私は良い味を出す役者の山本氏を買っていました。
いつしか社会運動に身を投じ、参院議員にもなられて活躍が期待されていました。
ところが突然、天皇陛下に手紙を渡すことで耳目を集めることになりました。
挙げ句には、議員辞職を迫られる羽目になっています。
私にはこの馬鹿げた騒動の先にあるものに期待します。
山本氏の常識に捕らわれない行動から突破口が開かれることを望みます。
彼の行動の何が問題か?
問い1 :天皇に手紙を渡すことが悪い。
答え1 :江戸時代じゃあるまいし、お殿様に直訴をして斬首されることもないでしょう。禁止の罰則が無い以上、議員辞職の必要はない。
問い2 :天皇に不敬である。
答え2 :天皇を煩わした可能性はある。しかし象徴に過ぎず、政治に無関係な天皇に、社会状況を伝える手紙を渡すことが悪いわけではない。天皇が煩わしいと思うだけであれば、それまでのこと。
問い3 :政治的パフォーマンスだ。
答え3 :パフォーマンスの可能性はある。議員の立場で出したのなら政治的と指摘されても仕方がない。しかし与党は去年辺りから、天皇を国政のパフォーマンスに大々的に担ぎ出している。結局、計画的、大規模な企ては許され、突発的、個人的なことは攻撃にさらされている。
< 象徴から元首へ:倒幕の錦の御旗、日露戦争の凱旋、主権回復の日 >
問題の本質とは何か?
問い4 :なぜ与野党議員が一斉に非難するのだろうか?
答え4 :保守系議員は、天皇を国家元首に押し立てようとしている矢先であるから、これを機に、不敬であることを強く訴え、これを見せしめとしたい。一方、革新系は、戦争への歴史的反省から天皇を政治的(統帥権)に利用することを極度に恐れ、これを懲らしめたい。
問い5 :国民にとって何が重要なのか?
答え5 :彼の行動は、勧められたことでもないが大した問題ではない。彼は初心者で、歴史的認識や政治世界の常識に疎いだけであって、心情と逆転の発想、その行動力は将来が楽しみである。彼のような人を皆で応援し、立派な政治家することこそが重要です。
問い6 :彼の行動は時宜を得ていた。
答え6 :彼が意図していたかどうかわからないが、これを機に、与党の憲法改正案の問題点が浮かび上がってくるだろう、橋下氏の従軍慰安婦発言のように。改正案が実現すれば、天皇は象徴から元首に返り咲くことになり、より政治利用されることになるだろう。今回のような些細な一過性の事件ではすまない、今後1世紀に及ぶ問題になるかも知れない。そのこと認識させてくれた。
補足情報
1 天皇の存在を過去に戻す潮流 :与党の憲法改正案第1章第1条、今年4月の「主権回復の日」の天皇出席と天皇万歳唱和、五輪招致の総会での宮家参加などは、伏線になっている。
2 天皇存続を無批判で受け入れる危険 :明治維新がスムーズになされた一つの要因に、国が分裂しなかったことがあり、そのために天皇が役立ったと言える。しかしこの体制は政治的混乱が生じる度に、天皇が担ぎ出されやすく(政治利用)、特に天皇の統帥権を盾に、議会は無視された経験がある。よく似た状況にタイ王家があり、度々軍事クーデターが起こり、王が治めることになる。これでは真の民主主義が育たない。
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