「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」
この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。
まえがき
現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!
--- 目次 ---
第4章 緊急に対処しなければならない危機
4-1 米国で起きている悲惨な状況
経済的な状況
社会的な状況
富裕層は一般市民に恩恵をもたらすか
著しい所得格差がもたらしたもの
4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか
経済的な側面
国民はなぜ悲惨な状況を改善できないのか?
第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化
既に見たように、今、世界は危機的な状況に突入しつつある。中でも、米国の独裁化が最も危険で、目前に迫っている。さらに悪いことに、米国の独裁化(右翼ポピュリズム)が完成してしまうと、世界の危機を防ぐどころから、より暴走させることになる。
ここでは米国で右翼ポピュリズムがなぜここまで力を得てしまったのか、その背景を見ます。そこには日欧米等の先進国に通じる、新自由主義政策の欠陥が深く根付いていることが分かります。米国が独裁化を回避し、本来の民主主義に戻ることが、米国民を迷いと苦難から解放することになります。さらに、これによって世界が一致協力して、世界の危機に対処できるようになる。
4-1 米国で起きている悲惨な状況
経済的な状況
一番分かり易いのは経済格差であり、ほんの一部の富裕者が膨大な富を有し、益々、その富は幾何級数的に増えて行く一方で、8割ほどの国民は生活水準が向上しないか貧困化し、不安定な状況に怯えています。さらに非白人や女性は賃金や待遇で差別されています。経済格差は、今や特別のことでは無くなったが、米国は先進国でトップを走り、格差拡大が止まらない。さらに、この格差が定着し、貧しい家庭からはほぼ裕福な階層に上昇することがなくなってしまった。詳しくは、第三章3-3で、グラフと数字で説明しています。
社会的な状況
米国の中間層の賃金は、30年間、日本のように低下は無かったが横這いで、雇用状況が悪化し続けている。首切りが容易で、安定した生活を望めない。それに加えて、社会福祉が先進国中かなり貧弱で、医療費が高額、退職金や年金を当てに出来ない人も多い。高額な保険料が払えず、医療保険に加入していないので病気になっても高額な治療費が払えず病院に行け無い人がいる。妊娠した女性は、労働協約によっては育児休暇が取れない場合もあり、退職せざるを得ない。将来の為に、大学に行きたいと思っても、学費は非常に高額で、ローンを借りるか、諦めることになる。簡単に言うと、貧しい人はより貧しく、また何か災い(病気、首切り)に遭うと、どん底から抜け出せなくなる。これで若者は絶望し、薬物に溺れ、自殺も増えるようになった。また経済的な自立が出来ない若者は、親元に残り、結婚することも出来なくなっている。そしてこれらの状況は自己責任で片付けられる。ほんの一握りの人を除いて再起のチャンスや希望を持ちえない社会になっている。
富裕層は一般市民に恩恵をもたらすか
答えはNOです。富裕層の莫大な資金は、不動産、株式、アートなどの資産市場に流れ込み、資産インフレを引き起こします。さらに、富裕層が「いくらでも払える」ため関連の価格水準が上昇します。テレビなどの日用品は安くても、住宅・医療・教育という「人間らしい生活の基盤」のコストが、中間層には手が出ないレベルまで高騰してしまいます。良好な自然環境や景観が、一部の富裕層によって買い占められ、一般市民から切り離される現象が多発します。代表的な例として、カリフォルニア州の「マーティンズ・ビーチ」では、IT長者が海辺の広大な土地を買い取り、一般市民のビーチへのアクセスを物理的に遮断して長年の法廷闘争に発展しました。企業が河川を購入し、水利権を自治体に高額で売りつけ、住民の水道代が高くなるなどの被害がある。AIデーターセンター建設と同じ状況です。
著しい所得格差がもたらしたもの
等しく皆が貧しければ絶望を感じないだろうし、さらに上昇のチャンスがあるなら、人は希望を持って生き続けるだろうが、そうではない。さらに悪いことに、一握りの富裕者達が政治と社会を操ることが可能になり、その度合いが日増しに強くなり、露骨にもなっている。貧しい人々がそれに対抗する策は益々少なくなっている。富裕者は莫大な資金を背景に政治献金、ロビー活動で直接、議員や議会を動かし、また草の根、宗教活動に肩入れし、大衆を動かしている。それだけでは無い。研究所を造り、研究者を雇い、マスコミを抱きこみ、世論を自らの目的に沿うように長年操作して来た。2000年頃からは、インターネットの巨大プラットフォームを所有する数社の企業は、ほぼ全国民を監視し誘導することまで可能となり、ホワイトハウスに協力する見返りに、規制を逃れようとしている。一部の富裕層は、隠すことなく大統領選挙に直接投資し、ホワイトハウスの要職を手に入れたり、便宜を図って貰うことを期待している。これはトランプ大統領に始まった事ではない。これらのことが半世紀あまりの間に、積み重なり、所得等への累進課税は逆進性を持つまでになり、また金融商品や投資の規制はことごとく緩められ、金融危機が再来するようになった。これらは富者を益々富ませることになっている。一方で労働組合は弱体化され、福祉政策は縮小されて来たので、多くの国民は不安定な状況に晒され続けるようになった。
4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか
経済的な側面
現在の大半の米国民にとっての悲惨な経済状況は、行き過ぎた自由競争が招いたと断言できます。市場での自由な競争は、生産と売買を効率良くし、生産者は工夫せざるを得ず、消費者は安く買えるはずでした。これが半世紀ほど主流となった思想であり、実際、多くの規制が葬られてきました。分かり易い例としては、公害、金融・投機、雇用、マスコミ等はかつて公益に失する事項については、事あるごとに規制法を定め、また監督機関を設けて、対処して来ましたが、現在はことごとく破棄されています。さらに加えて、国家の重要な役割だった公的サービスや再分配機能を放棄しつつあります。米国の場合は、初めから公的医療保険が貧弱だったのですが、改良は遅々として進まない。半世紀以上前なら、所得税は累進課税が当たり前でしたが、今や、巨大企業や超富裕層ほど税金を払わなくて良いようになっています。課税率の低下に加えて、様々な優遇税制が設けられ来たからです。階層の固定化が進んでいる理由の一つに、巨額の遺産を子孫に残せるように相続税等の減額もある。これらは、自由競争奨励の目的から離れています。実は、このような本来の競争奨励から離れて、結果的に大企業と富裕層を守ることになる数々の法律が創られて来ました。米国企業の薬価が高値維持できるように、工業所有権を強化したり、薬価決定に国の機関が関与出来ないとか、様々な小細工を繰り返して来ました。主に共和党がこれらの改悪を行い、後に民主党が修正を試みるのですが、焼け石に水です。グローバル化は共和党も民主党も共に、促進してきたが、国内の産業空洞化に対して、共和党は自由を標榜し手を打ったなかった。一方、民主党は、国内産業の構造転換に備え、高度知識社会を目指す大学進学を奨励して来た。残念ながら、状況の大幅な改善には至っていない。
さらに米国は約20年ほど前から身勝手な振る舞いが多くなり、海外の先進国の協調体制を壊してきました。端的な例として、地球温暖化対策とタックスヘイブン対策があります。どちらも米国内の大企業と富裕層を守る為です。これらは回りまわって国民に損害と負担増を招いています。タックスヘイブンで富裕層の数割の資産が無税になっているのですから、国の税金不足に拍車が掛かり、サービス低下を強いる一方で消費税アップを図っています。まったく馬鹿げています。
現在の悲惨な状況は、主に共和党が推進して来た、ほぼ規制の無い自由競争と、大企業・富裕層・金融取引優先によって、ほとんどの国民が放置され、保護も失われた結果と言えます。
国民はなぜ悲惨な状況を改善できないのか?
これらの状況は1980年以降、徐々に深まって来た。大半の米国民はこの悪い状況に気が付いているが、真の原因から巧みに目を逸らされている。
トランプの経済的な解決策で売りは、空洞化した産業を国内に戻し、労働者に就職先を与えると言うものです。関税を掛けて、相手国を脅し、相手国の資金で米国内に工場を誘致すると言う、画期的で米国民の懐が痛まない良策に思える。この策は、自国の多国籍企業化の推進からの大転換でした。しかし、問題が多すぎる。関税で米国消費者の購入額が上昇し生活が苦しくなる。また半世紀以上も生産技術や技能工を見捨てて来たのに、今さら工場が来たからと言って、うまく稼働するとは思えない。当然、品質も価格も思いどうりならないでしょう。どちらにしても10~30年のタイムラグがある。一番の問題は、米国自身(多国籍企業)の責任を棚に上げて、今になって相手国を犠牲にして、利を得ようとしている事です。まるで帝国主義の復活であり、じわりじわりと世界を20世紀前半のようにキナ臭くするだろう。少なくとも、互いに関税を掛け合い、貿易が縮小し、相手国の国内投資と労働者の職を奪い、世界経済にマイナスになる。
これは、浅はかな目くらましの最たるものです。真の悪化原因は、空洞化を無制限、つまり自由化させて来たからであり、また何ら労働者への有効な対応策を行ってこなかったからです。それをあたかも一度に解決できると唱え、盛り上がる世情に問題がある。本来のあるべき姿は、北欧がやり遂げているように、高付加価値産業への構造転換を行うために、産業界と労働界が協議し、納得の上で、方向転換を図ることです。産業は必要な投資を行い、労働者は新たな技能の取得を目指します。このために労働者への転職支援(技能講習と休職保障)が不可欠です。こうして北欧は産業転換を図りながら、高い国際競争力と一人当たりGDPを維持しているのです。
トランプと共和党の他の経済政策は、大半の国民(中間層以下)にとってそれほど経済的にメリットがないか、むしろ回りまわってマイナスになるものです。ほとんどは大企業や富裕層にメリットのあるものです。それでは、なぜ国民はトランプや共和党に期待するのでしょうか。我が身を振り替えれば生活の悪化か横這いが長期に及び、普通に考えれば政策の欠陥が分かると思うのですが、それが見えていない。確かに共和党の方が民主党に比べ景気刺激策に力点を置いてきたのだ、蓋を開けると、中間層以下の人々にとってマイナスだった。
----全体の目次-----
第一章、世界に迫っている危機の要約。
第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。
第三章、我々が直面している重大危機。
第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。
第五章、如何にあるべきか。
第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。