20170211

ロシアとバルト3国、ポーランドを巡る旅 32: ワルシャワ2





*1


今日は、快晴の旧市街を紹介します。
前回紹介した早朝歩いた場所と幾分重なりますが、ガイドの説明を聞くと印象はがらっと変わりました。


 

< 2. 地図 >

上の地図: 早朝歩いたルートです。上が東側です。
緑線が行きのルートで、青線が行きと異なる帰りのル-トです。
緑字のSはホテルで、赤字のSはツアーの徒歩観光の起点です。
赤字のDは城壁で囲まれた旧市街の中心に位置するマーケット・プレイスです。
上の川はポーランド最長のヴィスワ川です。

中央の地図: ツアーの徒歩観光のルートです。上が東側です。
S:起点。 A:ワルシャワ・ゲットの記念碑。 B: キュリー博物館。 C:城門バルバカン。 D: 旧市街のマーケット・プレイス。 E: 展望台。 F:聖ヨハネ大聖堂

下の地図: ポーランドとワルシャワを示す。上が北側です。


 

< 3. クランシスキ宮殿とワルシャワ蜂起記念碑 >

上の写真: 左にクランシスキ宮殿、右に最高裁判所。

下の写真: 最高裁判所の前のワルシャワ蜂起記念碑。
ワルシャワ蜂起については後で解説します。
地図のS地点から撮影。


 

 

< 4. ワルシャワ・ゲットの記念碑 >

上の写真: 最高裁判所の横。

下の写真: ワルシャワ・ゲットの境界跡と記念碑。
地図のA地点で撮影。
ワルシャワ・ゲットの解説は次回行います。



 

< 5. 新市街 >

上の写真: 北側を見ている。
地図のB地点で撮影。
すぐ右手の白い建物はキュリー博物館です。
彼女は放射能の研究で最初のノーベル賞をもらった。
彼女はここで生まれ、青春時代を過ごし、学業と研究の為にポーランドを出てパリに移り住んだ。
当時、ポーランドは帝政ロシアに併合されており、教育者だった両親ら知識層は行動を制約されていた。

下の写真: 南側を見ている。
ここを真っすぐ行くと旧市街の城に至る。


 

< 6. 旧市街の城門 >

上の写真: 旧市街の城門バルバカン。
最初は16世紀に造られたが、第二次世界大戦で破壊され、1952年に17世紀の様式で再現された。
地図のC地点で撮影。

下の写真: 旧市街の広場に向かう通路。


 

< 7.マーケット・プレイス  >

上下の写真: マーケット・プレイス。
18世紀末までワルシャワの中心でした。
1944年のワルシャワ蜂起に対するドイツ軍の報復で完全に破壊されたが、1950年代に再建された。
地図のD地点で撮影。


 

< 8. 旧市街のたたずまい >

上の写真: ハトが青空に舞い上がる。
この地は幾度も強国ロシアソ連とドイツに交互に、または同時に蹂躙されて来た。
今度こそは平和が長く続きますように祈ります。

下左の写真: これは何の変哲もない古い民家の門に見えるのですが、再建時、瓦礫となった石材や美術記録など頼りに忠実に再現されたものです。
戦火の傷跡が生々しい。

下左の写真: 屋根に取り付けられたドラゴン。


 

< 9. 展望台 >

上の写真: マーケット・プレイスの裏手にある展望台からヴィスワ川を望む。
地図のE地点で撮影。

中央の写真: 展望台から聖ヨハネ大聖堂の裏手に行く途中。
バルコニーの支えの部分に銃弾の跡が見える。
これはワルシャワ蜂起の激戦の痕跡です。

下の写真: 聖ヨハネ大聖堂の裏手。
地図のF地点付近。



 

< 10. 聖ヨハネ大聖堂周辺 >

上左の写真: 右のレンガ建築が聖ヨハネ大聖堂の側壁です。
塔の下のトンネルを抜けると聖ヨハネ大聖堂の正面の通路に出ます。
地図のF地点付近。

上右の写真: 指さしているのはポーランド抵抗の印です。
上述のトンネルの中ほどにありました。
至る所に見られます。

下の写真: 上述の聖ヨハネ大聖堂の側壁に埋め込まれた軽戦車のキャタピラ。
ワルシャワ蜂起のものです。


 

< 11. 聖ヨハネ大聖堂の正面 >

すぐ右が聖ヨハネ大聖堂の正面です。
この通路を行くとマーケット・プレイスに出ます。
地図のF地点付近。



ワルシャワ蜂起
第二次大戦末期に起こったポーランド地下軍とワルシャワ市民によるドイツ占領軍に対する蜂起。
ソ連軍によるワルシャワ解放が目前と思われた1944年7月下旬に一斉蜂起した。
8月1日、ほとんどの市民が蜂起に参加し市の中心部が解放された。
ソ連は進軍するかに見えたが、ヴィスワ川対岸で停止して、いっさいの援助をしなかった。
ようやく9月10日以降、ポーランド人部隊の渡河作戦を許したが、蜂起を救うには遅すぎた。
孤立した蜂起軍と市民はドイツ軍によって徹底的に全市を破壊され20万の死者を出した。
ついにワルシャワ蜂起は10月2日の降伏で無惨に終わった。
 
この時のソ連(スターリンがトップ)の行動は、反ソ感情の強いポーランドが衰弱してから占領する方が得策と考えたからでした。            


 

< 12. ワルシャワ蜂起 >

A: 赤枠はポーランド地下軍が蜂起した場所。
四角は私達のホテル、黒円枠は旧市街の城壁。

B: ドイツ軍が占領しているビルを銃撃するポーランド兵士。

C: ワルシャワ蜂起62周年の再現シーン。

D: 当時の若いポーランド兵士。

E: 旧市街で戦うポーランド兵士。
写真9や10で見た戦闘の傷跡はこの時のものです。

F: ドイツ軍によって破壊され炎上する旧市街。

G: 完全に破壊されたワルシャワ。


現在のワルシャワの人はこの蜂起をどのように見ているのだろうか?
直接、一人のポーランド女性と日本語で話すことが出来ましたので、質疑を要約します。

質問1:
「皆さんはドイツとロシアについてどう思っているのでしょうか?」

答え:
ポーランド人にとって両国は長年の侵略国であるが、ロシアを嫌っています
ドイツは戦後、謝罪したが、ロシアはその事実を否定しているからです。」

参考:
<カチンの森事件>不誠実な一例として。
1940年、ソ連軍はポーランド侵攻時、ポーランド将兵らの捕虜を2万人以上銃殺した。
ソ連は事件発覚後もドイツの犯行としていたが、ゴルバチョフが再調査し、1990年、事実を認め遺憾の意を示した。


質問2:
「皆さんはワルシャワ蜂起をどう見ているのですか?」

答え: 
「毎年、議論されているが評価が分かれています。

悪いとする意見
将来ある多くのインテリゲンチャが若死にし生き残った青年では将来を担うには力不足であった
また関係ない多くの人が巻き添えになって死んだ

良いとする意見
戦う伝説が作られた。
人々は、これからも他国の理不尽に対し戦う勇気を持つことが出来るだろう。」


私の感想
リトアニアでも同様でしたが、大国の侵略に対し蜂起したことに自画自賛だけで終わらない姿勢が素晴らしい。

ワルシャワ蜂起は、結局、ソ連に支配され続けただけなので私には無駄死に思える。
しかし、今回巡って来た東欧四ヵ国の異民族支配への強い抵抗に私は想像以上の篤い想いを見た。
だからと言って、私達日本人は経験したことのないこの想いをたやすく理解出来るとは思えない

私達が、この想いを少しでも理解しょうとするなら、他国を戦争で侵略した後に取るべき態度とは何かが自ずと解るはずです。
それはこの女性が言った「謝罪したドイツを許している」からも明白です。

残念ながら日本は島国で平和に暮らして来たことが、他者への理解で災いしているように思える。


次回に続きます。




20170208

Bring peace to the Middle East! 67: Why was it exhausted ? 5: History repeats itself



中東に平和を! 67:  なぜ疲弊したのか 5: 歴史は繰り返す 




<  1. a border fence along the US–Mexico border >
< 1. メキシコの壁  >


Last time we looked at that the treacherous social situation is occurring in the United States.
Here we trace back history a bit and examine this has been possible situation any time.

前回、危惧すべき社会状況が米国で起こっていることを見ました。
ここで少し歴史を遡り、このような状況がいつでも起こりうることを見ます。






< 2. Drought >
< 2. 旱魃  >

What is the president trying to sacrifice now?
The US president is trumpeting that other countries steal interests of the United States with unfair trade and that immigrants are depriving the public of their jobs.

Although there may be such an aspect, the many causes are due to the diplomacy and trade agreements in the past, and naturally the major nation (company) must have gained more profit.
For example, as a background of increasing Mexican immigrants, cheap imported corn from the US by the North American Free Trade Agreement (NAFTA) in 1994 robbed Mexico's fifteen million farmers' life. Annotation 1.

Furthermore, he is going to carry out terrible policies aiming only for prosperity of their own country on the sacrifice of other countries.

For example, he is trying to destroy the Framework Convention on Climate Change, but this will have a huge impact on the world.
Currently, the global warming is progressing, the drought in the world has already caused the rise in wheat prices repeatedly and it has caused sea level rise too.
With this discard, the US industry (16% of the world's CO2 emission) will undoubtedly increase the emission.
And the unity of the world will be disturbed, then global warming will accelerate further.
As a result, huge hurricanes frequently must have come to the United States, and the world that passively observed it will pay the penalty.

The selfish policy of major nations will drive the world into a corner all the more because its national strength is large, with everything such as environment, war, or economy.

Actually, the current American society is similar to the era when Europe moved to imperialism from the 1870s, and also the time of Hitler's dictatorship.



今、大統領は何を犠牲にしようとしているのか
米国大統領はしきりに他国が不公平な貿易で米国の利益を奪い、移民が国民の職を奪っていると喧伝している。

その一面はあるかもしれないが、多くは今までの外交や貿易協定によるもので、当然、大国(企業)がより利益を得ているはずです。
例えば、メキシコ移民が増大する背景に、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)による米国からの安価な輸入トウモロコシがメキシコの1500万人農民の仕事を奪った。注釈1.

さらに、他国の犠牲の上に自国の繁栄を目指す恐ろしい政策が行われようとしている。

例えば、気候変動枠組条約を破棄しようとしているが、これは世界に大打撃を与える。
現在、地球温暖化が進み、すでに世界で大旱魃による小麦価格の暴騰が繰り返され、また海面上昇を招いている。
この破棄により米国の産業(世界のCO2排出量の16%)は気兼ねなく排出を増やすだろう。
そして世界の結束は乱れ、さらに地球温暖化が加速することになるだろう。
その結果、米国には大型ハリケーンが頻繁に来襲し、それを傍観した世界にも報いは訪れる。

大国の身勝手な政策は、その国力が大きいだけに、環境・戦争・経済などあらゆることで益々世界を窮地に落とし入れることになる。

実は、今の米国社会はヨーロッパが1870年代から帝国主義に突き進んだ時代、またヒトラー独裁の時代と似ているのです。




*3


The time of Hitler
Here we can compare the current American society with the German society of the Nazis easily.

"Communists and Jews are putting our nation into turmoil! Let's recover our former territory!"
Hitler's statement was gaining tremendous popularity, and he was able to become a dictator.

What is it about Hitler took hold in the mind of people?
Its reason is due to that he attributed all cause of the deterioration to others, then proposed a method without pain for the public by sacrificing others (exclusion, expansion of territory).

Hitler is fascism, and Trump is called populism.
Although there are different things in these, there are similarities too.
The both deny existing elite layers (politicians, intellectuals, mass media) and declare that they can solve easily with exclusionary policies. Annotation 2.
And people who supported the two men are middle class in Germany and White in the United States.
People can easily accept the reckless proposal to sacrifice others if they become safe.

Furthermore, there are more interesting similar features.
At first, Hitler showed being on worker side and exclaiming against owners of capital.
However, from halfway, he sponged on some capitalists and accomplished the dictatorship with the cooperation of the military.

From the beginning, he didn't have logical and constructive assertion, so the policy was only patchwork response.
When the people noticed that they were deceived by his snow job, it's too late.


This continues to the next.



ヒトラーの時代
ここで今の米国社会とナチスのドイツ社会を簡単に比較します。

「共産主義者とユダヤ人が国家を混乱に陥れている! かつての領土を取り戻せ!」
このヒトラーの発言が絶大な人気を呼び、彼は独裁者になることができた。

ヒトラーの何が多くの心を捉えたのでしょうか。
それは悪化の原因を他者に帰し、自身は痛みを伴わない方法、つまり他者を犠牲にする方法(排除、領土拡大)を提案したからです。

ヒトラーはファシズムで、トランプはポピュリズムと呼ばれています。
これは異なるところもありますが、共通点があります。
二人は共に既存のエリート層(政治家、知識人、マスコミ)を否定し、排他的な手法でいとも簡単に解決すると明言する。注釈2.
そして二人を支持した人々はドイツでは中間層、米国では白人です。
人はいとも簡単に、自身が安泰なら他者を犠牲にする無謀な提案を受け入れてしまうのです。

さらに面白い類似の特徴があります。
ヒトラーは最初、労働者の味方で資本家を非難する素振りを見せていた。
しかし途中から裏で、一部の資本家にすがり、軍部の協力を得て独裁を成し遂げた。

元々、彼には論理的で建設的な主張がなかったので、政策はその場しのぎに過ぎなかった。
後に国民はその巧みさに騙されたと悔しがったが、後の祭りでした。



次回に続きます。




注釈1.
2017年1月、大統領はNAFTA再交渉を明言。

注釈2.
排他的な手法とは、ヒトラーの場合はアーリア人以外を強制排除(抹殺)、そして軍事力による自国の領土拡張でした。
トランプの場合は、白人とキリスト教徒以外の排除、保護貿易と2か国間交渉による自国優位です。


20170207

ロシアとバルト3国、ポーランドを巡る旅 31: ワルシャワ1






*1

今日から、最後の訪問地、ポーランドの首都ワルシャワを紹介します。
訪れたのは2016年10月4日で、快晴に恵まれました。
今日、紹介するのは早朝の街歩きです。

はじめに
夜の明けやらぬ朝、一人で旧市街に向けて歩き始めました。
道に迷いながら約1時間半ほど歩き回り、やっとの思いでホテルに戻りました。
既に出発時刻は迫り、朝食抜きで最後のホテルを去りました。
朝は雲が覆っていたのですが、徐々に快晴となり、昼には素晴らしい観光日和となりました。
写真は撮影順に並んでいます。



 

< 2. ホテルを出発 >

ホテル「ソフィテル・ビクトリア」を出発し、前の「ピウスツキ元帥広場」を通り抜け、北側を目指しました。

上の写真: 左手(西側)の森は「サスキ公園」で、その前に光っているのは「無名戦士の墓」です。

中央の写真: 広場の東側。

下の写真: 「無名戦士の墓」。
この建物に近づくと、中央にある灯火を二人の衛兵が不動の姿勢で守っていました。
朝は寒く、風が吹き抜けていました。
ご苦労様です!


 

< 3. 広場を後にして >

上の写真: 「サスキ公園」を少し覗いて、ビルの谷間に向かった。
この公園を抜ける時、数人のテレビクルーが立っており、「旧市街はどちらですか?」と聞くと一人が指差してくれた。

中央の写真: 国立オぺラ劇場の前を通る。

下の写真: 「Miodowa」通りを進む。
ここは高架になっており、右手はかつての宮殿「Branicki Palace Pałac Branickich」で、この下は線路道になっている。


 

< 4.教会 >

私はワルシャワ蜂起記念碑の前に来て、右手(東側)に曲がった。
どうやら旧市街に近づいたような気がする。

上の写真: 「 Dluga」通りに面している教会Field Cathedral of the Polish Army」。

下の写真: Dluga」通りを突き当たった所にある教会「Kościół Dominikanów pw. św. Jacka」。




 

< 5. 旧市街がわからない >

ここらまで来て、旧市街がどこか分からなくなった。
私には旧市街の雰囲気に思えるのだが。
出勤途上の数人に声をかけても通じないのか、それぞれ指の差す方向が腑に落ちない。

上の写真: 「Kościół Sakramentek pw. św. Kazimierza」カトリック教会。
ここは新市街広場でした。

中央の写真: 「Church of the Visitation of the Blessed Virgin Mary」教会。
15世紀初頭に建てられた、ゴシック建築では最も古い建物の一つです。

ここで行き過ぎたと判断し来た道を戻り、真っすぐ南下した。

下の写真: やっと城壁らしいものが見えた。
中央に見える茶色のレンガ積みの門が「Barbakan Warszawski」です。
あれをくぐると、旧市街に入ります。





 

< 6. 旧市街の市場広場 >

上の写真: 先ほどの門を抜けて、城壁内側の右手を見た。

下の写真: 旧市街の市場広場。
ライトアップはなく、薄明かりの中で静かに朝を迎える町の風情がありました。
これまで歩いて来て見かけた人は少なく、ほとんどが足早に歩く人でした。


 

< 7. 聖ヤン大聖堂 >
上の写真: 旧市街の市場広場。

下の写真: 聖ヤン大聖堂「Bazylika Archikatedralna」。
14世紀末に建てられもので、ここで多くの皇帝が戴冠式を行っている。


 

< 8. 旧王宮 >

上の写真: 旧市街の南端にある旧王宮。


中央の写真: 城壁の外側に沿って歩く。

そろそろ帰路に着かなければならないが、何処にいるかわからない。
結局、来た道を戻ることにした。

下の写真: 先ほどくぐった「Barbakan Warszawski」が見えて来た。


 

< 9. 来た道を戻る >

下の写真: 「クランシスキ宮殿」が見える。
ここはワルシャワ蜂起記念碑の向かいになる。


 

< 10. ホテルが見えた >

下の写真: 「ピウスツキ元帥広場」に着いた。
右手の森の上に尖塔が小さく見えるのは、スターリン様式の文化科学宮殿です。
巻頭写真はこの建物ので、この写真は前日の夜、雨の中をスーパーまでツアー仲間と行った時に撮影したものです。

左手奥に、ホテルがやっと見えた。
張った足を引きずりながら、ホテルに急ぎ、出発には間に合った。

写真の説明は帰国後、調べて書いていますが、歩いている時はまったく分からなかった。
旧市街は近くにあり、方向さえ分かっていれば行けると簡単に思っていた。
冷や汗をかいたが、懐かしい思い出になりました。

次回に続きます。



20170205

Bring peace to the Middle East! 66: Why was it exhausted ? 4: When do major nations become selfishness?

中東に平和を! 66:  なぜ疲弊したのか4: 大国が身勝手になる時





< 1. Actress Meryl Streep >
< 1. 女優メリル・ストリープ >

Last time, we looked at a situation that the selfishness of major nations and multinationals is permissible.
So why are the people indifferent to sacrificing other countries?

前回、大国と多国籍企業の身勝手が許される状況を見ました。
それでは、なぜ国民は他国を犠牲にすることに無関心なのでしょうか。




<  2.  Celebrities  >
< 2. 著名人 >

*Trump:  he became from a businessman to the U.S. president.
*Paul O'Neill: he is a former Treasury Secretary who was a businessman and criticized unscrupulous tax cuts and monetary easing.
*Krugman: he is a worldwide economist who continues to point out the main factor of income disparity in the US.
*Oliver Stone:  he is a film director who continues to criticize the US politics.

・トランプ: 実業家から米国大統領に。
・ポール・オニール: 無節操な減税や金融緩和を批判した実業家で元財務長官。
・クルーグマン: 所得格差の元凶を指摘し続ける米国経済学者。
・オリバー・ストーン: 米国政治を批判し続ける映画監督。


Why are the people indifferent to sacrificing others?
Why do the people forgive that their governments and companies are scattering disasters to other countries?

Knowing that fact, the people may stop their selfishness.
However, many people would never dare to know what is happening on the other side of the earth.

Since many people started to suffer damage to themselves, maybe make it a problem.
Taking the Vietnam War as an example, the fact of the war was hardly conveyed to American citizens by press restraints.
Finally, when the citizens realized the volume of the death of the US soldier on television news, the opposition campaign became the whole country.
For many citizens, the enormity of the dead and damage in the Vietnam were secondary.

But only the lack of information or the indifference is not a problem.
Rather, there is a case that people actively sacrifice others.
This has been repeated in the world.


なぜ国民は他者を犠牲にすることに無関心なのか
自国の政府や企業が、他国災厄を撒き散らしていることをなぜ国民は許すのだろうか?

その実態を知れば、国民はその身勝手を阻止するかもしれない。
しかし、多くの国民は地球の反対側で起こっている事を敢えて知ろうとはしない。

多くは自国民に被害が及び始めて、問題にする。
ベトナム戦争を例に挙げれば、戦争の実情は報道規制により米国民になかなか伝わらなかった。
やっとテレビで米兵の死者の多さが実感出来るようになると、反対運動は国民的なものとなった。
多くの人にとって、ベトナム人の死者や被害の甚大さは二の次でした。

しかしこの情報不足や無関心だけが問題ではない。
むしろ、積極的に他者を犠牲にする場合がある。
これは世界で繰り返されて来た。


What has happened in the United States now
In this presidential election, the Americans demanded a major change.
While there are people who welcome this result (White, wealthy people, financier), there are people who have a sense of crisis. (immigration, and Meryl Streep)
And there are people who believe that military intervention to other countries will decrease because they believe the president's statement. (Oliver Stone)  Annotation 1.
But I can not rest assured of it.

Thing I feel insecure is the American society
The US society has been kept away from the true, and the decoupling already occurs , so has an emotional confrontation with each other. Annotation 2.
This time, people inflamed by dissatisfaction became more exclusive and violent.

In such situation, what will happen?
Now, people who is inflamed by emotion and place their hope on the president belong to the middle class and try to protect themselves, so it is easy to sacrifice others. Annotation 3.
This is consistent with the President's statements.

I am concerned about policy recommendation that the president almost denies the status quo and lacks coherence.
For example, an economic history shows that to run toward protectionism invited a contraction of the world economy . Annotation 4.
In addition, it is dangerous to make other people into a scapegoat to divert people's eyes from a source of discontent.
Until now, there is a fact that policies for the purpose of economic recovery, money-easing, tax cuts, and destruction of universal health insurance coverage, have repeated the collapse of the bubble, and have expanded the income disparity. (Krugman, Paul O'Neill)

As long as people ignore it, poverty will not change even if it is temporarily well, and the decoupling will only deepen.
In a word, a society that is becoming emotional rather than logical has a high possibility of heading a bad direction.

Thus, a major nation that began to take selfish behavior will spread every disaster to the world.

This continues the next time.


今、米国で起きていること
今回の大統領選で米国民は大きな変革を求めた。
この結果を歓迎する人々(白人、富裕層、金融屋など)がいる一方、危機感を抱く人々がいる(移民、メリル・ストリープなど)。
大統領の発言を信じれば他国への軍事干渉が減ると期待する人がいる(オリバー・ストーン)。注釈1.
しかし、私は安心出来ない。

私が不安に思うのは米国社会です。
米国社会は真実から遠ざけられ、既に分断され、各集団が激しく対立している。注釈2.
そして今回、不満を煽られた各集団は、より排他的で暴力的になった。

このような場合、何が起きるだろうか?
今、扇情され大統領に望みを託している人々は中間層に属し、自らの保身を前提にしているので、他者を犠牲にしやすい。注釈3.
これは大統領の発言と一致する。

大統領の現状否定や一貫性のない政策提言にも不安がある。
例えば、保護主義に走ることがいずれ世界経済の収縮を招くことは経済史が示すところです。注釈4.
さらに、他者をスケープゴートすることにより、不満の元凶から人々の目を逸らさせているのも危険です。
今まで、経済回復を謳いバブル崩壊を繰り返して来た政策(金融緩和、減税、皆保険制破棄)こそが所得格差を拡大させている事実がある(クルーグマン、ポール・オニールなどが指摘)。

これらを無視している限り、一時は浮かれても貧困は変わらず、分断はより深まるだけです。
一言で言えば、論理的でなく感情的になっている社会では、悪い方向に向かう可能性が高い。

こうして身勝手な行動を取り始めた大国は世界に災厄を撒き散らすことになります。


次回に続きます。


注釈1.
オリバーの指摘のように、強権的なイメージのあったニクソンとレーガンは、突如として米中や米ソ間の緊張を劇的に改善させた。
これらは想像を越えたものでしたが、必ずしも両大統領の功績とは言えない。
前者はベトナム戦争泥沼化に対する国民の絶大な怒り、後者はゴルバチョフのペレストロイカがあってのことでした。

米国の軍事行動は軍産複合体によるもので、せいぜい大統領はそれを少し抑えられる程度だろう。
よほど国民の側に立って判断する大統領でないと期待できない。
トランプの言っていることが信じられないのは、彼の違法まがいのビジネスで、弱者を虐げることに平気な事を知れば当然です。
NHK、1月31日放送のBS世界のドキュメンタリー「“強欲時代”のスーパースター~ドナルド・トランプ」が実態をよく示しています。


注釈2.
米国の対立の構図は、白人とマイノリティー、低学歴と高学歴、キリスト教と無宗教、男性と女性などが主なものです。
この指摘は、本「トランプがはじめた21世紀の南北戦争」から引用。

なぜこの対立が米国で生まれたのでしょうか?
それは度重なる金融危機(最近では2008年)による著しい所得格差の拡大が根にある。
中間層の没落と貧困層拡大をしり目に一部の超富裕層がより巨大化している。
前者は不満を募らせるが、一方で超富裕層は保身の為に、莫大な資金を投じて日常的に宣伝工作や選挙誘導を行う。

例えば、米国のコーク兄弟(二人の資産を合わせると世界一の800億ドルになる)の裏の政治活動が有名です。
代表的なものは保守強硬派のティー・パーティーへの資金援助、地球温暖化否定のキャンペーン、疑心暗鬼に陥らせることになるエリート批判などです。

さらに多大な影響を与えているのが、レーガンに始まりブッシュで進められたメディア所有規制の緩和です。
この結果、メディア、主に放送は一握りの大企業に独占され、娯楽化が顕著になった。
批判的でシリアスなニュースは無くなり、欲情を煽る娯楽番組ばかりとなりました。
さらに輪をかけて地方紙の廃刊が続いています。
こうして、選挙戦前半でトランプは面白可笑しく扱われ人気が出て、必要な情報が国民に伝わらなかった。
結局、これもホワイトハウスが大企業に操られたからでした。

また2001年の同時多発テロ以降、メディアはホワイトハウスに逆らわないようになり、都合の悪い情報を流さなくなりました。

こうして、国民は真実や必要な情報から遠ざかってしまった。
また、国民は超富裕層にとって都合の悪い真因から目を逸らされ、互いに反駁するだけになってしまった。

その結果、莫大な資金が必要な大統領選挙もあり、米国社会は悪化し続けていても、誰も止めることが出来なかった。

その意味では、今回の大統領選挙は画期的でしたが、危さの本質は変わらないので、むしろ危険が増したと思う。


注釈3.
一方、不満を煽られた人々が底辺層であれば、保身ではなく、抜本的な社会改革(革命)を目指すことになる。
これは、これで危険なのですが、先ずは内部の破壊と創成に向かうことになる。
その後、外部に向かうこともある。

それでは上層部、富裕層が不満を持てばどうなるのでしょうか?
それは既に見たように、豊富な資金にものを言わせ、現状の政治・マスコミ・学者を操るだけなので、多くの人には変化がわからないことになる。


注釈4.
保護主義だけを取り上げて絶対悪いとは言えないが、一気に進めれば世界の貿易額は確実に収縮し、消費財などが高くなり、低所得者を圧迫することになりかねない。
何か他の政策で補うのであれば、現状のグローバル化の欠点である国内の低賃金競争や為替でメリットが出るかもしれない。

しかし、確立した経済理論による裏打ちの無い経済政策の乱発では、破綻する可能性が高いように思う。
また、おそらくは、グローバル化で富を蓄積して来た超富裕層は、保護主義をすり抜ける不公正な政策をとらせるだろう。
私にはこちらの方が怖い。

本来は、問題にされているグローバル化による弊害は世界的な法の網(罰則、税制、規制)でコントロールすべきです。
これでは遠回りしているだけです。


20170204

ロシアとバルト3国、ポーランドを巡る旅 30: ビルニュスからワルシャワへ





< 1. ポーランドにて >


今日は車窓から見たビルニュスからワルシャワまでの景色を紹介します。
撮影日は2016年10月3日の午後です。


バスの走行距離は約460kmで、6時間以上走りました
走行中、雨が降ることはなかったが、ほとんど厚い雲に覆われていました。
写真は撮影順に並んでいます。


 
< 2.ビルニュスとの別れ >

2枚の写真: ビルニュス。
下の写真: 郊外。


 
*3


 
*4



 
*5

 
< 6. コンビニ >

中央の写真: 集団墓地。
今回走ったビルニュスからワルシャワの間で大きな墓地を幾つも見ました。
やはり南下するに連れて人口密度が高くなって来たのか、道路沿いに見かけるようになった。
皆、キリスト教徒の墓地だった。

下の写真: トイレ休憩に寄ったコンビニ。




 
< 7.国境 >

上の写真: 先ほどのコンビニすぐ横の交差点から見た村。

中央の写真: これから下の写真はポーランドになります。



 
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これ以降は、暗くなり写真を撮りませんでした。


あとがき
バルト三国から南下するにつれ、大地に緩やかな起伏が多くなり、原生林を見ることはかなり減りました。
バルト三国もポーランドも、農家のたたずまいは経済的な差があまりなかったように思う。
しかし写真No.11のような綺麗な一戸建ての団地を、バルト三国やサンクトペテルブルグの郊外で見ることはなかった。
私が車窓から見た農村の民家は、ロシアが一番貧しく、古いままのような感じた。

参考に、各国の一人当たりのGDP(2013年)を高い方から見ると、エストニア26000ドル、リトアニア25000ドル、ロシア24000ドル、ポーランドとラトビア23000ドルでした。
ちなみに2016年の日本は39000ドルでした。


次回に続きます。



20170202

Bring peace to the Middle East! 65: Why was it exhausted ? 3: Why is the selfishness permissible?

中東に平和を! 65:  なぜ疲弊したのか3: なぜ身勝手がまかり通るのか 




< 1. TPP support enterprises >
< 1.TPP支援企業 >

Last time, we saw the selfishness of major nations and multinationals.
Why is the selfishness permissible, and why does it continue to happen?
We look at the motive of the major nations from now on.

前回、大国と多国籍企業の身勝手を見ました。
何ぜ身勝手がまかり通り、起こり続けるのか?
これから大国の動機を探っていきます。




< 2. an apparel factory in Bangladesh collapsed in 2013 >
< 2.2013年、バングラデシュのアパレル工場のビルが倒壊 >


The selfishness of major nations that has been permissible
In this chapter, we are going to look at why many countries on the Earth can't choose but be exhausted, but there is a thing we have to know before that.
That is to say, "Why have the major nations and multinationals repeated the selfishness, and why have the people been indifferent to it?"

For one thing, because major nations and multinationals were hardly punished even if it were sacrificing weaker nations and the citizens, as in the previous four cases.
These cases are relatively recent, the world yet can't do something about these.

Why can't we stop the situation that the many lives and property of weaker nations are being lost and human rights are being ignored?
The reason is that major nation has overwhelming power in economics, diplomacy and military power, so many countries follow it.
This is a reality that does not require explanation.
For example, it is evident when looking at the neglect of the UN Framework Convention on Climate Change(COP), the starting the Iraq war, and the veto in the U.N.


まかり通る大国の身勝手
この章では、地球上の多くの国が疲弊せざるを得なくなった理由を見て行くのですが、その前に知っておくべきことがあります。
それは、「なぜ大国と多国籍企業が身勝手を繰り返し、また多くの国民はそれに無関心なのか?」と言うことです。

一つには、前回の4つの事例のように大国と多国籍企業が弱小国やその国民を犠牲にしてもほとんど罰せられないことがあります。
これらの事例は比較的最近のもので、世界はこれらにまだ対処出来ていない。

なぜ、弱小国の膨大な人命や財産が失われ、人権が無視されているのに止めることが出来ないのでしょうか。
その理由は、大国は経済、外交、軍事力で圧倒的な力を持ち、多くの国が追従していることにある。
これは説明を要しない現実です。
例えば気候変動枠組条約の無視、イラク戦争開始、国連での拒否権などを見れば明らかです。




< 3.  Celebrities  >
< 3. 著名人 >

Takenaka: a Japanese economist who espouses globalization.
Piketty: a French economist who raises an alarm over the disparity of the world.
Pal: an Indian lawyer who protested Western imperialism.

・竹中平蔵: グローバル化を信奉する日本のエコノミスト。
・ピケティ: 世界の格差に警鐘を鳴らすフランスの経済学者。
・パール: 欧米の帝国主義に異議を唱えたインドの法律家。


Furthermore, selfishness of multinationals
The multinational is the most leading player in globalization and sometimes causes major problems.
The remarkable points are a perpetrator of a bubble economy, and the pollution and poor labor conditions in developing countries.
Even if we abandon a tyranny of major nation, we want just preventing a tyranny of multinationals, but this also is difficult.

Today, the total sales of multinationals (60 thousand companies) account for more than half of the world's total production, and two-thirds of the world trade is the trade among multinationals. Annotation 1.
The sales of No. 1 multinational (Walmart) in 2015 is next to Sweden, the 24th largest in the world in terms of nominal GDP.
Actually, the problem is not only the scale but also the control.
Multinational is not stateless, but are protected by the major nation that it belongs in.


According to James B. Glattfelder. Annotation 2.
737 major shareholders have the power to control 80% of the value of multinationals.
The number of this major shareholders is about 0.1% of the total, and the US and UK financial institutions account for most of it.
Furthermore, 146 shareholders being a key part of it can control 40% of the value of multinationals in the world.
In addition, 1,400 worldwide billionaires have 1.5% of the world's total assets. Annotation 3.

Person accepting the current situation says that selfishness is just one aspect of globalization, and we only leave it. ( Takenaka etc.).
Meanwhile, there are persons who say that the world has to control the selfishness and establish world-wide justice (law) . (Piketty, Pal)

The times that this capital and companies of major nations began to embark on the world is during the Age of Discovery, next it was extremely fierce in the imperialist era, and continue to the present time.

This continues the next time.


さらに多国籍企業の身勝手
グローバル化の立役者であり、大きな問題を引き起こすのは多国籍企業です。
目立つものでは、バブルの張本人や低開発国での公害や劣悪な労働があります。
大国の横暴は諦めたとしても、企業の横暴ぐらいは防ぎたいと思うのは人情ですが、これが難しい。

現在、多国籍企業(6万社)の総売り上げは世界の総生産の半分以上を占め、世界貿易の3分の2は多国籍企業間の貿易です。注釈1.
2015年の多国籍企業No1(ウォルマート)の売り上げは、名目GDPで世界24位のスウェーデンの次に来ます。
実は、問題は規模だけでなく、その支配にあります。
多国籍企業は無国籍ではなく、その国籍がある先進国によって守られています。

James B. Glattfelderによれば。 注釈2.
737の大株主が多国籍企業の価値の80%をコントロールする力を持つ。
この737という大株主の数は全体の0.1%程度で、アメリカとイギリスの金融機関がほとんどを占めます。
さらにその中核部の146の株主が世界の多国籍企業の価値の40%をコントロールできるのです。
なお世界の億万長者1400人が世界総資産の1.5%を持っている。注釈3.

これらは米国や英国など一部の人々(超富裕層)が世界経済を、さらには国をもコントロール出来ることを示唆しています。

現状肯定派は、これらはグローバル化の一側面に過ぎなく、手の打ちようが無く、放任するしかないと言う(竹中平蔵など)。
一方、この身勝手を食い止め、世界共通の正義(法)を確立せよと言う人もいる(ピケティ、パール判事など)。

この大国の資本と企業が世界に乗り出すのは大航海時代に始まり、帝国主義時代で熾烈を極め、そして現代へと続いている。


次回に続きます。


注釈1.
下記から抜粋引用。
http://www.geocities.jp/isciscisc52/middle/isc52______link/table2_doi.htm

注釈2.
下記から抜粋引用。
http://www.ted.com/talks/james_b_glattfelder_who_controls_the_world/transcript?language=ja
発言者は下記書物の著者です。
Decoding Complexity: Uncovering Patterns in Economic Networks

注釈3.
ピケティの「21世紀の資本論」の図12-1、2より。