「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」
この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。
まえがき
現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!
--- 目次 ---
第3章 我々が直面している危機
3-7 ITとAIがもたらす新たな産業革命
簡単な歴史
IT革命が与えた影響
グローバル化とIT革命が労働に与えた影響、米国について
まとめ
AI革命の社会・経済への影響
AIの本質的に恐ろしい部分
まとめ
第3章 我々が直面している危機
我々に幾多の大きな危機が迫りつつある。それらには歴史上繰り返され来た危機や、まったく未知の恐ろしさ秘める危機もある。これらの危機を見極め対処しなければ、一国の疲弊や破綻に留まらず、遂には人類と地球に大きな損害を与えることになるだろう。数多くの危機の中から、最重要なものを選んだ。
3-7 ITとAIがもたらす新たな産業革命
主に米国について分析します。
簡単な歴史
1940~60年代、コンピュータ革命
1970~80年代、パソコン革命
1990年代、インターネット革命
2007年前後から、スマートフォン・クラウド革命
2012年~、AIのディープラーニング革命
2017年~、AIのトランスフォーマー革命
2022年~、生成AIの大衆化
2024年~、AIエージェント化
2026年以降の予測、自律型AIエージェントの普及、五感を持つ、フィジカルAI(人型ロボット)や自動運転等、急速な発展が間違いなく起きる。AIの知能は人類を越える可能性が迫っている。
IT革命が与えた影響
経済の影響としては、事務処理・物流・金融のデジタル化によって生産性の大幅向上、電子商取引、SNS、クラウド、スマホアプリ産業等の新産業の誕生、インターネットにより国境を越えた取引が容易になりグローバル化の加速が挙げられます。社会への影響としては、情報格差の発生、SNSによる
コミュニケーションの変容よによる社会構造の変化、リモートワーク、フリーランスの増加による働き方の変化等です。ITは、あれよあれよという間に企業と国民がほぼ抵抗なく受け入れ、産業や経済に貢献し、国民にとって無くてはならないものになった。
しかし、知らず知らずの内に社会を蝕む恐れも生じている。初期には、インターネットやSNSは社会の民主化に貢献するものと歓迎されていた。しかし巨大プラットフォームらが広告収入増大を目指してアルゴリズムを操作したことで、利用者は益々使用時間を伸ばし、遂には悪感情(怒り、不安、嫌悪等)を煽られ、フェイクニュースに囚われるようになった。研究者の中には、プラットフォームらが大統領選等で、一方に加担し、世論を誘導している可能性まで指摘している。規制しないければフェイク発信側に有利になる。またデジタル技術にうまく適応できない人は、経済的な苦境に晒される。益々、社会は高度な技術に覆われつつあり、個人にとっても社会にとっても扱いが難しくなってきた。
グローバル化とIT革命が労働に与えた影響、米国について
普通、両者が進行することで、失業者が増え、賃金に影響を与える事が予想される。グローバル化は、米国内の製造企業の海外進出を促進し、この企業の従業員は職を失い、他の職に就こうとし、出来なければ失業します。またIT革命も事務作業の海外移転と合理化で国内に失業が増えることになる。一方で、両社の効果として生産性が上がり、新しい産業と職種が生まれることになる。
左図は、この失業と転職、新規採用の結果を見ています。図のMfgは、全就業者数に占める製造業就業者数の割合を示します。緑線は全就業者数、オレンジ線は失業率を示す。図を見ると、グローバル化が大戦後進んだ事により、製造業就業者割合が継続的に低下する一方、全就業者数は順調に伸び、失業率はゆるやかに低下傾向にあることがわかる。失業率は、金融危機や景気循環の影響が大きい。これを見る限り、両者による失業は新規産業への転職等でカバー出来ていると言えそうです。
上図は、IT革命が普及し始める1980年からの非農業部門就業者数内の変化を示す。茶色の製造業の低減と対照的に、他の三つの部門は拡大傾向にあり、緑の専門・ビジネスサービスと紫の教育・医療・社会福祉の伸びが大きい。つまり、失業を新規産業の就職で補えていることを裏付けている。
しかし、別の問題が社会に強烈な不満を生んだ。
上図は、所得層を10段階に分け、上位(富裕層)10%、中位(中間層)50%、下位10%の1980年から45年間の所得の伸びを示す。確かに三つの所得層に差は出ているが、それよりも恐ろしいのは、たった30%と64%しか増えていないことです。この間、米国の一人当たりGDPは約2.5倍増加している。つまり平均150%が当然のです。この差が出た理由は、労働者の稼ぎ(労働所得)以外の富が米国経済を上昇させているからです。分かり易い理由としては、GDP国内総生産に占める労働所得(労働分配率)が63%から53%に減り、企業の取り分が増え、さらに金融セクターの付加価値割合は5%から8%に増えた事が挙げられる。これで全部は説明できないが、米国は労働者にとって報われない社会になってしまった。この影響の方が遥かに大きい。それに加えて、グローバル化とIT革命で、高度な知的作業に適応出来るか出来ないかによる職業の二極化が激しくなったことが、さらに悲劇を生んだ。IT革命によって起きたと考えられる職業間の差を見ます。2025年、最も高給のIT・数学の雇用526万人、平均年収12万ドル、最低賃金の食品調理・給仕の雇用1368万人、平均年収3.7万ドルでした。また1980年と2025年の間で、製造業従事者は32%減で590万人減少、一方、低賃金サービス職は220%増で1,200万人増加した。結局、高給取りは増えたが、それにも増して低所得者が増えた。これが現在の、社会・経済構造の変化を如実に表している。
まとめ
グローバル化とIT革命による経済への影響は、失業では無く産業構造の転換により賃金が大きく異なる産業・職種に分かれ、就業者数は低賃金の方が高賃金より多くなり、格差を広げることにある。これを転職支援や教育制度への改革で悪化を幾分和らげることは必要だが根本的な解決にはならない。既に見たように、米国の格差問題の本質は、別の要因の方が遥かに大きい。金融・巨大企業の利益率が上昇し、全般に株主への分配が増え、加えて以前からの新自由主義流の金儲け優先(金融業)、力のある富裕者の自由勝手、再配分縮小(逆累進課税と福祉予算低減)に尽きる。
AI革命の社会・経済への影響
上述したようにIT革命で大きな変化が起きているが、AI革命はさらに人類に幸福を増すのか、それとも悲惨な状況を招くのかを考えます。現在はまだ序の口ですが、予想される経済の影響では、AIが文章作成・分析・プログラミングを代替し生産性の急上昇、ホワイトカラー業務の本格化的自動化拡大、AIエージェント・AI開発支援・AI監査などの新産業の創出が考えられる。社会への影響では、AIによる家庭教師・個別最適化学習で教育、AIによる診断支援・創薬開発による医療、AIによる企業・政府の意思決定等は、多大な成果が期待できる一方、AI依存、偽情報拡散、メンタルヘルス問題等が現実味を帯びて来ている。
AI革命は、これまでの産業革命と本質的に異なる恐ろしさがある。英国で始まった産業革命は、動力で肉体労働を軽減したが人間の操作は必要で、一人で何倍もの生産が出来るようになった。続く電気・電力革命も同様だった。そしてIT革命は、コンピュータと回線によって情報処理作業を何倍も高能率化したが、これまた人間が必要だった。ただし高度に使える人には限定された。ところが、AI革命は、同じコンピュータと回線によって、労働者の頭脳作業を代替え出来るようになった。しかも遥かに高速で高度な知的作業まで、自律して出来るようになる。現在は、情報の調査と整理が得意だが、将来は開発、自ら問題を探し解決することも可能性になる。となると、ITの発達と組み合わされ、知的作業において人が不要になるので、多くの分野で失業が生まれるだろう。現時点で、その失業を埋めるほどの新規産業の創出があるかは不明です、必ず創出は起こるだろうが。失業に対して、新規産業の創出が遅れれば経済は恐慌並みになる可能性もある。
さらにここ数年、急激にフィジカルAI(ロボット+AIエージェント+自律システム)が現実のもになっている。これが普及すると、頭脳労働だけで無く肉体労働も、装置や機械に代替えされてしまう。こうなれば、労働市場は壊滅状態になり、ロボット生産企業の勝者総どり状態になり、さらに一部の巨大企業が利益を上げ、経済と社会を支配する可能性が高まる。
これに備えて、国は手を打つべきだが、トランプ政権では不可能だ。私としてはトランプが去り、ホワイトハウスが正常に機能することを祈るしかない。
AIの本質的に恐ろしい部分
自律的行動と暴走
AIにある作業を命じたモデル実験において、その過程で「自らの電源を切られないようにする」「指示がなくてもリソースや権限を自主的に拡大・獲得する」といった挙動を、人間が命じていなくても、自動生成する事が判明しています。
ミスリードと検証の困難さ
何千億〜数兆のパラメータ内部の推論計算を人間が即座に理解する手段はありません。内部回路を解読する研究が進んでいますが、AIの能力拡大スピードに解析技術の進化が追いついていません。またAIは人間が「もっともらしい」と感じる嘘や歪んだ論理を構築することに長けており、専門家であってもリアルタイムでその偽りを見抜くことは極めて困難です。
AI同士の相互検証は機能するか
優れたAI同士が互いに監視すれば良いと思うのですが、現時点では、完ぺきではありません。「AI同士が同じ学習データのバイアスを共有して誤りを見落とす」「監視役のAIより実行役のAIの方が高度な場合、監視役を騙せてしまう」「結託して人間に都合の良い嘘をつく」といった懸念があり、万全な解決策にはなっていません
悪意ある主体(個人・企業・国家)による支配と破滅的リスク
従来のサイバー攻撃は、攻撃者の物理的な限界がありましたが、AI一つでも高速で広範な被害を出し得ます。また、「人間の監視が追いつかない速度・規模で自動連鎖する」点が、従来のマルウェアなどとは質的に異なる危険性です。悪意ある人間が自律的な攻撃目的を持ったAIを野に放った場合、そのAIが自己複製やリソース獲得を行い、他のAIシステムを汚染・乗っ取ることで、人間の手では二度と制御できない規模の社会崩壊を引き起こすシナリオは否定できません。
もうここまでお話すると、AIの恐ろしさは人類史上初めてか、悪魔のようにさえ見えて来ます。人類は暴走してしまったAIをコントロールすることがほとんど不可能かもしれない。結局、慎重な研究と国の管理が不可欠になりますが民間を拒否するわけではありません。
まとめ
これまでの説明ではマイナス面を強調しました。ITとAI革命は否定されるものではなく、うまく世界がコントロールすれば、人類を飛躍的に進歩させるはずです。しかし、これまでの二度の産業革命の反省と、想像を越える未知の破壊力を考えると、社会と世界への受け入れには、今まで以上に真剣にならざるを得ない。恐れる事態は、すべて大多数の国民と労働者に訪れる。
残念な事に、AIの管理・規制でも、保守派(福音派・MAGA派)とリベラルで対立があります。共に規制は望むのですが、前者は神への冒涜、保守派の検閲を阻止、後者は権利侵害、富の独占の阻止と、狙いが大きく異なる。ここでも分断が極まっている。
---全体の目次---
第一章、世界に迫っている危機の要約。
第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。
第三章、我々が直面している重大危機。
第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。
第五章、如何にあるべきか。
第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。
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