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今回は沼島の中心部、漁村にある神社を紹介します。
なぜか小さい島に神社が多い、そこには沼島ならではの歴史があります。
< 2. 散策ルート、上が北 >
下の地図: 赤線が今回紹介する散策ルートで、Sは高速艇乗り場です。
赤丸は上から厳島神社、沼島八幡神社、梶原五輪塔、沼島庭園を示します。
< 3. 厳島神社 >
別名弁天さんと呼ばれ、また戎神社も祀られている。
立派な石組みや石段、巨大な松がありました。
漁師たちが安全を祈願する神社として、当時は岬の先端に建てられていたのでしょう。
< 4. 港に沿って歩く >
上の写真: 遠くに厳島神社が見える。
下の写真: 進行方向を見ている。
< 5.沼島八幡神社 1 >
上の写真: 村のほぼ中央、山の裾野の小高い丘の上に神社が見える。
これが沼島八幡神社です。
下の写真: 石段を上り切った境内から。
< 6. 沼島八幡神社 2 >
上の写真: 境内から見下ろす。
港と漁村が一望できます。
遠くの山影は淡路島、右下に神宮寺が見えます。
下の写真: 境内にある本殿です。
< 7. 沼島八幡神社の本殿 >
上の写真: 沼島八幡神社の本殿内側正面に掛けられている大きな絵。
この絵は「賤ケ岳合戦」(1583年)を描いており、これが淡路島、沼島の歴史と深く関わっているのです。
この合戦で秀吉は柴田勝家との雌雄を決した。
この合戦で活躍した賤ヶ岳の七本槍の一人、猛将脇坂甚内安治は秀吉から淡路島を与えられます。
淡路島と沼島は古くから、大阪湾の守りの要であり、瀬戸内海に往来する海路の要衝でした。
またこの海峡沿いには由良水軍、鳴門水軍、そして沼島には沼島水軍が存在しました。
後に朝鮮出兵で、脇坂は水軍を束ねる三人の将の一人となります。
淡路島は奈良王朝の時代から天皇家の直轄地で、海水産物を献上する御食国でした。
実は、淡路島、沼島には海人族(海運や漁労を生業とする外来の集団)がいたのです。
このことが漁労や水軍の発展に結びついたのです。
沼島には縄文人の土器が見つかっており、古くから人々は暮らしていた。
古事記の国生み神話に出てくる「おのころ島」の候補地の一つとして、沼島が挙げらています(候補は淡路島島内と周辺の島を含めて11ヵ所)。
この国生み神話の原型は中国の長江流域の稲作文化にあります。
おそらくは大陸から、(対馬)、九州、瀬戸内を経て淡路島に到達した海人族が神話を伝承し、それを天皇家が自らの創世神話に拝借したのでしょう。
沼島と淡路島は、大陸と日本の古代を結ぶ架け橋の一つだったのです。
下の写真: 梶原五輪塔を示す看板。
漁村特有の密集する民家の路地を奥まで進むと、右手にこの看板がありました。
この右手に空き地があり、村人に聞くと、昨日ここで地蔵盆を行っていたとのことでした。
< 8. 梶原五輪塔 >
下の写真: 右手に二基ある五輪塔の右側が梶原景時の墓と言われています。
梶原景時は源頼朝に仕え、今の明石から広島までの山陽道の守護に任じられ、幕府宿老まで上り詰めていた。
しかし後に義経と対立し、幕府から追放され一族は滅ぼされた(1200年)。
彼は後世、義経の判官びいきとは逆に大悪人と見なされて来た。
梶原景時の墓と呼ばれるものは鎌倉にもあるが、真贋は如何に。
「梶原一族と沼島水軍」によると、以下のように説明されています。
滅ぼされた年に梶原景時の一族が、沼島城主になった。
これは水軍つながりだそうです。
後に梶原家が沼島八幡宮を創建した。
1521年、足利十代将軍義植が流浪の末、沼島に来て梶原の庇護を受ける。
この将軍が梶原家に後に紹介する沼島庭園を贈呈した。
神宮寺は梶原家の菩提寺でした。
しかし16世紀末、滅ぼされて梶原の治世は終わる。
こうしてみるとこの小さな漁村に、多くの神社仏閣、沼島八幡宮、神宮寺、蓮光寺(居城)、西光寺があることが理解できる。
これらはすべて梶原家の創建によるものだそうです。
墓がここに建立された可能性はあるが、景時が討たれたのは静岡でした・・・。
< 9. 沼島庭園 1 >
上の写真: 路地を奥まで進むと看板が見えた。
この看板には「伊藤庭(沼島庭園)」と記されていた。
右手に入って行くと、雑草が生い茂る空き家があった。
下の写真: この空き家を迂回して裏に回る。
ここは個人宅の庭です。
< 10. 沼島庭園 2 >
すると打ち捨てられた石組みの小さな庭が見えた。
鬱蒼と茂る木々の陰になって、庭はいっそう暗く侘しい佇まいでした。
これが室町時代、戦乱と内紛を逃れた10代将軍が過ごした場所であり、庭だと思うと虚しさを感じる。
一方で、淡路島と沼島に不思議な存在感を感じた今回の散策となった。
< 11. 沼島庭園 3 >
久しぶりに見たサワガニです。
昔は、淡路島の小川では至る所で見られたのですが、ついぞ見なくなりました。
私があまり外出しなくなったからもしれないが。
沼島を散策して不思議に思ったのが、こんな小さな島なのに沢をよく見かけたことです。
水が豊富なようです。
次回に続きます。
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