ラベル conflict の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル conflict の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

20261004

要約  迫る多難な危機  

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

まえがき

 現在、深刻な危機が我々に迫っています。さらに大国の横暴が目に余るようになり、より危険度が増しています。今、我々と米国民が立ち上がらなければ世界は手遅れになります。

Make the world and people happy again!

 

 

 

世界は危機に晒されている   第一章の要約

 


 

 

 10を越える世界的な危機が我々に迫っている。戦争・紛争の増加、独裁国家の増加、経済格差の拡大、再来する巨大金融危機、投機マネーの暗躍、深刻さを増す地球温暖化、ITに続くAI革命の脅威、激しくなる国内の分断(右翼ポピュリズム)、分裂を始めた世界の協力体制等です。

 

しかし喫緊の課題は米国の独裁化で、これが完成してしまうと米国だけでなく世界が破滅する。

 

 

 

人類は危機を乗り越えて来た    第二章の要約

 

 今の米国を見ると、手の施しようがないようにも思えるが、人類は、様々な危機を幾度も乗り越えて来た。戦争の終結に向けて平和条約を締結した幾多の国々、独裁者や大国の侵略から独立を非暴力で勝ち取った国民、拡大した貧富の差の解消を目指した改革者、繰り返す金融危機への苦渋の対応、公害や環境破壊への多国間の協力体制、産業革命で対立を乗り越え民主社会を築き続けた労働者、社会の分断を未然に防いだ優れた指導者、世界の平和と幸福に貢献し続ける世界機関創立などがその例です。

 

 我々人類は、数千年の間、危機、苦難、社会や国同士の対立を乗り越え、より平和と幸福を勝ち取って来た。英知を持って行動すれば必ず道は開ける。

 

 

 

 

我々が直面している危機   第三章の要約

 

しかし、21世紀以降、世界は悪化の度合を急激に深めている。

 


 

 

 喫緊の課題を採り上げます。先ずはプーチンとウクライナ侵攻です。これは独裁者の常であり、放置すればヒトラーによる大戦の二の舞いになる。注意が必要なのはトランプがプーチンと繋がっている可能性が高い事です(事実を積み重ねれば見える)。

 

多くの国で、勢いを増す投機マネーの横暴さと税金逃れが格差拡大とインフレを亢進させ、福祉削減が追い打ちをかけるように国民を益々苦しめている。

 

 地球温暖化は、既に取返しのつかない状況に陥りつつある。長期戦になるが今から防止策の遅れを取り戻す必要がある。

 

いま始まったAI革命は、適切に制御出来れば、人類に大きく貢献するだろう。しかし、人知を超えたAIは人類最悪の脅威になる可能性が高く、既にこの危惧は現実になり始めた。放置すれば手に負えなくなる。

 


 

 悪いことに、世界から最も頼りにされていた米国でアメリカンドリームが潰え、貧困と絶望死が増えた結果、分断の嵐が吹き荒れ、遂にはトランプによる独裁が現実化して来た。この米国の悲劇をもたらした真因は、多くの先進国の経済にも深く根付き、各国で右翼ポピュリズムが吹き荒れ、世界は分裂を深めている。

 

 このまま行けば、米国は人類史に大きな汚点を残すか、最悪、世界と共に滅ぶかもしれない。

 

 

 

 

緊急に対応しなければならない危機   第四章の要約

 


 

 

「米国民は、なぜこんな悲惨な道を歩み続けたのか?」の謎を解くことで、そこから脱出する方策が見える。

 

ポイントは三つある。

 大半の国民に取って希望が無くなり、生活が苦しくなったのは、80年代に始まる新自由主義(共和党レーガン大統領が始めた)にあります。これは規制のない自由市場、労働者(福祉政策低減も)を見捨てる、累進課税の撤廃、金融業界重視等が、長い年月を掛けて富裕層・大企業を繁栄させ肥大化させた。これがインフレを亢進させ、政策が富裕層・大企業にコントロールされるようになり、結果的に大半の国民の賃金が上がらなくなった。この悪弊は、日欧等の先進国にも共通しており、いずれ大問題になる。

 

 グローバル化やIT革命も災いしているが、この期間でさえ就業者数は着実に伸びていた。問題は労働者が適切に高賃金労働へと転職出来なかったからです。これについて北欧各国はうまく対応している。米国共和党は何ら手を打たなかった。民主党は高度知識社会対応で高学歴化を促したが、効果は限定的でした。移民は、低技能職で多少低賃金化を招いたが、米国経済や高齢化に貢献しているのは確実です。一部の治安悪化は、差別による経済格差を放置していることの方が影響している。

 

野放しの自由は腐敗と独占を生み、国民にとって取返しの付かない悲惨な状況を招いた。

 

 

 二つ目は、これらの事実を隠すために様々な目くらましが行われた来た事にある。共和党と大企業(FOX等も)が長年流して来た「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」の洪水があり、トランプが完成させた。既得権益層(笑い)が、単純な陰謀論「ディープステート(闇の政府)」をでっちあげて国民を洗脳したが、それを信じてしまうほど社会は分断され、右翼ポピュリズムが勢力を持つようになっていた。トランプ現象は当然の帰結でした。このオルタナティブ・ファクトの歴史は、ニューディール政策を貶める事に始まり、フロンガスやタバコの害を無害と偽り、気候変動は起きていないと言い募る事に象徴されている。さらに、21世紀以降、インターネットとSNSが加わり、フェイクや怒りに煽情されやすくなってしまい、選挙が操られるようになった。加えて最高裁が保守派に牛耳られた事で、金権選挙がまかり通るようになり、益々既得権益層に有利になってしまった。

 

こうして米国民は真実が見えなくなってしまい、操られるようになった。

 

 

 三つ目は、キリスト教原理主義(復古・懐古主義)、これは米国特有です。ヨーロッパのキリスト教は世俗化が進んでいるのですが、米国のこの教派は、西部開拓の名残で、信仰は回心(理性を失うほどの情熱)が重視されており、幾度も熱情に駆られ米国社会を揺り動かして来た。これに火が着いたのは、大戦後の赤狩り(共産主義)に象徴されるように、非白人移民の大量流入とリベラルな人権運動への危機感からでした。彼らの異常なまでの恐怖感と敵意は、多くの海外侵攻を後押しして来ました。また米国には裕福なユダヤ人が多い事から、イスラエル支援に繋がるハルマゲドン信仰も勢いを得たのでしょう。

 

 共和党は、この教派を選挙に取り込んだ事で勢力を拡大し、かつ彼らの政策が科学的・論理的な帰結である必要がなくなり、自由度が増した。実は、この手口は、多くの疲弊した国で行われ、権力奪還を目指す既得権益層が、原理主義的な教派を取り込むことで成功している. サウジアラビアのイスラム原理主義、プーチンのロシア正教、イスラエル、イランやインドでも見られます。この同盟は権力者と教派には利益が多いのですが、間違いなく国民にとっては悲劇になります。この宗教問題は、今後も深刻な問題を起こすことになるでしょう。

 

宗教は、地域と人々に安らぎをもたらすが、往々にして人々を盲目にする。

 

 

 

放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか   第4と5章の要約

 

 米国民が、この中間選挙で政治を正常に戻すことが出来なければ、今後、非暴力で二度と再起は出来ないでしょう。是非とも、米国の良心を世界に示していただきたい。これに成功しなければ、プーチン、トランプ、イスラエル、中国、北朝鮮が、世界を戦火のるつぼに投じる可能性が現実味を帯びる。さらに幾多の重大危機を止める事が不可能になってしまう。

 

 どうか良識ある米国民は、科学と真実を尊重し、不道徳極まりない人物を廃して、かつて希望があり成功した自由民主主義社会を取り戻してください。米国の若い人は、現在、苦しい状況が続いており、世界の為とか独裁阻止よりも、日々の糧の方が先かもしれないが、トランプでは、絶対に悪化するだけです。理由は明らかです。彼の大言壮語・虚言、非科学的・非論理的、政策を理解しない、エゴ・独善的、どれをとっても、これからの困難な時代に彼が不適任であることは明白です。

 

 ヒトラーは演説で国民を魅了したが、所詮、一介の画生・兵卒であり、政策は素人でした。初期には周辺に逸材がいて、上手くやれたのですが、後に彼らはヒトラーによって粛清された。トランプのビジネスキャリヤは、倒産の連続で、スラップ訴訟多用で、何とかやってこれたところがある。信じるに値しない人物は避けるべきです。

 


 

 

最後に

 米国が立ち直ることは容易ではないが、世界と歴史を見れば、けっして不可能ではない。残念ながら日本の中枢を担う官僚が内向きなので、このような危機に即して役に立たない。申し訳ありません。しかし社会制度は北欧の福祉国家が参考になるので希望はあります。

 

 

 

ながらく拝読して頂きありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

20261001

短縮版 迫る多難な危機  第四章 4-2 後半2部

  


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。

Make the world and people happy again!

 

 

--- 目次  ---

第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化

 4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか

   真実はどうして葬られたのか 1

    真実はどうして葬られたのか 2

    すがり続けた夢の果てに

    基本的な考え方

 

 

 


第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化

 

 既に見たように、今、世界は危機的な状況に突入しつつある。中でも、米国の独裁化が最も危険で、目前に迫っている。米国で右翼ポピュリズムが、なぜここまで力を得てしまったのか、その背景を見ます。そこには日米欧等先進国に通じる、新自由主義政策の欠陥が深く根付いています。さらに米国特有の病理(特徴的な宗教)が災いしています。

 

 米国が独裁化を回避し本来の民主主義に戻ることが、米国民を迷いと苦難から解放することになり、また世界が一致協力して、世界の危機に対処できるようになる。

 

 

 

 真実はどうして葬られたのか 1

 

 いくら信仰心が高まっても、現代は科学の知見があまねく社会を照らしている。数千年前に遡る聖書の予言や格言に先進大国が振り回されるとは思いもよらなかった。実は、宗教のみが真実を覆い隠す役割を果たしたのでは無い。もう一つ深い闇が社会を覆いつくしているのです。

 

 


  分かり易い例があります。2017年、トランプ政権のスパイサー大統領報道官は、トランプ氏の就任式に集まった群衆の規模について「過去最大の人々が就任式に参加した」と主張した。しかし、メディアによる空撮写真や公共交通機関の利用データなどからは、前回のオバマ大統領の就任式時よりも少ないと指摘された。これについて、コンウェイ大統領顧問がテレビ番組に出演した際、「スパイサー報道官が示したのは嘘ではなく“代替的な事実(alternative facts)”である」と述べ、正当化していました。トランプの発言は虚言の方が多いのですが、虚実取り交ぜ、応援者には夢を与え続けて、批判に対しては報道機関と国民を煙に巻いてきました。実は、この煙に巻く事で、永らく米国民は真実と科学的知見から遠ざけられて来たのです。

 


 

 1950年代、喫煙と肺がんの因果関係が指摘され始めると、大手タバコ会社は共同で「タバコ産業調査委員会」などの偽装団体を創設しました。これは中立的な研究機関を装いながら、実際には業界に都合の良い偽物の専門家を雇い、科学的論争が未解決であるかのようなプロパガンダを流し続けたのです。さらに、あえてタバコと直接関係のない、癌の発生プロセスなどの広範な生化学研究に巨額の資金を提供し、因果関係の結論決定を遅らせる時間稼ぎを行いました。タバコ会社自身は、すでに「ニコチンには強い依存性があり、タバコは癌を引き起こす」という真実を突き止めていました。1980年代に受動喫煙の害が証明され始めると、タバコ会社は「お抱えの科学者」に資金を出し、「科学的な証拠が不十分である」とする論文を発表させました。この間も、真実のデータはすべて極秘とされ、1990年代の米連邦議会の公聴会でも、タバコ会社の最高経営責任者たちは「ニコチンに依存性はない」と宣誓供述をして嘘をつき続けました。しかし、あるタバコ会社の開発担当副社長は内部告発により解雇され、さらに会社とギャングから激しく攻撃された。しかし彼の証言などにより1998年、大規模な損害賠償請求訴訟において歴史的な和解(勝訴)が成立した。

 

 実は、この「確実な証拠がない」「議論はまだ続いている」という「疑念の製造」戦略は、今も形を変え蔓延し続けているのです。最も危険なのは、天然ガス・石油掘削会社と共和党による地球温暖化隠しです。他にも、保守系シンクタンクが様々な、「疑念の製造」戦略に加担しています。このような目くらましが、半世紀以上、巨額の資金をつぎ込んで垂れ流されているのですから、大半の国民は真実を見ることが出来なくなっている。一人一人が科学的論拠を確認するのは困難です。

 

 

 

真実はどうして葬られたのか 2

 残念ながら、21世紀、特に2010年以降は、さらに困難な状況に追い込まれている。単純だがトランプの前回の4年間で3万回を越える虚言は、史上圧倒的な量です。彼は1日に10~20回、虚言や紛らわしい言説を吐いている。選挙集会等で、自陣営の聴衆を喜ばすために、また報道機関から批判的な質問を受けると、彼はほとんど虚言か誇大な言説を連呼する。報道機関等のファクトチェックに膨大な手間と時間が掛かり、究明に追いつかない。さらに巧妙なのは、大手マスコミを毎回、フェイクニュースと罵り、トランプを絶賛するFOXや一部のインターネットニュースサイトのみが真実を報道していると付け加える。今も、トランプ氏支持者は頑強に彼を信じて疑わない。しかし、これはほんの序の口です。

 

 既に、インターネット上で嘘がこだまのように反響している事は周知の事実です。この状況を差す言葉、ポスト・トゥルース(Post-truth)が2016年に有名になりました。これは世論形成において客観的な事実よりも、感情的な訴えや個人の意見のほうが強い影響力を発揮する状況を指しています。イギリスのEU離脱(ブレグジット)やアメリカ大統領選でのトランプ勝利など、世界政治がデマで大きく動いた事例でした。このような状況が生まれた背景の一つに、SNSの普及によって、誰でも簡単に世の中に対して個人的な意見を表明することが可能となったと同時に、多くの情報を瞬時に流通・拡散できるようになったことが挙げられる。利用者が見たい情報だけを見る「エコーチェンバー」や「情報のサイロ化」(広く連携できない孤立化)が進んだことが大きい。SNSの普及は、個人的な考えの影響力を増殖させた一方で、フェイクニュースと呼ばれる事実と異なる情報が短時間で世界中に流布されてしまう状況も招いた。その結果、テレビやラジオ、新聞、雑誌といったオールドメディアの影響力は相対的に低下し、客観的事実が軽視されるようになった。このエコーチェンバーは、人間の心理(自分にとって心地良い情報を選択)とSNSや検索エンジンのアルゴリズムが、個々の利用者の興味(情報)を分析し、望みを叶えるように優先表示している事で、加速している。利用者はさらにこれが繰り返され、より狭い範囲の情報に閉じこもるようになる。この状況を巨大プラットホーム(Google、メタ等)が莫大な広告料欲しさに、コントロールし、トランプの1期の選挙から、選挙に有利になるように細工した可能性がある。当然、大統領就任後、リベラルが望むSNSの規制を反故にするのと引き換えを目指してのことのようです。この選挙時に、ロシア(プーチン)がトランプを勝たせるために、ヒラリー候補にダメージを与える為に、SNSで攻撃していたことが、ほぼ確実視されている。

 

 深刻度が増すポスト・トゥルース時代と混迷を深める経済・社会にあって、我々はどう対処すべきなのか? 

 

 

 すがり続けた夢の果てに

 米国民の多くがこの夢に幻惑され続け、さらに何割かの人が神の下に在り続けるなら、地上では諦めても良いと思っているかもしれない。その夢とは、新自由主義の単純すぎる例、トリクルダウンです。これは、シャンパングラスを積み上げ、最上段にシャンパンを注ぎ、やがて最下段にまで滴り落ちる例えで示されます。富裕層や大企業が豊かになることで、最終的に貧困層など社会全体にも富が浸透・波及するという考え方です。半世紀待っても、最上位のグラスが大きくなるだけで、下には零れませんでした。

 もっとも罪な経済イデオロギー「完全な自由市場こそが消費者に最大の利益をもたらす」は、自由主義の小さな政府と自己責任論と並ぶ三大テーマの一つです。このテーマの前者二つとマネタリズム(金融数量説)は、当時絶大な信頼を得ていたノーベル経済学者ミルトン・フリードマンが提唱したものです。半世紀も経た今となれば、どれも齟齬をきたしている。むしろ米国の災厄は、これら理論の呪縛から抜け出せないことにある。この市場原理(自由市場)については、共和党も民主党も共に推進し、他の小さな政府、自己責任論、マネタリズムについては、民主党は抑制気味でした。

 政府が規制をなくして市場を完全に自由にすれば、無数の企業が競い合って効率化が進み、価格が下がり、消費者が最大の利益を得ると考えたのですが、理想どうりにはならなかった。規制緩和が進んだ結果、予測とは逆に「勝者総取り(ウィンナー・テイク・オール)」の現象が起きました。規模の経済やネットワーク効果(IT大手プラットフォーマーなど)により、市場は競争が激化するどころか、少数の巨大企業による寡占・独占が進みました。その結果、価格支配力が強まり、中小企業の排除や、富の極端な集中(格差の拡大)という弊害が生まれた。

 

 当時、フリードマンが最も信頼されたのは、彼の金融数量説の採用によって、当時のインフレを抑制出来たことにあり、画期的でした。金融数量説の信奉から金融技術の進展が起こり、自由競争が重視された事と重なり、投機が巨大になり、実体経済と金融経済が乖離しました。そして巨額の利益は金融から生まれるようになり、投機が行き過ぎると、景気は加熱するが、やがて金融危機が繰り返すようになった。もう一つの問題は、多くの国で資金が投機に向き、本来の設備投資に向かなくなったことも長期的経済成長を抑えることになった。

 

 現在、多くの経済学者によって、現状の新自由主義による経済運営は、様々な問題を生み出しているとし、個々の政策について批判され、修正が求めらている。もつとも保守系、富裕層、大企業はこれに反対していますが。

 

 

 基本的な考え方

 

 現状の経済状況を観察すると、異常であることは疑いない。明らかな事は、貧乏人はより貧乏に、金持はより金持ちに、しかも固定化されて来ている。また社会保障等が先進国中遅れたままです。当然、これは人為的な政策による結果です。なぜなら1980年代以降、多くの経済・社会指標が急激に悪化して来たのですから。

 行き過ぎ積み重ねらた政策が問題でした。大幅な規制緩和による自由競争、徹底した自己責任への転嫁、富裕層や企業に偏った大幅な減税など大きい。これらの弊害については、個々に簡単に触れて来ました。ここでは要約と、考え方を提示します。

 

 先ず規制が必要です。私たちは長年に渡り、規制緩和こそが、良策と洗脳されて来ました。しかし、これは間違いです。一言で言えば、規制過ぎてもだめだが、規制が無いのも問題なのです。適切な自由競争を生むには、寡占を防ぐ規制が必要です。スポーツで言えば体重別の競技だからこそ良い場合があるように。自己責任を自覚してもらうことは勤労精神を育む上で需要ですが、個人の状況(健康、生まれた家庭、人種、失業)や不意の事故等で、その後のチャンスが閉ざされる事は、社会にとってマイナスです。この理解は難しい。特に共和党支持者は、これら逆境にある人々に、税金が盗まれていると思わされて来た経緯があります。富裕層の減税総額と逆境を支える福祉費の比較をしてみましょう。概算ですが、富裕層の課税を大戦前の税率に戻すと、年間数十兆円が国庫に入ります。さらにキャピタルゲインの優遇措置で富裕層は年間何十兆円も逃れています。もっとも米国は規制が緩いのでタックスヘイブンに多くは逃げてしまうでしょうが。民主党がよく行う雇用対策費用は年間20~30兆円でしょうか。つまり富裕層に税金を負担していただくと財政赤字を増やさず、まともな福祉政策が戻ってくるのです。

 

 重要な事は、政府の政策実施にあたって、適正なフィードバックが可能にしておく事です。現在は、明らかに間違っている政策であっても、変更、元に戻すことが出来ない。それは、富裕層と大企業が、豊富な資金力を使って、選挙などで優位に立ち、長年に渡り政府と国民を手懐けて来たからです。共和党は1980年代から急激に企業・富裕層優遇に舵を切り、民主党とは袂を分かっています。その政策は、法人税・所得税・配当税・相続税等の減税、規制緩和、労組への規制強化、企業補助等で、拡大の一方です。例えば、2025年の共和党の大型減税法案は、「年収100万ドル超の上位0.6%の1百万人が、年収10万ドル未満の1300百万人よりも大きな減税を受ける」とCenter on Budget and Policy Priorities(予算・政策優先事項センター)が分析しています。これが今の米国であり、トランプの実績なのです。

 

 どうか真実から目を逸らさないようにしてください。

 

----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

20260930

短縮版 迫る多難な危機  第四章 4-2 後半

 

「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」


この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。


まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!


--- 目次  ---

第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化

 4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか

 目くらまし戦術1

 目くらまし戦術2

    宗教と道徳について

    米国の宗教と共和党の合体

    



第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化



 既に見たように、今、世界は危機的な状況に突入しつつある。中でも、米国の独裁化が最も危険で、目前に迫っている。米国で右翼ポピュリズムが、なぜここまで力を得てしまったのか、その背景を見ます。そこには日米欧等先進国に通じる、新自由主義政策の欠陥が深く根付いています。さらに米国特有の病理(特徴的な宗教)が災いしています。


 米国が独裁化を回避し本来の民主主義に戻ることが、米国民を迷いと苦難から解放することになり、また世界が一致協力して、世界の危機に対処できるようになる。



 

目くらまし戦術1

 大半の米国民には、悪化からの脱出法が見えていない。これには大きく二つの理由があります。一つは、反リベラルのイデオロギーであり、二つには、新自由主義への信奉があります。


 反リベラルの発端は、労働者らが20世紀前半に成功させて来た待遇改善と、それに付随した人権尊重の運動に対して、保守派が不快感を持つようになったことにあります。この運動な成功事例は、ルーズベルト大統領のニューディール政策でした。この流れは英国で始まりました。しかしやがて、労働組合が団結力を笠に着て、労働者貴族の横柄さが強調されるようになります。さらに時を経て、移民や黒人らが、必要以上に優遇(アファーマティブ・アクション)され、国民の血税やチャンスが、彼らに盗まれていると言う噂が強調されるようになります。そして米国連邦最高裁において、2023年、このアファーマティブ・アクションが違憲と判断されました。この政策は、多数の民族が共存する国々で実績を上げて来ているのですが。当然、この政策を世界に先駆けて、取り入れたのは米国のケネディ大統領で、公民権運動援護の一環として行ったのです。これが半世紀を経て潰えたのです。ここに米国らしい、手に負えない過激な動きがある。




 その一つが連邦最高裁の判事の保守とリベラルの比率です。2023年の連邦最高裁の判事は保守6人、リベラル3人でした。これにより違憲とされたのです。つまり、国民や議会が最良と思える政策を実施しようとしても、最高裁が保守(共和党)に握らている限り、実行出来ないのです。民主党政権では融和策をとり、最高裁の判事比率はほぼ半々で推移していました。しかしトランプが、一気に転換させた。これもトランプが保守派から歓迎される理由の一つです。過去にも保守優位の最高裁において、労働組合弱体に繋がる判決が出ています。「本人が望まない場合に組合の活動費を徴収することを認めない」判断をしました。これは、1世紀以上前の労働運動で勝ち取って権利だった。このような判決、裁定、法が積み重なり組合は弱体化して行った。加えて、2010年以降、幾つかの判決により、選挙への寄付総額の上限廃止と、選挙広告への上限廃止により、無制限の金権選挙が完成した。これは、政治が資金力に支配される事を意味し、国民には悪夢なはずです。


 この流れの中で、気づいて欲しいことは、米国の保守勢力があらゆる力(最高裁、マスコミ、政治献金、ロビー活動等)を使い、弱者救済、人権擁護と並んで労働組合への敵視を長年、国民に植え付けて来たのです。これにより企業家等は労働者の賃金低下と首切り、配転等で有利になり、益々、利益を上げることができます。これが反リベラル・キャンペンの大きな目的です。したがって、保守はしきりに、ルーズベルト大統領のニューディール政策の成果否定に躍起です。そして着実に、資金力の多さ、そして大企業こそが政治を牛耳るようになって来たのです。



 目くらまし戦術2

 

もう一つ、リベラル敵視に使える強力な手段があるのです。それは人間の感情に揺さぶりをかけることで、同性愛と堕胎の問題でした。米国以外の先進国であれば、同性愛は当人の自由恋愛を尊重し、堕胎は健康と育児に関わるので女性の判断を尊重し、彼らの人権と自由を守ることになると考える。しかし米国では、同性愛禁止は聖書に書かれ、堕胎は命を大切する聖書の教えに反するからと、キリスト教原理主義者(福音派)らは考える。そして、この教派を大々的に選挙に取り込んだのが、レーガン大統領からで、その後、この関係はより深く結ぶ付くようになった。なぜなら、この教派は米国人口の1/4に達しているのですが、その信心深さゆえに、票に及ぼす力は人口比を上回るのです。確かに、聖書には、それらしい解釈を可能にする文言はあります。ただし、同性愛禁止や堕胎禁止を匂わす旧約の章は、古くは3000年前の記述まで遡れます。このような因習を今に守ることが正常な感覚とは思えない。信仰の自由は尊重されるべきだが、政府が特定の教派の人権保護に抵触する可能性のある要望を政策実現することで、票を手に入れる事は憲法の趣旨に反するように思うのだが。


 さらに奇異なことがある。人権先進国の北欧諸国は、元を辿れば同じプロテスタントです。つまり聖書の文言を重視する教派の国と言えます。それなのに、この国々では同性愛や堕胎は本人の自己決定権を保証されています。米国の福音派だけが特別なのです。また非常に奇妙に思えるのは、福音派がハルマゲドン(最終戦争)を信じて、世界が戦争で破壊された後、パレスチナの地にキリストの再臨が起きると信じていることです。そして聖書が大きな隣人愛を説いているにも関わらず、イスラエルの虐殺を支援して止まないのです。米国はイスラエル以外で最もユダヤ人が多く、成功者も多い国です。だから潤沢な資金が、宗教や政治を動かしている。当然、信者らは地球は球体でなく、人類は猿から進化していないと考えます。こんなセクト的教派に振り回されては困ると思うのですが。共和党は、悪辣でも強力な宗教集団であれば利用するのに躊躇がないのです。




 共和党には、民主党との敵対を最初に訴えて人気を博したギングリッジ議員がいますが、この人物が米国で最初に悪辣なセクト教団の統一教会を共和党の味方に引き入れた。同様に福音派と共和党はがっちり手を組み、互いに手に入れたいものを得た。福音派は、同性愛禁止、堕胎禁止、進化論授業禁止、イスラエル軍事支援を手に入れ、共和党は、代わりに民主党拒否(反リベラル)を通じて、最終目標の労働者権利剝奪、減税と企業・富裕層優遇を手に入れたのです。私に言わせれば、共和党の得たものは福音派の得たものより遥かに貨幣価値が大きく、福音派の人々は心(道徳感情)を満たせたに過ぎない。米国南部に暮らす多くの福音派は、現地の地下資源開発企業の大きな公害被害にめげず、企業の発展による地域振興に夢を託し、減税による低福祉や定収入に我慢し、崩れ行く共同体をキリスト教会への固い信仰で守ろうとしている、実にけなげな人々です。選挙の為に、彼らを食い物にしている人々に腹が立つ。トランプの言動に、その様子が端的に現れている。彼は信仰心もなければ道徳心も無いが、福音派の票を手に入れる為に、戦争を行い、人権など無視している。




 宗教と道徳について

 


 信仰の自由は守らてしかるべきです。しかしその信仰を理由に、一方的に他者の自由や権利を剥奪する事は許されない。これは現代の魔女狩りです。しかし米国の共和党には、宗教による弊害への意識が稀薄です。

 人の道徳感情には、思いやり、公正、忠誠、権威、神聖、自由等があり、保守派とリベラル派で重視する道徳感情に差異があります。これが両派の敵対感情を生むとする考えもある。道徳感情は進化で生まれた感情ではあるが、個人の道徳感情の強さは、属する集団や文化に大きく影響される。だからこそ、これら道徳感情が現代社会に適合するかを理性的に判断し、コントロールするべきです。例えば、遺伝に支配された感情や欲情のままに生きるべきと信じるのは馬鹿げている。問題は、既に述べたように、教団や政治団体がこれらを悪用してしまうことです。付け加えるならば、多くの共同体は無意識に、この道徳感情によって団結を強化し、宗教にその力が大きい。道徳感情が保守やリベラル、宗教を選ぶと考えるより、集団や宗教が道徳感情を強化していると考えるべきです。永続している共同体の中では、これらが強化されている。この典型例は、ヒンドゥー教徒のバリ島バンジャール(共同体)に見られ、米国の福音派にも言えるだろう。これをもって宗教を非難するのではないが、行き過ぎは、その共同体を閉塞状態(因習に囚われる)にする可能性がある。今の、米国の異常な精神状態を冷静に振り返って欲しい。


 実は、20世紀以降、宗教が懐古・原理主義的になり、世界各地で混乱と反動が生まれている。イランで、1979年、イスラーム革命が起きた。これは預言者ムハンマドの時代や初期イスラームの教えへの回帰を掲げ、当時の過度な西洋化を「イスラームの精神を汚すもの」として激しく批判しました。サウジラビアは1932年に建国されたが、この王家は、初期イスラームの純粋な形に戻ろうとする「ワッハーブ主義」を取り込むことでアラビア半島の統一への力を得た。インドのモディ政権は、「純粋なヒンドゥー教徒の土地としてのインド(ラーマ神の治世)」の復興を理想とするヒンドゥー右派の宗教情熱を取り込むことに成功している。イスラエルのネタニヤフ政権の連立に不可欠なユダヤ教右派は、神がユダヤ人に与えたとされる「約束の地(ヨルダン川西岸地区などを含む)」の領有と、ユダヤ教の律法(ハラーハー)に基づいた国家運営を求めます。ロシアもロシア正教に回帰している。


 これらには共通していることがある。現代の急速なグローバル化や世俗化に対する「強い危機感」が生まれ、「かつての正しかった時代」という神話的な過去を再構築しようとする教団が力を持ち始めた。それを保守的な政治集団が、選挙や革命に利用し権力を掌握するのに使ったと言える。この危険性と恐ろしさは、外部から見れば明瞭なのですが、埋没していると分からない。



 米国の宗教と共和党の合体

 

 欧州と比較すると同じキリスト教圏でも、米国は異なる。銃犯罪の多さ、暴力(銃)への寛容さ、そして福音派等のセクト化(巨大組織だが排他的)と政治への関与です。米国は、英国と同じ白人(アングロサクソン)だが、北米大陸で育まれた文化がある。米国は、かつてピューリタン(プロテスタントの一派)が北米大陸に植民したことで始まった。彼らは英国教会から脱することにより自らの信仰に忠実であろうして、未開の地に移住し、森林を切り開き、町を造って来た。そして勤勉・勤労であり、聖書に忠実であろうとした。これが今の米国の精神を育み、発展を支えているとかつて賞賛されたことがある。しかし私には、深刻な軋轢(歪)が生じているように思える。


 初期に米国の教会はヨーロッパに比べ大きな違いがありました。一つは、様々な宗教やキリスト教派が各地域に教会を造り、統合される事もなく、まして国からの支配もなければ財政支援もありませんでした。つまり独立独歩から始まった。これが憲法で政教分離がうたわれた理由です。もう一つは、大平原と森林を一から開拓し、開墾地は彼らの所有地になったのです。また広大な原野に村や町が点在していきました。これが西部開拓です。これらを背景にして、米国では300年間に三波の信仰復興が起きました。この復興とは、突然、信仰に燃えた人が聴衆に神への信仰に目覚めるように回心を求める演説を始め、それが各地に広がり、大きなうねりとなり、回心者が増えた。このブームは長続きはしないのですが、キリスト教徒の意識を高め、幾つかの社会運動と結びついて行きました。この演説者は、多くの場合、正規の牧師や宣教師ではなく、既存の教会から自由な人々でした。これが受け入れられた背景に、町や村は比較的新しく、強固な文化やネットワークが存在しておらず、他から流れて来た演説者は、村人の孤独感を癒した事も大きかったのでしょう。



 こうして米国の初期の白人、キリスト教徒には、大きな変化が現れました。初期には、政治支配者や教会の権威、つまりエスタブリッシュメントに反発し、必要あらば既存の教会からも独立し、地域毎に自由を選びました。これが幾たびかの信仰復興を経て、人々の平等や自由への意識が強くなって行きました。米国憲法は政教分離をうたっているが、宗教団体の政治活動は基本的に認められています。19世紀、福音派は、貧困層への救済活動に熱心でしたが、20世紀後半から、政治や社会問題に積極的に関与し、イスラエル支援を強硬に唱えるようにもなっている。


 1980年以降、米国の信仰復興(リバイバル)のエネルギーは、「宗教右派」と呼ばれる強力な政治運動へと姿を変え、社会を二分するほど過激化していきました。本来の「個人の心の救済」や「貧民救済」から、「国家の権力を握り、キリスト教の価値観で法を変える」という政治的な戦いへシフトしていったのが、最大の特徴です。それまで政治と距離を置いていた福音派が、保守派の政治家と手を結び、巨大な集票組織を作りました。これをモラル・マジョリティ(道徳的大多数)と呼び、人工中絶の反対や、公立学校での祈りの時間の復活を掲げました。福音派の圧倒的な支持により、レーガンが当選し、宗教勢力が大統領をも動かす政治の主役に躍り出ました。1990年代〜2000年代には、彼らは文化戦争を激化させ、メディアの発達(宗教専門のテレビ・ラジオ)を利用し、テレビ伝道師が活躍し、草の根による支配を強めました。また設立されたキリスト教徒同盟は共和党の地方組織を実質的に乗っ取るほどの力を持ちました。2000年代、その代表者はブッシュ大統領を支え、イラク戦争の支持や、同性婚反対の運動を過激化させました。2010年代から現在、トランプ支持と「キリスト教ナショナリズム」が台頭していきます。ここ数年で、過激化はピークに達しています。


 信仰の熱狂が、過激な政治思想と完全に融合しました。2016年以降、 伝統的なキリスト教徒のイメージとはほど遠いドナルド・トランプ氏を、白人福音派の約8割が支持し、トランプ現象が起きました。またキリスト教ナショナリズム、「アメリカは神によって白人キリスト教徒のために作られた国であり、その特権を取り戻すべきだ」という過激な思想が広がりました。2021年の連邦議会議事堂襲撃事件でも、十字架や聖書を掲げる人々が多く見られました。2022年、保守派の長年の悲願だった「人工妊娠中絶を認める判決(ロー対ウェイド判決)」の覆しに成功。これにより、宗教的なルールがアメリカ全土の法律に直接影響を与える時代へ突入しました。1980年以降は、自分たちの聖書的価値観を法律で強制しようとする「他者を排除し、国家をコントロールするエネルギー」へと過激化していったと言えます。



 私は米国の信仰復興に見られる熱狂は危険な段階に入ったと感じています。その実例が、「赤狩り(マッカーシー旋風)」です。アメリカのキリスト教、とりわけ福音派が現代のような強大な社会的地位と政治力(のちの宗教右派)を獲得する決定的な転換点となりました。この時期、冷戦の恐怖を背景に新しい信仰復興運動が巻き起こり、福音派は「反共産主義の急先鋒」として国家の主役に躍り出ました。これを利用し人気を博したのが共和党のマッカーシー議員でした。当時、米国内での被害としては、共産主義の疑いをかけられ、多くの映画関係者から民主党系の国務省スタッフ、学者等が職を失い、投獄もされた。しかし、一大ブーム(1947年~)を起こした熱狂も4年ほどで下火になった(虚言が露見)。しかし、当時、占領下にあった日韓では、共産主義にまつわる公職追放、解雇、思想弾圧、果てには投獄・虐殺が起きた(1949年、国鉄総裁下山事件など)。これは日本の労働運動に多大な禍根を残しました。米国、特に福音派は、共産主義を悪魔の思想と定義し、その後も憎悪は続いています。共産主義への過激な否定感情を通じて、むしろ米国内、特に共和党は国民の一体感を醸成することを学びました。赤狩りの時代、「共産主義の脅威から救われるには、今すぐ悔い改めてイエスを信じよ」と唱える福音派の最大の伝道師を共和党アイゼンハワー大統領は顧問に迎えています。結局、恐怖や敵、多くは悪魔に対して国内が団結する術を手に入れ、その過程で、甚大な被害が出ているのです。それは米国の大戦後の出兵や戦争、ベトナム戦争やイラク戦争は、それらが夢想が煽った結果でした。この辺りは、ヒトラーのユダヤ人と共産主義者を罵倒したのと同じでした。


 1950年代、マッカーシー旋風とリバイバルの波によって、米国は神の国になっていたのです。 1954年、赤狩りの最中に、公立学校などで唱えられる「忠誠の誓い」の文章に 「神の下に」という文言が正式に追加されました。その2年後には、アメリカ紙幣にも印刷されている "In God We Trust"(我ら神を信ず) が国の公式モットーとして法制化されました。これらはすべて、「無神論のソ連(赤)」と「神を信じるアメリカ」を明確に区別するための、マッカーシー思想と福音派リバイバルが合流して生み出した産物です。


 一言でいうと、米国のキリスト教の主流は、何よりも感情(回心等)を重視するので、爆発的に盛り上がり、盲目的になってしまう。彼らは宗教哲学や論理に意を介さないので政治に利用されやすい。これはヨーロッパには無い特徴です。



 ----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。


20260929

短縮版 迫る多難な危機  第四章 4-1, 4-2 前半

  


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

--- 目次  ---

 

第4章 緊急に対処しなければならない危機

4-1 米国で起きている悲惨な状況

経済的な状況

    社会的な状況

     富裕層は一般市民に恩恵をもたらすか

    著しい所得格差がもたらしたもの

 4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか

   経済的な側面

 国民はなぜ悲惨な状況を改善できないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化

 

 既に見たように、今、世界は危機的な状況に突入しつつある。中でも、米国の独裁化が最も危険で、目前に迫っている。さらに悪いことに、米国の独裁化(右翼ポピュリズム)が完成してしまうと、世界の危機を防ぐどころから、より暴走させることになる。

 ここでは米国で右翼ポピュリズムがなぜここまで力を得てしまったのか、その背景を見ます。そこには日欧米等の先進国に通じる、新自由主義政策の欠陥が深く根付いていることが分かります。米国が独裁化を回避し、本来の民主主義に戻ることが、米国民を迷いと苦難から解放することになります。さらに、これによって世界が一致協力して、世界の危機に対処できるようになる。

 

 

4-1 米国で起きている悲惨な状況

 

経済的な状況

 一番分かり易いのは経済格差であり、ほんの一部の富裕者が膨大な富を有し、益々、その富は幾何級数的に増えて行く一方で、8割ほどの国民は生活水準が向上しないか貧困化し、不安定な状況に怯えています。さらに非白人や女性は賃金や待遇で差別されています。経済格差は、今や特別のことでは無くなったが、米国は先進国でトップを走り、格差拡大が止まらない。さらに、この格差が定着し、貧しい家庭からはほぼ裕福な階層に上昇することがなくなってしまった。詳しくは、第三章3-3で、グラフと数字で説明しています。

 

 

社会的な状況

 米国の中間層の賃金は、30年間、日本のように低下は無かったが横這いで、雇用状況が悪化し続けている。首切りが容易で、安定した生活を望めない。それに加えて、社会福祉が先進国中かなり貧弱で、医療費が高額、退職金や年金を当てに出来ない人も多い。高額な保険料が払えず、医療保険に加入していないので病気になっても高額な治療費が払えず病院に行け無い人がいる。妊娠した女性は、労働協約によっては育児休暇が取れない場合もあり、退職せざるを得ない。将来の為に、大学に行きたいと思っても、学費は非常に高額で、ローンを借りるか、諦めることになる。簡単に言うと、貧しい人はより貧しく、また何か災い(病気、首切り)に遭うと、どん底から抜け出せなくなる。これで若者は絶望し、薬物に溺れ、自殺も増えるようになった。また経済的な自立が出来ない若者は、親元に残り、結婚することも出来なくなっている。そしてこれらの状況は自己責任で片付けられる。ほんの一握りの人を除いて再起のチャンスや希望を持ちえない社会になっている。 

 

富裕層は一般市民に恩恵をもたらすか


  答えはNOです。富裕層の莫大な資金は、不動産、株式、アートなどの資産市場に流れ込み、資産インフレを引き起こします。さらに、富裕層が「いくらでも払える」ため関連の価格水準が上昇します。テレビなどの日用品は安くても、住宅・医療・教育という「人間らしい生活の基盤」のコストが、中間層には手が出ないレベルまで高騰してしまいます。良好な自然環境や景観が、一部の富裕層によって買い占められ、一般市民から切り離される現象が多発します。代表的な例として、カリフォルニア州の「マーティンズ・ビーチ」では、IT長者が海辺の広大な土地を買い取り、一般市民のビーチへのアクセスを物理的に遮断して長年の法廷闘争に発展しました。企業が河川を購入し、水利権を自治体に高額で売りつけ、住民の水道代が高くなるなどの被害がある。AIデーターセンター建設と同じ状況です。

 

著しい所得格差がもたらしたもの

 等しく皆が貧しければ絶望を感じないだろうし、さらに上昇のチャンスがあるなら、人は希望を持って生き続けるだろうが、そうではない。さらに悪いことに、一握りの富裕者達が政治と社会を操ることが可能になり、その度合いが日増しに強くなり、露骨にもなっている。貧しい人々がそれに対抗する策は益々少なくなっている。富裕者は莫大な資金を背景に政治献金、ロビー活動で直接、議員や議会を動かし、また草の根、宗教活動に肩入れし、大衆を動かしている。それだけでは無い。研究所を造り、研究者を雇い、マスコミを抱きこみ、世論を自らの目的に沿うように長年操作して来た。2000年頃からは、インターネットの巨大プラットフォームを所有する数社の企業は、ほぼ全国民を監視し誘導することまで可能となり、ホワイトハウスに協力する見返りに、規制を逃れようとしている。一部の富裕層は、隠すことなく大統領選挙に直接投資し、ホワイトハウスの要職を手に入れたり、便宜を図って貰うことを期待している。これはトランプ大統領に始まった事ではない。これらのことが半世紀あまりの間に、積み重なり、所得等への累進課税は逆進性を持つまでになり、また金融商品や投資の規制はことごとく緩められ、金融危機が再来するようになった。これらは富者を益々富ませることになっている。一方で労働組合は弱体化され、福祉政策は縮小されて来たので、多くの国民は不安定な状況に晒され続けるようになった。

 

 

 

4-2 なぜこのようなことが起きてしまったのか

 

 経済的な側面

 現在の大半の米国民にとっての悲惨な経済状況は、行き過ぎた自由競争が招いたと断言できます。市場での自由な競争は、生産と売買を効率良くし、生産者は工夫せざるを得ず、消費者は安く買えるはずでした。これが半世紀ほど主流となった思想であり、実際、多くの規制が葬られてきました。分かり易い例としては、公害、金融・投機、雇用、マスコミ等はかつて公益に失する事項については、事あるごとに規制法を定め、また監督機関を設けて、対処して来ましたが、現在はことごとく破棄されています。さらに加えて、国家の重要な役割だった公的サービスや再分配機能を放棄しつつあります。米国の場合は、初めから公的医療保険が貧弱だったのですが、改良は遅々として進まない。半世紀以上前なら、所得税は累進課税が当たり前でしたが、今や、巨大企業や超富裕層ほど税金を払わなくて良いようになっています。課税率の低下に加えて、様々な優遇税制が設けられ来たからです。階層の固定化が進んでいる理由の一つに、巨額の遺産を子孫に残せるように相続税等の減額もある。これらは、自由競争奨励の目的から離れています。実は、このような本来の競争奨励から離れて、結果的に大企業と富裕層を守ることになる数々の法律が創られて来ました。米国企業の薬価が高値維持できるように、工業所有権を強化したり、薬価決定に国の機関が関与出来ないとか、様々な小細工を繰り返して来ました。主に共和党がこれらの改悪を行い、後に民主党が修正を試みるのですが、焼け石に水です。グローバル化は共和党も民主党も共に、促進してきたが、国内の産業空洞化に対して、共和党は自由を標榜し手を打ったなかった。一方、民主党は、国内産業の構造転換に備え、高度知識社会を目指す大学進学を奨励して来た。残念ながら、状況の大幅な改善には至っていない。

 

 さらに米国は約20年ほど前から身勝手な振る舞いが多くなり、海外の先進国の協調体制を壊してきました。端的な例として、地球温暖化対策とタックスヘイブン対策があります。どちらも米国内の大企業と富裕層を守る為です。これらは回りまわって国民に損害と負担増を招いています。タックスヘイブンで富裕層の数割の資産が無税になっているのですから、国の税金不足に拍車が掛かり、サービス低下を強いる一方で消費税アップを図っています。まったく馬鹿げています。

 現在の悲惨な状況は、主に共和党が推進して来た、ほぼ規制の無い自由競争と、大企業・富裕層・金融取引優先によって、ほとんどの国民が放置され、保護も失われた結果と言えます。

 

 

国民はなぜ悲惨な状況を改善できないのか?

 これらの状況は1980年以降、徐々に深まって来た。大半の米国民はこの悪い状況に気が付いているが、真の原因から巧みに目を逸らされている。

 トランプの経済的な解決策で売りは、空洞化した産業を国内に戻し、労働者に就職先を与えると言うものです。関税を掛けて、相手国を脅し、相手国の資金で米国内に工場を誘致すると言う、画期的で米国民の懐が痛まない良策に思える。この策は、自国の多国籍企業化の推進からの大転換でした。しかし、問題が多すぎる。関税で米国消費者の購入額が上昇し生活が苦しくなる。また半世紀以上も生産技術や技能工を見捨てて来たのに、今さら工場が来たからと言って、うまく稼働するとは思えない。当然、品質も価格も思いどうりならないでしょう。どちらにしても10~30年のタイムラグがある。一番の問題は、米国自身(多国籍企業)の責任を棚に上げて、今になって相手国を犠牲にして、利を得ようとしている事です。まるで帝国主義の復活であり、じわりじわりと世界を20世紀前半のようにキナ臭くするだろう。少なくとも、互いに関税を掛け合い、貿易が縮小し、相手国の国内投資と労働者の職を奪い、世界経済にマイナスになる。

 

 これは、浅はかな目くらましの最たるものです。真の悪化原因は、空洞化を無制限、つまり自由化させて来たからであり、また何ら労働者への有効な対応策を行ってこなかったからです。それをあたかも一度に解決できると唱え、盛り上がる世情に問題がある。本来のあるべき姿は、北欧がやり遂げているように、高付加価値産業への構造転換を行うために、産業界と労働界が協議し、納得の上で、方向転換を図ることです。産業は必要な投資を行い、労働者は新たな技能の取得を目指します。このために労働者への転職支援(技能講習と休職保障)が不可欠です。こうして北欧は産業転換を図りながら、高い国際競争力と一人当たりGDPを維持しているのです。

 

 トランプと共和党の他の経済政策は、大半の国民(中間層以下)にとってそれほど経済的にメリットがないか、むしろ回りまわってマイナスになるものです。ほとんどは大企業や富裕層にメリットのあるものです。それでは、なぜ国民はトランプや共和党に期待するのでしょうか。我が身を振り替えれば生活の悪化か横這いが長期に及び、普通に考えれば政策の欠陥が分かると思うのですが、それが見えていない。確かに共和党の方が民主党に比べ景気刺激策に力点を置いてきたのだ、蓋を開けると、中間層以下の人々にとってマイナスだった。

 

 

 

----全体の目次-----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。