20170302

ロシアとバルト3国、ポーランドを巡る旅 35: ワルシャワ5





*1


今日は、ワジェンキ公園の残りを紹介します。
今日で、この旅行の紹介を終わります。
長らくのお付き合い有難うございました。


 

< 2.ワジェンキ宮殿の2階 >



 

< 3.ワジェンキ宮殿 >



 

< 4.ワジェンキ宮殿 >



 

< 5.公園で見かけた動物たち >

上の写真: 孔雀がいる。
下の写真: 左の木の陰リスが走っている。
この公園内で、他にもリスを見ました。



 

< 6.広々とした公園 >



 

< 7. ホワイトハウス >

18世紀に建てられたかつての王族の住居。



 

< 8.かつての温室 >

下の写真: 18世紀に東方の植物として珍重されたオレンジなどの樹木を寒い季節の間、養成するための温室の原型。
太陽光を取り入れる為に窓が大きくなっている。
現在は劇場になっている。


 

< 9.ショパン像 >

下の写真: 毎年夏に、この像の前でショパンコンサートが行われる。


 

< 10.お別れ >

上の写真: 柳の木の下に座り、故郷の自然を眺めるショパンを表現している。

下の写真: ワジェンキ宮殿横の道路。
ここからバスに乗り、空港まで行って、ポーランドを後にしました。


あとがき
異郷の世界を楽しく巡って来ました。

荒涼とした原野、のどかな田園地帯、鬱蒼とした森林を駆け抜けて来ました。
北の広大なバルト海に接した五つの国が交易と戦争で関わり続け、千年の歴史と文化を築きあげて来ました。
旧市街の街並みから、私はロシアとヨーロッパとの関わりを読み解くことが出来ました。

モスクワやサンクトペテルブルグのロシア帝国時代の有名な建物はイタリアの建築家の手になるものが多い。
バルト三国も、訪問前のイメージとは異なり、特に旧市街が非常にヨーロッパ風でした。
ワルシャワの古い建物は当然、ヨーロッパの影響が強い。
一方で、スターリン様式やタマネギ風の屋根の教会に見られるように、ロシアやソ連時代の影響が残っている。

私はそこに暮らす人々と話をする貴重な機会を得ました。
そして今まで疑問に思っていた幾つかの歴史的事件や社会問題について理解を深めることが出来ました。

色々、各地のスーパーに入り、豊富な生活用品や食品などを見ていると経済は発展しているようでした。

ポーランドは東欧の遅れた国とのイメージがあったのですが、戦火からの再建をやり遂げて発展している。
バルト三国も、かつての苦難を乗り越えて順調に発展している。
ロシアの都市部の発展は良いが、車窓から見た地方の暮らしは遅れているようでした。

この地域の歴史やロシアの様子を知ると、やはり不安がよぎる。
石油安でロシアの景気後退が深まると、世界がナショナリズムに突き進んでいるように、ロシアは容易に道を踏み誤る可能性がある。
それは私は数人のロシア人との会話から、ロシアの偏向報道を感じたからです。
翻って、日本の報道もここ数年、自由度が低下して来ているので不安です。


また、旅行の仲間で面白い人がいました。
高齢の女性が一人でツアーに参加しておられたのですが、非常にお喋りで、好奇心旺盛な人でした。
しかし、話をしているうちに、彼女は苦難にあっても、いつも挑戦し続け、道を切り開いて来ました。
その積極性と能力は人並み外れていました。

そして最後にわかったことは、彼女の息子さんが芥川賞を受賞された作家だったことです。
やはりこれぐらいの女性だからこそと感心したものでした。

やはり旅行は面白く、刺激に満ち溢れたものです。


これで終わります。







20170225

Bring peace to the Middle East! 70: Why was it exhausted ? 8: The mentality of the imperialism 1


中東に平和を! 70:  なぜ疲弊したのか 8: 帝国主義の心性 1





*1

Last time I explained about the mentality of Western Europe that advanced the imperialism.
This time, we look at a part of their real intention.

前回、帝国主義を進めた西欧の心性について語りました。
今回は、その本音を垣間みることにします。





*2


Case A
We focus on Xavier that is famous for having brought Christianity for the first time to Japan.
He was from Spanish aristocrat and founded the Society of Jesus as an elite unit of the Pope and was responsible for the Counter-Reformation.  Annotation 1.

He aimed at Goa of India for missionary work to the world and missioned for several years.
In 1546, he asked to open a European-style religious trial in India.
At that time, the witch-hunting and the bonfires of the Inquisition were raging in Spain.

After he departed to Japan, Several dozen Hindus were burnt as heretic for a reason of having used a magic.  Annotation 2.


事例A
日本に初めてキリスト教を伝えたことで有名なザビエルを見ます。
彼はスペインの貴族出身で、教皇の精鋭部隊として「イエズス会」を創立し、対抗宗教改革を担った。注釈1.

世界宣教の為にインドのゴアを目指し、数年宣教している。
この時の1546年、彼はインドで欧州式の宗教裁判を開くように求めている。
当時、スペインでは魔女狩りや異端審判が吹き荒れていた。

彼が日本に発った後、ヒンドゥ教徒が魔法を使うとして数十名が異端者として火刑になっている。注釈2.





*3


Case B
The following sentence is a quoted from the French philosopher Montesquieu's book "The Spirit of Laws" in the 18th century.  Annotation 3.

“I can't think that our God who is very wise bestowed a good soul on the black body.
......
......
If we think that they are human being, people would assume that we are not Christians”

He had made humanitarian remarks, but the blacks were different things for him.

For example, Columbus arrived in Haiti of  the Caribbean Sea in 1492.
There, the indigenous Indians were massacred, black slaves were carried from Africa instead of them, and had to work.
In the 18th century, France occupied Haiti and was producing great wealth by sugarcane and coffee cultivation.
And Montesquieu was indirectly profiting from the blacks slave trading.

The following sentence is a quoted from the pamphlet that defended the slave trade at that time.

“A slave merchant who is a pioneer of civilization is a temporal monk.
They save miserable pagans from barbarity, fanaticism, and superstitions.

Bringing black slaves to the United States is to open the gate of heaven for them. "


事例B
18世紀フランスの哲学者モンテスキューの著書「法の精神」から引用します。注釈3.

「きわめて賢明な存在である神が、魂を、特に善良な魂を、真っ黒な肉体に宿らしめたことなど考えられない。
・・・・
・・・・
もし我々が彼らを人間と考えるならば、人々は我々のことをキリスト教徒ではないと考えるだろう。」

彼は人道主義的な発言をしてはいたが、黒人は別扱いでした。

例えば、カリブ海に浮かぶハイチに1492年、コロンブスが到着した。
先住民のインディアンが大量虐殺され、代わりに黒人奴隷が運ばれて来た。
18世紀になると、フランスがハイチを占領し、サトウキビとコヒー栽培で巨万の富を生み出していた。
そしてモンテスキューは間接的に黒人奴隷売買で利益を得ていた。

また当時の黒人奴隷貿易を擁護したパンフレットより。

「文明の先駆者である奴隷商人は俗世の修道士である。
彼らは哀れな異教徒を野蛮、狂信、迷信より救ってやるのだ。
黒人奴隷をアメリカに上陸させることで天国の門を開いてやっているのだ。」


事例C
1834年、フランスの政治家、詩人のラマルティーヌは議会で発言した。注釈4.
彼は財政的な理由でアルジェを放棄することに反対した。

「我々はアルジェを手放すことは絶対にない。
・・アルジェがフランスにすべての必要な利益をもたらさない場合、軍事的植民地として、また未開の野蛮に対する文明の前衛として、さらに我々に属する海である地中海に浮かぶ船として、・・・」

彼はアルジェを放棄しアラブに渡すことは文明の野蛮化に他ならないと言う。


Case D
In 1853, certain French aristocrat wrote "An Essay on the Inequality of the Human Races", it was enthusiastically accepted, and became a racist Bible for Nazis later. Annotation 5.

“ For 30 years, we frequently hear that we have civilized other people in the world and tried to bring civilization to delayed kingdoms.
Well observe, but it was useless.
From olden days, I do not believe that any results have been obtained by it.
.......
.......
The civilization depends on whether the people in the kingdom are extinguished or are mixed with our white race. "

"The black race stands under the stairs.
......
The yellow race has poor physical energy and is apathy.
White people are blessed with brainpower, and has strong reflective consciousness.
They have a sense for usefulness, it is wider and higher than the yellow race, and is more brave and ideal. "

This continues to the next time.


事例D
1853-55年、フランス貴族が「人種不平等論」を著し、熱狂的に受け入れられ、後にナチスから人種主義の聖書とされた。注釈5.

「我々のところでは、この30年来、世界の他の人々を文明化し、しかじかの国に文明をもたらすということを頻繁に耳にする。
よく観察したが無駄である。
今も昔もそれによって何らかの結果が得られたとは思わない。
・・・
・・・(文明化)はその国の人々を消滅させるか人種的に混ぜ合わせるかによってである。」

「黒色人種は階段の下に立っている。
・・・
黄色人種は肉体的エネルギーが乏しく、また無感動なむきがある。
・・・
白人は反省する力というか、力強い知力に恵まれている。
彼らは有用性に対する感覚を持っているが、それは黄色人種よりも広く高く、より勇敢で理想的である。」


次回に続きます。




注釈1.
参考文献「ヨーロッパがみた日本・アジア・アフリカ」p30より.

注釈2.
この火刑はザビエルの意向ではないかもしれないが、彼らは異教徒に厳しい

ゴアで宗教裁判が行われたのは、当時、この地がポルトガル領インドの首府であり、ローマ教会布教の中心地になっていたからです。
もしかしたら、日本が西欧の植民地になっていれば同じことが起きたかもしれない。


注釈3.
参考文献、同上のp61,62より.


注釈4.
参考文献、同上のp90より.


注釈5.
同上のp99,100より.

20170222

ロシアとバルト3国、ポーランドを巡る旅 34: ワルシャワ4



*1


今日から、ワジェンキ公園を紹介します。
陽光に輝く黄葉、湖面、宮殿を見ながら広葉樹林の中を散策しました。
孔雀やリスが晩秋を惜しんでいました。
2017年10月4日に訪れました。



 

< 2. ワルシャワの中心街 >

上の写真: スターリン様式の文化科学宮殿。


 

< 3. いよいよワジェンキ公園 >

下の写真: ワジェンキ公園の北側から入園、無料。
これはクラクフ郊外通りを2kmほど南下した所にある大きな庭園で、ポーランドの最後の王スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキによって18世紀に30年をかけて造営された。


 

< 4. ワジェンキ宮殿が見える >

上の写真: ポーランド王ヤン3世ソビェスキの像。
1683年、オスマン帝国15万の軍による第二次ウィーン包囲に対して、彼はわずか3000の騎兵で中央突破し、勝利に導き、ヨーロッパを救った英雄と讃えられた。
この像は、これを記念している。
 
下の写真: 池の奥にワジェンキ宮殿(水上宮殿)が見える。
ヤン3世ソビェスキの像の前から見ている。


 

< 5. ワジェンキ公園  >

上の写真: ヤン3世ソビェスキの像がある橋。


 

< 6. ワジェンキ宮殿に向かう  >


 

< 7. ワジェンキ宮殿に迫る >

この宮殿は造園を命じた王スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキが、夏の宮殿として使用した。
彼は前の所有者が浴場として使用していた建物を改造した。
この建物はポーランド・リトアニア共和国が滅亡した後、ロシアに売却され、第二次世界大戦ではドイツに美術品は盗まれ破壊されたが、修復された。


 

< 8. ワジェンキ宮殿の南側 >


 

< 9.ワジェンキ宮殿の南側の池  >


 

< 10. いよいよワジェンキ宮殿に入る >



 

< 11. ワジェンキ宮殿内 >

上の写真: 宮殿のホールで学習する子供達。

下の写真: 宮殿のホールから池の北側を見る。


あとがき
実は、この時期、例年なら黄葉が美しいのだそうですが、この年の夏が小雨だった為、残念ながら多くの黄葉が茶褐色を帯びていました。
従って、あまり黄葉の写真を撮っていません。
それでも遠目には美しかった。

次回に続きます。


20170220

何か変ですよ! 52: トランプの評価を巡って





*1


不思議なことがある。
大衆はなぜ突如として極端な行動に出るのだろうか?
トランプ大統領の選択がその好例です。

不思議なこと
私はトランプに関する本を6冊読んだが、トランプ大統領の評価は混乱している。

彼の就任は悪化している米国の現れか、彼の希代の才能ゆえか、それとも何かの間違いか?
我々は彼に期待すべきか、はたまた最悪の事態に備えるべきか?
これは世界にとって吉兆なのか、それとも凶兆なのか?

これら相矛盾する評価から、米国社会と世界の混沌が見えて来ます。



 
*2


相矛盾する評価

*トランプ氏に対する評価
意見は大きく二つに分かれる。

トランプを高評価する人は、彼は群を抜いた交渉力を持ち、幾多の困難を乗り越えたビジネスマンで、機を見るに敏だと言う。
また彼は自己資金で戦ったので既成勢力と無縁で、正直者だからと期待されている。

彼を否定する人は、彼は感情的、ナルシスト、守銭奴だから信用出来ないと言う。
また彼は政治経験がなく、極右で、煽動家だから危険だとされている。


*トランプ氏が選ばれた背景
概ね以下のように要約できる。

幾多の有力候補やヒラリーが嫌われ、投票率が低い背景に、ホワイトハウスへの根深い不信感があり、大衆は既成政治との断絶を求めた。
さらに白人層の危機感と女性蔑視が大きく作用した。

彼は大衆の不満(移民、ムスリム、派兵、失業など)を積極的に取り上げ、既成概念に囚われない解決法を示した。
それをデマゴーグと非難するマスコミと他候補に対して、彼は悪態とメール発信でやり込めることが出来た。

彼はテレビ番組の人気者であったが、当初、泡沫候補と見られていて、マスコミは興味本位に彼を扱ったことより、露出度が非常に高まった。
マスコミは彼の人気が出てから批判を始めたが、既成勢力と非難され、逆効果となった。

他に、米国における闇の支配者などの陰謀説もある。


*著者たちのトランプ大統領の評価

彼をレーガンやエリツインになぞらえ、彼こそが米国で創造的破壊を起こしてくれるとの期待がある。
確かに、他の候補では超富裕層による支配、戦争継続、移民増大、格差拡大が続く可能性がある。

当然、危険視する意見もある。
彼のほとんどの解決策はデタラメで、特に経済政策、結局は米国と世界を混乱に陥れる可能性が高いと見られている。

結局、ジリ貧になっていく白人層は、溺れる者は藁をも掴む心境のようだ。
日本もこうならないように願いたいのだが。


様々な疑問

A: 経済に創造的破壊は必要だが、大統領が旗を振ってうまく行くのだろうか?

歴史的には、イギリスの産業革命などのように、良い創造的破壊が起きる時は、それぞれの利益を代表する集団が交渉し妥協しながら自由裁量権を得て、イノベーションへの意欲が持続する時です。
残念ながら、現状は金権政治(超富裕層による支配)で社会の調整機能が失われているのですが。

彼が進める公害防止や金融規制などの緩和・撤廃、また相続税廃止などの富裕層減税は、明らかに弱者を増やすだけで、創造的破壊とは別物です。

世界を牽引している米国の情報通信などのイノベーションは政府の関与とは言えない、また移民も大きく関わっている。



B: 大統領に破壊を期待すると、何が起きるか?

レーガンの経済政策により、後に米国は双子の赤字と格差拡大で苦しむことになり、日本は円高を飲まされることになった。

エリツィンの経済政策により、ロシアはハイパーインフレを起こし経済破綻し、プーチンの独裁を招くことになった。

ヒトラーの例は既に述べました。

レーガンはインフレを抑制し冷戦終了を導いた、またエリツィンはソ連崩壊と共産経済の低迷からの脱出を導いたと言える。

結局、国民は混乱に備え、相当の覚悟が必要です。



C: 大統領に人格や見識は必要ないのだろうか?

例えば、彼は数度の倒産にもめげず大富豪に成り得たのだから素晴らしい胆力と能力を持っていると評価される。
見方を替えれば、幾度も借金を踏み倒し、従業員を路頭に迷わせたのだから、無計画で無責任な人間とも言える。

実際、彼のビジネス手法には違法まがいが目立ち、また脱税(節税)しているらしい。
はたしてこのような人物に国を任して良いのだろうか。


D: トランプを期待する心理の不思議。

概ねトランプを評価する著者らは共和党寄りのように思える。
彼らは民主党政権には辛辣だが、共和党への悪口がまったくない共通点がある。
逆も真なりですが。

例えば、ヒラリーは多額の献金を受け、戦争を拡大させ、裏で汚い事をしていると罵る。
また民主党政権は中東で手を打たなかったから戦火が拡大したと言い、一方でトランプは外国に干渉しないから、世界は平和になるとも言う。
中東を大きく混乱させたのはブッシュ親子だと思うのだが。

私は、どっちもどっちで、まだ民主党の方が少しましなように思えるが。

また、盛んに陰謀論を唱える福島隆彦は2016年7月出版の本で、ロックフェラーがトランプに決めたと自慢げに書いている。注釈1。
キッシンジャーとトランプの娘婿の父親は共にユダヤ系の大物であり、彼らが仲介したと説得的でした。

しかしその年の4月の彼の本を見ると、ロックフェラーがヒラリーに決めたと書いていた。注釈2.

陰謀論は読んでいてワクワクするが、少し考えれば腑に落ちないことが見えてくる。


まとめ
やはり、米国は病んでいる。
米国主導のグローバリズムによって世界も病んでいる。
グローバリズムが悪いわけでは無いが、自由放任が悪い。

いつしか、既得権益層が社会を牛耳り、格差拡大が蔓延し、大衆の団結を防ぐ為に疑心暗鬼が煽られ、分断が深まった。
そして社会を変えられない大衆が焦り、そしてポピュリズムによる大きな左右への揺れが起きた。

この状況は、帝国主義やファシズムを生み出した社会と酷似しているように思えるのだが。
この時も、ナショナリズムと保護主義が世界に蔓延して行き、2度の大戦へと繋がった、

皆さん、どうか自分の身を守る術を考えておいてください。



 

*3


参考文献の紹介
*「トランプがはじめた21世紀の南北戦争アメリカ大統領選2016 
渡辺由佳里著、2017年1月刊。

彼女は米国で長年暮らしているジャーナリスト。
この度の大統領選の集会などを直に取材し、市民の眼からレポートしている。
トランプを支持する人々(主に白人)の実態が良く伝わってくる。
彼女はヒラリー寄りで、リベラル派の惨敗に気落ちしている。


*「トランプ政権でこうなる日本経済 」
岩崎博充著、2016年12月刊。

彼は日本在住の経済ジャーナリスト。
この大統領選挙を取材ではなく資料や本から分析しているようです。
トランプが選ばれた背景を妥当な情報で分かりやすく解説している。
私の感じでは、中立的な立場で、トランプ政権の今後を占っている。
彼はトランプによって災いが起きることを恐れている。


*「なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか
佐藤 則男著、2015年11月刊。

彼はニューヨーク在住40年を超えるジャーナリスト。
書かれたのが序盤戦(予備選)の時期なので切実感はないが、米国大統領選の裏表を見せてくれる。
また序盤でのトランプへの悪評とヒラリーへの嫌悪感がよく伝わってくる。
彼は共和党寄りです。


*「トランプ大統領とアメリカの真実」
副島隆彦著、2016年7月刊。

彼はアメリカ政治思想研究の第一人者と自称している。
大統領選が混沌としている中で、早々とトランプで決まりと発言している。
本は読んでいて面白い。
米国の政治思想史や支配層の人脈を縦横に駆使しながら大統領選を鮮やかに分析している。
陰謀説で、踏み込んで断定する割には、2017年2月20現在において、多くが外れている。
極端で眉唾ものと思って読む分にはよい。
なぜか、この手の本はアマゾンでは評価が高い・・・。


*「『闇の支配者』最後の日々」
ベンジャミン・フルフォード著、2016年4月刊。

彼はカナダ出身のジャーナリストで日本に帰化。
この本ではトランプは扱われていませんが、米国の裏側を知りたいと思って読みました。
日本、米国、世界を股にかける闇の支配者が出て来ます。
私には、真贋を検証する力がありませんので、途中で放棄しました。
これもアマゾンでは評価が高い・・・。


*「トランプ・シフト これからの世界経済に備える14のこと」
塚口直史著、2016年12月刊。

彼は大成功しているヘッジファンドマネージャーで、世界の政治史にも見識がある。
この本は、トランプ後の世界の経済・金融を理解するには必見です。
経済用語が出て来て読みづらいところはあるが、読めば世界の現状と混乱の広がる様子を知ることが出来ます。
日本のアベノミクス、日銀政策についても明快な判定を下しています。

彼は、現実に大きな資金を運用する立場にある為、この危機にあって、今は様子待ち(手元流動性を高め)を行い、しっかりと備えるべきと警鐘を鳴らしています。

私がトランプの次に恐れているのは、中国経済の崩壊ですが、これがトランプによって更に悪化するかもしれない。
世界の悲運は、政府の些細な判断ミスや外交ミスの積み重ねで訪れるものです。

これで終わります。


注釈1
既述の「トランプ大統領とアメリカの真実」


注釈2
「マイナス金利「税」で凍りつく日本経済」副島 隆彦 著。




20170218

Bring peace to the Middle East! 69: Why was it exhausted ? 7: The period background of imperialism 2


中東に平和を! 69:  なぜ疲弊したのか 7: 帝国主義の時代背景 2





*1

Last time we saw why the imperialism began.
However, the explanation lacks a certain something. 

前回、なぜ帝国主義が始まったのかを見ました。
しかし、何か大事なことが抜けている。




*2

What did it lack?
In the previous explanation, it is difficult to understand why competition for getting parts of colony began in the 1880's.
There must be a common motive for Western countries, and I think it eventually led to two great wars.

In the latter half of the 19th century, there are some important changes that occurred in the Western Europe.

A: Capital exports and emigrants from the Western Europe had doubled every 10 years.
For example, the development of steamboats expanded a maritime traffic, and the export value was growing every year.
After the Industrial Revolution, the economy and the science technology developed, so the difference in national power between the UK and the US or the Germany was decreasing in size.

B: Although the economic recession had already occurred repeatedly, finally a major depression lasted for about 20 years since 1873.
As a result, each country took a protective trade policy, and at a same time nationalist sentiment intensified.

C: A thought "The Western Europe is superior to the other world and develops" had been timely widespread .
The people adopted Darwin's theory of evolution, and they were convinced that the excellent Western civilization was evolving through the principle of the survival of the fittest.

D: In 1884, 14 Western countries held a conference in Berlin, and decided the rules of partition of Africa, then after that the competition for getting parts of colony began.

At that time, the Africa was an unexplored area where fever disease spread in, and the colony of the Western Europe was only 10% in it.
A conflict occurred when countries (Belgium etc.) that had lagged behind in getting of colony tried to enter it.
In order to prevent this conflict, certain rule " the country that first occupied and dominated colony is granted the control of it" was stipulated.
Thus, the competition began.

Although there is a part overlapping with the previous explanation, you may notice a strange something.


何が抜けているのか
前回の説明では、1880年代から植民地獲得競争がなぜ始まったが分かり難い。
やはり西欧諸国に共通する動機があるはずで、やがてそれが二度の大戦へと繋がったように思える。

19世紀後半、西欧に起きていた重要な変化を挙げます。

A: 西欧からの資本輸出と移民が10年毎に倍増した。
例えば蒸気船の進歩が海上交通を発展させ、輸出額は毎年伸びていった。
また産業革命後、経済と科学技術が発展し、これによって英国と米国やドイツなどの国力差が縮小した。

B: 既に景気後退が繰り返し生じていたが、ついに1873年から大不況が約20年間続いた。
これによって各国は保護貿易に転じ、また愛国主義の風潮が高まっていった。

C: まさにこの時期、「西欧は世界に優越し発展する」との思想が広まっていた。
彼らはダーウインの進化論を取り入れて、優れた西欧文明は適者生存により発展していると確信した。

D: 1884年、西欧14カ国がベルリン会議を開き、アフリカ分割のルールを決め、この後、植民地獲得競争が始まった。

当時、アフリカは熱病が蔓延する未開の地で、1割が西欧の植民地となっていただけであった。
そこで、植民地獲得に遅れをとっていた国(ベルギー)が参入しようとして衝突が起きた。
この争いを防ぐ為に、ルール「先に占領し支配した国が領有する」が定められた。
こうして競争が始まった。

これは前回の説明と重複するところもあるが、こうして見ると不思議な事に気づく。




*3

What is it?
That is certain mentality of the Western Europe that appears in the above paragraph C and D, and it is probably more intense than East Asia.

If I were to use one word, it will be a feeling of superiority passing over a self-confidence of Westerners.
They who were Christian and White despised pagans and different races.
They understood a social system that was different from their society as deteriorating or undeveloped society.
What an inconsistent stance. Annotation 1.


それは何か
それは前述のC,D項に現れている西欧の心性で、おそらく東アジアより強烈と思われます。

敢えて言うならば、それは西欧人の自信を通り越した優越感でしょうか。
キリスト教徒であり白人である彼らは異教徒や異なる人種を蔑んだ。
彼らは自分達の社会制度と異なるものは劣化か未発達だと捉えるところがある。

例えば、欧米は東京裁判において日本を「平和に対する罪」などで裁いた。
この罪は侵略戦争に対して言っているのですが、この60年前のベルリン会議で、欧米は侵略を合法化していたのです。
如何にも矛盾しています。注釈1.



*4

What is the mentality of the imperialism?
In the age of European Imperialism, the brutality of the Western Europe that was shown in colonies was based on a strong discriminatory sentiments and contempt.

This would have lowered resistance sentiments toward exploiting and controlling the colonies.
Although this mentality was also common to the empire of Japan and the fascism of Nazi Germany.


Then, what has happened?
In 1914, the First World War began from one assassination incident in the Balkans.

In the competition for colony, the Western countries did not big fight against each other.
However, during the competition, eventually the greed of larger countries and the  backlash of the colony must have exploded.

Knowing this process, the judgment of whether the imperialism was holding down internal conflicts or was preparing the world war depends upon the person.
I have the latter view.

This continues to the next time.



帝国主義の心性とは何か
帝国主義の時代、西欧が植民地で行った蛮行に通底しているのは、強烈な差別感情、蔑視でした。
これが植民地への搾取や支配への抵抗感を低くしたことでしょう。
もっとも、この心性は大日本帝国やナチスドイツのファシズムにも共通していたのですが。


その後、何が起きたのか
1914年、バルカン半島での一つの暗殺事件から第一次世界大戦が始まります。

植民地争奪では西欧各国は互いに大きな戦闘をすることはなかった。
しかし、植民地の獲得競争の中で、やがて大国の強欲と植民地の反発は爆発することになった。

この経緯を見て、帝国主義が内紛を抑えていたのか、はたまた世界大戦を準備していたのかは判断が別れます。
私は、後者の見方に立ちます。


次回に続きます。



注釈1.
この60年間の隔たりをどう見るのか。
それまでの西欧の激しい対立と戦争の歴史、特に二つの大戦の経験から、彼らは大いに反省し、自らも含めて侵略行為に制裁を科そうとしたのだろうか。
残念ながらそうは思えない。
米国による広島への原爆投下や、ベトナム戦争などから察すると、やはり欧米の異人種・異教徒への蔑視と復讐心は強烈で、自戒をあまり期待できないようです。

私は東京裁判の意義を認めるが、この心性に人類共通ではない特有の恐ろしさを見る。
しかし、この章では深く立ち入らない。


参考文献
帝国主義については下記図書を主に参考にしました。
「概説 世界経済史Ⅱ」p176-191.
「早わかり 世界史」p254-259.
「世界の歴史 帝国の時代8」第二章。
「世界歴史地図」ムーア著、第9章。
「丸善エンサイクロペディア 大百科」p1778.
「帝国主義」アンドリュー・ポーター著。