「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」
この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。
まえがき
現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。
Make the world and people happy again!
--- 目次 ---
第5章 放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか
5-1 米国は独裁国家に向かう
5-2 世界は戦争に向かう
5-3 我々は如何にすべきか
第6章 参考
6-1北欧に学ぶ
第5章 放置すれば最大の危機、どう対峙すべきか
前章では、米国の異常事態は、経済政策の失敗と富裕層に利する社会になってしまった事が大きいと論じました。そしてそれを正常に戻すことも困難であることを見てきました。この章では、米国の今の状況を放置することが、米国民だけでなく、世界を破綻に陥れる可能性があることを見ます。
1 米国が独裁国家へ向かう
私が一番恐れているのは、早ければ米国がトランプを首班にした独裁国家へと今年中に変貌する可能性です。彼は政権を牛耳り身を守る手口を日々露骨に使っています、悪行がバレないように職場のトップを挿げ替える等。また都合が悪くなると支持者を煽り不正選挙を正すとして議事堂占拠を扇動しました。これらがエスカレートしていって独裁者にならない方が不思議です。トップは独裁が可能なら独裁の方が遥かに楽なのですから。強欲で道徳意識が欠落し、虚偽を毎日に吐くような人物は、独裁に何の抵抗も無いでしょう。
ここで矛盾した米国の現状に幻惑することになります。様々な心理学実験で、人は乳児から大人まで、嘘つきを嫌い、犠牲を払ってでも罰まで与えることが確認されています。これは、嘘つき(裏切り者)を排除しないと、社会集団が崩壊してしまうことから、長い進化の過程で脳に刻み込まれた強力な生存戦略の一つだと考えれているのです。ところが、毎日、大統領が嘘を吐いている事を知っていても、米国民の何割かは気にもかけないのです。正に、独裁誕生前夜と言えるでしょう。これに似た事例がありました。
ヒトラー独裁を可能にする総統への経緯はあっけないものでした。1933年の選挙で、ナチ党288議席(得票率44%)でドイツ国家人民党52議席と連立を組み、ヒトラーは過半数を手にいれます。ここで都合よく国会議事堂放火事件が発生します。ヒトラーは、これを共産党のテロと断定し、ヒンデンブルク大統領を泣き落とし、大統領緊急命令を発令させ、共産党81議席を無効にします。この事件の真相は不明です(ヒトラーの犯行だろう)。しかし、これではまだ憲法改正は不可能でした。そこで中央党(カトリック系)に、「教会の権利を守る」という約束で73議席を手にいれます。こうしてヒトラーは総議席数の2/3を手に入れ、素晴らしい憲法を改悪し、独裁権を手に入れ、この後、あれよあれよという間に、第二次世界大戦へと突き進んで、自滅した。不思議に似ていると思いませんか。違うのは、当時のヒトラーは、裏で残虐な事をしていましたが、表向きは誠実な人物と見られていたことぐらいでしょうか。それにしても政治のトップや政治屋は、何時の時代にも先を読めないものですね。
現時点でトランプの独裁化は道半ばを過ぎ、完成まで一息といったところでしょうか。最高裁と共和党を手懐け、熱狂する支持者達を従え、テクノ・リバタリアンとGAFAまで尻尾を振るようになっている。さらに20年以上裏で繋がっているプーチンが幾度もトランプを支援しており、これからも続くだろう。いつの世も独裁者同士は実に相性が良い。どうか、独裁に気をつけてください。
2 世界は戦争に向かう
現在、イランと米国、イスラエルとパレスチナ(ガザ)、そしてウクライナとロシアが戦争をしている。中国による台湾侵攻の可能性も否定できない。去年ぐらいまでは、ロシアが世界大戦の火種と思われた。しかしここに来て、米国とイスラエルが加わった。
過去の二つの大戦は、帝国主義に続く国家間の覇権争いの延長で始まり、次の大戦は疲弊した国家が始めました。実は、両大戦に共通していることがありました。一方が専制国家かファシズム国家で対峙したのは民主主義国家だった。開戦を仕掛けたのは、共に専制国家群(ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国)、ファシズム国家(ドイツ、日本、イタリア)でした。つまり。独裁国家が巨大な戦争を始める可能性が高いのです。それはロシアに続く米国かもしれない。
3 我々は如何にすべきか
世界と自国を、今、変革しないと手遅れになる。迫る危機と内部崩壊の状況を既に説明しました。この状況を救うには、第一に米国が独裁に走らないようすることです。今の米国に、自らを正す力を期待できないと思う。この中間選挙で、またも共和党が過半数を取ると、トランプは自らを守る為に一気に独裁に向かうだろう。もう一つの悪いシナリオは、トランプと共和党が敵意を煽り、内戦状態が勃発することです。民主党が過半数を取るぐらいでは、状況の改善が期待出来ないので、混乱が続くことになる。共和党には良識を期待出来ないと思う。
先進国はもっと鮮明に、トランプ政権に独裁や横暴を抗議する必要がある。日本が最も情けないのだが、世界には日本に好感を持っている国は多い。どうか、今こそ、自由民主主義を標榜する国々が協力して、米国にNOと言うべきです。カナダやスペインが孤立しながらも戦い、イタリアも反意を鮮明にしている。戦争では無い、常識を米国民に説くだけです。個々には弱いので、多くの国が集結し手を携えるのです。さすれば米国も、過ちに気づくかもしれません。現状のままであれば、熱狂的な米国民はトランプの腕力を平和や経済への脅威とみなしていない。優れた先進国首脳がこれぐらいのことをしなくてどうすのか。
トランプに退場して貰えば、次は、二つの事に、世界は進まなければならない。一つは、新自由主義的な政策を見直し、適正な規制と監督を行い、福祉政策により、文明崩壊の切っ掛けになって来た中間層以下の底上げを行う。次いで、世界が一致協力して、戦争防止、タックスヘヴン対策、気候温暖化対策などに進むことです。一国だけの新自由主義からの転換は、不可能とは言えないが、共に貿易や金融のシステムを変えて行かない限り、うまくは行かないでしょう。AIの対策も緊急を擁します。ここ一二年が勝負です。このためにもトランプの退場は絶対です。
家族と世界を再び幸福にしましょう!Make the world and people happy again!
第6章 参考
6-1.北欧に学ぶ
* 北欧の素晴らしさ
幸福度
北欧は毎年上位総なめです。幸福度の評価は、各国1000人にアンケートを答えてもらい、3年間の平均値を取ります。アンケートは、最高の人生を10、最悪の人生を0とし、回答者に自分の人生がどの段階にあるかを評価してもらいます。この値の多い方から順位を付けます。2024年の世界幸福度ランキングで、日本は143カ国中51位となり、順位を下げ続けている。
一人当たりGDP
2024年、一人当たりGDPの世界ランキングは、デンマーク10位、日本38位です。左図の緑折れ線が日本で、唯一低下している。本来は微かに増加しているのですが、円安で落ち込んでいる。
所得格差
北欧は一人当たりGDPが高かく、かつ所得格差(ジニ係数)が低い。日米と比べると違いが分かる。北欧は比較的平等なのに、経済が成長し、所得も高いのです。
世界競争力ランキング
北欧の競争力は世界トップレベルです。ノルウェーは通年10位に入っていることが多い。評価は経済状況、政府の効率性、ビジネスの効率性、インフラをさらに細かく計20項目で分析して行われている。かつて日本は1989-1992年に1位を獲得し続けたことがあった。現在、日本の競争力は対象67ヵ国中35位で低下の一方、評価項目で20位に入っているのは5項目に過ぎない。
他の指標を見る
北欧の腐敗認識指数、民主主義指数、報道の自由度、ジェンダー平等指数は、総て日本より評価が高く、ランキングは上位にある。教育水準では、北欧と日本は同等と言えるようです。
ベンチャー投資
ヨーロッパで北欧のアイスランドとスウェーデンは多い。一人当たりベンチャー投資額の世界ランキングの1~10位はシンガポール、イスラエル、米国、スイス、UAE、英国、カナダ、スウェーデン、アイルランドでした。2024年、一人当たりベンチャー投資額は米国630$、スウェーデン270$、日本14.9$で、日本の投資総額は米国の124分の1、北欧の18分の1に過ぎない。これでは北欧に負けるのは当然だと思われます。
こうして見ると、北欧は幸福、社会の安定性、豊かさ、成長性総てを持ち合わせていることになる。北欧が半年以上雪に覆われることぐらいが欠点でしょう。経済社会の指標で日本が良いのは、低い失業率と肥満率、そして平均寿命が2年長いぐらいでしょうか。
* 労働市場での施策とシステム
就労を促す社会規範・社会制度、高い労働組合の組織率を背景とした労使協約重視の労使関係、労働移動を促進する様々な仕組みに特徴がある。
老後生活保障の基本となる年金制度は、給付が就労時の所得に比例する社会保険方式が基本にある。これは、社会保障制度の受益者に対して必要な職業訓練や人材投資によって労働市場に戻そうという考え方で、日本の就業率61%に対して、スウェーデンは76%ある(就業率=就業者数/15歳~64歳人口)。つまり多くの人が働いている。これは、賃金の男女差が少なく、女性の就業率が高い為だと考えられる。年間労働時間は、日本の方が12%ほど長い。一方、スウェーデンの失業率は7.6~8.3%で、日本2.5~3.6%で数倍高いが、前者は3ヵ月以内、後者は1年以上に失業者が多い。
スウェーデンの労働組合組織率68%に対して、米国は12%、日本も18%と非常に低い。これは、後者2ヵ国の政府が組合潰しを先導して来たことに一因がある。スウェーデンでは、組合員以外にも影響が及ぶ全国労働協約の適用率は9割といわれている。この高い組織率を背景に、かつて賃金交渉は、スウェーデン経営者連盟とスウェーデン全国労働組合連盟の間で、総括的に行われて来たが、現在は、徐々に産業レベルで行われるようになって来た。後にみるが、これは日本の企業内組合内での交渉とは、大きく異なる結果をもたらすことになる。
スウェーデンの労働移動は活発で、男性の平均勤続期間は10年ほど、日本の13年より短い、但し米国は4年ほどです。スウェーデンの若者は転職することに前向きです。これは労働組合が企業の整理解雇を容認する一方、職種毎の同一労働同一賃金により、労働者は転職による不利が無いからです。したがって日本のような最低賃金制はない。こうして転職を促進し、低生産部門を圧縮し、産業構造を高生産部門(高付加価値)へと拡大させていった。低生産部門の大量失業者を、積極的労働市場政策(教育と休業補償)によって、シフトを可能にしているのです。このことが、「アングロサクソン型(英米等)」とそれに追従する日本、つまり新自由主義国との差になってしまったのです。この北欧の産業転換を可能にしたのは、政策によって転職意欲を持つ労働者とマクロ的な経営者連盟と全国労働組合連盟の協議体制があったからです。この協議体制で産業転換も話し合われる。北欧などの労働者はキャリヤアップの為に、日頃から研鑽を積むことになるが、日本では、学校を卒業すれば学業はお仕舞いというわけです。歴史的な背景と政治状況が異なるので、日本の労働組合が北欧型に脱皮出来ないとは思うが、残念です。
整理解雇が自由な一方、企業が離職者の再就職に対して責任を果たしている。政府からの財政支援の無い民間団体が加盟企業の支援によって、その任を果たしている。
上記の施策やシステムの効果はどのようなものなか? スウェーデンの雇用調整スピードは日本より数倍高く、景気後退からの立ち直りの期間も数割早い。スウェーデンの賃金調整スピードは日本の6倍遅く、日本のように簡単に低下することはない。また、産業を跨ぐ労働移動はスウェーデンの方が活発に行われている。
スウェーデンでは、政権交代が行われ、現在、新自由主義が取り入れらているが、基本的な福祉国家としてのスタンスは変わらない。変わったのは、高福祉や充分な補助はモラル・ハザード(責任感の欠如)を招くとし、働くことへのインセンティブ(動機付け)を重視するようなり、転職時の休業補償期間の削減や、その手続きを実態に即したものにすることにより、失業期間の短縮に成功していることです。
北欧には学ぶべきものは多々あるのですが、基本的な考え方を知ってもらえれば充分です。このやり方で、あらゆる分野が日々革新され、世界トップ10の幸福度を満喫し続けているのです。
----全体の目次----
第一章、世界に迫っている危機の要約。
第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。
第三章、我々が直面している重大危機。
第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。
第五章、如何にあるべきか。
第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。