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今回は、新自由主義に纏わる大きな勘違いを取り上げます。
残念ながら今回でこの連載を休みます。
語りたいことはまだ多いのですが、少し休憩してから、
また始めたいと思います。
* 自由競争=弱肉強食
以前、低所得者や身障者への援助が話題になった時、保守的な人から「この世は弱肉強食で、援助は助けになるどころか、甘やかすだけだ!」と切り捨てられた。
日本は資本主義国の中にあって共助の精神が生き続けている国でした。
しかし、いつの間にか新自由主義「小さな政府」の名の下に、自助が前面に出て来るようになった。
不思議ですよね、道徳教育を復活させるとしながら、一方で共助を捨てると言うのですから、今の与党議員には社会や歴史への理解力が乏しいようです(共助とは地域社会によるものです、公助と自助の中間のようなもの)。
おそらくは税収不足による福祉予算カットや政治家の責任逃れが念頭にあるのでしょうが。
先程の発言者は、真剣に動物界は弱肉強食だから当然だと訴えた。
実は、私達人間は動物世界から学ぶべきことがあります。
一つは、縄張り争いなど同一種同士の闘争では、徹底的な殺し合いをしないのです(擬闘)。
もし肉食獣が仲間同士、徹底的に戦うことが本能であれば、皆怪我だらけになり早晩全滅するでしょう。
通常は無駄に戦わないようになっている。
同種同士で徹底的に殺すようになったのはチンパンジー以降、人類ぐらいでしょう。
(チンパンジーの場合、殺すのは恐怖心と生殖の為に限られるようですが、人類の場合、単純ではなくなった)
いま一つは、高等動物になればなるほど、弱者を助ける習性があり、特にメスには強い。
鳥類や哺乳動物に始まり霊長類になると、身内の高齢者、身障者、幼子へのいたわりや給餌の優先は広く見られる。
(餌が乏しい場合には、この傾向は弱まります)
このいたわりの感情は進化の過程で、種の存続に適していたから残ったのでしょう。
人類はこれら進化の最上位にあるわけですから、押して知るべしです。
必ずしも戦うだけ、競争ばかりが人類の宿命では無いのです。
むしろ人類は、動物の中では最も大きな集団で助け合うように進化して来たのです(ここ百万年間の進化では集団の規模は150名までのようですが)。
* 最後に
休稿するにあたり、想いを一言述べます。
これまで、この30年程で狂ってしまった先進国の経済と社会、特に悲惨な日本の状況を皆さんに分かり易くお伝えようとして来ました。
しかし、思っている事の半分ぐらいしか語れませんでした。
やはりもっと実証的に、かつ分かり易くしたかったのですが難しい。
また没落を食い止める方法に、いまいち踏み込めませんでした。
次回、連載を始められる時は、さらに中身のある記事を書きたいものです。
これまで拝読ありがとうございました。