20261007

連載 国民の責任 2; 皇軍が選んだ道

 


国が戦争を始めた時、「国民に責任があるのか」、日本と米国について考えます。

 

 

日本が戦争に至った道

 

日本が、かつて太平洋戦争に突き進み、世界と自国に多大な損害と苦しみを与えた。

約80年が経った今でも、隣国との軋みを感じる日々が続いている。

 

明治維新後、日本はいつから軍事独裁国家になり、大戦へと突き進んだのか。

1931年の満州事変以降、日本を戦争に引き込んだのは過激な陸軍中堅幹部達でした。

その後、良識ある政府要人や海軍首脳は戦線拡大を懸念し、大戦に繋がる日独伊三国同盟に反対し続けた。

反対理由は、同盟締結が米国を参戦に向かわせ、日本は米国の圧倒的な軍事力の前に敗戦確実と考えたからでした。

しかし陸軍のナチス・ヒトラーへの信奉ぶりは凄まじく、「勝ち馬に乗るべきで、三国同盟締結こそが米国の参戦を思い止まらせる」と考えた。

そして頻発する暗殺事件(5.15と2.26事件等の軍人蜂起)と盛り上がる世論は日本を飲み込んでしまった。

これは軍部が退役軍人会や右翼を用いて煽情し、憲兵を通じて国民を統制したことも大きく影響していた。

また戦争統帥部(天皇・軍部と内閣)の責任があやふやだったことも災いした。

もし満州から日中戦争へと拡大していなければ、日本は世界大戦に巻き込まれる事はなかっただろう。

 

 

何が問題だったのか?

 

この間、日本の上層部(内閣と軍部)は、独・米・ソの意図を幾度も読み間違い、甘い期待を持ち続け、特にドイツには見事に裏切られ、失敗を繰り返し、深入りしていった。

 

当時、海軍首脳の米内光政と山本五十六は、ナチスの敗退とヒトラーの裏切り、そして日本が米国に負ける事を想定していたので、三国同盟に終始反対していた。

米内(よない)は、世界各地の駐在経験とヒトラー「我が闘争」の読後感、またドイツの国情から、ヒトラーとドイツ軍事力は信じるに足らずと判断していた。

しかしながら当時、陸軍は気に食わなければ大臣入閣を拒否し、政治を麻痺させ続けたので、結局、同盟締結に引きずられてしまった(陸軍の行為は子供じみていた、トランプと似ている)。

陸軍はナチス・ヒトラーを信奉し、常に戦争継続を目論んだ。

この立役者は松岡外相と東条首相と言えるでしょう。

日本が日独伊三国同盟を締結した事と日本軍が南進(東南アジア侵攻)したことで、米国は日本にもドイツと同じ世界侵略の意図ありとし、日本との決戦を準備した。

 

 


 

「左から海軍の米内光正と山本五十六、松岡外相と陸軍の東条秀樹」

 

 

同盟締結の経緯で見えてくる狭量な軍人魂

 

同盟締結は米国との開戦を招いてしまった。

 

先ず、彼らは独裁者ヒトラーに完全に魅了されてしまっていた。

確かにドイツが一丸となり軍事力の急拡大、また当初の電撃侵攻には目を見張るものがあった。

しかし、彼らは、ドイツが海軍力と資源に乏しく英米相手の快進撃が継続不能だと読めず、さらにヒトラーをまったく疑わなかった事は致命的だった。

実際、ドイツは当初、日本と共にソ連を封じ込めようとしていたが、突如、ソ連と単独に和平条約を結び、さらにまた侵攻し敗北してしまった。

陸軍は裏切られたが、後の祭りだった。

日本の致命的なミスは、負けを取り戻す為に、もう一度だけ勝って有利な和平を結ぼうと戦い続け、負けを繰り返したことにある。

これは冷静に見れば不可能だった。

こうして原爆が投下されても、軍部は1億総玉砕で国土が灰になってもまだ戦おうとした。

また日本は真珠湾攻撃まで、和平工作と戦闘準備の両面で進んだが、連絡通信の暗号が解読されており、米国は日本の戦争準備を把握していた。

 

戦争を牽引した軍人達は、燃え盛る戦意だけは十二分にあったが、広く情報を集め冷静に分析する意識を持ち合わせていなかった。

 

 

当時の軍人の思い

 

初期において陸軍の脳裏にあったのは、米ソとの決戦に備え、満州を手に入れ、ここを橋頭堡にすることでした。

しかし欲をかいた一部の将校が、泥沼の日中戦争に突入させ、将兵の死者が45万人になった。

この不名誉を挽回せんが為に、米国提示の和平条件だった中国からの撤退が出来ずに、ずるずる深みにはまって、さらに甚大な被害を招いた。

そこで、頼ったのは力強く見えたナチス・ヒトラーだった。

そして日本はヒトラーに見事に裏切られ最後の一国になり、英米に加えてソ連の攻撃を受けて敗戦した。

 

愚策を選んだ人々は「ヒトラーに魅了された人々」であり、ナチス礼賛者だった。

明らかに、熱に浮かされた視野狭窄の多数が、視野の広い冷静な少数を追いやり、独裁者に付き従い、暴走していった決末が、太平洋戦争の敗戦でした。

ナチス・ヒトラーの悪行をみれば、幾つかの些細な長所があったにせよ、彼らに国を任せ、追従した指導者層の責任は重い。

少なくとも、ナチス・ヒトラーの危険性に気づいていた人々が、当時日本にいたのですから。

 

 

--目次---

 

1話;悪化の責任は誰に

2話;皇軍が選んだ道

3話;独裁に魅了された人々

4話;皇軍の軍人魂とは

5話;日本の戦争を振り返る

6話;軍備と敵について

7話;戦争に向き合う

8話;米国民へのお願い

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

20261006

連載 国民の責任 1; 悪化の責任は誰に

  


 

国が戦争を始めた時、「国民に責任はあるのか」、日本と米国について考えます。

 

 

国民の責任とは何か

私は、米国の現状を見ていて「国民の責任」を痛感するようになった。

もしトランプが独裁を完成させ、米国のみならず世界をも悲惨な状況に陥れたとしたら、誰の責任なのか?

現状のトランプはまだ未完ですが、放置すれば確実に独裁者になるでしょう。

その責任は、彼を担いだ人々にあるのは確かだが、「彼を選んだ国民にも責任はある」と考える。

 

 

それはなぜか

もしトランプの戦争がやがて大規模になり、国内外に甚大な被害や死者をもたらすようになれば、誰が責任を負うのか?

米国は、大戦後、数々の戦争を行って来たが、さらに大規模で無謀な戦争を始める可能性は、独裁者登場でより高まる。

トランプを煽情家・詐欺師に例えると、騙された米国民は被害者であって責任は無いと思うかもしれない。

この場合でも「過失により他人に損害を与えた責任」は米国民にあるだろう。

トランプに票を投じた人がより責任を追うべきだが、これを放置した人にも幾分の責任がある。

 

 

微妙な問題

ナチス・ヒトラーを生んだドイツ国民や日中戦争を始めた日本国民に責任はあったのか?

当時のドイツは民主主義国家であり、ナチスは選挙で選ばれていたが、独裁の完成はヒトラーの陰謀無くしては不可能だった(国会放火事件と非常事態宣言による共産党排除)。

少なくとも、当時、ナチスに票を入れた約3割の国民には過失があったように思える。

 

満州事変を始めた当時の日本の国会は、選挙で選ばれた二大政党によって運営されていた。

しかし、政治は戦争を望む軍部に牛耳られており、民意が反映される状況にはなかった。

国民が軍部の暴走を押しとどめることは極めて困難でした(治安維持法、年国家総動員法)。

これからすると、当時の国民に過失責任を問うことには無理があるかもしれない。

 

しかし、その後、両国民は対外侵攻に期待もし熱狂もした。

 

 

今の米国はどうだろうか?

米国民は、益々生活が暮らし難くなる中にあって、「悪化させている奴らを簡単に排除してやる」と言われ、その煽情者(トランプ)に解決を託してしまった。

これを可能にしたのが、長年続いていた既得権益層によるポストトゥルース、オルタネイティブ・ファクト(代替的事実)等の真実隠しでした。

真の悪化要因は半世紀に及ぶ政治にあり、連載「迫る多難な危機」の第四章で説明しました。

ここ10年ほどは、インターネット上の煽りやフェイクが加わった。

さらに悪いことに、宗教的信念が利用されて約1/4の米国民が煽情者を頑なに信じてしまった。

それでも煽情者の嘘と恐ろしさに気づいている人々は半数近くいる。

 

この状況を見るなら、宗教的な人々も含め、騙され煽情されている国民の約半数には責任があるように思えるが、疑問も残る。

 

騙され煽情されて誤って選択した人々に責任はあるのだろうか?

彼らは詐欺師に騙されたのと同様ではないか?

これを言うなら、ヒトラーの煽情に乗せられナチスに投票したドイツ国民も、言論統制下で軍部独裁に抵抗出来なかった日本国民も同じです。

 

それでは、「堕胎禁止、同性婚反対、イエス復活に繋がるパレスチナ攻撃」等の宗教的信念実現との交換条件で独裁を許容する人々の責任はどうなるのか。

この人々は、実現を可能にした独裁的な手法を賞賛しているが、独裁の本当の恐ろしさを知らない。

ヒトラーも総裁選を前にして、議席確保のため、教会を保護する約束と引き換えにドイツ中央党(カトリック系政党)を味方に引き入れた。

このような手口で宗教団体を政治に利用した政治家こそ責められるべきではないのか?

 

国が間違った方向に進む時、国民は微力かもしれないが、重要な選択を迫られ続けるものです。

この問題を紐解いていきます。

 

 

---目次---

 

1話;悪化の責任は誰に

2話;皇軍が選んだ道

3話;独裁に魅了された人々

4話;皇軍の軍人魂とは

5話;日本の戦争を振り返る

6話;軍備と敵について

7話;戦争に向き合う

8話;米国民へのお願い

 

 

次回に続きます。

 

 

 

20261004

要約  迫る多難な危機  

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

まえがき

 現在、深刻な危機が我々に迫っています。さらに大国の横暴が目に余るようになり、より危険度が増しています。今、我々と米国民が立ち上がらなければ世界は手遅れになります。

Make the world and people happy again!

 

 

 

世界は危機に晒されている   第一章の要約

 


 

 

 10を越える世界的な危機が我々に迫っている。戦争・紛争の増加、独裁国家の増加、経済格差の拡大、再来する巨大金融危機、投機マネーの暗躍、深刻さを増す地球温暖化、ITに続くAI革命の脅威、激しくなる国内の分断(右翼ポピュリズム)、分裂を始めた世界の協力体制等です。

 

しかし喫緊の課題は米国の独裁化で、これが完成してしまうと米国だけでなく世界が破滅する。

 

 

 

人類は危機を乗り越えて来た    第二章の要約

 

 今の米国を見ると、手の施しようがないようにも思えるが、人類は、様々な危機を幾度も乗り越えて来た。戦争の終結に向けて平和条約を締結した幾多の国々、独裁者や大国の侵略から独立を非暴力で勝ち取った国民、拡大した貧富の差の解消を目指した改革者、繰り返す金融危機への苦渋の対応、公害や環境破壊への多国間の協力体制、産業革命で対立を乗り越え民主社会を築き続けた労働者、社会の分断を未然に防いだ優れた指導者、世界の平和と幸福に貢献し続ける世界機関創立などがその例です。

 

 我々人類は、数千年の間、危機、苦難、社会や国同士の対立を乗り越え、より平和と幸福を勝ち取って来た。英知を持って行動すれば必ず道は開ける。

 

 

 

 

我々が直面している危機   第三章の要約

 

しかし、21世紀以降、世界は悪化の度合を急激に深めている。

 


 

 

 喫緊の課題を採り上げます。先ずはプーチンとウクライナ侵攻です。これは独裁者の常であり、放置すればヒトラーによる大戦の二の舞いになる。注意が必要なのはトランプがプーチンと繋がっている可能性が高い事です(事実を積み重ねれば見える)。

 

多くの国で、勢いを増す投機マネーの横暴さと税金逃れが格差拡大とインフレを亢進させ、福祉削減が追い打ちをかけるように国民を益々苦しめている。

 

 地球温暖化は、既に取返しのつかない状況に陥りつつある。長期戦になるが今から防止策の遅れを取り戻す必要がある。

 

いま始まったAI革命は、適切に制御出来れば、人類に大きく貢献するだろう。しかし、人知を超えたAIは人類最悪の脅威になる可能性が高く、既にこの危惧は現実になり始めた。放置すれば手に負えなくなる。

 


 

 悪いことに、世界から最も頼りにされていた米国でアメリカンドリームが潰え、貧困と絶望死が増えた結果、分断の嵐が吹き荒れ、遂にはトランプによる独裁が現実化して来た。この米国の悲劇をもたらした真因は、多くの先進国の経済にも深く根付き、各国で右翼ポピュリズムが吹き荒れ、世界は分裂を深めている。

 

 このまま行けば、米国は人類史に大きな汚点を残すか、最悪、世界と共に滅ぶかもしれない。

 

 

 

 

緊急に対応しなければならない危機   第四章の要約

 


 

 

「米国民は、なぜこんな悲惨な道を歩み続けたのか?」の謎を解くことで、そこから脱出する方策が見える。

 

ポイントは三つある。

 大半の国民に取って希望が無くなり、生活が苦しくなったのは、80年代に始まる新自由主義(共和党レーガン大統領が始めた)にあります。これは規制のない自由市場、労働者(福祉政策低減も)を見捨てる、累進課税の撤廃、金融業界重視等が、長い年月を掛けて富裕層・大企業を繁栄させ肥大化させた。これがインフレを亢進させ、政策が富裕層・大企業にコントロールされるようになり、結果的に大半の国民の賃金が上がらなくなった。この悪弊は、日欧等の先進国にも共通しており、いずれ大問題になる。

 

 グローバル化やIT革命も災いしているが、この期間でさえ就業者数は着実に伸びていた。問題は労働者が適切に高賃金労働へと転職出来なかったからです。これについて北欧各国はうまく対応している。米国共和党は何ら手を打たなかった。民主党は高度知識社会対応で高学歴化を促したが、効果は限定的でした。移民は、低技能職で多少低賃金化を招いたが、米国経済や高齢化に貢献しているのは確実です。一部の治安悪化は、差別による経済格差を放置していることの方が影響している。

 

野放しの自由は腐敗と独占を生み、国民にとって取返しの付かない悲惨な状況を招いた。

 

 

 二つ目は、これらの事実を隠すために様々な目くらましが行われた来た事にある。共和党と大企業(FOX等も)が長年流して来た「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」の洪水があり、トランプが完成させた。既得権益層(笑い)が、単純な陰謀論「ディープステート(闇の政府)」をでっちあげて国民を洗脳したが、それを信じてしまうほど社会は分断され、右翼ポピュリズムが勢力を持つようになっていた。トランプ現象は当然の帰結でした。このオルタナティブ・ファクトの歴史は、ニューディール政策を貶める事に始まり、フロンガスやタバコの害を無害と偽り、気候変動は起きていないと言い募る事に象徴されている。さらに、21世紀以降、インターネットとSNSが加わり、フェイクや怒りに煽情されやすくなってしまい、選挙が操られるようになった。加えて最高裁が保守派に牛耳られた事で、金権選挙がまかり通るようになり、益々既得権益層に有利になってしまった。

 

こうして米国民は真実が見えなくなってしまい、操られるようになった。

 

 

 三つ目は、キリスト教原理主義(復古・懐古主義)、これは米国特有です。ヨーロッパのキリスト教は世俗化が進んでいるのですが、米国のこの教派は、西部開拓の名残で、信仰は回心(理性を失うほどの情熱)が重視されており、幾度も熱情に駆られ米国社会を揺り動かして来た。これに火が着いたのは、大戦後の赤狩り(共産主義)に象徴されるように、非白人移民の大量流入とリベラルな人権運動への危機感からでした。彼らの異常なまでの恐怖感と敵意は、多くの海外侵攻を後押しして来ました。また米国には裕福なユダヤ人が多い事から、イスラエル支援に繋がるハルマゲドン信仰も勢いを得たのでしょう。

 

 共和党は、この教派を選挙に取り込んだ事で勢力を拡大し、かつ彼らの政策が科学的・論理的な帰結である必要がなくなり、自由度が増した。実は、この手口は、多くの疲弊した国で行われ、権力奪還を目指す既得権益層が、原理主義的な教派を取り込むことで成功している. サウジアラビアのイスラム原理主義、プーチンのロシア正教、イスラエル、イランやインドでも見られます。この同盟は権力者と教派には利益が多いのですが、間違いなく国民にとっては悲劇になります。この宗教問題は、今後も深刻な問題を起こすことになるでしょう。

 

宗教は、地域と人々に安らぎをもたらすが、往々にして人々を盲目にする。

 

 

 

放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか   第4と5章の要約

 

 米国民が、この中間選挙で政治を正常に戻すことが出来なければ、今後、非暴力で二度と再起は出来ないでしょう。是非とも、米国の良心を世界に示していただきたい。これに成功しなければ、プーチン、トランプ、イスラエル、中国、北朝鮮が、世界を戦火のるつぼに投じる可能性が現実味を帯びる。さらに幾多の重大危機を止める事が不可能になってしまう。

 

 どうか良識ある米国民は、科学と真実を尊重し、不道徳極まりない人物を廃して、かつて希望があり成功した自由民主主義社会を取り戻してください。米国の若い人は、現在、苦しい状況が続いており、世界の為とか独裁阻止よりも、日々の糧の方が先かもしれないが、トランプでは、絶対に悪化するだけです。理由は明らかです。彼の大言壮語・虚言、非科学的・非論理的、政策を理解しない、エゴ・独善的、どれをとっても、これからの困難な時代に彼が不適任であることは明白です。

 

 ヒトラーは演説で国民を魅了したが、所詮、一介の画生・兵卒であり、政策は素人でした。初期には周辺に逸材がいて、上手くやれたのですが、後に彼らはヒトラーによって粛清された。トランプのビジネスキャリヤは、倒産の連続で、スラップ訴訟多用で、何とかやってこれたところがある。信じるに値しない人物は避けるべきです。

 


 

 

最後に

 米国が立ち直ることは容易ではないが、世界と歴史を見れば、けっして不可能ではない。残念ながら日本の中枢を担う官僚が内向きなので、このような危機に即して役に立たない。申し訳ありません。しかし社会制度は北欧の福祉国家が参考になるので希望はあります。

 

 

 

ながらく拝読して頂きありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

20261003

短縮版 迫る多難な危機  第五章、第六章 終了 

 

 

「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 



この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。

Make the world and people happy again!

 

--- 目次  ---

第5章 放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか

 5-1 米国は独裁国家に向かう

 5-2 世界は戦争に向かう

  5-3 我々は如何にすべきか

第6章 参考

 6-1北欧に学ぶ

     

 

 

第5章 放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか

 

 前章では、米国の異常事態は、経済政策の失敗と富裕層に利する社会になってしまった事が大きいと論じました。そしてそれを正常に戻すことも困難であることを見てきました。この章では、米国の今の状況を放置することが、米国民だけでなく、世界を破綻に陥れる可能性があることを見ます。

 

 

1 米国が独裁国家へ向かう


 

私が一番恐れているのは、早ければ米国がトランプを首班にした独裁国家へと今年中に変貌する可能性です。彼は政権を牛耳り身を守る手口を日々露骨に使っています、悪行がバレないように職場のトップを挿げ替える等。また都合が悪くなると支持者を煽り不正選挙を正すとして議事堂占拠を扇動しました。これらがエスカレートしていって独裁者にならない方が不思議です。トップは独裁が可能なら独裁の方が遥かに楽なのですから。強欲で道徳意識が欠落し、虚偽を毎日に吐くような人物は、独裁に何の抵抗も無いでしょう。

 ここで矛盾した米国の現状に幻惑することになります。様々な心理学実験で、人は乳児から大人まで、嘘つきを嫌い、犠牲を払ってでも罰まで与えることが確認されています。これは、嘘つき(裏切り者)を排除しないと、社会集団が崩壊してしまうことから、長い進化の過程で脳に刻み込まれた強力な生存戦略の一つだと考えれているのです。ところが、毎日、大統領が嘘を吐いている事を知っていても、米国民の何割かは気にもかけないのです。正に、独裁誕生前夜と言えるでしょう。これに似た事例がありました。

 

 ヒトラー独裁を可能にする総統への経緯はあっけないものでした。1933年の選挙で、ナチ党288議席(得票率44%)でドイツ国家人民党52議席と連立を組み、ヒトラーは過半数を手にいれます。ここで都合よく国会議事堂放火事件が発生します。ヒトラーは、これを共産党のテロと断定し、ヒンデンブルク大統領を泣き落とし、大統領緊急命令を発令させ、共産党81議席を無効にします。この事件の真相は不明です(ヒトラーの犯行だろう)。しかし、これではまだ憲法改正は不可能でした。そこで中央党(カトリック系)に、「教会の権利を守る」という約束で73議席を手にいれます。こうしてヒトラーは総議席数の2/3を手に入れ、素晴らしい憲法を改悪し、独裁権を手に入れ、この後、あれよあれよという間に、第二次世界大戦へと突き進んで、自滅した。不思議に似ていると思いませんか。違うのは、当時のヒトラーは、裏で残虐な事をしていましたが、表向きは誠実な人物と見られていたことぐらいでしょうか。それにしても政治のトップや政治屋は、何時の時代にも先を読めないものですね。

 

 現時点でトランプの独裁化は道半ばを過ぎ、完成まで一息といったところでしょうか。最高裁と共和党を手懐け、熱狂する支持者達を従え、テクノ・リバタリアンとGAFAまで尻尾を振るようになっている。さらに20年以上裏で繋がっているプーチンが幾度もトランプを支援しており、これからも続くだろう。いつの世も独裁者同士は実に相性が良い。どうか、独裁に気をつけてください。

 

 

2 世界は戦争に向かう

  

 現在、イランと米国、イスラエルとパレスチナ(ガザ)、そしてウクライナとロシアが戦争をしている。中国による台湾侵攻の可能性も否定できない。去年ぐらいまでは、ロシアが世界大戦の火種と思われた。しかしここに来て、米国とイスラエルが加わった。

 過去の二つの大戦は、帝国主義に続く国家間の覇権争いの延長で始まり、次の大戦は疲弊した国家が始めました。実は、両大戦に共通していることがありました。一方が専制国家かファシズム国家で対峙したのは民主主義国家だった。開戦を仕掛けたのは、共に専制国家群(ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国)、ファシズム国家(ドイツ、日本、イタリア)でした。つまり。独裁国家が巨大な戦争を始める可能性が高いのです。それはロシアに続く米国かもしれない。

 

 

3 我々は如何にすべきか

 

 世界と自国を、今、変革しないと手遅れになる。迫る危機と内部崩壊の状況を既に説明しました。この状況を救うには、第一に米国が独裁に走らないようすることです。今の米国に、自らを正す力を期待できないと思う。この中間選挙で、またも共和党が過半数を取ると、トランプは自らを守る為に一気に独裁に向かうだろう。もう一つの悪いシナリオは、トランプと共和党が敵意を煽り、内戦状態が勃発することです。民主党が過半数を取るぐらいでは、状況の改善が期待出来ないので、混乱が続くことになる。共和党には良識を期待出来ないと思う。

 先進国はもっと鮮明に、トランプ政権に独裁や横暴を抗議する必要がある。日本が最も情けないのだが、世界には日本に好感を持っている国は多い。どうか、今こそ、自由民主主義を標榜する国々が協力して、米国にNOと言うべきです。カナダやスペインが孤立しながらも戦い、イタリアも反意を鮮明にしている。戦争では無い、常識を米国民に説くだけです。個々には弱いので、多くの国が集結し手を携えるのです。さすれば米国も、過ちに気づくかもしれません。現状のままであれば、熱狂的な米国民はトランプの腕力を平和や経済への脅威とみなしていない。優れた先進国首脳がこれぐらいのことをしなくてどうすのか。

 

 トランプに退場して貰えば、次は、二つの事に、世界は進まなければならない。一つは、新自由主義的な政策を見直し、適正な規制と監督を行い、福祉政策により、文明崩壊の切っ掛けになって来た中間層以下の底上げを行う。次いで、世界が一致協力して、戦争防止、タックスヘヴン対策、気候温暖化対策などに進むことです。一国だけの新自由主義からの転換は、不可能とは言えないが、共に貿易や金融のシステムを変えて行かない限り、うまくは行かないでしょう。AIの対策も緊急を擁します。ここ一二年が勝負です。このためにもトランプの退場は絶対です。

 

家族と世界を再び幸福にしましょう!Make the world and people happy again!

 

 

 

 

第6章  参考

 

6-1.北欧に学ぶ

* 北欧の素晴らしさ


幸福度 

 北欧は毎年上位総なめです。幸福度の評価は、各国1000人にアンケートを答えてもらい、3年間の平均値を取ります。アンケートは、最高の人生を10、最悪の人生を0とし、回答者に自分の人生がどの段階にあるかを評価してもらいます。この値の多い方から順位を付けます。2024年の世界幸福度ランキングで、日本は143カ国中51位となり、順位を下げ続けている。


一人当たりGDP

 2024年、一人当たりGDPの世界ランキングは、デンマーク10位、日本38位です。左図の緑折れ線が日本で、唯一低下している。本来は微かに増加しているのですが、円安で落ち込んでいる。

 

所得格差


 北欧は一人当たりGDPが高かく、かつ所得格差(ジニ係数)が低い。日米と比べると違いが分かる。北欧は比較的平等なのに、経済が成長し、所得も高いのです。

 

世界競争力ランキング

 北欧の競争力は世界トップレベルです。ノルウェーは通年10位に入っていることが多い。評価は経済状況、政府の効率性、ビジネスの効率性、インフラをさらに細かく計20項目で分析して行われている。かつて日本は1989-1992年に1位を獲得し続けたことがあった。現在、日本の競争力は対象67ヵ国中35位で低下の一方、評価項目で20位に入っているのは5項目に過ぎない。

 

他の指標を見る

 北欧の腐敗認識指数、民主主義指数、報道の自由度、ジェンダー平等指数は、総て日本より評価が高く、ランキングは上位にある。教育水準では、北欧と日本は同等と言えるようです。

 

ベンチャー投資

 ヨーロッパで北欧のアイスランドとスウェーデンは多い。一人当たりベンチャー投資額の世界ランキングの1~10位はシンガポール、イスラエル、米国、スイス、UAE、英国、カナダ、スウェーデン、アイルランドでした。2024年、一人当たりベンチャー投資額は米国630$、スウェーデン270$、日本14.9$で、日本の投資総額は米国の124分の1、北欧の18分の1に過ぎない。これでは北欧に負けるのは当然だと思われます。


 

 こうして見ると、北欧は幸福、社会の安定性、豊かさ、成長性総てを持ち合わせていることになる。北欧が半年以上雪に覆われることぐらいが欠点でしょう。経済社会の指標で日本が良いのは、低い失業率と肥満率、そして平均寿命が2年長いぐらいでしょうか。

 

 

* 労働市場での施策とシステム

 就労を促す社会規範・社会制度、高い労働組合の組織率を背景とした労使協約重視の労使関係、労働移動を促進する様々な仕組みに特徴がある。

 老後生活保障の基本となる年金制度は、給付が就労時の所得に比例する社会保険方式が基本にある。これは、社会保障制度の受益者に対して必要な職業訓練や人材投資によって労働市場に戻そうという考え方で、日本の就業率61%に対して、スウェーデンは76%ある(就業率=就業者数/15歳~64歳人口)。つまり多くの人が働いている。これは、賃金の男女差が少なく、女性の就業率が高い為だと考えられる。年間労働時間は、日本の方が12%ほど長い。一方、スウェーデンの失業率は7.6~8.3%で、日本2.5~3.6%で数倍高いが、前者は3ヵ月以内、後者は1年以上に失業者が多い。

 スウェーデンの労働組合組織率68%に対して、米国は12%、日本も18%と非常に低い。これは、後者2ヵ国の政府が組合潰しを先導して来たことに一因がある。スウェーデンでは、組合員以外にも影響が及ぶ全国労働協約の適用率は9割といわれている。この高い組織率を背景に、かつて賃金交渉は、スウェーデン経営者連盟とスウェーデン全国労働組合連盟の間で、総括的に行われて来たが、現在は、徐々に産業レベルで行われるようになって来た。後にみるが、これは日本の企業内組合内での交渉とは、大きく異なる結果をもたらすことになる。

 

 スウェーデンの労働移動は活発で、男性の平均勤続期間は10年ほど、日本の13年より短い、但し米国は4年ほどです。スウェーデンの若者は転職することに前向きです。これは労働組合が企業の整理解雇を容認する一方、職種毎の同一労働同一賃金により、労働者は転職による不利が無いからです。したがって日本のような最低賃金制はない。こうして転職を促進し、低生産部門を圧縮し、産業構造を高生産部門(高付加価値)へと拡大させていった。低生産部門の大量失業者を、積極的労働市場政策(教育と休業補償)によって、シフトを可能にしているのです。このことが、「アングロサクソン型(英米等)」とそれに追従する日本、つまり新自由主義国との差になってしまったのです。この北欧の産業転換を可能にしたのは、政策によって転職意欲を持つ労働者とマクロ的な経営者連盟と全国労働組合連盟の協議体制があったからです。この協議体制で産業転換も話し合われる。北欧などの労働者はキャリヤアップの為に、日頃から研鑽を積むことになるが、日本では、学校を卒業すれば学業はお仕舞いというわけです。歴史的な背景と政治状況が異なるので、日本の労働組合が北欧型に脱皮出来ないとは思うが、残念です。

 整理解雇が自由な一方、企業が離職者の再就職に対して責任を果たしている。政府からの財政支援の無い民間団体が加盟企業の支援によって、その任を果たしている。

 

 上記の施策やシステムの効果はどのようなものなか? スウェーデンの雇用調整スピードは日本より数倍高く、景気後退からの立ち直りの期間も数割早い。スウェーデンの賃金調整スピードは日本の6倍遅く、日本のように簡単に低下することはない。また、産業を跨ぐ労働移動はスウェーデンの方が活発に行われている。

 

 スウェーデンでは、政権交代が行われ、現在、新自由主義が取り入れらているが、基本的な福祉国家としてのスタンスは変わらない。変わったのは、高福祉や充分な補助はモラル・ハザード(責任感の欠如)を招くとし、働くことへのインセンティブ(動機付け)を重視するようなり、転職時の休業補償期間の削減や、その手続きを実態に即したものにすることにより、失業期間の短縮に成功していることです。

 

 北欧には学ぶべきものは多々あるのですが、基本的な考え方を知ってもらえれば充分です。このやり方で、あらゆる分野が日々革新され、世界トップ10の幸福度を満喫し続けているのです。

 

 

 

 ----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。