20200102

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 18: 愚行は一度失敗したぐらいでは




< 経済を操る策術 >

当時の英国と日本、そして今の日本の経済状況はそっくりです。
また同じ愚を犯している。

実は、19世紀の英国と20世紀の日本で同じことが起きていた。

かつて国内経済が低迷すると、両国の大量の資金は発展途上国の開発に向かいました。
(かつて英国の資金が米国の発展に貢献したように良い例もあるが、英国のエジプトや日本の朝鮮半島に向かった例は・・)
そして失敗すると資金回収(没収や課税)や安全確保の為に軍隊が出動した。
これが帝国主義の一面です(侵略が伴うのは民族差別と結びついた時)。

さすがに現在は無理なので、お上任せの日本では国民が企業の海外損失を被るようになっている(輸出の保証契約で)。

現在、日本の企業は莫大な余剰資金を蓄えているが、国内経済は低迷している。
これは消費増税分が企業減税、賃金低下分が企業の余剰資金に替わり、このせいで国民の消費が落ち込んで、長期の経済低迷に陥ったからです。
すると企業家は余剰資金があっても国内ではなく海外に投資する。
(つまり大嘘のトリクルダウンは起こるはずもない)

今回の財界の要望にはもう一つの魂胆があります。
実に情けないのですが、財界はシステムと謳うが、要は既存技術の応用で儲けたいのです。
つまりチャレンジ精神を失っている。
これも英国の企業家が産業革命後に保守的になって衰退を始めたのと酷似している。

ここまで読めば憤りと言うより、無知と絶望を感じるはずです。
こんな馬鹿げた事が、白昼堂々と行われようとしているのかと!
知らぬが仏!

次回に続きます。

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 17: 嘘を見抜く 2



< 日本の表と裏 >

経済活性化策には落とし穴が隠されている。
政府は鉄道や原発のシステム輸出を狙っている。
これは日本にとって良策でしょうか?

多くの人は1件で1兆円近くの売り上げがあれば素晴らしいと思う。
一方で左翼は原発輸出反対と訴える。

少し中身を見てみましょう。

売上の多くは海外で生産されるので国内生産への寄与度は大きく無い。

一方で、輸出国に対して莫大な保証責任(事故・運営不備・予定経済効果未達の賠償)が生じ、加えてカントリーリスクもある。
(売るために過大な保証を付加している)
これら契約の隠された大問題は、最終の賠償責任は企業ではなく日本政府になっていることです。

原発輸出は既に二ヵ国で頓挫しているが、これは原発事故を受けて安全対策の費用が倍近くになったからです。
発展途上国での建設投資は内戦や暴動などで中止、資金回収不能が起こる可能性がある(かつてのイラン)。

それではなぜ首相は自ら頑張るのでしょうか?
この案件も財界(安倍トモ)の要望です。

財界の狙いは、ひとえに膨大な余剰資金を輸出国に融資し利息を得たいからです。
そして失敗したら国民が自腹を切って賠償する手筈なのです(税金など)。

もう一つ国民が見落としてはならないことがある。
それは現在のデフレ脱却には国内の設備投資増加が不可欠なのですが、首相が先陣を切って民間の国内投資を免除しているのです。

こんな馬鹿げた事は前代未聞と思うかもしれないが、歴史は繰り返しているのです。


次回に続きます。


20200101

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 16: 嘘を見抜く 1




< 躍進を謳い、没落を覆い隠す・・ >

政府の嘘を見抜くのは難しいが不可能ではない。
幾つか簡単に見ます。


* 「一億総活躍社会」、「すべての女性が輝く社会づくり」

これが謳われれて5年が過ぎましたが、お陰でこの間、世界の男女平等ランキング(WEF)は101位から121位へとさらに低下しました。

アベ支援者は偶然だ、中傷だと怒る。

実際、女性閣僚は少ない(人材が無いのか、男性優先なのか)。
他国では女性議員、女性の首相は当たり前だが。

また与党議員の女性蔑視の発言を聞いていると頷ける。
官僚が準備した法案は全て彼らの部会を通過しなければ議会に提出出来ないのだから(利権や心情のふるいにかけられる)。

ここ30年ほど日本の社会・経済指標の世界ランキングはほとんどで順位を落としています。
特に安倍政権になってからは旧落下と言えます。

世界約300ヵ国中、ランキングが分かるのは約200ヵ国、先進国は約30ヵ国でしょう。
日本のランキングは、昔は10位前後から多くは10位台であったが、今は20位台から悪化するものは100位を越えるものが増えて来ました。

これらランキングを認めない人もいるが、国連やそれに準じる機関の信頼度を全否定することは無理です。
どちらにしても、一様にランキングが低下し続けているのですから。
(米国の一部機関で日本の評価を上げる所もあるが)

アベ支援者は他国が上昇しているだけ、我が国は株価が上昇しているじゃないかと言いそうだが。


次回に続きます。



20191230

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 15: 規制緩和と言うけれど 2



< 優秀な官僚達の冬 >

規制緩和は素晴らしい!
本当にそうなのか?

確かに規制緩和が競争を促し、価格低下を促すことはある。
しかし競争の条件が整っていなければ逆もある。
(寡占で価格アップか、賃金低下でデフレを加速)

安倍政権が行った水道民営化や移民拡大などは将来に大きな禍根を残す。
なぜなら海外の多くで悲惨な結果が出ている。

その一方、でたらめに緩和はするが発展の癌は放置する。

ところで、なぜ中国でスマホを使ったインタネット金融がここ20年弱で世界のトップに躍り出たかわかりますか?

これは産業スパイとコピーのお陰だ!(右翼)
実は中国企業のIT関連特許出願件数は世界でトップです。

アリババなど2社の取扱い金額は既に中国の全銀行を凌駕した。
(大手銀行は中国の公営企業で、これを脅かしているから驚きです)
これは政府が産業育成の目標を持って改革開放を続けているからです。

一方、日本は「おサイフケータイ」を2004年に始めていたが、そこまでだった。
一つには官僚が、既存の銀行業を守るため当初制限を設けたからです。
日本では、日常的に官僚が煩瑣な規制(指導)を行っている。
銀行が後に彼らの天下り先になるのは偶然だろうか。

政府は改革・規制緩和と言いながら、相変わらず官僚を抱き込むため彼らを野放しにする。

かつて日本の太陽電池は世界を牽引したが、原発を優先する為に、これを切り捨てた(中曽根)。
口惜しい!
事務方の官僚や呪縛された政治家らに先の産業が読めるのか?


次回に続きます。


人はなぜ愚行を繰り返すのか? 14: 規制緩和と言うけれど 1




< 日本を導くもの >

様々な会合をリードしている安倍さんが頻繁にテレビに映る。
皆さんはかなり期待したはずだ。

例えば働き方改革はどうか?

政府はデーターを捏造してまで法案を通し、雇用の規制緩和に邁進した。

この間違いを経済的に説明することは可能だが、誰の為にやっているかが分かれば話は早い。

結論は米国と日経連(企業経営者)の為です。

米国は1996年「規制撤廃要望書」、2002年「日米投資イニシアティブ」で、労働者の流動性と派遣サービスの拡充を強く要求して来た。
これは米国企業が日本に参入するための地ならしでした。
(派遣サービスはかつて米国経済復活で持ち上げられたが、賃金格差の温床とも言える)

日経連は1995年「新時代の日本的経営」を上梓し、正社員を減らし、雇用保障も無くすべきだと訴えた。
(これは80年代、米国の要望に従って政府と日銀が無茶をやってバブルが弾けた為に、打開策として日経連が労働者に犠牲を求めたものです)

これを受けて小泉政権から安倍政権へと、規制緩和が大々的に進められ、なぜか国民も期待した。
(米国と日経連は大助かりで、与党と官僚に痛みが伴わず、大半の国民が喜んでくれるのですから万々歳)

その結果、非正規雇用が年々増加し、賃金は低下し、経済成長も零近辺に張り付くようになった。
これは米国流の当然の帰結だが、北欧などはむしろ賃金上昇を図り成長を手に入れている。

次回に続きます。

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 13: パフォーマンスの実体は



< 事実は明々白々 >

首相の人気は役者張りのパフォーマンスにある。
実体は額面通りか、それとも真逆なのかをチェックしてみよう。

外交の安倍と讃えられている

なぜか絶えず海外に出て、ロシア行きは20回を越えた
彼は自らプーチン大統領と北方領土返還を交渉して来た。
これは快挙だと期待された。

結果はどうだろうか。
初め4島返還を大々的に訴え、いつの間にか2島返還にすり替え、今ではすべてを諦めざるをえないようだ。

しかし救いもある。
これで沖縄返還の核持ち込みのような密約が行われる可能性は消えた(与党の十八番)。

それにしても、従来は首相が大局を見て判断し、命じられた外交官が粘り強く交渉を重ね、最後に首相が調印の運びとなるのだが。
今回は、首相直々の面談がTVから頻繁に流れたが、その一方、北方領土返還の目を潰したと言える。

実は、北朝鮮の拉致家族帰還で人気を博した安倍さんだが、同行者は当時彼が反対したと告白している。

つまり外交はアピールが目的だと言えそうです。


次に続きます。

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 12: 救う手立てはないのか



< 百面相 >

ここまで腐敗と衰退に陥った国を救うのは困難です。
しかし一歩前に踏み出すことは出来る。
それは政府の嘘を見破ることから

加計・森友問題、伊藤詩織事件、桜を見る会などの真実を白日の下に晒すことは困難です。
確かに、野党は決定的な証拠を突き付けることが出来ない。
従って、左翼の陰謀とか印象操作とも批判されている。

普通に考えれば、政府を監視し調査する権利を奪われた野党、証拠を隠滅する政府では勝敗は決まっている。

したがってこれ以外の政府の大嘘を見て行きましょう。

言い方を替えれば、パフォーマンスやイメージだけで、中身が無いだけでなく、国民の権利や未来の生活が毀損されているとしたら。

怪しげな動きは満ち溢れています。

例えば、既に外交、貿易交渉、経済、国民優先、規制緩和などで化けの皮が剝がれている。

また首相には「類は友を呼ぶ」、「その人を知りたければ、その友人を見なさい」の言葉が当てはまる好例が実に多い。


次回に続きます。



20191229

中国の外縁を一周して 14: 北京、頤和園の後半




*1

今回は、頤和園の後半を紹介します。
登りがあるので疲れますが、変化があり楽しめました。
撮影は2019年10月19日10:50~12:30です。

 
< 2.散策ルート、上が北 >

赤線が散策ルートで、Sから始め、駐車場Eで終わります。
駐車場からは、北京の観光周遊バスに乗って北京中心部まで戻ります。


 
< 3. 排云殿から登り始める >

標高差60mほどの急な階段を昇ります。


 
< 4. 仏香閣の前からの眺め >

上: 登って行く時に、右側に見える奇岩と建物。
手前から敷华(奇岩群と思われる)、转轮藏(一群の建物)です。

下: 昆明池が広がる。
ガスっていなければ絶景なのですが。


 
< 5. 仏香閣 >

上と左下: 仏香閣

右下: 1階に安置されている南无大悲观世音菩萨。
高さ5mで、明朝の1574年に銅で鋳造された。
ここは1860年の英仏連合軍によって焼かれたが、後に西太后が改修した。
後の文化大革命にも、この像は残った。
それは管理局がこの仏香閣の正面に毛沢東像を置いたからだそうです。
中国を旅行していて、本物の古い物が博物館以外で見られることは少ない。
ありがたいことです。

今回、頤和園を是非とも見たかったのは、ここが西太后との因縁が深かったからでした。
西太后はこの頤和園を愛でる為に、莫大な費用をかけて改装した。
本来、日清戦争の軍備に回すべき資金を使い果たした。
敗戦を招く愚かな行為の代償がここに残っている。


 
< 6. 仏香閣から >

上: 仏香閣を出て、敷华と转轮藏を見下ろす。

左下: 众香界(門のような建物)を見上げる。

右下: 仏香閣を見る。


 
< 7. 四大部洲 >

私は仏香閣を抜けるとすぐ万寿山の峰に出て、北側に下山し始めました。
すると異様な光景が目に入って来ました。
私は訪れたことは無いのですが、眼下にチベット仏教様式の建物群が広がっていました。

なぜチベット仏教なのか?
そう言えば映画「ラストインペラー」で、西太后が死去した時、宮殿内をチベット僧らしき人が行き来するシーンがあった。

帰国後、調べました。
「四大部洲」とは、仏教で須弥山(しゅみせん)の四方の海の中にあるという四つの大陸を指します。
どうやら須弥山を中心にして、4大陸を象徴する建物が配されているとのことです。

それにしてもチベット様式でなくても良いはずなのだが。
金や元の時代に、中国の仏像がチベット仏教の影響を受けたことはあったが、一時期だけのものと思っていた。
しかし後に清朝は苦戦を強いられながらもチベットを征服した。
この事で、ここに四大部洲を再現するためにチベット様式を取り入れたのか?
もう一つ釈然としない。

それにしても巨大だったこともあり、突如異国に来たような感覚に囚われた。


 
< 8.四大部洲の下側 >


 
< 9.苏州街(蘇州街)に入る >

上: 四大部洲を見上げた。

下: 四大部洲から真直ぐ北に下ると、石橋の欄干が見えて来た。
ここが蘇州街です。


 
< 10. 橋の上から両側を見下ろす >

今回、楽しみにしていた所です。
ここは江南の水鎮を模した売店が並んでいます。
乾隆帝の時代に造られ、様々な品物を扱う店が並び、宮廷の宦官や宮女が店員に扮して皇帝を迎えたそうです。
唯一の宮市の名残りだそうです。
ここも戦火に遭い、1986年に再建された。


 
< 11. 苏州街の西の端 >

上: 西の端から中央を望む。
中央の石橋が見える。

下: 同じ場所から反対方向を望む。
こちらを進むと昆明湖に出る。


 
< 12. 中央の石橋 >


 
< 13. 東の端付近 >

それぞれの店は小さく、ほとんど売店です。
川と売店の間の道幅は非常に狭い。
私は上の写真の奥辺りの店で昼食をとった。
手軽だったので入ったが料理は即席で興覚めでした。


 
< 14. 出口を抜ける >

頤和園は後半の方が、変化に富んで面白かった。


次回に続きます。







人はなぜ愚行を繰り返すのか? 11: 理解を妨げるもの 2



< 右も左も、右ばかり >

右傾化が日本を最も危険に陥れている。
これは左翼のデマだ! 
しかし違反や失策を認めても良いでは。


右傾化した人々の絶大な影響力

*右傾化した人々にとって、今の首相に替わる人物はいない。

彼は正に、「敵国が攻めて来る恐怖を理解し、力で相手をねじ伏せる強いリーダー」に他ならない。
従って、縁故主義や選挙違反、失策の隠蔽や捏造があったとしても、国土防衛の前では些細なことに過ぎない。
つまり「大事の前の小事」に過ぎず、無視すべし。

さらに政府と大半のマスコミは隣国の恐怖を煽り、首相が正しいとのキャンペーンを続ける。
すると右傾化に縁の無かった人も流されていく。

人は恐怖心を煽られ、さらに愛国心で隣国への敵意を深めてしまう。
こうなると他は些細なことに見えてしまう。
これを逆手に取って人気を得たのがヒトラー、林彪、ブッシュでした(最後は悲惨)。

こうして政治風土、保守化、右傾化の風潮が一般国民にも波及し、今の自浄作用が効かない世情になった


次回に続きます。

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 10: 理解を妨げるもの 1



< 日本を埋め尽くす壮絶な応援団 >

政治風土と保守化が日本を危うくする。
これはデマだ!  
しかし間違いを正しても良いのでは。


間違いを拒絶する理由

*選挙の地元は、「首相は我らの大将」だから絶対認めない。

今までも誤りを犯した議員は罪を認めず、運悪くバレても短期間のみそぎで復活を果たしている。
地元は、より多くの恩恵を他から分捕ってることを議員に期待するだけ。
この政治風土が腐敗の土壌になっている(発展途上国並の理由)。

与党は昔から証拠隠蔽、問題追及の妨害を繰り返しており、この議会運営に巧みな者が出世している(与党は魑魅魍魎の世界)。
しかし長期政権で驕りが酷く、ボロ隠しが間に合わなくなってしまった。


*既得権益層にとっては与党、それも剛腕をもって望みを叶えくれる首相こそが繁栄を約束する。

首相の人気が陰ってしまうと、現在進めている経済界と米国、官僚と与党の為の政策を打ち切られる。
したがって間違いを認めてイメージダウンをさせてはならない。
その為には飴と鞭でマスコミとネットを使い、イメージキャンペーンとフェイクを流し続けなければならない。


次回に続きます。