< 1. 大統領(実業家)、金融資本家、右翼の合体 >
なぜ今、北朝鮮問題に火が付いたかをこれまで見て来ました。
そして国民は踊らされてヒステリックになっていることもみました。
実は、この状況は世界の潮流が招いたと言えるのです。
このことを確認し、連載を終えます。
*2
はじめに
私は世界が右傾化していると指摘しました。
また世界経済は自由放任主義によって金融偏重と格差拡大を招きました。
おそらく多くの方は、このことを実感しておられることでしょう。
しかし私はなぜ先進国が軒並み右傾化したのかを上手く説明できずにいました。
この理由として、欧米で所得格差が拡大したこと、中東の戦乱が移民や難民の大量流入を招いたことを挙げました。
しかし、これでは日本や米国の右傾化やポピュリズムをうまく説明出来ていない。
実は、1980年代頃から世界で経済とは異なる次元の変化が起きていた。
それはハンチントンが「文明の衝突」で指摘した現象と言えるかもしれません。
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世界の右傾化の背景にあるもの
はじめに、多くの方が知っている世界の幾つかの変化や遠因を挙げます。
私が連載「中東に平和を」で取り上げたように、イスラム復興運動が1980年代から中東で勃興し始めました。
この遠因として、パレスチナ問題や米国主導の中東での戦争がありました。
さらには20世紀前半に世界中で起こった植民地からの独立と国家再建運動がありました。
20世紀末には日欧米の経済はバブルを繰り返しながら停滞していました。
1991年にはソ連が崩壊しました。
一方で、かつての非欧米諸国、植民地だった国が高い経済成長を始めた。
これを象徴するのがブリックスの経済発展で、特に中国の躍進でした。
これらの事実を関連づける世界の潮流とは何か?
ポイントは三つあります。
一つは、欧米や日本などの経済が軒並み失速し、自信を無くしてしまった。
(米国経済は成長しているが、一握りの富裕層の富を増やしているだけです。)
この理由は定かではないが、日欧米では人口ボーナス期が終息していることが大きい。
これに欧米主導のグローバリズムによる産業構造の変化で起きた失業と格差拡大が加わった。
今一つは、多くの独立を遂げた国では、グローバリズムの荒波の中でアイデンティティを意識することになった。
これがイスラム教だけでなく他の世界宗教(キリスト教など)にも宗教復興(原理主義)へと向かわせた。
例えば、再建中の国では少なからず欧米化(近代化)を目指していたが、その軋轢(都市化による疎外感、混乱や貧困)に苦しむ二世代目を癒したのは連綿と続く文化(宗教団体の献身など)でした。
また経済発展を遂げた国、特に欧米化せずに成し遂げた国では自らの文明に誇りを持っようになった(中国や中東産油国)。
最後の一つは、冷戦終結に代表されるイデオロギー対立の終焉でした。
大きな対立が消えると、他者との新たな識別(文明、宗教、民族)による自己確認が生まれた。
こうして世界は文明毎(主に宗教単位)に団結を強めるようになっていった。
さらにこれに火に油を注ぐことが起きた。
*4
何が火に油を注いだのか?
分かり易いのはネオコン(新保守主義)が主導したイラク戦争でした。
ネオコンは、民主主義や自由主義を遅れた国に広める為には、武力も辞さないとした。
これは先進国の右派にも左派にもある意識で、それまでの繁栄による驕りが招いたと言える。
しかし、武力介入を受けた国では民主主義が定着するどころか欧米への反発を招く結果となった。
実際、アフリカや中東では数々の武力介入が、混乱と疲弊を招き、膨大な難民を発生させてしまった。
こうして、世界は文明毎(主に宗教や民族単位)に対立を深め、先進国は被害者意識を強め右傾化(ナショナリズム)し、さらには金融資本家が支配する信頼無き政治に絶望した国民はポピュリズムに走ってしまった。
こうしてトランプ、ルペン、安倍が人気を博すようになってしまった。
*5
まとめ
結局、100年前の帝国主義(植民地)の残滓に喘ぐ国々と、100年間ほど繁栄を謳歌し早くも衰退する日米欧が、ぶつかり合う中で今の右傾化とポピュリズムが起きている。
これは実に危険な兆候です。
恐らくはヨーロッパで帝国主義が沸き起こった背景にも、同様の国内外の葛藤が起きていたのでしょう。
出来れば、皆さんが冷静になり、歴史を踏まえて正しい判断をして欲しいと願います。
最後に
タイトルに「戦いの始まり」としたのは、朝鮮半島で戦争が始まろうとしていることを言いたかった。
さらには、国民にとって抗しがたいことですが、「右傾化とポピュリズム」と戦って、勝利して欲しいと願ってのことでした。
これは幾度も歴史上繰り返されて来た・・・・・
どうか皆さん、この選挙の一票を大事にしてください。
日本の将来が安泰であることを祈って、この連載を終えます。
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