20261007

連載 国民の責任 2; 皇軍が選んだ道

 


国が戦争を始めた時、「国民に責任があるのか」、日本と米国について考えます。

 

 

日本が戦争に至った道

 

日本が、かつて太平洋戦争に突き進み、世界と自国に多大な損害と苦しみを与えた。

約80年が経った今でも、隣国との軋みを感じる日々が続いている。

 

明治維新後、日本はいつから軍事独裁国家になり、大戦へと突き進んだのか。

1931年の満州事変以降、日本を戦争に引き込んだのは過激な陸軍中堅幹部達でした。

その後、良識ある政府要人や海軍首脳は戦線拡大を懸念し、大戦に繋がる日独伊三国同盟に反対し続けた。

反対理由は、同盟締結が米国を参戦に向かわせ、日本は米国の圧倒的な軍事力の前に敗戦確実と考えたからでした。

しかし陸軍のナチス・ヒトラーへの信奉ぶりは凄まじく、「勝ち馬に乗るべきで、三国同盟締結こそが米国の参戦を思い止まらせる」と考えた。

そして頻発する暗殺事件(5.15と2.26事件等の軍人蜂起)と盛り上がる世論は日本を飲み込んでしまった。

これは軍部が退役軍人会や右翼を用いて煽情し、憲兵を通じて国民を統制したことも大きく影響していた。

また戦争統帥部(天皇・軍部と内閣)の責任があやふやだったことも災いした。

もし満州から日中戦争へと拡大していなければ、日本は世界大戦に巻き込まれる事はなかっただろう。

 

 

何が問題だったのか?

 

この間、日本の上層部(内閣と軍部)は、独・米・ソの意図を幾度も読み間違い、甘い期待を持ち続け、特にドイツには見事に裏切られ、失敗を繰り返し、深入りしていった。

 

当時、海軍首脳の米内光政と山本五十六は、ナチスの敗退とヒトラーの裏切り、そして日本が米国に負ける事を想定していたので、三国同盟に終始反対していた。

米内(よない)は、世界各地の駐在経験とヒトラー「我が闘争」の読後感、またドイツの国情から、ヒトラーとドイツ軍事力は信じるに足らずと判断していた。

しかしながら当時、陸軍は気に食わなければ大臣入閣を拒否し、政治を麻痺させ続けたので、結局、同盟締結に引きずられてしまった(陸軍の行為は子供じみていた、トランプと似ている)。

陸軍はナチス・ヒトラーを信奉し、常に戦争継続を目論んだ。

この立役者は松岡外相と東条首相と言えるでしょう。

日本が日独伊三国同盟を締結した事と日本軍が南進(東南アジア侵攻)したことで、米国は日本にもドイツと同じ世界侵略の意図ありとし、日本との決戦を準備した。

 

 


 

「左から海軍の米内光正と山本五十六、松岡外相と陸軍の東条秀樹」

 

 

同盟締結の経緯で見えてくる狭量な軍人魂

 

同盟締結は米国との開戦を招いてしまった。

 

先ず、彼らは独裁者ヒトラーに完全に魅了されてしまっていた。

確かにドイツが一丸となり軍事力の急拡大、また当初の電撃侵攻には目を見張るものがあった。

しかし、彼らは、ドイツが海軍力と資源に乏しく英米相手の快進撃が継続不能だと読めず、さらにヒトラーをまったく疑わなかった事は致命的だった。

実際、ドイツは当初、日本と共にソ連を封じ込めようとしていたが、突如、ソ連と単独に和平条約を結び、さらにまた侵攻し敗北してしまった。

陸軍は裏切られたが、後の祭りだった。

日本の致命的なミスは、負けを取り戻す為に、もう一度だけ勝って有利な和平を結ぼうと戦い続け、負けを繰り返したことにある。

これは冷静に見れば不可能だった。

こうして原爆が投下されても、軍部は1億総玉砕で国土が灰になってもまだ戦おうとした。

また日本は真珠湾攻撃まで、和平工作と戦闘準備の両面で進んだが、連絡通信の暗号が解読されており、米国は日本の戦争準備を把握していた。

 

戦争を牽引した軍人達は、燃え盛る戦意だけは十二分にあったが、広く情報を集め冷静に分析する意識を持ち合わせていなかった。

 

 

当時の軍人の思い

 

初期において陸軍の脳裏にあったのは、米ソとの決戦に備え、満州を手に入れ、ここを橋頭堡にすることでした。

しかし欲をかいた一部の将校が、泥沼の日中戦争に突入させ、将兵の死者が45万人になった。

この不名誉を挽回せんが為に、米国提示の和平条件だった中国からの撤退が出来ずに、ずるずる深みにはまって、さらに甚大な被害を招いた。

そこで、頼ったのは力強く見えたナチス・ヒトラーだった。

そして日本はヒトラーに見事に裏切られ最後の一国になり、英米に加えてソ連の攻撃を受けて敗戦した。

 

愚策を選んだ人々は「ヒトラーに魅了された人々」であり、ナチス礼賛者だった。

明らかに、熱に浮かされた視野狭窄の多数が、視野の広い冷静な少数を追いやり、独裁者に付き従い、暴走していった決末が、太平洋戦争の敗戦でした。

ナチス・ヒトラーの悪行をみれば、幾つかの些細な長所があったにせよ、彼らに国を任せ、追従した指導者層の責任は重い。

少なくとも、ナチス・ヒトラーの危険性に気づいていた人々が、当時日本にいたのですから。

 

 

--目次---

 

1話;悪化の責任は誰に

2話;皇軍が選んだ道

3話;独裁に魅了された人々

4話;皇軍の軍人魂とは

5話;日本の戦争を振り返る

6話;軍備と敵について

7話;戦争に向き合う

8話;米国民へのお願い

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

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