20200617

世界が崩壊しない前に 30: 深まるパンデミックと健康の危機





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現在、新型コロナウイルスでパンデミックの恐ろしさを実感させられている。
今回は伝染病と健康の危機を見ます。


人類は病に翻弄された来た。
原始社会では、病への恐れが様々な因習(穢れなど)を生み、信仰を強化した。
中世ヨーロッパでは、人口の3割が死亡したペスト蔓延が宗教改革の引き金になった。


 
< 2. インフルエンザの猛威 >


ここ数十年、医療技術が発展しているにも関わらず、伝染病は世界を益々脅かしている。
日本と米国では、ここ三十年ほどインフルエンザによる死者は増加傾向にある。
SARSMERS、インフルエンザ、エボラ出血熱などウイルスによる伝染病が記憶に新しい。


2006年、経済学者が1918年のスペイン風邪が現在流行すれば死者は世界で1億4200万人に達し、GDPは13%減じると予測した。
これは死亡率3%での計算で、当時日本の死者は45万人だった。
しかし死亡率50%越える伝染病もあるし、通年発生するものもある。

他にもある。
エイズ、マラリア、結核、下痢などで毎年1300万人が死んでいる。
40年前に発見されたエイズの感染者は6000万人を越え40%が死亡している。

今後、地球温暖化が進行し、主に低開発国で栄養失調、下痢、マラリアによる死者と寿命低下は益々増大する(死者の増加は毎年数百万人)。

世界は医療と生活の向上により病を克服しつつあるが、まだまだ大量の疾病者と死者を生んでいる。
爆発的なパンデミックは、さらに問題を引き起こすことになる。


* 何が問題か *

近年、パンデミックが増大している理由は、人の高速広範囲の移動、自然破壊、貧困が大きい。
多くの伝染病はアフリカやアジアの貧しく、衛生と医療水準が低い地域から始まり、移動によって瞬時に拡散するようになった。

今回のように伝染病が世界に蔓延すると、グローバル化した経済は甚大な被害を受ける。
先ず、感染地で一部の生産と業務が停止し、さらに輸送と移動が制限され、これが連鎖的に広がり、数週間の内に国内のあらゆる物の供給が絶たれ、遂には世界も困窮状態に陥ることになる。
これは海外生産に頼る様々な装置の部品や医療資材(不織布マスク)の入荷停止、また国内の運送業者の休止を想定すれば容易に理解出来る。
この物流停止と移動できない異常事態は感染率が数%から十数%でも起きる。

今回、比較的死者が少なかった日本でもまだ影響は続き、GDPの減少は10%前後になるだろう。
これはリーマンショック(2008年金融危機)のGDP-5%を越える。
さらにセイフティネットが弱くなっている日本では企業の倒産、失業者が大きな後遺症になる(自殺者増加なども)。

また感染による恐れや恨みから、差別や敵対行動が増加し、社会や国際関係が不安定になっている。


次回、日本政府のコロナ対応から見える危機対応の危うさを考えます。


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