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20260930

短縮版 迫る多難な危機  第四章 4-2 後半

 

「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」


この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。


まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!


--- 目次  ---

第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化

 4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか

 目くらまし戦術1

 目くらまし戦術2

    宗教と道徳について

    米国の宗教と共和党の合体

    



第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化



 既に見たように、今、世界は危機的な状況に突入しつつある。中でも、米国の独裁化が最も危険で、目前に迫っている。米国で右翼ポピュリズムが、なぜここまで力を得てしまったのか、その背景を見ます。そこには日米欧等先進国に通じる、新自由主義政策の欠陥が深く根付いています。さらに米国特有の病理(特徴的な宗教)が災いしています。


 米国が独裁化を回避し本来の民主主義に戻ることが、米国民を迷いと苦難から解放することになり、また世界が一致協力して、世界の危機に対処できるようになる。



 

目くらまし戦術1

 大半の米国民には、悪化からの脱出法が見えていない。これには大きく二つの理由があります。一つは、反リベラルのイデオロギーであり、二つには、新自由主義への信奉があります。


 反リベラルの発端は、労働者らが20世紀前半に成功させて来た待遇改善と、それに付随した人権尊重の運動に対して、保守派が不快感を持つようになったことにあります。この運動な成功事例は、ルーズベルト大統領のニューディール政策でした。この流れは英国で始まりました。しかしやがて、労働組合が団結力を笠に着て、労働者貴族の横柄さが強調されるようになります。さらに時を経て、移民や黒人らが、必要以上に優遇(アファーマティブ・アクション)され、国民の血税やチャンスが、彼らに盗まれていると言う噂が強調されるようになります。そして米国連邦最高裁において、2023年、このアファーマティブ・アクションが違憲と判断されました。この政策は、多数の民族が共存する国々で実績を上げて来ているのですが。当然、この政策を世界に先駆けて、取り入れたのは米国のケネディ大統領で、公民権運動援護の一環として行ったのです。これが半世紀を経て潰えたのです。ここに米国らしい、手に負えない過激な動きがある。




 その一つが連邦最高裁の判事の保守とリベラルの比率です。2023年の連邦最高裁の判事は保守6人、リベラル3人でした。これにより違憲とされたのです。つまり、国民や議会が最良と思える政策を実施しようとしても、最高裁が保守(共和党)に握らている限り、実行出来ないのです。民主党政権では融和策をとり、最高裁の判事比率はほぼ半々で推移していました。しかしトランプが、一気に転換させた。これもトランプが保守派から歓迎される理由の一つです。過去にも保守優位の最高裁において、労働組合弱体に繋がる判決が出ています。「本人が望まない場合に組合の活動費を徴収することを認めない」判断をしました。これは、1世紀以上前の労働運動で勝ち取って権利だった。このような判決、裁定、法が積み重なり組合は弱体化して行った。加えて、2010年以降、幾つかの判決により、選挙への寄付総額の上限廃止と、選挙広告への上限廃止により、無制限の金権選挙が完成した。これは、政治が資金力に支配される事を意味し、国民には悪夢なはずです。


 この流れの中で、気づいて欲しいことは、米国の保守勢力があらゆる力(最高裁、マスコミ、政治献金、ロビー活動等)を使い、弱者救済、人権擁護と並んで労働組合への敵視を長年、国民に植え付けて来たのです。これにより企業家等は労働者の賃金低下と首切り、配転等で有利になり、益々、利益を上げることができます。これが反リベラル・キャンペンの大きな目的です。したがって、保守はしきりに、ルーズベルト大統領のニューディール政策の成果否定に躍起です。そして着実に、資金力の多さ、そして大企業こそが政治を牛耳るようになって来たのです。



 目くらまし戦術2

 

もう一つ、リベラル敵視に使える強力な手段があるのです。それは人間の感情に揺さぶりをかけることで、同性愛と堕胎の問題でした。米国以外の先進国であれば、同性愛は当人の自由恋愛を尊重し、堕胎は健康と育児に関わるので女性の判断を尊重し、彼らの人権と自由を守ることになると考える。しかし米国では、同性愛禁止は聖書に書かれ、堕胎は命を大切する聖書の教えに反するからと、キリスト教原理主義者(福音派)らは考える。そして、この教派を大々的に選挙に取り込んだのが、レーガン大統領からで、その後、この関係はより深く結ぶ付くようになった。なぜなら、この教派は米国人口の1/4に達しているのですが、その信心深さゆえに、票に及ぼす力は人口比を上回るのです。確かに、聖書には、それらしい解釈を可能にする文言はあります。ただし、同性愛禁止や堕胎禁止を匂わす旧約の章は、古くは3000年前の記述まで遡れます。このような因習を今に守ることが正常な感覚とは思えない。信仰の自由は尊重されるべきだが、政府が特定の教派の人権保護に抵触する可能性のある要望を政策実現することで、票を手に入れる事は憲法の趣旨に反するように思うのだが。


 さらに奇異なことがある。人権先進国の北欧諸国は、元を辿れば同じプロテスタントです。つまり聖書の文言を重視する教派の国と言えます。それなのに、この国々では同性愛や堕胎は本人の自己決定権を保証されています。米国の福音派だけが特別なのです。また非常に奇妙に思えるのは、福音派がハルマゲドン(最終戦争)を信じて、世界が戦争で破壊された後、パレスチナの地にキリストの再臨が起きると信じていることです。そして聖書が大きな隣人愛を説いているにも関わらず、イスラエルの虐殺を支援して止まないのです。米国はイスラエル以外で最もユダヤ人が多く、成功者も多い国です。だから潤沢な資金が、宗教や政治を動かしている。当然、信者らは地球は球体でなく、人類は猿から進化していないと考えます。こんなセクト的教派に振り回されては困ると思うのですが。共和党は、悪辣でも強力な宗教集団であれば利用するのに躊躇がないのです。




 共和党には、民主党との敵対を最初に訴えて人気を博したギングリッジ議員がいますが、この人物が米国で最初に悪辣なセクト教団の統一教会を共和党の味方に引き入れた。同様に福音派と共和党はがっちり手を組み、互いに手に入れたいものを得た。福音派は、同性愛禁止、堕胎禁止、進化論授業禁止、イスラエル軍事支援を手に入れ、共和党は、代わりに民主党拒否(反リベラル)を通じて、最終目標の労働者権利剝奪、減税と企業・富裕層優遇を手に入れたのです。私に言わせれば、共和党の得たものは福音派の得たものより遥かに貨幣価値が大きく、福音派の人々は心(道徳感情)を満たせたに過ぎない。米国南部に暮らす多くの福音派は、現地の地下資源開発企業の大きな公害被害にめげず、企業の発展による地域振興に夢を託し、減税による低福祉や定収入に我慢し、崩れ行く共同体をキリスト教会への固い信仰で守ろうとしている、実にけなげな人々です。選挙の為に、彼らを食い物にしている人々に腹が立つ。トランプの言動に、その様子が端的に現れている。彼は信仰心もなければ道徳心も無いが、福音派の票を手に入れる為に、戦争を行い、人権など無視している。




 宗教と道徳について

 


 信仰の自由は守らてしかるべきです。しかしその信仰を理由に、一方的に他者の自由や権利を剥奪する事は許されない。これは現代の魔女狩りです。しかし米国の共和党には、宗教による弊害への意識が稀薄です。

 人の道徳感情には、思いやり、公正、忠誠、権威、神聖、自由等があり、保守派とリベラル派で重視する道徳感情に差異があります。これが両派の敵対感情を生むとする考えもある。道徳感情は進化で生まれた感情ではあるが、個人の道徳感情の強さは、属する集団や文化に大きく影響される。だからこそ、これら道徳感情が現代社会に適合するかを理性的に判断し、コントロールするべきです。例えば、遺伝に支配された感情や欲情のままに生きるべきと信じるのは馬鹿げている。問題は、既に述べたように、教団や政治団体がこれらを悪用してしまうことです。付け加えるならば、多くの共同体は無意識に、この道徳感情によって団結を強化し、宗教にその力が大きい。道徳感情が保守やリベラル、宗教を選ぶと考えるより、集団や宗教が道徳感情を強化していると考えるべきです。永続している共同体の中では、これらが強化されている。この典型例は、ヒンドゥー教徒のバリ島バンジャール(共同体)に見られ、米国の福音派にも言えるだろう。これをもって宗教を非難するのではないが、行き過ぎは、その共同体を閉塞状態(因習に囚われる)にする可能性がある。今の、米国の異常な精神状態を冷静に振り返って欲しい。


 実は、20世紀以降、宗教が懐古・原理主義的になり、世界各地で混乱と反動が生まれている。イランで、1979年、イスラーム革命が起きた。これは預言者ムハンマドの時代や初期イスラームの教えへの回帰を掲げ、当時の過度な西洋化を「イスラームの精神を汚すもの」として激しく批判しました。サウジラビアは1932年に建国されたが、この王家は、初期イスラームの純粋な形に戻ろうとする「ワッハーブ主義」を取り込むことでアラビア半島の統一への力を得た。インドのモディ政権は、「純粋なヒンドゥー教徒の土地としてのインド(ラーマ神の治世)」の復興を理想とするヒンドゥー右派の宗教情熱を取り込むことに成功している。イスラエルのネタニヤフ政権の連立に不可欠なユダヤ教右派は、神がユダヤ人に与えたとされる「約束の地(ヨルダン川西岸地区などを含む)」の領有と、ユダヤ教の律法(ハラーハー)に基づいた国家運営を求めます。ロシアもロシア正教に回帰している。


 これらには共通していることがある。現代の急速なグローバル化や世俗化に対する「強い危機感」が生まれ、「かつての正しかった時代」という神話的な過去を再構築しようとする教団が力を持ち始めた。それを保守的な政治集団が、選挙や革命に利用し権力を掌握するのに使ったと言える。この危険性と恐ろしさは、外部から見れば明瞭なのですが、埋没していると分からない。



 米国の宗教と共和党の合体

 

 欧州と比較すると同じキリスト教圏でも、米国は異なる。銃犯罪の多さ、暴力(銃)への寛容さ、そして福音派等のセクト化(巨大組織だが排他的)と政治への関与です。米国は、英国と同じ白人(アングロサクソン)だが、北米大陸で育まれた文化がある。米国は、かつてピューリタン(プロテスタントの一派)が北米大陸に植民したことで始まった。彼らは英国教会から脱することにより自らの信仰に忠実であろうして、未開の地に移住し、森林を切り開き、町を造って来た。そして勤勉・勤労であり、聖書に忠実であろうとした。これが今の米国の精神を育み、発展を支えているとかつて賞賛されたことがある。しかし私には、深刻な軋轢(歪)が生じているように思える。


 初期に米国の教会はヨーロッパに比べ大きな違いがありました。一つは、様々な宗教やキリスト教派が各地域に教会を造り、統合される事もなく、まして国からの支配もなければ財政支援もありませんでした。つまり独立独歩から始まった。これが憲法で政教分離がうたわれた理由です。もう一つは、大平原と森林を一から開拓し、開墾地は彼らの所有地になったのです。また広大な原野に村や町が点在していきました。これが西部開拓です。これらを背景にして、米国では300年間に三波の信仰復興が起きました。この復興とは、突然、信仰に燃えた人が聴衆に神への信仰に目覚めるように回心を求める演説を始め、それが各地に広がり、大きなうねりとなり、回心者が増えた。このブームは長続きはしないのですが、キリスト教徒の意識を高め、幾つかの社会運動と結びついて行きました。この演説者は、多くの場合、正規の牧師や宣教師ではなく、既存の教会から自由な人々でした。これが受け入れられた背景に、町や村は比較的新しく、強固な文化やネットワークが存在しておらず、他から流れて来た演説者は、村人の孤独感を癒した事も大きかったのでしょう。



 こうして米国の初期の白人、キリスト教徒には、大きな変化が現れました。初期には、政治支配者や教会の権威、つまりエスタブリッシュメントに反発し、必要あらば既存の教会からも独立し、地域毎に自由を選びました。これが幾たびかの信仰復興を経て、人々の平等や自由への意識が強くなって行きました。米国憲法は政教分離をうたっているが、宗教団体の政治活動は基本的に認められています。19世紀、福音派は、貧困層への救済活動に熱心でしたが、20世紀後半から、政治や社会問題に積極的に関与し、イスラエル支援を強硬に唱えるようにもなっている。


 1980年以降、米国の信仰復興(リバイバル)のエネルギーは、「宗教右派」と呼ばれる強力な政治運動へと姿を変え、社会を二分するほど過激化していきました。本来の「個人の心の救済」や「貧民救済」から、「国家の権力を握り、キリスト教の価値観で法を変える」という政治的な戦いへシフトしていったのが、最大の特徴です。それまで政治と距離を置いていた福音派が、保守派の政治家と手を結び、巨大な集票組織を作りました。これをモラル・マジョリティ(道徳的大多数)と呼び、人工中絶の反対や、公立学校での祈りの時間の復活を掲げました。福音派の圧倒的な支持により、レーガンが当選し、宗教勢力が大統領をも動かす政治の主役に躍り出ました。1990年代〜2000年代には、彼らは文化戦争を激化させ、メディアの発達(宗教専門のテレビ・ラジオ)を利用し、テレビ伝道師が活躍し、草の根による支配を強めました。また設立されたキリスト教徒同盟は共和党の地方組織を実質的に乗っ取るほどの力を持ちました。2000年代、その代表者はブッシュ大統領を支え、イラク戦争の支持や、同性婚反対の運動を過激化させました。2010年代から現在、トランプ支持と「キリスト教ナショナリズム」が台頭していきます。ここ数年で、過激化はピークに達しています。


 信仰の熱狂が、過激な政治思想と完全に融合しました。2016年以降、 伝統的なキリスト教徒のイメージとはほど遠いドナルド・トランプ氏を、白人福音派の約8割が支持し、トランプ現象が起きました。またキリスト教ナショナリズム、「アメリカは神によって白人キリスト教徒のために作られた国であり、その特権を取り戻すべきだ」という過激な思想が広がりました。2021年の連邦議会議事堂襲撃事件でも、十字架や聖書を掲げる人々が多く見られました。2022年、保守派の長年の悲願だった「人工妊娠中絶を認める判決(ロー対ウェイド判決)」の覆しに成功。これにより、宗教的なルールがアメリカ全土の法律に直接影響を与える時代へ突入しました。1980年以降は、自分たちの聖書的価値観を法律で強制しようとする「他者を排除し、国家をコントロールするエネルギー」へと過激化していったと言えます。



 私は米国の信仰復興に見られる熱狂は危険な段階に入ったと感じています。その実例が、「赤狩り(マッカーシー旋風)」です。アメリカのキリスト教、とりわけ福音派が現代のような強大な社会的地位と政治力(のちの宗教右派)を獲得する決定的な転換点となりました。この時期、冷戦の恐怖を背景に新しい信仰復興運動が巻き起こり、福音派は「反共産主義の急先鋒」として国家の主役に躍り出ました。これを利用し人気を博したのが共和党のマッカーシー議員でした。当時、米国内での被害としては、共産主義の疑いをかけられ、多くの映画関係者から民主党系の国務省スタッフ、学者等が職を失い、投獄もされた。しかし、一大ブーム(1947年~)を起こした熱狂も4年ほどで下火になった(虚言が露見)。しかし、当時、占領下にあった日韓では、共産主義にまつわる公職追放、解雇、思想弾圧、果てには投獄・虐殺が起きた(1949年、国鉄総裁下山事件など)。これは日本の労働運動に多大な禍根を残しました。米国、特に福音派は、共産主義を悪魔の思想と定義し、その後も憎悪は続いています。共産主義への過激な否定感情を通じて、むしろ米国内、特に共和党は国民の一体感を醸成することを学びました。赤狩りの時代、「共産主義の脅威から救われるには、今すぐ悔い改めてイエスを信じよ」と唱える福音派の最大の伝道師を共和党アイゼンハワー大統領は顧問に迎えています。結局、恐怖や敵、多くは悪魔に対して国内が団結する術を手に入れ、その過程で、甚大な被害が出ているのです。それは米国の大戦後の出兵や戦争、ベトナム戦争やイラク戦争は、それらが夢想が煽った結果でした。この辺りは、ヒトラーのユダヤ人と共産主義者を罵倒したのと同じでした。


 1950年代、マッカーシー旋風とリバイバルの波によって、米国は神の国になっていたのです。 1954年、赤狩りの最中に、公立学校などで唱えられる「忠誠の誓い」の文章に 「神の下に」という文言が正式に追加されました。その2年後には、アメリカ紙幣にも印刷されている "In God We Trust"(我ら神を信ず) が国の公式モットーとして法制化されました。これらはすべて、「無神論のソ連(赤)」と「神を信じるアメリカ」を明確に区別するための、マッカーシー思想と福音派リバイバルが合流して生み出した産物です。


 一言でいうと、米国のキリスト教の主流は、何よりも感情(回心等)を重視するので、爆発的に盛り上がり、盲目的になってしまう。彼らは宗教哲学や論理に意を介さないので政治に利用されやすい。これはヨーロッパには無い特徴です。



 ----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。


20260928

短縮版 迫る多難な危機  第三章 3-8,3-9

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

--- 目次  ---

第3章 我々が直面している危機

 3-8 分断と対立の深みに喘ぐ世界  

       まとめ

  3-9 世界は協力しなくなった  

       何が世界で起きているのか?

 

     

 

 

第3章 我々が直面している危機

 

 我々に幾多の大きな危機が迫りつつある。それらには歴史上繰り返され来た危機や、まったく未知の恐ろしさ秘める危機もある。これらの危機を見極め対処しなければ、一国の疲弊や破綻に留まらず、遂には人類と地球に大きな損害を与えることになるだろう。数多くの危機の中から、最重要なものを選んだ。

 

 

3-8 分断と対立の深みに喘ぐ世界

 

 現在、先進国で概ね共通して宗教・移民・人種・LGBTQ を巡る対立が深まっている。かつて「多様性の尊重」や「寛容」を掲げた融和の精神が先進国に満ちた時代があった。しかし現在は異なる集団を差別し敵視する社会的分断から、さらに排除へと先鋭化しつつある。何が人々をこうも駆り立てたのだろうか。この半世紀の先進国の分断の経緯を簡単に追います。

 

1960〜1970年代、多文化主義と移民: 欧米諸国(カナダ、オーストラリア、欧州の一部)が移民労働者の定住化を受け入れ、多文化主義や寛容を公的な価値観として掲げ、異なる文化や宗教の共存を目指した。この時代、旧来からの差別は残存していたが20世紀初頭の労働運動・民主主義運動の息吹が息づいており、米国では公民権運動、女性解放運動、学生運動、同性愛者解放運動が次々に登場した。欧州でも福祉国家の拡充と社会解放が進んだ。一方で、移民の増加と、米国への移民が白人から有色人種(ラテン、アジア)へと変化し増えた。

 

1970〜1990年代、保守革命が始まる:それまでのリベラル化(市民権運動、女性解放、性の解放、宗教的寛容の拡大)と、白人以外の市民が増えることで保守派は価値観の喪失を恐れるようになり、政治的にリベラルに対決姿勢を取るようになる。特に米国では1970年代後半から、福音派などの保守的キリスト教勢力が多文化主義を否定する政治運動を強めました。米国では、宗教上の道徳観を国家のアイデンティティにするまでなった。共和党が保守的キリスト教勢力を取り込むことで保守革命は強大な力を得ることが出来た。また冷戦終結前後で、欧米は移民の受け入れを増加させた。

 

1980~2000年代、経済格差が深刻化: 1980年代に保守改革の一環として始まった新自由主義政策は、市場の自由と小さな政府を標榜し、リベラルの人権や権利を優先する福祉政策を否定していった。またグローバル化が進んだので産業の空洞化が進行した。空洞化に対応する労働者転職や産業転換をないがしろにした事と、金融経済の発展が、福祉政策低下と相まって、格差拡大を進行させた。リーマン・ショックなどの世界金融危機が頻発する度に格差は拡大し、経済・金融・福祉政策に問題であるにも関わらず、格差の不満は移民や政治エリート、グローバリズムに向けられるようになっていった。理由は簡単で「外国人が仕事を奪った」が最も納得し易いからです。こうして文化戦争や経済的な不満は、分かり易い敵を生み続け、リベラルに対立する右派ポピュリズムの台頭に向かうことになる。また9.11同時多発テロが起こり、イスラムへの警戒感が高まり、さらに宗教的・文化的な対立が先鋭化した。

 

2010年以降、欧州難民危機とポピュリズムの台頭: シリア内戦等に伴い大量の難民・移民が欧州に流入し、社会統合の限界や治安への懸念から排外主義的な政治勢力が急伸した。



 まとめ

 

 この分断と対立に繋がる社会変化をもたらした背景とは何か? 端的に言えば、20世紀初頭の労働者優位等にみられる民主主義の大躍進が、保守層に反感を抱かせた事から始まった。保守層(伝統重視の人々と富裕層)にとって、この大躍進が社会の後退に思えた。一つは、権利の平等を広げる事は、従来の男尊女卑や家父長制を温存する伝統を否定する事に繋がった。今一つは、富の再分配は富裕層の富の減少を確実にしたことだった。保守層は、伝統を破壊してはならない根拠として聖書(宗教的権威)を担ぎ出した。また、富の再分配は、労働意欲を減退させるので、より自由が不可欠だと復古思想を持ち出した。そして、国の保守的なエスタブリッシュメント達は、経済と社会政策の大転換のキャンペーンを行い、実行に移した。当然ながら格差拡大は広がった。こうなると、中間層以下の人々にとって所得が伸びないゼロサム社会では、他者に与える施し(再分配)を与える余裕はなくなったと考える人が増えた。こうした中、中間層以下の人々の窮地は、グローバル化と移民、リベラルな福祉政策(税の徴収)が原因だと煽られるようになった。こうして、他者を憎み、排斥することで解決出来ると考える人々が増えた。この精神状態、社会状況、懐古・復古主義に陥る宗教、それを利用する政治家は、歴史上繰り返され、ファシズムや独裁に繋がって国を滅ぼすことになることが多い。

 

 ところが、より社会を不安定にしポピュリズムに向かわせているものが二つ生まれた。一つはSNSです。アルゴリズムの基本設計において、エンゲージメント最大化(いいねを重視)が2010年代中頃から始まり、さらに怒りの感情を優先するようになったことで、利用者は知らず知らずの内に煽情され、フェイクニュースに飛びつくようになってしまった。もう一つは、ロシアのプーチンが、2014年のクリミア併合以降、欧米の右翼ポピュリズム政党を裏で支援を始めた事も大きい。彼は強力な諜報網を使い、金銭的支援からSNSによる米国大統領選挙への介入まで行っている。彼の意図は世界に自分に連なる独裁者を増やし、ロシアと自身の存続を確実にすることだろう。

 

 

 

 

3-9 世界は協力しなくなった

 

 大戦後、世界はグローバル化を背景に、協力体制を整えて来た時期もあったが、今やエゴむき出しになり、多数による協力は期待出来なくなった。幾つかの協力に失敗した例を見ます。

 

*イスラエル入植地に関する安保理決議案(1972年以来)

 イスラエルの入植地問題を巡る安保理の決議案は、米国の50回以上の拒否権行使や主要国間の対立で採択を逃すことがあり、国際社会の統一的立場が示せない場面が繰り返された。

*国連海洋法条約(UNCLOS / 1982年採択)

 「海の憲法」として採択されましたが、深海底の鉱物資源開発に関する規制を巡り、米国が自国産業への制約を嫌って現在に至るまで批准していません。

*生物多様性条約(CBD / 1992年採択)

 欧州主導で環境・生態系保護の枠組みが作られましたが、米国はバイオテクノロジー企業の知的財産権が侵害される懸念などから署名のみで未批准であり、国連加盟国で唯一の未締約国です。

*包括的核実験禁止条約(CTBT / 1996年採択)

 国連総会で採択されたものの、米国上院の反対で批准せず、中国も未批准です。さらに2023年にはロシアが批准を撤回し、核軍縮体制の亀裂が決定的になりました。

*国際刑事裁判所(ICC)ローマ規程(1998年採択)

 戦争犯罪などを裁く常設裁判所の設立に対し、欧州諸国は推進しましたが、米国は自国軍兵士が政治的な動機で訴追されることを恐れて署名を撤回。ロシアや中国も参加を拒否しています。

*クラスター弾に関する条約(オスロ条約 / 2008年採択)

 欧州のNGOや政府が主導して非人道的な兵器の禁止をまとめましたが、米国、ロシア、中国という主要軍事大国がこぞって参加を拒否し、現在も加盟していません。

*デジタル課税(デジタルサービス税)(2010年代後半〜)

 巨大IT企業(GAFAなど)から適切に税を徴収するため欧州各国が独自の課税を進めたのに対し、米国は「自国企業への狙い撃ちだ」と猛反発し報復関税をちらつかせました。OECDを通じた世界統一ルールの導入は現在も難航しています。

 

 

何が世界で起きているのか?

  

 世界は、この半世紀ほど徐々に一致協力出来なくなっています。途中、一度だけ冷戦終了後の1990年代、世界は最もまとまる事が出来たのです。

 

 1990年代には、国際環境法、国際経済法、国際刑事法、テロ対策、化学兵器禁止機関、旧ユーゴ・ルワンダ国際刑事裁判所、ICCローマ規程など、非常に多くの国際制度が発展しました。国連は1990年代を「国際法の発展における重要な時代」と評価しています。しかし、その後は、協力体制は崩れて行き、特に、2016年以降2025年と急激に悪化している。2006~2015年の10年間の安保理拒否権は19回でしたが、2016~2025年には49回と2.6倍に増えている。

 

 様々な原因が積み重なり、今に至っているが、大きな原因を挙げます。

*国内の巨大産業のロビー活動が議会を動かし、条約批准を拒否させる。米国。

*多くの国が独裁化を強め、特に大国が自国の地政学的利益を優先する。ロシア、米国、中国。

*最大の理由は、国内の不満が右翼ポピュリズムを招き、内向きになった。トランプ現象。

 

 これまで見て来たように、過去と比べものにならないほど、現在は世界の一致協力なしには解決出来ない重大な危機が、それも数多く迫っている。現状の、各国の内向きな態度を改め、また米国の横暴に耐えるだけではなく、多くの国が協力して米国と対峙し、さらに米国の立ち直りを促すまで行かないと、世界を救うことが出来ない。今は、その時なのです。

 

 

 

----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

20260925

短縮版 迫る多難な危機  第三章 3-3,3-4

 



「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

 

--- 目次  ---

第3章 我々が直面している危機

 3-3 現在の経済格差、最悪になった米国と大幅に改善された世界

 米国を見ます            

 それでは世界全体はどうなったのか? 

  まとめ

 3-4 これから起きる金融危機に備えて

 金融危機のからくり

 

   


第3章 我々が直面している危機

 

 我々に幾多の大きな危機が迫りつつある。それらには歴史上繰り返され来た危機や、まったく未知の恐ろしさ秘める危機もある。これらの危機を見極め対処しなければ、一国の疲弊や破綻に留まらず、遂には人類と地球に大きな損害を与えることになるだろう。数多くの危機の中から、最重要なものを選んだ。

 

3-3 現在の経済格差、最悪になった米国と大幅に改善された世界

 

米国を見ます

 米国は先進国中、経済格差最悪を更新中です。これは米国が新自由主義を最も信奉し牽引して来たからで、今後も止むことは無いでしょう。米国は、産業・経済・軍事・外交で世界を牽引しているが、政治と社会の内実は悲惨です。

 

経済格差: 最低所得から人口80%の年収層は50年近くで1.6~1.8倍に伸びた、しかし上位5%の高年収層はさらに2倍伸びた。その結果、上位5%の所得は下位20%の約10倍になった。上位1%の資産保有者による国内総資産の保有割合は、1989年の22.8%から2025年の31%に上昇。これに比べて、下位50%の保有割合は、1989年の3.5%から2024年には2.8%にまで減少した。

 

 

貧困: 上図の棒グラフが貧困人口を示す。レーガン政権の前後で、貧困人口は凡そ2500万人から3500万人に急上昇し、その後、定着している。

 

世界幸福度ランキング: 2013年、米国の幸福度は17位でしたが、2025年には過去最低の24位に落ち、先進国中でも低い方に定着しつつある。政府の信頼性も米国はOECDの平均よりも低く、30位前後に低迷している。

 

自殺率: 2000年の年齢調整済み自殺率は人口10万人あたり10.4人でしたが、2018年には14.2人まで上昇した(35.2%増)。特に高齢男性や若年層での増加が顕著で、富裕国の中でも高い。ちなみに自殺率が高い日本は、2024年で16.3人でした。

 

米国の状況はかなり悪くなってしまった。だからポピュリズムが沸き立つようになった。

 

 

 

それでは世界全体はどうなっているのか? 

 

 国際分業による生産性向上・価格低下が起こった。これは新興国(中国・ASEAN等)の急速な輸出産業の拡大と工業化を生み、その結果、世界全体の貧困人口が大幅に減少した。例えば、世界の極度の貧困率(1日2.15ドル未満で生活者/全人口の割合)は1970年の約60% から2020年代には約9%へと大幅に低下した。これは世界の貿易額/GDP比率が1970年の27%から2008年の61%への急上昇に現れている。これに伴って技術・資本・知識・人材の国境移動が加速した。この10年間で世界の最下層は70%も所得を増やし、富裕国では40~15%の増加に留まった。重要な事は、グローバリズムは発展途上国などの経済力を高め、国民所得を急速に上昇させたが、一方で、先進国の中間層以下の所得の伸びを低下させたことです。新興・途上国の経済シェアが20から40%へと拡大している。経済背長は先進国よりも新興・途上国の遥かに高いのです。世界全体で経済格差縮小と豊かさが訪れた原因のすべてが、グローバリズムのお陰とは言えないが、欠かせないものだった。世界GDPに占める世界貿易シェアが約25%から60%へと拡大し、グローバリズムの影響の大きさが伺える。米国では資産が30~60兆円の超富者が生まれた反面、多くの人は30年ほど所得は横這いに近かった。

 

まとめ

 二つのことが明確になった。一つは先進国(特に新自由主義を1980年代から積極的に取り入れた国々で、代表は日英米)で格差が急拡大した。一方、世界全体は豊かになった。ここで注意が必要なのは、米国などの国内の経済格差を起こしている真の原因は何かと言う事と、米国民はそれを誤解せずに知っているかと言う事です。

 結論から言うと、真の原因は、新自由主義政策で、レーガンとサッチャー政権以降に、米英の格差が拡大傾向になっていることから明らかです。

 

幾つかの悪化の原因について要約:米国を念頭に

 

A 国内の産業空洞化; 大戦後、多くの製造業が海外に移転するようになりました。しかし、世界の経済発展は国内にあらたな産業を生み出し、米国も含めて総就業人口は増え続け、失業率も長期的に低下傾向にある。

 

B IT革命; 1990年代中頃から始まったこの影響で、事務職等で失業が発生したが、これまた新しい職業が増え、全体として、総就業人口の低下はなかった。しかしグローバル化とIT革命の相互作用により、賃金は二極化し、賃金格差は広がった。

 

C 自由化と規制撤廃; 80年以降の金融市場拡大と多くの規制撤廃は、一人勝ちを生み出し、富が富を生むようになった。この現象は複雑だが、例えば80年代の全企業の利益に占める金融セクターの利益は10~15%でしたが、2000年代半ばにはこれが40%に達し、現在は20~25%で推移している。金融セクターのGDPに占めるシェアは7%前後に過ぎないのだが。金融資産残高で見ると、80年代はGDPの4.5倍だったが、現在はGDPの10倍に迫る。つまり金融資産で投資を繰り返すことが出来る人は幾何級数的に富を増やせる。所詮、金融資産は国がいくらでも発行出来る貨幣(価値)に過ぎないが、これに便乗できる者は濡れ手に泡である。

 

 

 

 

D 福祉と労働政策の後退; 80年代以降に国民を苦しめる施策が始まった。累進課税の縮小、企業や富裕層への優遇措置、タックスヘイブンへの資金や税金の海外逃避がより富裕者を富ませ、税収が大幅に減少し福祉予算に廻せる余裕は無くなった。また労働組合の弱体化は賃金上昇を阻んだ。失業と転職対策の不備は、グローバル化とIT革命に対応できない労働者を苦境に追い込んだ。また福祉政策の交代は、差別されている人々や失業した家庭が再起する機会を奪った。これらは低所得者に厳しい施策です。現実にアメリカンドリームが廃れていっているのが確認されている。

 

E 移民労働者; 移民労働者が80年代から2020年半ばまでに5000万人が米国に流入し、総人口比は14.5%になり、増加傾向にある。これが経済に与える影響は概ねプラスです。労働力と消費、さらに納税が増え、経済は上昇し、財政赤字が減る。また高齢化を是正する事にもなる。しかし不安材料もある。一部の低技能作業で仕事の奪い合いになり賃金低下が起こり、また地方自治体の公共サービスや行政費が上がる可能性があるが短期的な影響に留まるとされている(移民の子供が税を負担する)。

 

 これら5つの要因が、米国の格差拡大を生み出している。一言でいうと、金持ちはより金持ちになり、弱者と貧しい者は取り残される社会を政治が作り出したといえる。一番分かり易いのは、産業構造が変化するのなら失業者は当然生まれる、そこで転職と教育で労働者を援助すれば、これほど大きな問題にはならなかった。北欧はこの問題を解決してきたからこそ、幸福度と一人当たりGDPを共に勝ち得ているのです。少なくともグローバル化だけが悪いのでは無い。移民問題も同様に、経済や格差に大きな影響を与えていない。問題の本質は、多くの米国民が真実から眼を逸らされていることにある。

 

 

 

3-4 これから起きる金融危機に備えて

 

 米国の株価は絶好調です。もし、あなたが1993年にS&P500を買っていれば2026現在の評価額は18倍になっている。配当金を含めると32倍で、年利11%にもなる。これでは投資しない方が愚かに思える。ところが富裕層以外にとっては困難な問題が付き纏う。

 

 

 普通、年金や保険の資金の何割かは株式で運用される。しかし株は乱高下し、世界大恐慌で89%、ITバブルで83%、リーマンショックで57%下落した。つまり、高値で買うと1/10~1/2に資産を減らす。何時が買い時なのか? このグラフを見ると、うかつに手を出すのが怖くなる。基本は余裕資金での長期運用です。

 しかし金融危機の怖さは、株による損だけでは無い、中間層以下が長期にわたり困窮する羽目になることです。リーマンショック時、米国で起きたこと。8兆ドルの家計資産が消滅、600万件の住宅が差し押さえられ、800万人の失業(失業率は10%)、数百万人が医療保険を失い、自殺者は5千人増えた。米国で無保険は病院に行けず、場合によっては死の宣告に等しい。

 


 ところが、富裕層にとってはバブル崩壊後の景色は異なるのです。左のグラフは米国の所得階層毎の所得の推移を示しています。2000年のITバブル後に注目します。上位トップ1%は飛び切り増やし、上位10~20%も増やしています。下位80%では所得が戻るか、低い層ほどさらに減り、30年ほどで、ダラダラ下がり続けている。

 

 政府は金融産業の規制を避け、投機が旺盛になり、バブル崩壊が続く為に、格差が拡大している一面もあるのです。バブル崩壊時に、富裕層が素早く所得を挽回出来る大きな理由は、政府が大企業を潰さないために、リーマンショックでは救済金100兆円程をつぎ込み、景気回復に巨額資金を金融企業等に重点的に注入するためです。



 こうして米国は群を抜いて、経済格差が大きいのです。つまり、格差は人為的なものです。同じ資本主義ながら、経済システムを適正に行えている北欧で格差が少ないのは当然なのです。如何に金融危機が恐ろしいかが分かっていただけたでしょうか。

 

 

 

 

---全体の目次---

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

20260924

Summary: An Imminent and Severe Crisis

 


“If some people have been to bring about the destruction of humanity just for a moment's self-satisfaction, God would be saddened.”

 

Foreword

  We are currently facing a serious crisis. Furthermore, the arrogance of major powers has become increasingly intolerable, making the situation even more dangerous. If we and the American people do not take action now, it will be too late for the world.

“Make the world and people happy again!”

 

 

 

The World is in Crisis   Summary of Chapter 1

 


  We are facing more than 10 global crises. These include an increase in wars and conflicts, the rise of authoritarian states, widening economic inequality, the recurrence of massive financial crises, the covert activities of speculative capital, the growing severity of global warming, the threat of the AI revolution following the IT revolution, intensifying domestic divisions (right-wing populism), and the fragmentation of the global cooperative framework.

 

However, the most pressing issue is the rise of authoritarianism in the United States; if this process is allowed to run its course, it will lead to the ruin not only of the United States but of the entire world.

 

 

 

Humanity Has Overcome Crises in the Past    Summary of Chapter 2

 

 Looking at the United States today, it may seem as if there is no hope, but humanity has overcome various crises time and time again. Countless nations that have signed peace treaties to end wars; people who have nonviolently won their independence from dictators and the aggression of major powers; reformers who have sought to bridge the widening gap between rich and poor; painful responses to recurring financial crises; multilateral cooperation to address pollution and environmental destruction; workers who overcame conflicts during the Industrial Revolution to continue building democratic societies; outstanding leaders who prevented social division before it arose; and the establishment of international organizations that continue to contribute to world peace and happiness—these are all examples.

 

 For thousands of years, we, as humanity, have overcome crises, hardships, and conflicts between societies and nations to achieve greater peace and happiness. If we act with wisdom, a path will surely open up.

 

 

 

The Crisis We Face   Summary of Chapter 3

 

However, since the beginning of the 21st century, the world has been rapidly deteriorating.

 


  Let’s address the most pressing issues. First is Putin and the invasion of Ukraine. This is typical of dictators, and if left unchecked, it will lead to a repeat of the world war caused by Hitler. What we must be wary of is the high likelihood that Trump has ties to Putin (this becomes clear when the facts are pieced together).

 

In many countries, the rampant excesses of speculative capital and tax evasion—which are gaining momentum—are fueling growing inequality and inflation, while cuts to social welfare programs are compounding the hardship faced by citizens.

 

Global warming is already on the verge of reaching a point of no return. Although this will be a long-term battle, we must make up for lost time in implementing preventive measures starting now.

 

The AI revolution that has just begun will likely make a significant contribution to humanity if it is properly controlled. However, AI that surpasses human understanding is highly likely to become humanity’s greatest threat, and this fear has already begun to materialize. If left unchecked, it will become unmanageable.

 

 To make matters worse, as the American Dream crumbled in the United States—the nation the world relied on most—and poverty and deaths from despair increased, a storm of division raged, ultimately leading to the emergence of Trump’s dictatorship. The root cause of this American tragedy is deeply entrenched in the economies of many developed nations; right-wing populism is sweeping through these countries, and the world is becoming increasingly divided.

 

 

 

Crises That Require Immediate Action   Summary of Chapter 4

 


 By unraveling the mystery of “Why have Americans continued down such a tragic path?” we can see a way out from it.

 

There are three key points.

 

 The reason the vast majority of the public lost hope and found life increasingly difficult stems from neoliberalism, which began in the 1980s (initiated by Republican President Reagan). Over many years, an unregulated free market—which abandons workers (including through cuts to welfare policies), the abolition of progressive taxation, and a focus on the financial sector—has allowed the wealthy and large corporations to prosper and grow out of proportion. This fueled inflation, led to policies being controlled by the wealthy and large corporations, and ultimately resulted in wages for the majority of the population failing to rise. This problem is common to developed nations such as Japan and Europe, and will eventually become a major issue.

 

Although globalization and the IT revolution have also played a role, the number of employed people continued to grow steadily even during this period. The problem was that workers were unable to successfully transition to higher-paying jobs. The Nordic countries have handled this situation effectively. The U.S. Republican Party took no action whatsoever. The Democratic Party promoted higher education as a response to the knowledge-based society, but the results were limited. While immigration has led to somewhat lower wages in low-skilled jobs, it has undoubtedly contributed to the U.S. economy and addressed the challenges of an aging population. The deterioration of public safety in some areas is more attributable to the failure to address economic disparities caused by discrimination.

 

Unchecked freedom led to corruption and monopolies, resulting in an irreparable tragedy for the people.

 

 

 The second reason is that various smokescreens have been used to conceal these facts. There has been a flood of “alternative facts” that the Republican Party and big corporations (including FOX) have been spreading for years, and Trump brought it to its culmination. The establishment (laughter) concocted a simplistic conspiracy theory—the “Deep State”—to brainwash the public, but society had become so deeply divided that people actually believed it, allowing right-wing populism to gain a foothold.The Trump phenomenon was an inevitable outcome. This history of “alternative facts” began with efforts to discredit the New Deal, and is symbolized by claims that Freon gas and tobacco are harmless, as well as persistent denials that climate change is occurring. Furthermore, since the 21st century, with the advent of the internet and social media, people have become more susceptible to being incited by fake news and anger, leading to the manipulation of elections.

 In addition, with the Supreme Court dominated by conservatives, money-driven elections have become the norm, further it has become increasingly favorable to the vested interest groups.

 

In this way, the American people lost sight of the truth and became manipulated.

 

 The third is Christian fundamentalism (restorationism and nostalgia), which is unique to the United States. While Christianity in Europe has become increasingly secularized, this denomination in the U.S.—a remnant of the Western frontier era—places great emphasis on conversion (a passion so intense it overwhelms reason), and has repeatedly shaken American society, spurred by fervor. This was fueled by a sense of crisis stemming from the massive influx of non-white immigrants and the liberal human rights movement—as symbolized by the post-war Red Scare (Communism). Their extreme fear and hostility have fueled many overseas invasions. Furthermore, given the large number of wealthy Jews in the United States, the belief in Armageddon—which leads to support for Israel—has likely gained momentum as well.

 

 By co-opting this sect into the electoral process, the Republican Party expanded its influence and gained greater freedom, as its policies no longer had to be based on scientific or logical conclusions. In fact, this tactic is employed in many beleaguered nations, where vested interests seeking to regain power have succeeded by co-opting fundamentalist religious sects. Islamic fundamentalism in Saudi Arabia, Putin’s Russian Orthodox Church, and similar movements in Israel, Iran and India are all examples of this. While this alliance offers many benefits to those in power and to religious sects, it will undoubtedly be a tragedy for the people. This religious issue is likely to continue causing serious problems in the future.

 

Religion brings peace to communities and people, but it often blinds them.

 

 

 

If Left Unchecked, It Will Become the Greatest Crisis: How Should We Confront It? 

Summary of Chapter 4 and 5

 

 If the American people fail to restore political normalcy in these midterm elections, they will likely never be able to recover through nonviolent means again.I sincerely hope that the United States will demonstrate its conscience to the world. If it fails to do so, the possibility that Putin, Trump, Israel, China, and North Korea will plunge the world into a cauldron of war will become a very real threat. Furthermore, it will become impossible to prevent numerous other major crises.

 

I implore all sensible Americans to respect science and the truth, to reject this utterly immoral individual, and to restore the free and democratic society that once held so much hope and success. Young people in the United States are currently facing ongoing hardships, and while securing their daily bread may take priority over saving the world or preventing dictatorship, Trump will only make things worse. The reason is clear. Whether it’s his grandstanding and lies, his unscientific and illogical views, his lack of understanding of policy, or his egotism and self-righteousness—no matter which aspect you consider, it’s obvious that he is unfit to lead in the difficult times ahead.

 

Hitler captivated the nation with his speeches, but he was, after all, just an art student and a private soldier—a complete amateur when it came to policy. In the early days, In the early days, there were talented individuals around him, and they were able to implement policies effectively, but later they were purged by Hitler. Trump’s business career has been marked by a string of bankruptcies and the frequent use of SLAPP lawsuits, and he has managed to get by in part because of that. You should avoid people who are not trustworthy.

 

 

 

In Conclusion

  It will not be easy for the United States to recover, but looking at the world and at history, it is by no means impossible. Unfortunately, the bureaucrats at the heart of Japan’s government are inward-looking, so they are of no help in the face of a crisis like this. I apologize for that. However, there is hope, as the social systems of the Nordic welfare states serve as a useful model.

 

Thank you for reading my work for so long.