に彼らの心を追う。
やがて狂気をもたらすものが判明し、一方で狂気の記憶から逃避する姿が見えてくる。
この本は戦争の真実を心の内面から知ることが出来る本です。
著者の紹介
著作を何冊か読みましたが、著者は尋常ならざる「精神」の探求者であり、警鐘者でもある。
著者は未開民族の精神病に始まり、崩壊する国(北朝鮮など)の人々、そして現代社会と個人の精神問題を探求する。
その探求手法は社会背景や歴史認識を踏まえた上で、ドキュメンタリー的に人々の心理に迫るものです。
気になる点は、探求手法が確立しておらず、体制批判が強すぎるようです。
< 上海事変 >
「戦争と罪責」の概要
描かれている戦争は、80年ほど前の日中戦争の中国北部が舞台です。
残虐行為を行った幾多の日本兵の回想が縦糸になり、著者の綿密な当時の状況と心理分析が横糸になっている。
著者は、1990年代より、元日本兵のインタビューを開始し、さらに中国に赴き取材を重ねた。
これには「戦争における罪の意識の研究」で文部省の研究費を受けている。
この本の価値は、個人の戦争回想録と異なり、他の元兵士、文献資料、中国側(収容所、被害者家族)の情報により、信頼性あるものとしている事です。
この本から何が見えて来るのか?
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なぜ兵士は残虐行為の深みに埋没してしまうのか?
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残虐行為は、組織的なものか、または個人的なものか、さらに文化に根ざしているのだろうか?
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終戦後、帰国した兵士のほとんどからなぜ残虐行為の事実が漏れ聞こえてこないのか?
今後、数回に分けて、著書から要約したいと思います。
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