20180622

北欧3ヵ国を訪ねて 5: ヴァイキングの故地






*1


今日は、ヴァイキングの三つの故地を簡単に紹介します。
ヴァイキングは今回訪れた北欧三国から誕生しました。
それぞれ趣が異なりますが、海岸や湖岸から生まれたことでは共通しています。



< 2. ヴァイキングの航路 >

赤丸が今回訪れた場所で、ここにはヴァイキングの有名な遺跡があります。



< 3. スウェーデン >

私が訪れたのは赤丸印のシグツーナSigtunaです。
ここはヴァイキング時代末期に栄えました。
実は、赤三角印のビルカBirkaの方がヴァイキングの遺跡としては有名なのですが、旅程の都合で省きました。

赤の線は、ヴァイキングの航路を想定しています。
スウェーデンの主なヴァイキングはこのメラーレン湖からバルト海を主に東方のロシアに向かい果ては黒海を抜け、イスラム圏と交易を行いました。



< 4. シグツーナのルーン石碑 >

上の写真: ルーン石碑。
ヴァイキング時代の8~11世紀に良く作られた石碑の一つで、墓碑や旅に出た個人を讃える文などが刻まれていることが多い。
スカンディナヴィアの人々は、このような碑文以外に文字を残さなかったので中世以前の歴史は口述の神話に頼らざるを得ない。



< 5、 シグツーナの湖岸の港 >

かつてはここからヴァイキングが船出していったのだろう。




< 6. ノルウエー >

私が訪れたのはオスロのビィグドイ地区にあるヴァイキング船博物館です。
この博物館には発掘された2艘のヴァイキング船があります。
このヴァイキング船が発掘された場所を赤丸で示しています。

赤の線は、ヴァイキングの航路を想定しています。
彼らは北海を抜け主に西方に進み、英国に侵入し果ては北米大陸に達していました。



< 7. ヴァイキング船博物館 >

上の写真: 発掘された9世紀初頭のバイキング船。
この非常に大きな船を見ると、ノルウエーのヴァイキングが荒波を乗り越え、遠洋航海を成せたことがよく理解出来ます。

下の写真: 地図の黒三角印辺りのフェリーから後部(北側)を見ている。
おそらく左側の島嶼部がヴァイキングの故地(発掘地)なのでしょう。




< 8. デンマーク >

私が訪れたのはロスキレのヴァイキング船博物館です。
この博物館には発掘された数艘のヴァイキング船があります。
このヴァイキング船はロスキレの湾から発見されました。

赤の線は、ヴァイキングの航路を想定しています。
デンマークのヴァイキングの有名な遺跡は他にユラン半島に2ヵ所ありますが、今回は遠かったので行っていません。
デンマークのヴァイキングは北海から英国、またフランスの海岸や河川から大陸に侵入しました。



< 9. ロスキレのヴァイキング船博物館周辺 >

上の写真: ヴァイキング船の造船技術が使われた船が数多く停留されていた。

下の写真: ロスキレ湾。
かつてこの地にはヴァイキングの村があり、彼らは春になるとここから出撃していった。


いずれ博物館を詳しく紹介します。


次回に続きます。


20180620

北欧3ヵ国を訪ねて 4: 北欧の三つの首都





< 1. ノルウェーの首都オスロ >


今日は、北欧三国の首都を対比させながら簡単に紹介します。
首都はストックホルム、オスロ、コペンハーゲンです。


*スウェーデンの首都ストックホルム
この首都の人口は94万で、国の人口1000万人の約1割弱が住んでいる。
首都の位置は国土の中央南寄りにあり、バルト海に近い湖沼地帯にある。


 

< 2. ストックホルム 

上の衛星写真: 首都の中心部を示す。
上が北です。
物差しの長さは8kmで、1目盛りは1kmです。
赤矢印は中央駅を示す。
旧市街ガムラ・スタンは矢印の右下の小さな島で、ここがこの首都の発祥の地です。
この港から東に進み島々を抜けるとバルト海、フィンランド湾、ボスニア湾に出ることが出来る。
矢印の周辺から上部左右が首都の中心地です。

下の写真: Strandvägen通りの古都をイメージさせる瀟洒な建物群。
この海岸通りからの川や島々の景色が素晴らしい。
喜々として歩く観光客達、待ちわびた陽射しを浴びる市民達、川面を行きかう多数の白い遊覧船が青空と紺碧の川面に映えている。


 

< 3. ストックホルム中央駅 >

上の写真: 左手の白い建物が中央駅。
この駅には泣かされました。
地上部分は大きくない建物で単純に見えるのですが、地下6階まで蟻の巣のように複雑に各種交通機関の駅が張り巡らされている。
この駅が都市交通網の中心となっている。

下の写真: 同じ駅前の通り。
右手奥が中央駅になる。


 

< 4. メラーレン川 >

上の写真: 左手に市庁舎、中央にガムラ・スタン、右手はセーデルマルム島です。
上流側の船から見ており、川は中央の島によって左右に分かれる。

下の写真: ユールゴーデン島に掛かる橋より下流を望む。
右がユールゴーデン島、左がノーベル公園です。


*ノルウェーの首都オスロ
この首都の人口は67万で、国の人口530万人の約1割強が住んでいる。
首都の位置は国土のほぼ南端、オスロフィヨルドの奥まった所にあり、北海に面している。


 

< 5. オスロ >

上の衛星写真: 首都の中心部を示す。
上が北です。
物差しの長さは4.5kmで、1目盛りは1kmです。
赤矢印は中央駅を示す。
特に旧市街はなく、王宮や大聖堂が中央駅の西側にあり、このエリアが中心です。
この湾のウオーターフロントがどんどん開発されており、勢いを感じた。

下の写真: 中央駅の海側にあるオペラハウスの前から撮った。
斬新な設計の白い建物と紺碧の海が目に眩しい。


 
< 6. 中央駅前 >

上の写真: 白い建物が中央駅の駅舎。
都市の中心部や観光地は小さくまとまっており、地下鉄はこの地下の駅を中心に延びており分かり易い。

下の写真: 駅前の北側にあるショッピングビル群を望む。


 

< 7. カール・ヨハン通り >

上の写真: 王宮から中央駅まで真っすぐ延びるカール・ヨハン通り。
王宮側から撮影。

下の写真: オスロ湾の船上から、オスロの中心部を望む。
左が最近完成したショッピングセンターやレストラン街、中央の二つの塔が市庁舎、右にアーケシュフース城が見える。



*デンマークの首都コペンハーゲン
この首都の人口は60万で、国の人口580万人の約1割が住んでいる。
首都は大陸に繋がるユラン半島ではなく、東側の最大の島のさらに東端にある。
この地はバルト海と北海を結ぶ海峡に面し、スカンジナビア半島に近い。
この首都の位置は小国デンマークが隣接する大国ドイツとの距離を取り、かつバルト海交易を重視した為なのだろう。
この首都にも王宮はあっても俗に言う旧市街はない。



 

< 8. コペンハーゲン >

上の衛星写真: 首都の中心部を示す。
上が北です。
物差しの長さは7kmで、1目盛りは1kmです。
赤矢印は中央駅を示す。
王宮や大聖堂は中央駅の北東にあり、このエリアが中心です。
運河が発達しており、かつての交易都市を彷彿とさせる。

下の写真: 王宮の一つクリスチャンスボー城が右手に見える。



 
< 9. 中央駅 >

上の写真: 左手の赤い建物が中央駅で、右手にチボリ公園が見える。
下の写真: Nørreport 駅。
コペンハーゲンの二本の地下鉄は中央駅から電車で二駅行ったNørreport 駅を通っている。
この周辺に観光ポイントが多数あり、ウオーターフロントに出るのも便利です。



 

< 10. ウオーターフロント >

上の写真: 右手の近代的な建物は今年出来た多目的スペースBLOXで、運河の対岸は南側になる。
王立図書館側から撮影。

下の写真: 隘路のような運河。
両脇には瀟洒な住宅が並び、市民は日光浴を楽しんでいた。


*三都に想うこと
同じ北欧、ヴァイキングの国とは言え、かなり地理的条件が異なり、三都の景観や雰囲気は異なる。

ストックホルムは湖沼地帯から発展したが大きい。
島には緑が多いが、陸地には大きな岩がある為か、起伏が多い。
この地は戦火を免れて来た為か旧市街が残っている。

オスロの中心部は狭い地にある為、こじんまりしており、少し行くと海か深い森林に出会う。
住宅街は湾を囲むように馬蹄形に伸びており、首都とは言え、自然と一体になった職住環境が魅力に思えた。

コペンハーゲンは湖沼地帯に出来たので最も平らな普通の都市景観と言える。
驚いたのは首都の人工的な運河が市民の憩いの場になっている事でした。
ストックホルムでは中心から外れた自然の河岸が憩いの場の中心になっていた。
この地には多くの要塞の護岸が目に付くが、幾度も戦火に遭い、旧市街は破壊されてしまった。

しかし違いはありながらも、三都は豊かな緑と清らかな水と共にある都市で共通している。
また自動車や人の密度が低く、その一方で自転車が使い易い都市となっており、エコが定着している。
三都市は古都のイメージを生かしながらも、斬新なデザインの建築を取り入れ、再生と増殖を繰り返しており、力強いエネルギーを感じた。


次回に続きます。


20180618

北欧3ヵ国を訪ねて 3: 北欧の歴史的建築物






< 1.ガムラ・スタン >
ストックホルムの旧市街に向かって坂を上がる。
王宮が右手に見える。


今日は、北欧3ヵ国の歴史的な建築を紹介します。
各地の王宮、旧市街、教会、城塞や役所などです。


*スウェーデン

 
< 2. ガムラ・スタン >

上の写真: 王宮、13世紀に建築されたが火災に会い、18世紀中頃完成。
下の写真: 大広場、左に大聖堂の鐘楼が見える。


 
< 3. ガムラ・スタンのドイツ教会 >

17世紀半ばに建築された。
旧市街にドイツ教会があることが、北欧の歴史のドイツとの深い繋がりを物語っている。


 
< 4. 郊外の建築 >

共にメーラレン湖に面して建っている。
上の写真: スカンジナビアで最も小さいシグツーナの市庁舎。

下の写真: ドロットニングホルム宮殿。
16世紀初め、すでに城はあったが、現在の姿になったのは18世紀半ばです。


*ノルウェー


 
< 5. スターヴ教会(樽板教会) >

この種の木造教会は、かつて北ヨーロッパに多く存在していたが石造りに建て替えられてしまい、今は30棟ほどがノルウェーに残っているだけになった。
これは13世紀に建てられたが、ノルウェー民族博物館に移築されたものです。
以前はフィヨルドの奥の丘の上に立っていた。


 
< 6. オスロ市内 >

上の写真: 現在も国王が暮らしている王宮。
19世紀半ばに完成。

下の写真: アーケシュフース城。
オスロ湾を見下ろす岬の岩の上に立っている。
建築は13世紀に始まり、幾度も戦火をくぐり抜けて来た。


*デンマーク

 
< 7. コペンハーゲン中心部 >

上の写真: ローゼンボ―離宮。
17世紀初頭に完成した。

下の写真: クリスチャンスボー城。
この地が12世紀半ばに始まるコペンハーゲン発祥の地。
現在の建物は20世紀初頭のものです。


 
< 8. 救世主教会 >

鐘楼の螺旋階段がユニーク。
17世紀末の完成。


 
< 9.古都ロスキレの教会 >

12世紀にデンマーク初の大聖堂として建立された。


 
< 10. コペンハーゲン郊外の城 >

上の写真: フレデリクスボー城。
湖に浮かぶ島に建つこの城はかつて王城でした。
16世紀には建築されていたが、17世紀初頭に現在の形になった。

下の写真: クロンボー城。
この城はスウェーデンとの間の海峡に睨みを利かすように海岸に建っている。
この城はバルト海交易で幾度も係争の種になり、シェイクスピアの「ハムレット」の舞台にもなっている。


次回に続きます。