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20210102

没落を食い止める! 1: はじめに 1: 悲惨な・・・

  


*1

 

私は不思議でならない!

没落させても平然としている人々。

片や、衰退の真実に目を背ける人々。

今や、この両者が日本を覆い尽くすようになってしまった。

 

この現状から脱したい!

この思いで、連載を始めました。

 

 

* 目に余る悲惨な現状!

 

今、奇怪な現象が中国地方西部で頻発、集中している。

 

これはチャイナで無く、日本の話しです。

国会で118回も虚偽発言した元首相、元農林水産大臣に贈賄した企業、買収を行った元法務大臣夫婦の事件などです。

これらは不思議な事に、山口県と広島県の国会議員か企業に偏っている。

この地は明治の元勲や戦後の首相、岸、池田、佐藤などを生み出した所です。

 

私には、その偉大な歴史ではなく、今まさに日本が陥っている状況を象徴しているように思える。

大半の日本人は、これらの事件を単なる政治家や企業の腐れ縁に過ぎないと思っている。

確かに、幾度も繰り返されている光景だが、益々政治は腐敗し、その悪弊が社会に浸透し、民主主義が崩壊しつつあることを物語っている。

象徴と感じるのは、正に著名な政治家を生んだ地ほど病んでいるからです。

 

例えば強姦の逮捕状が出され揉み消された山口元記者、長年認められなかった獣医学部新設で便宜供与が疑われる加計理事長(岡山県)らはいずれも、元首相に近い人物です。

 

これは社会がパトロネージュ(政治家と後援者の癒着)によって腐敗し衰退するという世界史に通じる現象です。

栄華を極めた王朝もやがて権力者の恣意的な政治によって経済社会は非効率になり悪化し、回復不能に陥りました。

やがて各地で反乱が起き、これ幸いと外敵が一気に崩壊させることもありました。

中国の宋、朝鮮半島の高麗、フランスのルイ王朝などが好例でしょう。

 

ここで視点を海外に移します。

 

私が旅行中、コペンハーゲンで10年ほど暮らしていた日本女性に会った時の事です。

彼女が北欧に来て最も鮮烈な印象を受けたのは、政治腐敗(汚職)がまったく存在しないことでした。

彼女は、依然として頻発する日本政治の汚職に呆れていた。

 

例えば、国の腐敗を示す腐敗認識指数で、デンマークは世界180か国中最良の一番、しかも継続している。

一方、日本は2011年に最高の11位をつけたが、なぜかその後凋落を始め、現在18位です。

2012年末の第二次安倍政権誕生と関連が有るかは不明ですが・・・。

 

少なくとも日本がいつまでも先進国とか、「Japan as Number One」(1984年刊行の日本礼賛本)とか思わないで下さい。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

20200621

世界が崩壊しない前に 32: コロナに見る日本政府の危機管理 2



*1

今回、はからずも行政サービスの稚拙さから腐敗と癒着の体質が露呈した。
さらに経済政策の根本的な欠陥も浮かび上がった。



 
< 2.アジアでも遅れをとった日本 >


* 行政サービスと経済政策の問題 *

今回、致命的な体質が露呈した。
1. 国民向けの経済施策は政府の念頭に無い。
2. 国民向けサービス体制は手詰まり。


当初、政府は復興と銘打って牛肉券や旅行クーポンを高らかに謳った。

これは弱っている業界を助け、その出費の大半が余裕のある人々の懐から出ることになり、一挙両得だと好感する人もいただろう。

実は、これは経済理念と国民目線の無さを示している。

これでは本当に苦境に陥った店舗の救援が出来ず、また裕福な人の節約を助長するだけです。
例えば、政府が復興の為と称して、ダイヤモンドや世界一周クルーズの購入費を半額負担すると言っているに等しい。
結局、ふるさと納税と同じ人寄せパンダで、自民党に群がる業界団体を潤し、逆累進課税にもなる。

必要なのは他の先進国が実施ているようなコロナにより困窮している事業体や失業者への素早い直接給付です。
日本では、なんとか一律10万円給付が成った。

経済対策の遅れを見ていると、政府が国民の経済弱体化を甘く見ていることがわかる。
政府は、放置することにより国民と事業体が、失業・倒産・大学中退などで再起出来なくなることを意に介していない。

一方、日銀は金融不安払拭の為に株式の爆買いを加速させ、金融緩和に邁進している(米国でも)。
これは更なる金融危機の芽を大きくし、結果的により巨大なバブル崩壊が襲い、大規模な倒産と失業、そして格差拡大が圧し掛かるだけです。
ここ60年繰り返してきた。


なぜこんなことになったのか?

一にも二にも、政府の経済政策が、産業界をリードする大企業と金融界を優遇することだからです。
国民の事は二の次三の次に過ぎに成り下がった(この問題はいずれ説明します)。


もう一つの問題は、持続化給付金支給などに見られるサービス体制の欠陥です。

今回、パソナや電通がほとんどのサービス業務で幾度も中抜きをしていることが露見した。
両社は以前から政府と癒着し、巨大な利権と実権を握り、非正規問題とマスコミ支配と言う日本の二大悪を担って来た。
両社を経由した業務がお粗末になるのは必然です。
これは国民へのサービス体制の不備と言うより、根絶しなけらばならない自民党・官僚の腐敗・癒着の構造です。

しかし問題の根はさらに深い。

それは1980年代から自民党と官僚が共同で推進して来た、偽りの構造改革・緊縮政策の一つの結果です。
ポイントは、公務員を減らし民間委託に奔走したことです。

既に日本の雇用者に占める公務員比率はOECD諸国の最低になり、平均の1/3に過ぎない。
だが減って当然の巨額の特別会計は減らず、行政の改善も見られない。
つまり、無数の外郭団体と民間(政商のパソナや電通など)と言う隠れ蓑に予算は食い尽くされ続けている。

さらに悪い事に、このサービスは以前の体制より遥かに非効率になっている。
そこでは、一部の天下りが高給を貪るが、多くの従事者は非正規に代えられ、薄給と不安定な身分に落とされ、意欲とスキルは低下し続けている。
あらゆる省の外郭団体、第三セクターが劣化の危機に晒されている。
民間ともなれば、従業員はさらに規制の無い過当競争に晒され、全てが劣悪になる。

これが現在、日本を覆い尽くす政府による国民サービスの実態です。

この問題の本質は、見かけの改革だけで政府・官僚・政商の腐敗と癒着が強固になり、さらにその不透明さと隠蔽により、全貌が掴めなくなったことです。

特に日本は米国流の自由放任経済に加えて、自民党長期政権を放置したことが災いしている。
このような状況で、様々な地球規模の危機に対応出来るはずがない。


次回に続きます。




20200619

世界が崩壊しない前に 31: コロナに見る日本政府の危機管理 1





*1

今回のコロナ危機は、日本政府が見掛け倒しだったことを露見させた。
これで、今後迫りくる様々な危機に対応出来ないことが明白になった。
3回に分けて解説します。


 
*2


* 日本政府の三つの欠陥 *
今回は二つを見ます。

パンデミックなどの危険予知と予防策

以前から警鐘が鳴らされていたにも関わらず、感染症関係の予算削減、医療体制(保健所、感染症病棟)の縮小が進んでいた(他の先進国でも)。
現政権で加速すらしている。

これは中央政府だけでなく自治体においても同様で、緊縮と改革を売りにした首長に多い。
概ね、彼らは科学的知見が乏しく、声高に経済優先(?)を唱える(トランプ大統領など)。
日本は、原発事故の予防でも同じだったが、まったく教訓を得ていなかった。


コロナの感染対策

・クルーズ船寄港拒否のドタバタ
・武漢で発生後も中国観光客の勧誘キャンペーン
・海外からの日本人帰国者の水際対策の抜け
・オリンピック固執による対応の遅れ
・学校閉鎖や満員電車などの三密回避のアンバランス
・補償の無い自粛要請による不公平と洩れ
・捉えらきれないクラスター分析
・設備があるのにPCR検査が不足し、説明と運用のドタバタ
・医療従事者用備品や衛生用品の不備と支給遅れ

全国に指揮しなけらばならい政府の言動には一貫性もスピード感もなく、不信感を買った。
一部の手軽な感染防止を訴えはするが、その一方で感染を野放しにしてしまった。
それに比べ自治体の首長の言動は遥かに国民の信頼を得た。

この結果は明らかだ。
東アジア沿岸部の台湾、韓国、中国、シンガポールは欧米に比べ人口当たりの感染者・死者数が非常に少ないが、日本は群を抜いて一番多い。
これらの国は衛生意識、BCGワクチン接種、さらに有効なウイルス抗体が備わっている可能性があり、同じ土俵で戦いながら日本だけが成績が悪い(山中伸也教授の説)。
日本は発生源から最も遠いのに、最も近い台湾より遥かに劣っている。
両国のマスク配布の対応でも差は歴然としていた。

結果から見れば、大臣が大言壮語した高い民度と言うより、政治(内閣と官僚)がお粗末と言うことになる。


次回は、経済対策についてみます。


20200617

世界が崩壊しない前に 30: 深まるパンデミックと健康の危機





*1


現在、新型コロナウイルスでパンデミックの恐ろしさを実感させられている。
今回は伝染病と健康の危機を見ます。


人類は病に翻弄された来た。
原始社会では、病への恐れが様々な因習(穢れなど)を生み、信仰を強化した。
中世ヨーロッパでは、人口の3割が死亡したペスト蔓延が宗教改革の引き金になった。


 
< 2. インフルエンザの猛威 >


ここ数十年、医療技術が発展しているにも関わらず、伝染病は世界を益々脅かしている。
日本と米国では、ここ三十年ほどインフルエンザによる死者は増加傾向にある。
SARSMERS、インフルエンザ、エボラ出血熱などウイルスによる伝染病が記憶に新しい。


2006年、経済学者が1918年のスペイン風邪が現在流行すれば死者は世界で1億4200万人に達し、GDPは13%減じると予測した。
これは死亡率3%での計算で、当時日本の死者は45万人だった。
しかし死亡率50%越える伝染病もあるし、通年発生するものもある。

他にもある。
エイズ、マラリア、結核、下痢などで毎年1300万人が死んでいる。
40年前に発見されたエイズの感染者は6000万人を越え40%が死亡している。

今後、地球温暖化が進行し、主に低開発国で栄養失調、下痢、マラリアによる死者と寿命低下は益々増大する(死者の増加は毎年数百万人)。

世界は医療と生活の向上により病を克服しつつあるが、まだまだ大量の疾病者と死者を生んでいる。
爆発的なパンデミックは、さらに問題を引き起こすことになる。


* 何が問題か *

近年、パンデミックが増大している理由は、人の高速広範囲の移動、自然破壊、貧困が大きい。
多くの伝染病はアフリカやアジアの貧しく、衛生と医療水準が低い地域から始まり、移動によって瞬時に拡散するようになった。

今回のように伝染病が世界に蔓延すると、グローバル化した経済は甚大な被害を受ける。
先ず、感染地で一部の生産と業務が停止し、さらに輸送と移動が制限され、これが連鎖的に広がり、数週間の内に国内のあらゆる物の供給が絶たれ、遂には世界も困窮状態に陥ることになる。
これは海外生産に頼る様々な装置の部品や医療資材(不織布マスク)の入荷停止、また国内の運送業者の休止を想定すれば容易に理解出来る。
この物流停止と移動できない異常事態は感染率が数%から十数%でも起きる。

今回、比較的死者が少なかった日本でもまだ影響は続き、GDPの減少は10%前後になるだろう。
これはリーマンショック(2008年金融危機)のGDP-5%を越える。
さらにセイフティネットが弱くなっている日本では企業の倒産、失業者が大きな後遺症になる(自殺者増加なども)。

また感染による恐れや恨みから、差別や敵対行動が増加し、社会や国際関係が不安定になっている。


次回、日本政府のコロナ対応から見える危機対応の危うさを考えます。


20200611

世界が崩壊しない前に 29: 貧困と格差 4




*1


貧困や格差は経済を本当に悪化させるのだろうか?


**格差が拡大すると経済発展を阻害する**

(今の自由放任主義経済や金融偏重経済の問題は別に見ます)

多くの人は、日米の経済は株価が上昇し、好調だと首を傾げるかもしれない。
実態は、90%の国民の所得がほぼ伸びておらず、一部の人が恩恵を受けているに過ぎない(日本だけではないが)。

一番悲惨なのは日本です。

日銀が市中銀行に幾ら金をばら撒いても、まったくインフレが起きなかった。
(逆に、これをもってMMT(現代貨幣理論)は、日本政府は国債発行や税収に頼らずに、国民の為の財政支出が可能だと提言している。重要な指摘ですので別に解説します。)
実体経済は浮上せず、金融経済だけを潤したリフレ論者は迷惑なだけだった!

経済再生に失敗した理由は、単純だが重大な致命傷による。
国内需要を担う国民の90%の人々の所得が低下し続けているので、銀行に金をばら撒いても消費が伸びるはずがない。
つまりインフレ(2~3%)は起きない(アベノミクス前から自明だった)。

一方金持ちや大企業は消費や物づくり(実体経済)より利益率の高いに金融投資に大金を注ぎ込む。
現在、庶民の預金金利は0.1%(日本)だが、金持ちや企業の資金運用(米国のファンド)は8%ほどの利益を上げ続けている。

こうして格差拡大で消費は増えず実体経済も伸びず、それがまた格差拡大を広げているのが現在の経済システムなのです。


 
< 2. 表の顔 >

なぜこんな愚策がまかり通るのか。
政府は経済刺激と称して金融投資で利益が得られるように規制緩和と金融緩和を行う。
これは現在の経済システムがバブル崩壊を繰り返し、さらに巨大化しているからです。
政府はこの金融危機をリカバリーするために行わざるを得ないのです。
まるで蟻地獄、底無し沼のようです。


 
< 3. 裏の顔: 2012年と2016年の比較 >

努力は必要ですが、この表と裏の顔の違いを理解することは重要です。

あるジャ―ナリストは指摘する。
20世紀最大の二つの危機―1929年の大恐慌と2008年のリーママンショックに先行して格差が激しくなっていた。
今も?

ある経済学者は言う。
少数のエリート階級に資本が集中すると、デフレを誘発し、投機的バブルを招き、経済回復力の弱体化を招き、金融崩壊のリスクを高める。
衝撃が繰り返されると、信頼が損なわれ、経済成長が減速し、これがさらに格差拡大に結びつくと。

ある社会学者は、金持ちが地球を破壊すると言う。
経済格差が拡大すると、「虚栄的消費活動」が活発化し、資源の浪費を高め、これがまた資源の枯渇を早める。
この「虚栄的・・」とは、超金持ちの消費スタイルに近づこうと各階層の人々が真似る競争状態を指します。


 
*4

ここで基本に立ち返ります。

「自由競争こそが最高、格差など気にしない」
この考えがなぜ国民に浸透したのか?

実は、格差が縮小し最も経済が成長した時代は2回の大戦後と1930年代の大恐慌後でした。
この時期は、国家が強力に富裕層や金融家を抑えて、労働者の賃金向上などを図った(ニューディール政策など)。

この事実が現在のエリートや富裕層にとって都合が悪い為、大金を費やしシンクタンクや学者、マスコミを動員して否定しているのです。
真実は明白なのですが、多勢に無勢と言うところでしょうか。

これ一つとっても、格差が拡大してしまうと、ナチス支配と同様に反転の困難さがわかります。


次回に続きます。

20200607

世界が崩壊しない前に 28: 貧困と格差 3







*1

前回、貧困と格差は国によって作られていることを見ました。
貧困と格差は人権の問題に留まらず、危機をもたらすとしたら?


多くの人は、国が貧困と格差を是正し過ぎると、労働意欲を減じ競争心が無くなり、経済に悪影響すると信じさせられている。
だから悪化していても気にも留めない。

しかし事はそんな単純ではないし危険でさえある。
また格差が少ない国でも経済が豊かで成長している国があるので、明らかに誤解(洗脳)です。


**放置すれば騒乱や世界を後退させる引き金になる**

概ね二つのポイント、社会的なものと経済的なものがあります。

貧困な国ほど教育と医療、経済の水準が低くなり、人口増・伝染病・紛争を引き起こし易く、悪循環を招く。
外部からの衝撃、特に伝染病、大国の貿易や通貨の圧力に弱いために容易に悪化する。
こうして武力衝突、難民や伝染病などを周辺に、そして世界に広めることになる。
今回のコロナ危機で判明したように、先進国であっても格差が大きい米国や英国では弱者が感染爆発の被害者になった。


歴史を振り返れば、貧困と格差拡大は社会騒乱の引き金になっている。
それは大国や一度興隆した国ほど暴力的になるようだ。
ローマ帝国や中国の名だたる王朝が崩壊する時、格差が拡大し暴動が起きていた。

 
< 2.英国が帝国主義を終えた時期 >

グラフの赤線は英国がアフリカの支配を終えた時期を示す。
経済が後退し帝国主義に走った19世紀後半の大英帝国では、この2百年間で最も格差が大きかった
また他国よりも酷かった。

 
< 3. ドイツと日本のファシズム期 >

グラフの赤線はヒトラー総統の時代、緑の矢印は日本の大陸進出の時代を示す。
共に格差が酷い。
20世紀前半のドイツと日本は、一時の栄光の後に訪れた大恐慌が大失業をもたらし、貧困と格差による社会不安がファシズムへと突き動かした。


これは普遍的な社会現象と言え、様々な識者が警告を発している。

ある疫学者は、先進工業国23カ国を比較すると、健康指数が悪化するのは、GDPが下がった時ではなく、格差が拡大した時であることを発見した。
また同時に犯罪率、幼児死亡率、精神疾患、アルコール消費量などにも重大な影響を及ぼしている。

ある経済学者は、格差は改革の意欲をそぎ、人々の信頼を失わせ、フラストレーションを高め、政治や行政に対する信頼を失わせると指摘する。
また棄権が増え、選挙の票は金で買われ、富裕層が公的機関への支配を強めている。

まさに日米、先進国で起こっていることです。


次回に続きます。






20200606

世界が崩壊しない前に 27: 貧困と格差 2




*1

前回、世界と日本の状況を見ました。
今、世界で何が起きているかを見ます。


前回、世界の絶対的貧困率が減少する一方、国家間と国内の格差が広がっていることを見ました。


 
< 2.富裕層の所得の推移 >

米国の所得上位10%が1940~1970年代、全国民所得の35%を占めていたが、その後上昇を始め2007年には50%になった(上記グラフとは別)。
同時期、上位1%の占有率は10%ほどから24%になった。


 
< 3.世界の億万長者 >

格差の諸相

ほんの一握りの人間に富が集中し加速している。

1970年代、所得税の最高税率は英で90%を越え、米で70%あったが、その後英米共に40%まで急速に下げ、日本も追従した。

世界の株式と債券の総額は1980年10兆ドルだったが、2009年には126兆ドルになり、12.6倍となったが、この間の世界実質GDPは2.8倍に過ぎない


主な要因

大国や多国籍企業の身勝手な経済・外交・軍事的な干渉が発展途上国の貧困を助長している(アジア通貨危機など)。
せっかく途上国自身の努力、そして国際機関や先進国による支援などにより豊かさを手にしているのだが。

ニュー・ワールド・エコノミー(容易に国境を越える、瞬時に伝わる情報、日々進む知識集約化、熾烈な競争)が進み、教育・情報力や資金力などの差が益々格差を広げている。

以下が一番の元凶です。
ここ40年間、米国を筆頭に自由放任経済の国では、金融緩和と規制緩和(合併や競争激化など)によって巨大企業ほど収益が上がり、さらに減税(法人税、逆累進課税など)で富は集中し加速した。
さらに実体経済より金融経済で高収益が得られるようになったことで、実体経済に資本が向かわず停滞するようになった。

これにより経済が成長しても90%の国民の所得が伸びず、日本では低下すらしている。

様々な要因が絡んではいるが、けっして偶然ではない。

最も問題なのは、大資本や企業が野放しにされていると言うより、多くの先進国が競うように、これらを優遇していることにある。
当然、北欧などのように格差を押さえながら成長も手に入れている国は多い。


次回、貧困と格差の問題を見ます。

20200605

世界が崩壊しない前に 26: 貧困と格差




*1

貧困と格差が悪化し続けた先にあるもの・・

いつの世にも貧困と格差はあった。
動物は弱肉強食なのだから、これも自己責任だ。
自由競争こそが経済成長を約束する。
世界経済は成長しているのだから貧困や格差問題はやがてなくなる。

一方、歴史を振り返ると、悪化する貧困や格差が大衆の怒りを爆発させ、ファシズムや革命へと進む事例は事欠かない。

現在、世界はどちらに向かっているのだろうか?

最も豊かな国20ヶ国と最貧国20ヶ国の所得格差はこの40年間に倍増し、40対1になった(2000年で)。
この格差は開発が遅れているアフリカでさらに加速している。

それでは国内の格差はどうか?
アメリカではトップ5分の1と最下層5分の1の所得比は1990年には18対1だったが、2000年には24対1になった。
この間、大卒と高卒の学歴による収入格差も倍増している。
最初はアングロサクソン系(英米)の国々で目立ったが、現在急速に各国に広がっている。
国内の格差拡大は、ラテンアメリカでも1980年代か目立ち始めたが、現在では中国でも都市と農村の差が大きくなっている。

貧困はどうだろうか?
貧困には絶対的と相対的がある。
絶対的貧困とは2015年で1日1.25$以下の収入を指し、相対的貧困とは国民の所得中央値の半分以下の収入を意味する。


 
< 2. 2015年の絶対的貧困率 >

円の大きさと数値が絶対貧困率を示し、西アフリカなどでは最大58%になった。
世界の絶対的貧困率は1990年36%、2015年10%と減少傾向にあり、全体的に見れば世界は豊かになりつつある。
しかし、これは脆く、いとも簡単に崩れるだろう。
今回のコロナ危機などの衝撃は、貧困地帯により多くのダメージを与えるからです。


 
< 3. 2010年、OECD各国の相対的貧困率 >

このグラフから皆さんに読み取って欲しいことがあります。
それは同じ資本主義国でありながら北欧やベネルックスの国々は、すべて貧困率が低いと言うことです。
つまり貧困は自己責任だと納得してしまう前に、政治社会にこそ、その原因があることを知って頂きたい。


 
< 4. 日本の相対的貧困率の趨勢 >

相対的貧困率で日本はアメリカに次いで第4位になった。
二つのグラフから、日本はいつの間にか格差大国に墜ち、かつその傾向は強まっている。
2015年に貧困率が少し低下していますが、これは景気の波によるものです。
今後、コロナ危機による大規模な景気後退により、2008年のリーマンショック後のように貧困率は確実に上がります。

次回に続きます。



20200523

連載中 何か変ですよ 218: 国民に自己責任を問う!





*1

経済も社会も悪化し孤立を深める日本!
こんな日本にしたのは誰か?
一人安倍首相か?
いや違う、選んだ国民だ!


 
*2


* 自己責任 *

「自己責任」は小泉政権から言われ始めた。
小泉首相は安全を、竹中大臣は貧困を自己責任とした。

つまり取材であっても危険な地に踏み込めば、殺されても仕方ないと。
また貧乏になる道を選んだのだから自業自得だと。

この論に従えば、唯一先進国で凋落に突き進む政権を選んだ人々にも自己責任があるはずだ。

それもかなり大きな、ここ三十年ほどで起きた凋落に対する責任がある。

悪化し続ける経済 ― 成長しない経済、低下する賃金、庶民の増え続ける税、生産性低下、増加一途の累積財政赤字・・

先進国から取り残される社会 ― ジェンダー、貧困率、格差、報道の自由度、人間開発指数などの国際指標が急速に悪化・・

先進国ではありえない政治腐敗 ― 首相・大臣・自民党議員・官僚の不正・怠慢とその隠蔽工作・・

散在する割には国民に百害あって一利なしの外交 ― トランプとプーチンに掻き回され、隣国と隔絶を深め、コロナウイルスを呼び込みマスクも入手出来ず・・

危険を指摘されながらも無視・無策・・・原発事故や感染症の予防対策を怠り、さらに施設と予算を削減・・

挙げればきりがない。
これらは自民党政権と特に安倍政権が招いた。

私は、この末路を予想出来たので自民党に票を入れなかったので、私には責任がない。


* なぜこんなことになったのか? *

ひとえに長期政権による官民政財界の癒着と腐敗に尽きる。
さらに安倍首相の米国追従と右傾化がダメ押しになった。

今の政府を歓迎した人には強国・最強政府に見えたことだろう。
しかし、これが如何に底の浅いものだったことはコロナ危機で露呈した。

このまま安倍首相と自民党に任せていては凋落するだけだ。
腐敗政治も問題だが、それ以上に間違った経済路線が致命傷になっている。
日本を取り戻すには、大きな経済政策の転換が必要だ!

こんな政府を選んだ人々には責任をとってもらおう。
たとえ騙されたと言い逃れしようが。
この手の人々は、歴史を見ない、発展途上国以下の社会意識しか持ち合わていない。
つまり視野狭窄が、また錯誤を繰り返すことになる。

当然、選挙に行かなかった人も間接的に協力したことになり同様だ。


しかし、私は「自己責任論」はまやかしと考えている。
(自己責任論は、80年代から主流になり社会経済を疲弊させている自由主義や放任経済に由来している)

つまり、今の政府に騙されたと自覚できるのなら反省し行動すれば良い。


終わります。

20200518

連載中 何か変ですよ 217: 悲しい社会




*1

我々の未来は明るいはずだ!
日本に暮らす今、コロナ危機下にあっても、そう信じたい!
しかし一抹の不安が、いなむしろ絶望すら感じる!


 
< 2.懐かしのメモリー >


* 周りを見渡すと *

人々はおおらかで誠実で屈託なく暮らし続ける。
コロナの死者は少なく、やっとトンネルから抜け出て、自治体と政府の支援策も見えて来た。
これからも皆が共に手を携えて進めば、きっと明るい未来が待っている。
そう信じたい。

だがふっと気がかりが脳裏をかすめる。

この2年間で北欧と中国を旅して、日本が取り残されていることを実感した。
北欧は、ここ半世紀ほどの間に幸福で公正な社会、加えて豊かな経済を手に入れた。
1世紀前の北欧はかなり貧しく、国を捨て米国に移住した人も多かった。

中国もここ30年ほどで、経済的に大変貌を遂げ、地方まで浸透し、さらに加速すらしている。
それに連れて、人々の意識やマナーに変化が起きている。

一方、日本はどうだろうか?

1990年代より、明らかに経済は停滞し、それに連れて国際的な指標、幸福、貧困、ジェンダー、報道、政治腐敗など全てが低下し続け、さらに悪化の度合いを強めいている。
それだけに止まらず、国の財政悪化も勢いを増している。
ここ数年、良かったのは株価と失業率ぐらいでした(これには喜べない理由がある)。

さらにコロナ危機で日本の実態が露見した。
縮小されていた感染医療体制、乏しい危機と遅い対応、躊躇する国民支援、政府の心根がいみじくも露呈してしまった。
一方、自粛に見られる国民の高い共同体意識と自治体首長の活躍が目立った。
(重傷者、死亡者が少ないのは東アジアの韓国・台湾とBCG接種国に共通し、少ない感染者は少ないPCR検査による)


* 何が悲しいのか *

人々の好悪感で国の進路が歪められ、暴走が続いていることです。

「韓国・中国が嫌いだ! 弱い日本は嫌いだ! 強いリーダーが好きだ!」
この世論が、ここ10年ほど日本を牽引して来た。
そして防衛が優先され、隣国に妥協しない頑強な政府が出来上がった。

そして何が起きたのか。
期待したアベノミクスは?
おそらく8割の人は好況を実感したことはなかっただろう。
非正規が増え、賃金低下、貯蓄の取り崩しが定着した。
このことが増税とコロナ危機でより経済を悪化させる。
政府は赤字国債大量発行と超金融緩和で乗り切るだろうが、これも将来禍根を残すことになる。

加えて弱者と少数意見が無視され、富裕者・大企業優先で格差が拡大した。
それだけではない、首相の虚言と隠蔽、内閣による官僚とマスコミ操作により、不正が蔓延していても尻尾が掴めない。


一方、この政府に嫌悪感を抱く人々がいる。
「不正・政治腐敗が許せない! 弱者を軽視し大企業優先ばかりが許せない!」と

今の政府に惹かれ、すがる人々は、これらを無視してはばからない。
私は、このような社会に不安を感じる。

大戦前、ドイツ国民も前者と同様の理由でナチスを熱烈に支援した。
ヒトラーが独裁者となり、弱者(ユダヤ人、身障者など)を虐待し始めても、圧倒的多数の人は無視した。
しかし一部の人は地下に潜り、救済を行った。
だが官憲に捕まり、国家反逆罪で死刑になった人も多い。

結局、この悪行を重ねたヒトラーとナチスは自国を破壊し滅んだ。
ヒトラーは大嘘を隠し通したが、現首相の虚言はトランプのように日常的になっている。

翻って、今の米国を見てみれば、黒人嫌い、軍縮反対、中絶が許せない人々が、それだけの理由でトランプを支援する。
トランプがどんなに不正やトンチンカンをやってもお構いなし。

こんな幼稚な社会に、私は絶望しか見出せない。

終わります。





20200513

連載中 何か変ですよ 216: 「検察庁法改正案に抗議します」を巡って!







*1


ここ数日盛り上がっている検察庁法改正案について感じたことを記します。
私は当然、検察庁法改正案に反対で、火事場泥棒を許せない。


 
*2

* 最初に *

先ず、600万人が瞬時に反対を表明したことが素晴らしい(ツイッターで)。
これは野党、弁護士会、知識人、芸能人が声を上げただけでなく、一般の人も大いに危機感を持っている事の現れです。

しかし一方で相変わらず政府や与党のとぼけた国会対応、加えて保守やウヨの猛反撃がある。
態度表明した芸能人が苦渋の果てに表明を取り下げた。

また吉村知事、堀江貴文、高橋洋一氏などは、改正案を当然とし、反対する人は勉強してから文句を言えと吐き捨てる。
三氏の理屈を要約すると、検察を民主的にするためには内閣が関わるべき、分からない人間がマスコミと検察に踊らされている、単に定年延長だけの話と言うことになる。

反対するには、確かに法案に目を通した方が良いだろう。
しかし、家が放火され燃えている時に、放火犯の逮捕を優先し、家が燃え尽きるに任せる人はいない。


* 国民はなぜ検察庁法改正案に反対するのか *

私の見るところ、安倍首相が検事総長を自分の言いなりにし、周辺で起きている不祥事の摘発を妨害しようとしている、と国民は見ているからです。

この推測を裏付ける状況証拠は腐るほどある。

候補とされる黒川検事長は、多くの自民党議員の摘発を握り潰し、野党議員の摘発に暗躍して来たと言われている。小渕議員、甘利議員、森友事件(佐川理財局長)、大阪地検特捜部証拠改ざん事件後の刑事訴訟法改悪、陸山会事件(小沢議員)など。つまり彼は自民党にも安倍首相にも守護神となる。

この改正案は突如として浮上し、経緯が不明瞭。国会で法務大臣が追求されても答えられなかった。

安倍首相が国民の為、つまり民主的で透明性のある官僚制度の改革を行ったと信じる人は少ない。彼が関わったことにより官僚は捏造、隠蔽、証言拒否を繰り返し、官僚の忖度が横行するようになった。つまり、真逆の改悪を行っているのだから。


 
*3


さらに、安倍首相と自民党が国民の為に官僚改革を行うはずがない理由がある。

堀江氏が指摘する通り、日本の検察は傲慢横暴で判事ともつるんでいる。
既に、検察と裁判所は上級官僚を通じて内閣(長期政権)の意向に沿うようになっている(高等裁判所で必ず原発裁判は覆される)。
この意味では、検察を民主化する必要はあるが、現内閣が関与を深めることは悪化しか起こらない。
民主化なら最高裁判事の国民投票のような方法が必要でしょう。
おそらく三氏はこのことを知った上で言っているのだから質が悪い。

もう一つ、見落としてはならないことがある。
安倍政権は官僚を抱き込むことに力を入れて来たが、決して官僚の聖域には手を付けていない。
特別会計や天下りなど、野党がかつて指摘して来た膨大な無駄にはまったく触れていない。
結局は官僚の特権を護る代わりに、官僚を従わせて来た。

このような性格の政権が、コロナ危機の中で急いで改正案を潜り込ませて、強行しようとするなら、火事場泥棒と思われても仕方がない。
改正案が廃案になっても問題あるとは聞かない。

むしろ国民は危険が迫っているのだがら、改正案に反対することは当然です。
単純に、危険な首相と政府がやるから反対でも正解だ!

日本国民が政治に無関心過ぎることが、こんな災いを招いたのだから、この機会に改めることは良い事だ!


終わります。